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2009.10.28

関門海峡の衝突事故

読売新聞より「護衛艦とコンテナ船衝突・火災、3人けが…関門海峡

27日午後7時56分頃、福岡、山口県境の関門海峡で、海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦「くらま」(5200トン)と韓国籍のコンテナ船「カリナ・スター」(7401トン)が衝突し、両船で火災が発生した。

北九州市消防局などが消火に当たり、コンテナ船の火災は午後8時35分に鎮火、くらまも午後11時20分頃、鎮火状態になった。海上幕僚監部によると、くらま側で乗組員1人が足に軽い裂傷を負い、2人が煙を吸って気分が悪くなった。門司海上保安部は業務上過失往来危険容疑で、関係者から事情を聞き始めた。

第7管区海上保安本部(北九州)や防衛省によると、現場は北九州市と山口県下関市を結ぶ関門橋のほぼ真下で、海峡の幅は約650メートルと狭かった。くらまは瀬戸内海方面から西に向かって、コンテナ船は玄界灘から東に向かって、それぞれ関門海峡に進入したと見られる。波はほとんどなかったが、視界は約3~4キロで、見通しが良い状態ではなかったという。

くらまは艦首部分が大きく破損し、シンナーなどを収納していたペイント庫付近が炎上した。コンテナ船は右船首部分に穴が開き、積み荷のコンテナが燃えた。

現場は、海上衝突予防法の特別法である港則法施行規則により、右側航行が義務づけられている。くらまの艦首部分は左から右に衝突を受けたような破損状況のため、くらまが左前方から来たコンテナ船と衝突した可能性がある。

くらまは1981年に就役。全長159メートル、全幅17・5メートル、定員360人で、対潜ヘリ3機を搭載できる。25日に相模湾で行われた観艦式に観閲艦として参加、佐世保基地に戻る途中だった。297人が乗船し、負傷するなどした3人は船体前部で見張りをしていた。午後11時頃、自力航行を再開、門司港に向かった。

韓国海洋警察庁によると、カリナ・スターはナムソン海運(本社・ソウル)が所有。全長127メートル、幅20メートルで、同社釜山事務所によると、韓国人ら16人が乗り組み、釜山港から大阪へ向かっていた。

釜山事務所の社員は読売新聞の取材に、「コンテナ船の船長から『前を走る船の後を追って航行していたら、前方から護衛艦が接近してくるのが見えた。かじを切ったが間に合わず衝突した』と報告を受けた」と話した。

関門海峡の航路は約4時間閉鎖された。

政府は27日午後8時15分、海上自衛隊の護衛艦「くらま」と貨物船の衝突に関し、首相官邸内の危機管理センターに情報連絡室を設置した。鳩山首相は同日夜、関係省庁に対し、早急な情報収集と被害実態の把握を行うよう指示した。
(2009年10月28日01時22分 読売新聞)

朝日新聞より「海自護衛艦と貨物船衝突、炎上し3人けが 関門海峡

27日午後7時56分ごろ、本州と九州の境にある関門海峡で、海上自衛隊の護衛艦「くらま」(艦長・柏原正俊1等海佐、5200トン)と韓国のコンテナ船「カリナスター」(7401トン)が衝突。双方が炎上した。防衛省海上幕僚監部によると、「くらま」の3人が負傷した。第7管区海上保安本部が業務上過失往来危険の疑いなどで調べている。

海保によると、現場は本州と九州を結ぶ関門橋のほぼ下。「カリナスター」は衝突約40分後の午後8時35分ごろに鎮火した。船首の右部分が大破したが、浸水や油漏れはなく負傷者もいない。同船の船主である韓国の海運会社「南星海運」の釜山事務所によると、コンテナの一部から出た火を乗組員らが消し止めた。

一方、「くらま」は艦首部分が激しく損傷し炎上。防衛省によると、28日午前0時ごろまでにほぼ鎮火したが、消火作業の際に乗員1人が右足に切り傷を負い、ほかに2人が煙を吸って気分が悪いと訴えている。艦首部分に船体を塗り直すためのペンキの缶の倉庫があるという。

防衛省によると、双方ともに自力航行可能という。

「カリナスター」の韓国人の船長(44)は朝日新聞の取材に「前を走る船を追い越そうとしたときにぶつかった。前から(護衛艦が)来ているのはわかり、早めにかじを切ったがぶつかった」と話した。

防衛省によると、両船はほぼ正面衝突だったとみられる。海保によると、海上衝突予防法で海峡の航行は「右側通行」と定められており、前方に相手船を発見した場合も互いに「右へ回避」が原則。だが、「カリナスター」は船首右側が損傷しており、海保は今後その経緯を調べるとみられる。関門海峡は大規模海難事故の起こりやすい「ふくそう海域」に指定されており、港則法の細則で追い越しなどは禁止されている。

下関地方気象台によると、事故当時、現場海域の天候は快晴だった。

「カリナスター」はコンテナを韓国・釜山から大阪に運ぶ途中で、韓国人12人ら16人が乗り組んでいたという。

「くらま」は長崎県の佐世保基地の第2護衛隊群に所属するヘリ搭載型護衛艦で、進水は79年。25日に神奈川県の相模湾であった観艦式に参加した後、佐世保に戻る途中で、297人が乗っていた。

FNNニュースより「関門海峡護衛艦衝突事故 双方の船が近くにいた別の船をよけようとして衝突した可能性

27日夜、関門海峡で起きた護衛艦とコンテナ船の衝突事故で、双方の船が、近くにいた別の船をよけようとして衝突した可能性が高いことがわかった。

この事故は27日夜、福岡・北九州市沖の関門海峡で、海上自衛隊の護衛艦「くらま」と韓国のコンテナ船「カリナスター」が衝突して炎上し、護衛艦の乗組員6人がけがをしたもの。

海上保安庁の関係者によると、当時、コンテナ船の前を別の外国船が航行しており、これをよけようと護衛艦が右に、コンテナ船が左にかじを切ったために、双方の進路が交錯し衝突した可能性が高いことがわかった。

海上保安庁は、これら3隻の船の航跡を分析するなどして、事故の原因を調べている。
(10/28 06:04 テレビ西日本)

朝日新聞より「コンテナ船、護衛艦の針路にはみ出す? 衝突事故

その瞬間、暗い海峡を火柱が照らし、爆発音が周囲を揺らした。27日夜、北九州市沖の関門海峡で起きた護衛艦とコンテナ船の衝突事故。国内有数の「海の難所」で何が起きたのか。

防衛省や海上保安庁などによると、護衛艦「くらま」の艦首とコンテナ船「カリナスター」の船首右側がぶつかったとみられる。コンテナ船の船長(44)は、事故直後に朝日新聞の取材に応じ、「前の船を追い越そうとしていた」などと話しており、コンテナ船が護衛艦の針路にはみ出す形になって衝突を引き起こした可能性が出てきた。

コンテナ船は韓国・釜山から大阪に向かっており、事故で船首右側が大きく損傷した。船長の説明によると、コンテナ船は前方からの護衛艦には気づいていて、早めにかじを切ったが避けられなかったという。

海上保安庁によると、海峡での船の航行は海上衝突予防法により、互いに右側を通ることがルール。前方に相手船を発見した場合は、互いに右へ回避するのが原則だ。このルールを互いに守っていれば、船首右側が相手の船とぶつかることは考えられない。

コンテナ船がどのようにして前の船を追い越そうとしたかははっきりしないが、船長の証言や双方の船の衝突部位などから、海保関係者は「コンテナ船がかじを左に切って追い越そうとして左側に膨らみ、左前方から来た護衛艦の針路に入った可能性も考えられる」と話す。

衝突事故があった関門橋付近は関門海峡のなかでも幅が約600メートルと狭く、大型船同士がすれ違うには危険が伴う。特に、北九州市側からせり出す部分があり、西から東に向かうコンテナ船からは視界が悪く、向かってくる船が直前まで視認できないケースがあるという。

護衛艦の監視態勢について、元海上自衛隊潜水艦隊司令官の西村義明さんは「狭い水道を通過するときは、艦橋の見張りや指揮所の人員など、通常の当直態勢よりも強化した状態で、細心の注意を払って航行するはずだ」と話す。

軍事ジャーナリストの神浦元彰さんは「関門海峡は狭く、潮流も国内では最も速い場所。船の通行も多く、本来は追い越しをするような場所ではない。潮流の激しいところで追い越しをしようとしたコンテナ船がコントロールを失った可能性もある。護衛艦も船の行き来が多い中で身動きが取れなかったのではないか」と分析する。

海保は、レーダーなどで両船の航跡を確認し、衝突の状況を詳しく調べる。

昨日の関門海峡での衝突事故は炎上ということもあってかなり驚きました。
4本の記事を時系列で並べてみました。

1時22分読売新聞
3時2分朝日新聞
6時4分FNNニュース
8時5分朝日新聞
となっています。

1時22分の読売新聞の記事で注目する点は

くらまは艦首部分が大きく破損し、シンナーなどを収納していたペイント庫付近が炎上した。

コンテナ船は右船首部分に穴が開き、積み荷のコンテナが燃えた。

現場は、海上衝突予防法の特別法である港則法施行規則により、右側航行が義務づけられている。

くらまの艦首部分は左から右に衝突を受けたような破損状況のため、くらまが左前方から来たコンテナ船と衝突した可能性がある。

ですね。
この時点で、コンテナー船が護衛艦側の航路に進入した可能性が出てきました。

3時2分の朝日新聞の記事では以下の点が注目です。

「カリナスター」の韓国人の船長(44)は朝日新聞の取材に「前を走る船を追い越そうとしたときにぶつかった。前から(護衛艦が)来ているのはわかり、早めにかじを切ったがぶつかった」と話した。

NHKテレビで、この画面は何度も見ましたが、どう見ても航路の右側で衝突していると思っていました。
この画面はNHKは山口県下関市に設置したカメラの映像と解説していますから、東側から撮っています。つまり、長崎に向かっていた護衛艦は画面の左下から右上に向けて関門大橋の下を通過する航路を後攻していたことになります。
その進路上で衝突したように見えます。

6時4分のFNNニュースでは

海上保安庁の関係者によると、当時、コンテナ船の前を別の外国船が航行しており、これをよけようと護衛艦が右に、コンテナ船が左にかじを切ったために、双方の進路が交錯し衝突した可能性が高いことがわかった。
船は右側通行ですから、海峡で左にかじを切ると対向する航路に進入することになります。

8時5分の朝日新聞では

軍事ジャーナリストの神浦元彰さんは「関門海峡は狭く、潮流も国内では最も速い場所。船の通行も多く、本来は追い越しをするような場所ではない
関門海峡は、海上保安庁が一隻ずつ航行管制出来るようになっています。そこで、追い越す必要が生じたとはどういうことでしょうか?

現時点では、コンテナー船の海峡内では不適切な操船で衝突に至った、と見えます。

10月 28, 2009 at 09:42 午前 事故と社会 |

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コメント

自衛隊艦船船首のクラッシュゾーンがはっきり解った事故、攻撃目標を決めるに役立つ情報が流れてしまったということでは、軍艦としておしまいですな。

海保が進路変更を、命令ではない、と言っているのは責任回避、この一言で、明日から浦賀水道なんてどうなっちゃうんだろう、は小型船舶持ってるヨメさんの呟き。
本来追い越しなんぞ無理な海峡で追い越し方を教えた海保の信頼は海の底に沈んでしまいますね。

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/29 1:02:34

自動車でいえば、片側2車線道路で対向車線に飛び出した、みたいな感じなのですね。

Google Earth で測ってみると、陸地から対岸までは700メートルぐらいですから、くらま160メートル、カリナ・スター130メートルですから、正に片側2車線道路ぐらいの比率でしょう。

関門海峡全体で見れば、他にも幅が1キロぐらいのところはありますが、それにしても一番細いところですから、そこで追い越しが云々というのは、いささか知恵が足りないでしょう。

管制になっていない、と言われたら海保はどう返答するのでしょうね?

投稿: 酔うぞ | 2009/10/29 9:17:49

まさか、海保は「船舶の安全航行に必要な情報提供業務」と「港則法に基づく航行管制業務」は時と場合に応じて使い分けていて、『今回の事案で当方係官が貨物船に伝達した内容とその趣旨は、単なる情報提供であり航行管制業務には当たらない』なんーてしらっトボケる可能性もありそうですね。そうなれば、海の警察官はそのときの気分次第で公権力行使が可能と言うことになる。まあこんなこと陸でもあるようですがね。海難審判で海保が受審人になるというめったにお目にかかれない貴重な海難審判になるかもしれませんね。

今日から関門海峡管制は、「これは情報です」とか「これは管制です」なんて、わざわざ付け加えながらやってもらわないと流れていく方は行きたくても行けないというバカなことに巻き込まれますな。。

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/29 13:05:36

どうも、コンテナ船の少し左前を進んでいた貨物船を、左側から追い抜くような指示が管制官から出たような節がある。ひょっとして、管制官がコンテナ船と貨物船の左右の位置関係を取り違えた可能性もあるかもしれない。

関門衝突事故 管制 左追い越し誘導(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/131153
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20091029/200910290001_000.jpg

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/29 14:37:09

コンテナ船は貨物船の2倍の速度で接近し、追突状態であった様です。
となれば、そこで追い越しの情報を与えたのはまずいとは言えないでしょう。
そこに、貨物船から、左を追い抜くようにして欲しいという連絡が入れば、情報提供としては今回の内容は妥当な気がします。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091029-OYT1T00708.htm?from=main5
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091028-00000136-jij-soci
現段階の情報では、海保を責めるのはちょっと無理があるのではないか、と。

ところで、護衛艦との衝突前に、コンテナ船がルールに則って右へ回避してないことが衝突の直接的な原因であるはずなのに、不思議なほど注目されませんね。
たとえ海保が間違った指示をしたとしても、ちゃんとルールに則っていれば起きなかった事故と思えます。

投稿: めいさいらっぱ | 2009/10/29 18:06:53

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