« 日本航空は再建に向かうことが出来るか? | トップページ | 戸塚ヨットスクールでふたたび死亡事故 »

2009.10.18

JR西はビジネスを続けることが出来るのか?

朝日新聞より「JR西へ厳しい声 口先だけの謝罪や言い訳は響かない

JR西日本は、宝塚線(福知山線)脱線事故の調査情報漏洩(ろうえい)など一連の問題を受け、17日午前に続いて、午後にも「お詫(わ)びの会」を兵庫県伊丹市内で開き、被害者に問題の経緯を説明し、謝罪した。参加者からは、同社の企業体質を問う厳しい声が相次いだ。

17日の「お詫びの会」は非公開で2回開かれ、遺族と負傷者ら計219人が参加した。

午前9時半に始まった最初の会が終了したのは午後1時半。
出席者らによると、質疑応答ではJR西への批判が相次いだ。

「公表前の調査報告書が社内にあって、おかしいと言う社員はいなかったのか」

そう追及した男性に対し、山崎正夫前社長は「私の知る限りいなかった。当時の社内はそういう状況でした」と力無く答えた。

負傷者の家族の女性は「『犠牲者の無念を思うとやるべきではない』と言える人がなぜいないのか。そんな会社は信用できない。今までで一番腹が立つ」と憤りをあらわにした。

JR西の事故被害者に対する説明会は、今回で8回目。
同社はそのたびに、「被害者への精いっぱいの対応が最優先」と言い続けてきた。

「これが誠心誠意と言えるのか」「表向きは『精いっぱいの対応』と言いながら、裏では自分たちのことばかり。そんな幹部ではJR西は変わらない」。被害者は失望感を口にした。「あなたはなぜ社長になったのか」と問われた山崎氏は「企業防衛に考えがいってしまったのは事実としか言いようがない。おわびするしかありません」と答えるのがやっとだった。

同社をめぐる一連の問題の発覚が、国土交通省の発表だったり、報道だったりした点にも批判が集中。

「ずっと言わないつもりだったのか」と質問が飛ぶと、土屋隆一郎副社長は「検察の捜査を通じての指摘を、我々が申し上げるべきかどうか悩んでいた。結果的に後手後手になってしまった」と釈明した。

「口先だけの謝罪や言い訳は響かない。裏工作をしても命は戻らないと肝に銘じてほしい」。被害者の1人はそう訴え、責任の所在を明確にするよう求めた。

大学生だった長女(当時21)を亡くした兵庫県三田市の奥村恒夫さん(62)は終了後、「言い訳だけの集会だった。JR側からは、これからの取り組みについての話があったが、本当にできるのか信用できない」と話した。

午後5時に始まった2回目の会は午後10時すぎまで続いた。

妻と妹を亡くした同県宝塚市の浅野弥三一(やさかず)さん(67)は「説明は表面的な見解を示しただけ。情報の漏洩を求めたり、意見聴取会の公述人の抱き込みを図ったりした問題がなぜ起きたのか、自己分析がされていない」と批判。「コンプライアンス特別委員会に、調査をすべて任せるのは間違っている」と指摘したうえで、「JRにはどうか立ち直ってほしい」と望みも託した。

東京新聞より「JR西、尼崎事故で社員に資料 口裏合わせと地検指摘

尼崎JR脱線事故で、JR西日本が兵庫県警や神戸地検から事情聴取を受ける社員に、対策用の資料を配布するなどしたことに対し、神戸地検が口裏合わせではないかと指摘していたことが17日、JR西や捜査関係者への取材で分かった。

事情聴取前に、事故の事実関係をまとめた会議用資料や、被害者説明会の想定問答を用意。
聴取後は供述内容のメモを作成し弁護士に報告したほか、聴取予定の社員に見せることもあった。

JR西は「あくまで参考資料。捜査に協力するためだった」と釈明。遺族らは「供述を統一させるとは許せない」などと強く批判している。

一方、現在は取締役の山崎正夫前社長は、進退を社長に委ねていることを明らかにした。既に辞意を伝えたとみられる。

地検は7月、業務上過失致死傷罪で山崎前社長を在宅起訴。

捜査過程で県警や地検は、多数の同社幹部や社員から事情を聴いた。JR西は、社員から対応の問い合わせが相次いだため資料を配布したとしている。

これとは別に、個人で自分用に資料を作成し「ポリちゃん想定問答」などといった名称を付けていた社員もいたという。

捜査関係者などによると、神戸地検は昨年10月のJR西の家宅捜索などでこうした資料を確認。

JR西側に指摘すると、口裏合わせとみられる行為はなくなった。地検は、公の場での幹部の発言と矛盾したことを話さないよう対策をとっていたとみている。

事情聴取前に弁護士が助言するなどJR西の組織防衛策は一部知られていたが、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)の報告書漏えい問題を謝罪するため17日、兵庫県伊丹市で開いた「おわびの会」で佐々木隆之社長が自ら資料配布の件を明らかにし「不信感を抱かせた」と陳謝した。

佐々木社長は同日の記者会見で「事情聴取を受ける社員は記憶も薄れている。できるだけ正確に答えるための資料だった」と話した。

会は午前と午後の2回、遺族ら約220人が出席し、合わせて約9時間に及んだ。

(共同)

産経新聞より「退任否定から一転、今月上旬に進退伺提出 JR西の山崎前社長

JR福知山線脱線事故の報告書漏洩(ろうえい)問題で、漏洩にかかわったJR西日本の山崎正夫前社長(66)と土屋隆一郎副社長(59)が佐々木隆之社長(63)に進退伺を出していたことが17日、分かった。

この日、JR西が兵庫県伊丹市のホテルで開いた事故被害者に対する「おわびの会」で明らかになった。山崎前社長は報道陣に「退任と続投両方の可能性があるが、自分の考えは佐々木社長に伝えている」と述べた。既に辞意を伝えたとみられる。

山崎前社長は業務上過失致死傷罪で神戸地検に在宅起訴され社長を辞任した後、被害者対応などを担当する取締役にとどまっていた。
漏洩問題の発覚直後も「企業風土の改革などを進めていきたい」と取締役の退任を否定していたが、今月上旬になって進退伺を佐々木社長に提出したという。

記者会見した佐々木社長は「両氏の進退は預かっている状態。
(社外の有識者による)コンプライアンス特別委員会による漏洩問題の調査状況をみながら早急に判断したい」と述べた。

妻と妹を亡くした浅野弥三一さん(67)=兵庫県宝塚市=は、調査を社外に託しているJR西の姿勢を批判し「組織ではなく幹部の問題。なぜ幹部間で自己分析ができないのか。そんな鉄道会社では先が思いやられる」と話した。

一方、事故捜査に絡みJR西が神戸地検や兵庫県警の聴取を受ける社員に対し、事前に資料を配布していた問題で、資料には聴取を終えた社員の供述内容をまとめたメモも含まれていたことが判明。メモは弁護士にも配布していた。

これとは別に、個人で自分用に資料を作成し「ポリちゃん想定問答」などといった名称を付けていた社員がいたという。

佐々木社長は「会社としてこう答えるよう指示したことはない」として、口裏合わせはなかったとの認識を示している。

読売新聞より「福知山線事故聴取で口裏合わせ…JR西、対策勉強会

JR福知山線脱線事故で、JR西日本が、兵庫県警に事情聴取される予定の幹部を対象に、「聴取対策勉強会」を開いていたことがわかった。

県警の聴取に対するJR西幹部らの供述内容が一貫していたことから、幹部を追及したところ、この事実が判明。県警は当時から組織的な口裏合わせとみていたという。

JR西を巡っては、県警や神戸地検の聴取を受けた内容をメモにまとめ、聴取を控えた幹部らに資料とともに配布していた問題が明らかになっている。

捜査関係者によると、聴取対策勉強会が開かれていたのは本社の会議室。
聴取を控えた幹部をここに呼び、想定問答を検討していた。

実際に、幹部らの当時の供述は

  1. 遺族や負傷者へのおわびの言葉
  2. 安全対策はちゃんと取っていた
  3. 現場カーブの危険性は予測できなかった
――などほぼ同じ文言が同じ順番で述べられ、判で押したような構成になっていたという。

JR西側は「自分の認識や経験の範囲内で回答するよう指導しており、供述の内容に統一感はなかった」としている。
(2009年10月18日03時05分 読売新聞)

非常に不思議に感じるのか、弁護士が入っていてこの体たらくになっていることです。
企業の危機管理をBCP(business continuity plan)として総合的に計画・管理するべきだ、となっていて、法律や行政への対応も含んでいます。

それが下手すると、証拠隠滅になりかねないことをした、というのが解せない。
検察が注意する前に、弁護士がチェックするべき事でしょう。

その結果が今になって「コンプライアンス特別委員会」の結論待ち、という格好の悪いことになっている。
脱線事故の当日に、JR西は置き石説を積極的に流したのですが、その頃と今も情報に対する姿勢の質的な面には変化がないのでしょうか?

近い将来、BCP研究の良きテーマになっていくでしょう。

10月 18, 2009 at 09:17 午前 経済・経営 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2299/46514451

この記事へのトラックバック一覧です: JR西はビジネスを続けることが出来るのか?:

コメント

カーブ速度超過の原因をマスコミも当時の国交大臣も『「新型ATS(ATS-P)」を設置しなかったから』と言い張っていたが、実は新型ATSと同じ機能を持た価格が約1/10の「旧型ATS(ATS-SW)」(直前の信号機等には設置有り)さえも設置しなかったのが本当の原因。これ、最初マスコミのミスリードに始まったのだが、国交大臣も事故調も揉み消した。
結局、日本中の鉄道会社は安価で容易に設置でき高価なATSと同じ機能を持つ旧型ATSではなく、高価なATSを大量に設置させられることになったのでした。
裏で、ATS開発の大元である旧国鉄系会社に同調したATS製造メーカーは勿論のこと、国交省や事故調までもが同調した可能性があるのに、こちらはいまだ闇の中です。

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/18 11:30:48

>非常に不思議に感じるのか、弁護士が入っていてこの体たらく
雇い人の利益最優先をどんなときでも死守する弁護士なんでしょうね。それはそれですごいですが、この事故が起きた理由を考たらそんな方法での弁護活動(隠蔽活動)が、一般常識と正反対で世間から避難を浴びる方法でJR自身も弁護士自身も対応したという、事故被害者にとってはたまらない事態が事故調報告・警察捜査の裏で行っていたということ、それが今になって表に出てきたという事故調までも巻き込んだ隠蔽工作にはあきれるばかり。JR西は、自浄能力が完全に欠如しているのですね。

ある鉄道関係の識者が本に書いていましたが、民営化後も、国鉄「一家」精神はどんな事態が起きても不変という、とんでもない会社(JR西日本)が人を運んでいるという結果を、JR自身も国も造り上げたと言うことなのでしょう。この最悪の状態を造り上げた要因の一つに、外資系株主増がありますが、この外資系株主許可の原因である「カジノ経済」主義に賛成して徹底的に推進させた当時の政府・政党の責任も断罪すべきだと考えます。なお、他のJR会社の体質がJR西と違うという確たる証拠は今のところ見いだせません。

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/18 21:00:54

昭ちゃん

わたしは、1998年頃からネットワーク関係の法律のシンポジウムなどに積極的に参加するようになって、今では情報ネットワーク法学会会員です。

情報ネットワーク法学会の中心を作っているのは、個人情報保護法などを作った側の法学者の方々なのですが、そもそもなぜ個人情報保護法なのか?といった事に触れていると、ドンドンとシンポジウムが扱うテーマも広がっていって、BCPなんてことも扱うわけです。

要するに、社会そのものを法的に見てみるとどうなるのか?といった事ですね。

いつでも、教育の話も出てきますし、テクニカルな話も出てきます。

そういう学会の雰囲気に触れていると、法律を守るために理解する、といったところからなぜこのような法律が出てくるのか、などより根源的な議論に進んでいきます。
最近では突如として消費者庁が実現した理由なんてのも分かってくるようになります。

BCPをなぜ法律の学会で扱うのか?というと、ビジネスで失敗するのは本質的に経営の問題であり、そのきっかけとなるアクシデントは防ぐことが出来ない、というところから出発するので、最重要なことを法的に突っ込まれない体制作りが必要だ、と最初に出てくるのです。

もちろん情報熱ワーク法学会が積極的に扱う理由は、災害対策、情報流出問題など具体的にあるからです。その延長として、経営者のお詫びの問題にも触れることになります。

JR西の事故は正に会社の存続に大きな影響を及ぼす事件であり、BCPの観点からの対処が必要な例でしょう。

しかし現実は、弁護士が付いているのに、BCPの観点では失敗している。

BCPなんて言うから特別のことのように聞こえますが、要するに危機管理ですよ。
JR西は危機管理が出来ていない。
という評価が出てくるわけです。

危機管理が怪しい鉄道会社というのでは、大問題です。
そういう評価が出てくる、ということを理解している人が、弁護士にも居なかったという恐るべき不勉強ぶりには、呆れるしか無いわけです。

これでは警察などは喜んじゃってますよ。
ここ掘れワンワン、とでも言ったところでしょうか。
検察が「注意した」というのも、まあバカにされたものですよね。大人と子どもケンカであることを教えた、といったところでしょうか。

そこらを遺族の皆さんは感じるから、ストレートに怒るのでしょう。「子どもは叱らないと分からない」とでもいったところでしょう。

そして、当事者はどうもいまだに何が問題なのか、分かっていないようですね。

変な話ですが、外部は株主も含めてこんなことの対処について教える事は無いですよ。
そりゃ、資本家としてはビジネスに失敗して困るけど、それは経営陣の責務なのですから、経営陣が不勉強であることについては、ビジネスの失敗として評価されるだけです。


わたしは以前から日本の事故調査のあり方に問題があると言い続けていますが、今回の事故調の人のお詫びを読んでみると、明らかに事故調が何をするところなのか分かっていない。
仕事が分かっていない人が作っている委員会では、どうもにならない。

あっちもこっちもだめだ、というのよく分かるというものです。

投稿: 酔うぞ | 2009/10/18 21:38:19

何をすべきか判ってない事故調という組織とそれを運用している国交省が事故調査のあり方を解っていないから、報告が過失責任捜査に使われてしまうと言う恥ずかしい事態が続いている。
また、加害者であるJR西と深い関係にある旧国鉄OBが委員を務めている(当時の鉄道部会長はまさにそれ)と言う不思議な組織しか構築出来ないから、調査時点で事故原因の一つと考えられる要因をも、容易に事故調議論から外すことが可能だったわけである。
先程、神戸第一検察審査会が3代にわたる旧経営陣(社長)を起訴相当と議決したとの報道があった。
事故調報告書の見直しも始まることでもあり、新旧ATS、ボルスタレス台車、ヨーダンパー、等々議論に上らなかった重要部品・システムも含めた検証をしてもらいたいが、検証チームの資質と知力は十分なのだろうかと言う疑念も湧いてくる。これから始まる検証が、単に被害者の心を癒すためにではなく、加害者と利害関係のない陣容・組織で、真の事故原因を探り当てるための検証であって欲しいと強く願う。

投稿: 昭ちゃん | 2009/10/22 17:20:17

コメントを書く