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2009.09.07

アメリカの国民医療保険問題から考える

ロイターより「オバマ米大統領側近、公的保険制度導入案で妥協の可能性示唆

[ワシントン 6日 ロイター]
アクセルロッド大統領上級顧問とギブズ大統領報道官は6日、公的保険制度を導入する案を大統領が依然として支持しているとしながらも、大統領は妥協する可能性があることを示唆した。

オバマ大統領は9日夜、上下院合同会議で医療保険制度改革に関する重要な演説を行う予定。
そのなかで同大統領が、医療保険制度改革の目玉とされる保険業界と競合する公的保険制度の導入案を維持するかどうかが注目される。

この件に関しては、民主党リベラル派のペロシ下院議長は、どのような改革案になったとしても公的保険制度は必ず含まれなければならないとの立場をとっているものの、民主党穏健派およびその他の大多数の民主党議員は公的保険制度の導入は支持していない

こうしたなか、アクセルロッド大統領上級顧問は6日朝のNBCの「ミート・ザ・プレス」で、オバマ大統領は公的保険制度の導入は競争促進と経費削減に向けた医療保険制度改革の重要な部分であると考えているとしながらも、この制度の導入問題が「医療保険制度改革の議論そのものではない」と述べた。

またギブズ大統領報道官はABCの「ジス・ウィーク」で、オバマ大統領は医療保険制度改革に公的保険制度の導入が含まれることを望んでいると述べた。
しかし、オバマ氏にとり医療保険制度改革法案を支持するためにこの件が重要になるかとの質問に対しては明確に答えなかった。

同報道官は、公的保険制度の導入が含まれていない医療保険制度改革案が提案された場合、オバマ大統領が法案の通過を阻むかとの質問に対し「9日の演説で、拒否権に大きく言及することはないだろう」と指摘。「問題の解決に近づいているため、何ができるかについて話す予定だ」と述べた。

保険業界は公的保険制度の導入に反対しており、導入阻止に向けたロビー活動に多大な資金を投入している。アナリストの間では、オバマ大統領は公的保険制度の導入案を縮小せざるを得なくなるとの見方が出ている。

アメリカで医療保険が大問題になっているのは有名ですから、オバマ大統領が民主党の大統領として公的保険制度を作るという公約に、ここまでの反対が出てくるとは想像していませんでした。

共和党が反対するのなら分かりますが、民主党も大多数が反対というのでは、国民の大半が反対なのか?となってしまいますが、2009年は014日付けの読売新聞の記事「オバマ米大統領、医療制度改革に奔走 保守派が批判強める」には、わたしがビックリした報告がありました。

【ワシントン=黒瀬悦成】
オバマ米大統領は、内政の最大懸案と位置づける医療保険制度改革法案の年内成立に向け、国民に直接理解を求める対話攻勢に乗り出した。

法案を審議中の議会が7日から夏期休会に入ったのを受け、民主党議員も動員して各地で市民との対話集会を開いているが、法案が目指す国民皆保険を「政府支配の強化」と見なす保守勢力は、集会に乗り込んで騒ぐなどの抗議運動を活発化。

財政赤字拡大を懸念する民主党の一部議員の間でも反対論はくすぶり、法案成立への道のりは険しさを増している。

オバマ大統領は11日、ニューハンプシャー州ポーツマスの高校で開かれた対話集会に自ら出席し、民間の保険会社による高額の保険料が「家計や事業者を破綻(はたん)に追い込んでいる」と批判、約1800人の聴衆に対し法案成立の重要性を訴えた。

大統領は14日にモンタナ州、15日にはコロラド州と、選挙遊説さながらのペースで市民集会を開き、改革実現に向けた世論を盛り上げたい構えだ。

大統領が自ら国民の説得に乗り出したのは、かつてクリントン政権の医療保険改革が保険業界や共和党の抵抗で頓挫したのは国民世論を味方に付けられなかったのが原因との反省があるのに加え、共和党や保守派勢力が今月に入り、草の根レベルで展開している法案への反対運動に危機感を強めているためだ。

保守系の市民団体や論客は、公的保険の導入は「政府の市場介入で、自由競争を阻害し、保険、医療の質の低下を招く」などと主張、法案を「社会主義的」と決めつけて市民の嫌悪感をあおる作戦に出た。

これを受け、保守派の市民が、法案成立を訴える民主党議員の集会に殺到し、ヤジと怒号で法案賛成派市民を威圧したり、議員を面罵(めんば)したりする事態が続発している。

米国では元々、政府の権限拡大は個人の権利の制限につながるとの考え方が強く、ギャラップ社が12日に公表した世論調査では、オバマ政権の医療保険政策を「支持しない」とする回答は49%で「支持する」43%を上回った。

いやはや、公的保険制度そのものを、個人の権利の侵害と捉えるというのは、すごいことですが、健康保険の意味をアメリカは理解していないのではないのか?

Up

これはOECD諸国の医療費とGDPの比率を示したグラフです。
アメリカは16%で日本が8%です。それでアメリカの医療の質が日本の倍も優れているのか?というと、どう考えてもそんな事はない。

平たく言えば、アメリカの医療コストは非常に効率が悪い、とは言えるでしょう。
しかし、ここで「医療のコストとは何なのか?」を考えないと、話が分からなくなります。

この色分けされたグラフは、医療費の内の公的支出も示していますが、オーストラリアの次ぐらいで15位になります。
つまり医療費は世界最高だが公的支出はごく普通の国だとなります。

国家にとって、医療費はコストであってそれをなぜ公的に負担するのか?は、医療費を公的負担にして早期に治療を開始した方が国家全体としてはコストが下がるからに他なりません。

アメリカがこの国民医療保険制度の原理を忘れた結果が、グラフに現れているわけで、単純にアメリカの医療は高コストになっていると言って良いでしょう。
問題はだれがそれを負担しているのか?

結論から言えば、アメリカ以外の国民がアメリカ人の医療費を負担している、と原理的になります
アメリカは、長年にわたってドルが基軸通貨であることを利用して、いわば差益で稼いできました。
実業が破たんするまで気が付かなかったのが自動車産業の破たんです。

こんな事を考えるときに、国民保険が個人の権利の侵害だと考える国とどう向き合えばよいのか?クビをひねってしまいます。
国民医療保険に民間保険会社が反対するのは分かりますが、国民が反対する言うのでは国際社会はさじを投げるしかないように思うのです。

9月 7, 2009 at 01:24 午後 海外の政治・軍事 |

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