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2009.08.15

海賊党の主張

CNET Japan より「「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る

「著作権は5年で十分」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(前編) 末岡洋子 2009/08/05 15:58 と
「特許は要らない」--欧州議会で議席獲得した海賊党、主張の根拠を語る(後編) 末岡洋子 2009/08/12 08:00
を繋ぎました。

注目ヶ所を赤字にしました。

個々の主張は今まで色々な人が述べていた事ですが、それをまとめしまうとこうなるのか、とちょっと感心しました。

医薬品の特許については、ず~と問題になり続けていてエイズ治療薬がエイズが蔓延している開発途上国で入手できないといった問題に直結しています。

発明者は特許が無くても先行者利益があるという主張も以前から指摘されている点で、歴史上で著名な発明家の何人もが特許を取得せず歴史に名を残しています。

また、特許を取ることがその技術を墓穴に埋めてしまうというのはわたし自身が経験したことで、もったいないことだ思っています。
特許から公知というか自由使用の宣言、といった知的財産登録の切り替え制度があっても良いかと思います。

16歳で起業した経験を持つソフトウェア開発者が、インターネット時代の知的所有権問題を考えるうちに政党を作ってしまった。「海賊党」(Pirate Party)という名の政党は、特許システムの廃止、著作権法の改正、ファイル共有の無料化を訴えて6月の欧州議会選挙に出馬したところ、1議席を獲得。ファイル共有問題に悩む欧州に大きなショックを与えた。

「世界を変えるために、自分に与えられたチャンスと強く感じた」――海賊党の設立者で党首を務めるRickard Falkvinge氏に、海賊党を結党した経緯や主張について話を聞いた。

――先の欧州議会選挙で1議席を獲得しました。おめでとうございます。海賊党結成後、初めての議席獲得となりますね。まずは海賊党結成の理由を教えてください。

海賊党は2006年に結成しました。同じ年に行われたスウェーデンの選挙では、得票率0.63%で、議席獲得には至りませんでした。しかし今回は7.1%の票を得て、1議席を獲得しました。

次に、なぜ海賊党を結成したのかの理由をお話しましょう。

2005年、スウェーデンで著作者が許可していないファイルのダウンロードを違法とする法律が成立しました、これを受け、著作権法に関する議論が高まり、カフェやテレビ、ラジオ、学校など、さまざまな場所でこの問題についての話し合いがなされました。

ですが、ここに政治家の姿はありませんでした。政治家がこの問題に関心を持たなければ、これが国民にとって重要であることすらわかってもらえません。この問題は、橋の建設や失業率のようにわかりやすいものではありません。どうやったら政治家の関心を得られるのか?――そこで、政治の場に参加すればどうか、と考えました。そうすれば、この問題を政治家に突きつけることができます。

――海賊党の主張について教えてください。

文化の共有、知識の無料/自由化、適切なプライバシーの3つを掲げています。

ですが、海賊党の意義は個々の主張というより、「情報政治学」の登場だと思っています。われわれのことを“単一争点政党(single-issue party)”と呼ぶ向きもありますが、あらゆる大きな動きが登場するとき、焦点はまず単一の問題に向けられます。1920年代に労働者の権利問題から政党が生まれ、その後、労働者の権利が生活のあらゆる面に関与することがわかりました。最近では環境問題から政党が生まれています。

海賊党もこれらと同じで、情報時代の問題に着目して発足した政党です。そして、実際のところ、情報は福祉を除き、社会のほとんどに関係があります。

たとえば税金の場合、われわれは税率を1%上げろ/下げろとはいいません。そうではなく、「税務署は容疑なしに納税者の個人情報を詮索してはならない」と主張します。

――著作権から伺います。著作権では、保護期間を短くすることを提案していますね。

著作権について、われわれはいくつかの主張を掲げています。

まずは、「正直者の寝室(プライベートな空間)に忍び込むな」という主張です。著作権はほんの15年前まで、主として出版社のみが関係するものでした。しかし今日、著作権は普通の市民を脅かしています。この事態をストップさせなければなりません。

著作権の適用範囲を縮小し、商用のみ(著作物から収益を上げている場合のみ)、著作権で保護されるべき、というのがわれわれの考えです。これに基づき、ファイル共有は完全に無料とすることを提案します。ファイル共有はプライベートで行われているもので、お金儲けが目的ではないからです。

友人とのチャットで、ビデオを一緒に見ながらチャットすることがあるかもしれません。もし、このような私的なファイル共有にも著作権を押し付けるのであれば、ユーザーがコンピュータでやりとりするすべてのプライベートなやりとりが監視されることになります。レコード会社はこれを推進しているのです。われわれには、プライベートでコミュニケーションする権利があり、現在レコード会社が押し付ける著作権のコンセプトは、われわれの権利にとって脅威といえます。

今後、政治家として、このような形で著作権が押し付けられることが適切かどうか、議会の場で突きつけていきます。プライベートにコミュニケーションできるという権利は、レコード会社が独占的に著作権を押し付けることよりも、重んじられるべきです。政治家は著作権そのものだけでなく、そのコストと利点、弊害を見る必要があります。

次に、著作権で保護される期間が長いということも主張します。著作権は著者が報酬を得るための仕組みで、これがあるから作家は創作活動で生計が立てられます。ですが、現在の著作権では、作家が生きている間のみならず、死んだ後70年も保護されます。死んだ後も本を書き続けている人がいるでしょうか?こういった背景から、われわれは商業目的で著作権を利用する長さを5年と提案します。

たとえば、『The Da Vinci Code(邦題:ダ・ヴィンチ・コード)』は2003年に出版されました。当時は話題になりベストセラーとなりましたが、現在はブームが収束しました。今年、もし著作権が切れて無料になっても、誰も害を受けないはずです。

――ファイル共有が(合法で、かつ)無料となると、ミュージシャンはどうやって収益を得るのでしょう?

著作権の範囲を縮小すれば、肯定的側面が見えてきます。実は、1世帯がエンターテインメント(音楽、映画など)に費やす予算は、ファイル共有サービス登場前と後で変わっていません。ファイル共有によりCDの購入は減ったとしても、コンサートなど他のものにお金を費やしていることになります。これは、アーティストにとっては朗報です。CDの場合、アーティストはCDの売上金額の5%しか得られませんが、コンサートは50%といわれています。ファンの支出が CDからコンサートにシフトすれば、アーティストの報酬は増えることになります。

レコード会社は「音楽業界の売り上げが減っている」と主張します。これは正確ではなく、「レコード(CD)の売り上げが減っている」と言うべきです。音楽業界全体の売上高は減っていないからです。レコード(CD)はもう、必要とされてないのです。そして、これはアーティストにとって悪い知らせではありません。

個々のアーティストによって、CD売り上げへの依存が高い人もいれば、コンサートがメインの人もいるので一概にはいえませんが、お金はレコード会社からアーティストの手に移っています。

――では、ファイル共有を問題視しているのはレコード会社だけで、アーティストらは反対していないということでしょうか?

海賊党の支持メンバーの3分の2がクリエーターや、アーティスト、詩人、作家、ソフトウェア開発者など、創作に関わる人です。

ミュージシャンが「ファイル共有をやめよう」と呼びかけるキャンペーンがありますが、このようなキャンペーンの99%は、レコード会社や業界団体がアーティストを表に出しただけです。ファイル共有に反対しているアーティストでも、われわれの主張を聞くと、ほぼ全員が賛成に転じます。これは自信を持っていえます。

――CDが不要という時代に、アーティストはどうやって自分の音楽を配信すればよいのでしょう?

アーティストがファンに音楽を伝える上で、これまでレコード会社が担っていた役割は、インターネットにより直接アーティストとファンがやりとりできるので不要になりました。アーティストの中には、MySpaceなどの自分のチャンネルで音楽を配信する人も増えています。

The Pirate Bay(注:人気のファイル共有サービスで、BitTorrentのファイルが検索できる)には、たくさんの独立系アーティストが音楽を提供しています。レコード会社がThe Pirate Bayを閉鎖しようとしているのは、The Pirate Bayがライバルだからです。これまではレコード会社がどのような音楽を配信するのかを決定してきましたが、いまではインターネット経由で誰でも好きな音楽を配信できるようになったのです。これは、すばらしいことです。

――アーティストも変わる必要があるということでしょうか?

そうともいえますし、チャンスだともいえます。

さらに言えば、チャンスはアーティスト以外にもあります。アーティストの支援やコンサルティング、楽曲の分類やアグリゲーションなど、新しいビジネスの可能性は無限です。

新聞が編集方針に従って記事を束ねるのと同じように、音楽でもラジオ局のような形で楽曲を配信するという方法が考えられます。音楽が配信されるプロセスがまったく新しいものになるということです。これはすでに始まっています。Pandoraなどのサービスが生まれており、ユーザーは自分が気に入ったサービスにならお金を払うと思います。

レコード会社は資本が尽きるまであと10~15年はビジネスを続けるでしょう。レコード業界に携わる人の中で、変化を理解し、変化を受け入れられる人はすでに業界を去っています。変化を理解せず、受け入れられない人だけが残ります。そして、最期を迎えるまで踏ん張るのではないでしょうか。

――映画業界はどうでしょうか?

ハリウッドは2008年、過去最高の年を迎えました。危機に陥っているとは思えません。コンサートと同様、ユーザーは体験を求めて、映画館に足を運んでいます。

――特許システムの廃止、中でも製薬関連の特許は不要と提案していますね。製薬会社は、新薬の研究開発に時間とお金をかけていると主張していますが。

製薬会社が公開している売り上げや研究開発などの数値を調べました。平均すると、製薬会社は約15%を研究開発に費やしています。このうちの3分の2が、ライバル企業の特許を回避するための研究開発です。つまり、研究開発の3分の2が、新薬開発ではなく、模倣した薬を開発するのに充てられています。別の見方をすると、製薬業界が純粋に新しい薬の研究開発に注ぐ資金は5%ということになります。これは、特許を持たない他の業界と同程度の比率です。

欧州では、製薬企業の収益の83%が社会保障などの税金から支払われています。専売が生むお金をなくせば、税金を抑えられます。

――特許がなくなると、製薬業界のビジネスはどのように変わるのでしょうか?

製薬でも、ハイブリッドカーの設計や製造でも、あらゆるプロセスの模倣は時間がかかる作業です。最初に始めた人は(特許をとらなくても)常にアドバンテージがあります。

よく、「特許を取得できないのなら、発明する意味はあるのか?」と聞かれますが、特許からはお金を得られなくても、製品販売を通じてお金を得られます。

――特許が守ってくれないとすれば、企業は、模倣するライバルからどう身を守ればよいのでしょう?

特許弁護士は特許は必要と言うし、企業の幹部も自分たちの業界には特許が必要と言います。ですが、研究開発に関わっている人に聞くと、特許は障害だといいます。

スウェーデンの代表的な技術企業であるEricssonの研究ディレクターと話をしたことがあります。Ericssonは膨大な特許ポートフォリオを持ちますが、「特許がなければ、仕事は変わると思うか?」と聞いてみたところ、「お役所仕事が減るぐらいで、大きな変化はないだろう」と答えました。

模倣する企業が現れるのは、市場には良いことです。これこそ競争です。

実際のところ、特許が下りるのは製品が古くなってからのことです。携帯電話を見てみましょう。6カ月で新しい携帯電話を買い換える人もいると思いますが、携帯電話で申請した特許が下りるのは、ユーザーがすでに新しい電話に買い換えた後かもしれません。

成熟市場になると、大企業が集まり、お互いの特許リストを基にクロスライセンス契約を結びます。お互いの特許の利用を認めるものですが、これは市場の競争に悪い影響を与えます。イノベーターは、既存技術を積み重ねて(特許を利用して)革新を生み出しますが、クロスライセンスはイノベーションや競争を排除します。このように、特許は多くの場合、不要であるだけでなく、悪い害を与えているのです。

――現時点でわれわれの知的インフラが特許や著作権を土台としていることを考えると、海賊党の主張は急進的に映ります。われわれは個人レベル、社会レベルで、海賊党の主張する世界に移行する準備ができているのでしょうか。

インターネット企業はすでに新しい考え方でビジネスをしています。Googleはあらゆる技術で特許を出願していますが、その目的は、他の人のイノベーションを防御することではなく、特許訴訟を起こされないため、つまり特許システムから自社を保護するためです。

特許システムはイノベーションを妨げます。特許システムは機能していません。ソフトウェア特許はよい例です。欧州ではソフトウェア特許は認められていませんが、われわれはソフトウェア特許導入にも強く反対しています。

――欧州議会で獲得した議席を利用して、最初に取り組むことは何でしょうか?

この問題に関心が集まった結果、全体の7.1%を得票しました。これは、われわれの考えの正当性が支持されたということになります。

最大の成果は、問題の存在を政治家に知らしめたことです。われわれが1議席を確保したということよりも、この問題を理解しなかったために他の政治家が議席を失ったということ。これは、すべての政治家への強いメッセージです。政治家はファイル共有などの問題に気が付き、理解しようとするでしょう。でなければ、先に理解した対抗勢力に支持が流れるということが実証されたからです。

次に、欧州議会でわれわれがやろうとすることですが、欧州のインターネット活動家の意見を表明していきます。まずは、欧州テレコム規制の改正に向けた見直しです。見直しにより、著作権を主張する側の意見が盛り込まれようとしており、ファイル共有者のインターネット回線を切断できると解釈できる文章が検討されています。われわれは、裁判官の命令がない限り、市民のインターネット接続を切断できないことを確実にする文言を導入するよう推進します。

インターネットへのアクセスは市民の基本的権利として認められるべきであり、接続が切断されないことが望ましいと考えています。自分の郵便箱や電話がチェックされるべきではないのと同じです。

フランスで議会を通過した3ストライク法(「Creation et Internet」、著作物を違法ダウンロードしたユーザーは、2回の警告の後、3回目にISPが回線を遮断する取り締まり法)は現在、この点について審議がされています。われわれはネットへのアクセスが、全欧州レベルで人権として認められるよう戦っていきます。

――そのような主張に対し、他の政党はどのような反応を示していますか?

われわれのように最優先ではないけれども、オンラインにおける自由に同意する政党はあります。大政党では、党員レベルで理解が進んでいる状態です。

楽なスタートではないかもしれません。ですが、連立できればわれわれの主張が審議されると期待しています。

――最後に海賊党の支持者について教えてください。今年4月、The Pirate Bayの創業者4人に対し有罪判決が下りましたが、これはどのような影響を与えましたか?

スウェーデンでわれわれは、30歳以下の層では最大の支持を得ている政党です。支持者の多くは男性です。ただ、これは性別の問題ではなく、この問題を最初に認識したのが技術者で、男性の方が技術に関心を持つ傾向が高いからです。

30歳以下は先の選挙で投票者の半分を占めましたが、残りの半分なしに7.1%もの票は獲得しえませんでした。

われわれが引き金となり、ドイツなど他の国にも海賊党ができています。ドイツの海賊党は、欧州議会選挙では得票率0.9%にとどまりましたが、それでも国の助成金を受けることができるようになりました。

The Pirate Bayの影響は大きいと思います。The Pirate Bayが警察から強制捜査を受けた週、海賊党の支持者は2000人から6000人へと3倍になりました。判決が下った週は、1万4000人から4万人に増えました。

8月 15, 2009 at 01:22 午後 ネットワーク一般論 |

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