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2009.08.04

裁判員裁判2日目

今日(2009/08/04)は初めての裁判員裁判2日目です。
サンケイ新聞はだいぶ以前から注目が集まる裁判を「法廷ライブ」と題して、ネット上にリアルタイム(1時間遅れ程度)で報告を挙げていました。
当然、一回の裁判が数時間以上に及ぶ場合には、報告が10本を越えるのですが、今回の裁判員裁判2日目では10時から17時までの公判廷の報告は全部で25本になりました。

その中でわたしが注目し、他の報道機関も取り上げていたのが「【裁判員聴く(15)】「4番さん、どうぞ」「えーと…」女性裁判員が初質問(14:00~14:15)」です。

10分間の休廷の後、再び法廷に姿を現した3人の裁判官と6人の裁判員。全員が席に座ると、秋葉康弘裁判長は左の方に顔を向け、正面向かって右から3番目の場所に座っている女性の裁判員に話しかけた

裁判長「4番さん、どうぞ」

秋葉裁判長に促された女性裁判員。意を決したように、証人席に座る被害者の文春子さんの長男に向けて口を開いた

女性裁判員「えーと、先ほど(母親の)人物像の説明で、調書と食い違うところがあってひっかかるのですが、どのように確認しましたか」
裁判長「警察で調書を作ったときの調書の内容の確認方法を聞かれているんですが」

全国初の裁判員裁判となった今公判で、初めて口を開いた裁判員。声は小さいながらも、はっきりとした口調で質問を終えると、首を軽く右に傾けながら、証人の長男が答えるのを待った。他の裁判員も長男の方を見つめ、答えを待っている

長男「正直、覚えていないんです。ぼーっとしていて、調書を読んだらサインしていました」
女性裁判員「書いたのを自分で読んでサインしているんですか」
長男「読んだのも覚えていないんです。正直、(事件当日の)午後から、まるっきり覚えていないんです」

長男に質問を終えた女性裁判員は、秋葉裁判長と顔を見合わせ、軽くうなずく。そして長男の方へ向き直った

女性裁判員「はい、ありがとうございました」

軽く頭を下げながら長男に礼を述べた女性裁判員。次に隣に座る男性裁判官が質問を始めたが、女性裁判員はそのまま下を向くと、手元を動かした。メモを取っているようだ

文さんに、スクーターの止め方を注意したかについて確認した男性裁判官に続き、今度は女性裁判官が質問する

裁判官「犯人が藤井被告と知ったのはいつですか」
長男「女子医大で警察官から写真を見せられ、『この人知っている』といわれ、後できいたら藤井でした」
裁判官「知った時は、どんな気持ちでした?」
長男「何も考えつかなかったです、正直」
裁判官「特に犯人への気持ちは?」
長男「そういうのより、『おふくろ、大丈夫かな』と。そんなの(犯人への気持ち)は二の次だと思いました」
裁判官「『被告のいっていることはデタラメだ』と言いますが、どこがデタラメなのですか?」
長男「おれから言わせれば、全部がデタラメ」
裁判官「その理由はなんですか」
長男「うちのおふくろは、『おれ』とか『やるならやってみろ』とか言わないし、言ったこともないです。そういうのを普通に話している藤井は、これだけのことをやったんだという自己嫌悪じゃないかと」

女性裁判官が質問を終えると、秋葉裁判長は、左右を見回した

裁判長「じゃあ、いいですか」

軽くうなずく6人の裁判員。裁判長は、長男に「終わりました」と述べ、証人尋問を終えた

続いて検察側を向く秋葉裁判長

裁判長「次に証拠番号16番について調べたいと思います。モニターを付けてください」

証拠番号16番は、被害者、文春子さんの母親の供述調書だ。女性検察官が立ち上がり、調書を読み上げる

検察官「私は小島千枝こと文春子の母親です。この子のことを『姉ちゃん』と呼んでいましたので、『姉ちゃん』と話します」

調書によると、文さんは5人兄弟の長女だった。親孝行の優しい子で、実家に帰ると農業の手伝いや弟、妹の世話をしていたという

検察官「親孝行だけでなく、親代わりの頼れる存在でした」

裁判員らは、女性検察官が読み上げる被害者の母親の調書に聞き入っている

検察官「姉ちゃんは女手1つで子供を育て、しっかりして気も強いところがありました。その一方で、情にもろいところもありました。私は着る物や履物をよく姉ちゃんにもらっていました。姉ちゃんはいつまでも私を支えてくれると思っていました。けれど藤井(被告)に殺されてしまった」

母親の犯行当日の心境について読み上げを始める女性検察官。裁判員はみんな伏し目がちで聞き入る

検察官「平成21年5月1日は、私は姉ちゃんに病院に連れて行ってもらう予定でしたが、その前に藤井に殺された。どうして姉ちゃんは先のない私より先に命を取られてしまったのですか。生きる支えを失って悔しくて仕方がないです」

女性検察官は母親の訴えの読み上げを続けるが、藤井被告は目を閉じ口を結んだままだ

検察官「私には霊感があります。姉ちゃんはまだ家の中にいるが、私が触ろうとすると消えてしまうのです」

裁判員のなかには顔を悲しげに曇らせる者も

女性検察官は最後に母親の処罰感情について述べ始める

検察官「藤井は前からとんでもないやつで有名でした。命を取ってもらいたい。あの野郎の命を取って私も死にたい。死刑にしないと浮かばれない」

感情を込め読み上げた女性検察官は「以上です」と締めくくった

裁判長は「それではここで休廷します」と述べ、休廷を宣言した

この記事の中で、女性裁判員が被害者の長男に対して法廷での証言と警察の調書との違いを質問して、長男が「警察の調書には署名はしたが、それ自体も覚えていない」との証言を引き出したことです。

この点は、今までの裁判でも何回も問題になっていた点ですが、多くの場合「調書主義」のために調書と本人の証言が矛盾する場合、調書の方を真実と判断する場合が多々ありました。
そのために「なぜ、調書と証言が食い違うのか」自体が問題になることは非常に少なかった。
痴漢えん罪などでは良く言われていた問題です。

非常に印象に残る記事だと思います。

8月 4, 2009 at 10:30 午後 裁判員裁判 |

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» 裁判員が質問ラッシュ トラックバック ネットライフを満喫中 -短腿の行動-
【裁判員3日目】硬さとれ、裁判員が質問ラッシュ(産経新聞) - Yahoo!ニュース  「凶器が包丁などほかの刃物ではなく、なぜナイフだったのですか」。被告は「包丁だと長いし、もっと危険度が高いですよね」と裁判員を見据えて返答。女性裁判員は「ありがとうございました」と軽く頭を下げた。 裁判員らしい質問を重要視する良い例ですね。 被告の犯行に使った凶器への価値?や危険度といった認識を確認する質問が私達に求められる日が来るのかもしれない。 「ナイフは亡くな... 続きを読む

受信: 2009/08/06 7:33:11

コメント

( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーヘェーヘェー
そんな裏話があると走りませんでした。
民事だと書類命みたいな印象でしたが、
刑事もそうなんですね。

投稿: なる | 2009/08/04 23:30:08

裁判員がマスコミ等報道や世論に左右されないために短期決戦なのだろうが、法曹専門家(裁判官、検察、弁護士)が時間を掛けて絞った内容を数日で法律素人の裁判員に見聞き質問させて、たった数日で量刑判断させるのはそもそも無理でしょう。
裁判員制度になったのだから、従来裁判形態より丁寧な審理が必要だと思う。

投稿: 昭ちゃん | 2009/08/05 8:36:17

市民が裁判に参加する形として、多くの国で採用されているのが、陪審員制度で有罪・無罪は陪審員が決める、量刑は裁判官が決める、というのが典型です。

裁判員制度は、判決に市民が関わる制度ですが、これも国によっては半年間とか1年間の市民裁判官制度とでもいうべき裁判員制度があって、一人のサイバ員が複数の裁判に関わることが制度化されている国もあります。

しかし、日本では刑法の体系が量刑の決定をかなり難しくしているところがあって、士民の一般常識の範囲では有罪・無罪の決定、つまりは陪審員制度の方が良いのではないのか?という気がします。

ずいぶん前に書いたものですが
http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2006/03/post_edd5.html

ということが大変なのです。

投稿: 酔うぞ | 2009/08/05 16:30:56

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