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2009.07.08

エレベーターメンテナンスの諸問題

朝日新聞より「エレベーター主要6社、独立系管理会社に不具合伝えず

国内エレベーターで8割以上のシェアを占める主要メーカー6社が、独立系の保守管理会社に不具合や事故情報を伝えていないことが7日、国土交通省の調べでわかった。

06年6月に男子高校生が死亡した事故の背景にも、メーカーと保守管理会社の連携不足があった。
事故から3年たってもこうした問題点が一向に改善されていない実態が浮き彫りになった。

この日、国交省の昇降機等事故対策委員会で、5月にメーカーや保守管理点検会社を対象に実施した調査結果が報告された。
また、メーカー6社(三菱電機、日立製作所、東芝エレベータ、日本オーチス・エレベータ、フジテック、シンドラーエレベータ)と独立系の保守管理会社5社から聞き取りをした。

国交省が6社に、設計や製造過程に原因がある場合、保守管理会社に不具合の内容や改善方法を通知するか尋ねた結果、6社とも「していない」と回答。
各社ともビルやマンションなど建物の所有者には通知していることを理由に挙げた。

不具合情報の一般公開でも、6社はいずれも非公開とし、「当社ブランドであることだけで利用者に不安を抱かせ、混乱を招く」(三菱電機)「重大な不具合は所有者に開示している」(日立製作所)などと理由を挙げた。

所有者から保守管理会社に不具合情報が伝わり、事故防止につながれば問題ない。
しかし、所有者にはエレベーターの専門知識がなく、保守管理会社が頻繁に交代して引き継がれない、ビルなどの所有者自体がはっきりしない、といったケースも多いという。

エレベーターの保守点検をめぐっては、割高なメーカー系列の保守管理会社を敬遠して独立系に切り替える動きが自治体やマンションなどで加速。独立系は、メーカーが企業秘密を盾に情報を出し渋っていると批判する。

一方、メーカー側は安値で参入する独立系の技術力を疑問視しており、別々の業界団体が設立されるなど対立が続く。

06年の東京都港区の事故では、エレベーターはシンドラー社が設置した。保守管理は05年度と06年度は独立系の別の2社が受注。
現場の住宅では不具合が40件以上頻発し、事故機は04年に急停止するトラブルもあった。
シンドラー社は所有者の港区住宅公社に「ブレーキの不具合が原因」と報告していたが、2社には引き継がれていなかった。

港区の事故で犠牲になった市川大輔(ひろすけ)さん(当時16)の母正子さんはこの日の委員会を傍聴した。「メーカーと保守管理会社の利害対立で、利用者の安全が置き去りにされている。
息子の死から3年たつのに、なぜこんなに安全対策は進まないのか」と話した。(歌野清一郎)

この記事は国交省の意向を受けて、メーカーがメンテナンス業者に情報開示をしないのが悪いのような内容になっているが、そこだけに問題があるとは言いきれないと思う。

港区の事故では、建物の管理者が港区でメンテナンス会社を競争入札で選定した結果、短期間にすごく低価格でメンテナンスされるようになりました。

普通に考えて、あまりに安い場合は品質が劣化するのが商取引の常識です。

こんな事実を考えると「メーカがメンテナンス業者に情報公開しないのが問題」とだけは言えないと感じます。

この記事中にも

06年の東京都港区の事故では、エレベーターはシンドラー社が設置した。
保守管理は05年度と06年度は独立系の別の2社が受注。
現場の住宅では不具合が40件以上頻発し、事故機は04年に急停止するトラブルもあった。
シンドラー社は所有者の港区住宅公社に「ブレーキの不具合が原因」と報告していたが、2社には引き継がれていなかった。

とありますが、この「05年度と06年度は独立系の別の2社が受注。」が入札によって業者が変わったことを示しています。

こんなことについて「メーカーに責任がある」というのはいくら何でも無理と言うべきでしょう。

メーカー側の主張としては、メーカに責任を持たせるためには独立系のメンテナンス会社を認める無い、という方向に行くと思いますよ。
どうもこのまま行くと、もう一つ業界団体が出来て利権の巣窟になってしまうかもしれないな。

7月 8, 2009 at 09:26 午前 事故と社会 |

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コメント

まわりくどい説明ですが
私の考えでは現在の日本の国内社会は変動の時期にあると思います。
変動の中身を端的に表現すれば「日常生活の中に第三者が介在するようになった」と言えると私は考えます。

具体例を個人的経験で示しますと、現役時代に大企業の顧客の担当者と話した時に気が付いたのですが、私の都合で約束した時間に大幅に遅れそうになり担当者に仕事の延期を要請した時に、「他の人の都合もあるので自分で変更する事は出来ない」と言われました。そこで私は彼の置かれている立場についてハッと気が付いた訳です。それは、仕事に第三者が介在する場合、担当者の一存で変更できない場合があるという事実です。当時は自分の立場より見て都合のいい予定を組んでいたので、彼の立場を最優先する予定に変更してもめごとになるのを防止しましたが、それ以来、第三者という存在を常に意識するようになりました。

大企業の顧客の担当者から見れば出入りしている業者は全て関係者なのですが、一業者たる私から見れば担当者は関係者ですが他の業者は第三者になります。この場合のような仕事で私の立場でしなければならない事は「約束(決められた規則)」を必ず守る事になります、私が約束を守らなければ担当者以外に第三者に被害を及ぼすからです。私と他の業者とは直接的には何の関係も無い訳ですので、私が約束を守らなければ他の業者は担当者を通じて私の責任を問う事になり、担当者は間接的に責任を問われる事になります。

このように「日常生活の中に第三者が介在するようになった」とは「約束(決められた規則)」は必ず守らなければならなくなった事と第三者のした事に対して「間接的に責任が問われる」事でもあります。

長い前置きの次に補足的な説明になりますが、「責任を問う」とは「責任を問う事が出来る」という前提条件が満たされている中での限定的な行為であり、私の例では将来の仕事を失うかも知れないという「リスク(起こり得る損失)」が前提条件になっています。

国民の立場については、昭和22年以前の「家制度(家督相続制度)」とそれを前提にした「共同体(地域社会)」が存在した社会では共同体の存在が「責任を問う」前提条件を満たしていましたが、均分相続制度により「家制度」が消滅し、「家制度」の消滅に伴い地域社会が消滅しかけている現在の社会では「責任を問う」前提条件がほとんど消滅しかけています。(詳細はまだ良く分かりません)

「東京・港区のエレベーター事故」で私の考える「責任を問う事が出来る」前提条件とは、「エレベーターとは何なのか」、「エレベーターを使用するとはどういうことなのか」というのが社会的に明示されている(「常識化」)事なのですが、現在も問題が解決していないのはこの前提条件(常識化)が満たされていない事に根本的な原因があると思います。

我々は「エレベーターとは何なのか」、「エレベーターを使用するとはどういうことなのか」を知らなくてもエレベーターを使う事は出来ますが、知らない場合は今回のように事故が起きた場合のように「責任を問う事が出来る」前提条件が満たされていないので係争が長期化します。

投稿: 田吾作 | 2009/07/22 16:36:57

エレベーターメーカー各社は、30年を超えたエレベーターは、部品供給停止を楯に改修しなければメンテ契約解除すると脅迫している。中小ビルのオーナーは、突然のため数千万単位の改修費用が捻出できない所が多い。

投稿: KU | 2012/01/13 14:07:41

エレベーターの法廷耐用年数は17年のようですね。
減価償却が終わって10年以上も改修費用を考えてないのはただ無計画なだけと思いますが

投稿: サルガッソー | 2012/01/18 12:59:35

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