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2009.07.25

2007年から飛べない飛行機

朝日新聞より「空自次期輸送機、飛べるのはいつ 強度不足解決できず

航空自衛隊の主力輸送機C1の後継の次期輸送機(CX)開発をめぐって、試作機の製作段階で発覚した機体の強度不足が解決できず、当初07年夏に予定されていた初飛行が現時点でも見通しさえ立っていないことが分かった。

量産化の予算計上も見送られており、12年度に始まる予定だった部隊での運用も大幅に遅れる公算だ。
C1の退役を遅らせる必要があり、空自の輸送業務に支障が出る可能性も出てきた。

防衛省によると、当初の計画では、主担当企業である川崎重工業が

  1. 07年夏ごろに社内で試作機の初飛行を実施。
  2. 08年3月末に試作機1号機を、
  3. 09年度半ばに試作機2号機を防衛省側に引き渡す予定だった。
  4. その後は防衛省が飛行試験を重ねながら改良を加える計画だった。

ところが、07年5~7月、強度試験用に同省に納入された試作機を使って同省技術研究本部が調べたところ、荷重を加えると水平尾翼の一部が盛り上がったり主脚が傾いて胴体部と接触したりするなど、構造上の強度不足が次々と明らかになった。

08年度から始まる予定だった量産化の機体調達のための予算計上も見送りが続いている。

防衛省幹部は「事実上、設計やり直しの状態。部隊での運用も当初予定より大幅にずれ込むだろう」と話す。

胴体部の太さが前部から後部までほぼ均一な民間機の形状と比べ、物資の出し入れのため尾翼下の後部扉が開閉する輸送機の構造は、胴体後部が胴体前部よりかなり細いのが特徴。

また、CXはデザインも重視して機体の背中の部分をかなり平べったい形状にしており、強度不足につながっている、との分析も防衛省内にはあるという。

自衛隊幹部は「民間機と比べ輸送機の強度計算は複雑なので、機体の設計も難しい。C1以来、40年近く国産で輸送機を作っておらず、技術が伝承できていない、という防衛産業が抱える課題が根底にある」と指摘する。

CXの実用化が遅れる間は、運用開始から35年以上たつ現在のC1の退役を遅らせて「時間を稼いで延命する必要がある」(防衛省幹部)という。

耐用年数を延ばすためには、C1の飛行時間を少しずつでも減らす工夫が必要。

本来、C1が担っている国内の輸送業務の一部を民間航空機や地上の輸送に振り替えたり、もう一つの固定翼輸送機であるC130(16機保有)に代用させたりするなどの案が検討されている。

ただ、C130はイラクでの多国籍軍のための輸送任務が終わったことで一時期よりは運用に余裕が出てきたとはいえ、「今後、海外で新たな輸送任務が課せられた場合、足りなくなる」(自衛隊幹部)との懸念もぬぐいきれない状態だ。(土居貴輝)

〈次期輸送機(CX)〉

73年に運用が始まった航空自衛隊の現在の主力輸送機C1(26機保有)が耐用年数を迎えるため、防衛省が01年度から開発を進めている次期輸送機。

40機を調達する予定。
海上自衛隊のP3C哨戒機の後継機「PX」と同時開発を進めており、開発費はCXとPXあわせて約3400億円。

C1が貨物を2.6トン積んだ際の航続距離が1700キロであるのに対し、CXは12トン積んだ際の航続距離が6500キロと、輸送力が大幅に向上する。

2007年7月4日にロールアウトして、7月末には地上走行する動画がネットにアップされていますが、その後記事の通り強度不足だとなって丸々2年経った現在でも、初飛行のめどが立たないとなってしてしまっています。

全然初飛行できない大物飛行機がボーイング787ですが、こんな記事がありました。
西川渉氏の Aviation Now より「年内の飛行は無理か

ボーイング787は7月7日から走行試験を始めたが、初飛行の日程はまだ決まっていない。主翼取りつけ部の強度補修をどのように実施するか、その方法も未定。

というのも強度不足の問題が、予想以上に複雑であることが判明したためで、この分では初飛行は年内は無理かもしれないと見られるに至った。

それというのも、まず主翼と胴体の接合部を再設計する必要があるかもしれない。そのうえで飛行試験に使う機体を補修する前に、先ず地上試験機の補修をして強度試験にかけ、結果を確認したうえで飛行試験機を補修する必要があるのではないかという考えが出てきた。

とすれば、地上試験機の補修と確認試験だけで1~2ヵ月を要する。その後で飛行試験機を補修し、飛行までの確認試験をおこなうのに再び2ヵ月ほどかかる。さらに、いったん完成した機体に新しい部品を組みこむのは極めて困難という意見もあって、年内の飛行は難しいというのである。

当初、6月23日に初飛行の延期を決めたとき、ボーイングの説明は少数の部品を改修するだけだから、作業は簡単ということだった。しかし、問題を探ってゆくうちに意外に難しいことが分かってきたのである。

第一に上記のような問題があるが、補修の方法と設計が完成しても、次は主翼取りつけ部の内部に作業員がもぐりこんで、狭いところで細かい作業をしなければならない。それもチタニウムや複合材に微妙な穴をあけたりするわけだが、これらの材料に穴をあけるだけでも容易ではない。

もとより作業をする前には、主翼の中から完全に燃料を抜かなければならない。これまた厄介な仕事である。

B787の当初の開発予定は、

  1. 2007年7月のロールアウト
  2. 8月から9月ごろに初飛行
  3. 型式証明取得は2008年5月
  4. 2008年8月の北京オリンピック開催時に全日空が羽田 - 北京間のチャーター便に使用

であったのだが、2007年7月8日のロールアウトでは実際に機体内部ができていないドンガラであったと言われ、その後分解されて再加工が続いて、すでに原型4号機を組立中といった情報が伝わってきているのだが、ようやく地上滑走ができる段階で、強度不足で手直しの方法が決定しないというのが現状のようです。

飛行機も100年の技術の集大成ですから、今どき「強度不足」に直面するというのにはビックですが、元もと飛行機はギリギリの設計をするものであるし、新素材の利用など経験がないところも多いのかと思いますが、それにしても実物大模型(モックアップ)をCADの応用であるバーチャルモックアップを使うなど、大幅にコンピューター利用をしていて、この結果というのは「コンピューター利用のレベルが不十分だったのか?」と思ってしまいます。

設計者に必要なセンスが失われたというところがあるのでしょうか?
巨大技術の実現に世界レベルで警報が灯ったと見るべきなのかもしれません。

7月 25, 2009 at 08:17 午後 もの作り |

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