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2009.05.02

クライスラー破たんとヘッジファンド

朝日新聞より「クライスラー倒産、ヘッジファンドに矛先 オバマ大統領

金融機関や自動車の救済を続け、「弱腰」ともみられてきたオバマ米大統領。就任101日目の4月30日、「大きすぎてつぶせない」と言われ続けた米自動車3位クライスラーの「倒産」を決めた。
しかも、その「犯人」として、金融資本のヘッジファンドを厳しく責めた。

「一部の投資会社やヘッジファンドが、税金による(クライスラー)救済を期待して譲ろうとしなかった。ほかの債権者の2倍の額を要求する者までいた」。
労働組合が退職者向け医療費の削減を受け入れ、大口債権者が債権残高を3分の1以下まで減らすことに応じていたのに、「強欲」な金融資本が再建策の結実を阻んだというのだ。

ヘッジファンドは、リスクの高い投資を続け、結果的に世界的な金融危機をもたらした主犯の一角と目される存在だ。
世界中で批判を浴びる金融資本が「犯人」となれば、「倒産」に反対してきた労働組合など民主党の支持基盤から理解を取り付けやすい。

また、クライスラーへの80億ドル(約7920億円)の追加融資とひきかえに、経営陣を辞任に追い込んだ。

「ヘッジファンド」は金融危機を、「クライスラー」はそれに伴う実体経済の不振を共に象徴する存在だ。

国民に雇用不安を与えかねない「倒産」会見にもかかわらず、大統領はその両方に強い態度を示す舞台に仕立てた。

米財務省関係者は朝日新聞に「ウォールストリート(米金融街)を怒らせることになったが、いい打ち出し方だった」と話す。「タフに」(米政府高官)対処する今後の姿勢を強調したとも言えそうだ。
(ワシントン=尾形聡彦)

新自由主義からケインズへといった論調が大半で、ブッシュ時代の「脳天気な新自由主義」はどこに行った?といった感じです。

確かに、ヘッジファンドは「お金を回すための仕組み」を作ることだけに集中しすぎていて「必要資金を調達する」といったところを無視していた。落語に出てくる花見酒そのものをやっていたと言うべきでしょう。
オバマ政権は「今さらそれを主張するなら」とやったのが今回のクライスラーの破たん処理で朝日新聞の記事の通りだと思います。

しかし、アメリカが1940年代から世界をリードしてきた理由の大きな部分が、ドルと生産力のバランスをアメリカに有利に機能させて半世紀以上に渡って強国を維持できた、と見るべきではないかと思います。

そして、近年は日本や中国などに生産性で追い抜かれつつあるところを、ドルの操作で切り抜けてきた。
その結果が、ヘッジファンドもOKという経済体制になり、製造業の革新が遅れて金融は世界企業であるのに、自動車産業は国内専用、のようなことになってしまった。

金融業の中からヘッジファンドのようなあまりに高リスクな会社を追い出すとして、その分を自動車産業の拡大で補えるのか?と考えると、いまやアメリカの自動車文化が特殊に過ぎてアメリカ以外では通用しない状況にしてしまった、という問題が出てきます。

自動車に燃費規制をして燃料税を安くしたまま据え置いた、しかも燃費規制からトラックを除外したものだから大型SUVブームとなり、現実に燃料代が高騰したら自動車が売れなくなってしまった・・・・・。

新自由主義が標榜する「規制緩和による経済活性化」とは「不安定化による活性」なのであって「不安定の行きすぎ」という問題が出てくるのは当然です。
言い換えると「バランスの取れた政策」こそが大事なのであって「規制緩和」=「完全自由競争・自己責任」ではバランスが取れているとは言えない。
同様に、ヘッジファンドを規制したから問題解決でもない。

新自由主義の猛威の跡に整然とした社会を組み立てるのは、極めて大変なことだし叡智が今ほど必要な時代はこの100年間で初めてなのかもしれない。

5月 2, 2009 at 10:43 午前 国際経済など |

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» クライスラー倒産とヘッジファンド トラックバック 江川珈琲店の出来事
金融資本・ヘッジファンドですが、アメリカ政府のバックアップがなくなれば、ローリスク・ハイリターンという手法が使えなくなってしまうのでは、と考えるのですが。 続きを読む

受信: 2009/05/03 15:50:11

コメント

TBありがとう、ございました。
私のエントリーも、こちらにTBさせて頂きます。

投稿: エカワ | 2009/05/03 15:49:18

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