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2009.04.15

北朝鮮・IAEAを追放

国連安保理が北朝鮮に対して議長声明を全会一致で採択した事に対して、北朝鮮が、

  • ミサイル(人工衛星)の発射の自由
  • IAEA(国際原子力機関)の追放

を同時に主張しました。

まあ、これをセットにすると、核兵器の弾道弾化ということなるわけで、冷戦中から米ソを中心に延々と続けられ来た種々の国際交渉が元に戻ってしまう、ような状況とも言えます。

この状態を称して「東アジアでは冷戦の最中だ」といった意見をあります。

東西冷戦が、レーガン大統領が仕掛けた軍拡競争で、ソ連が経済的に行き詰まり、最終的には政治体制の崩壊によって終結したことを考えると、全く同様に進むのであれば東アジアにおいて、軍拡競争を進めることになります。

個人的には、今や戦争のコストは高すぎて、どの国でも取り得ない選択なってきていると思いますから、政治手段としての軍事技術の向上=質的高度化での競争にはなりそうです。
しかし量的な拡大はとても出来ないでしょう。

西欧諸国から見れば、東アジアの冷戦的なにらみ合い状態は、熱い戦争になる危機が無い状況では「関与しない」とするでしょう。
その意味では「東アジアの冷戦の激化」の可能性があらわになりつつあるのかと思います。

以下に、興味を惹いた新聞記事を列挙します。

日経新聞社説より「議長声明に映る6カ国協議の空洞化(4/15)

国連安全保障理事会は、北朝鮮による「発射を非難」する議長声明を全会一致で採択した。

常任理事国間の思惑の違いで法的拘束力のない議長声明に落ち着いた。
安保理の現実は、結果的に実効性の乏しい合意文書を発表してきた北朝鮮に関する6カ国協議の空洞化と重なる。

声明は「非難」を明記したが、打ち上げたのは「ミサイル」とせず、単に「発射」とした。ミサイル関連活動の停止を求めた2006年の決議違反も指摘し、再び発射しないよう求めた。決議が定めた制裁の徹底も加盟国に要請した。

法的拘束力のある決議であれば、文言を柔軟にし、拘束力のない議長声明であれば、厳しい文言を盛り込む。合意文書をまとめる場合、安保理がとる手法である。今回もそうだった。米国と非常任理事国である日本は当初、決議を主張し、中国、ロシアは反対した。

今回の交渉で主要な役割を演じた日米中ロは、6カ国協議の構成国である。韓国と当事者である北朝鮮を加えた6カ国で北朝鮮の核、ミサイルなどの問題を協議してきたが、実質的な進展はほとんどない。

当初、米国は6カ国協議を通じて北朝鮮に孤立感を味わわせ、態度を変えさせようとした。北朝鮮「封じ込め」を考えたのだが、中国の意向もあり、北朝鮮を「関与」させようとする場に変わった。

今回の安保理の交渉でも中ロは6カ国協議への悪影響を避けようと腐心した。結果を出すのを目的とすべき協議で、協議自体の継続が目的に変わる。
交渉当事者が陥りやすい傾向であり、協議参加か不参加という北朝鮮の立ち回りの余地を生む。

安保理の議長声明と同様、6カ国協議の合意にも法的拘束力がない。北朝鮮を拘束するには理論的には6カ国協議の合意を安保理決議で確認する必要がある。

日米中ロ4カ国が交渉した今回の経過は、安保理よりも非公式な枠組みである6カ国協議でさえ、4カ国が一致して北朝鮮に対処する難しさを見せつける。
北朝鮮の核やミサイルに対する脅威認識が4カ国で共有されていないからだろう。

協議の場としての6カ国協議の意味はある。
残念ながら、それを相当の忍耐をもって見守らねばならないのが国際政治の現実である。

日米両国ができるのは、06年の安保理決議を踏まえた制裁である。中ロ両国は早く気づいてほしい。
核を廃棄せず、ミサイル実験をする北朝鮮が、両国を含む地域全体の安全を脅かしている明白な事実に――。

毎日新聞社説より「北朝鮮声明 ひるまず確かな対応を

北朝鮮外務省がまるで脅迫状のような声明を発表した。
「人工衛星打ち上げ」と主張する弾道ミサイル発射を国連安全保障理事会の議長声明で非難され、これに逆襲した形だ。

声明が、北朝鮮の核問題を扱う6カ国協議に「二度と、絶対に参加しない」と強調表現を重ねて断言したこと自体は驚くにあたらない。
発射前から、この問題を安保理で扱えば「6カ国協議の破綻(はたん)を意味する」と公言していたからだ。

それにしても特に日本を名指しした批判が激しい。同協議不参加の理由として「日本が今回の衛星打ち上げに言いがかりをつけて」この協議の存在意義を失わせた、などと主張している。
日本に責任転嫁し、他の協議参加国との間に亀裂を生じさせようという意図が透けて見える。

これを含めて、声明の内容はいかにも北朝鮮らしい瀬戸際外交の典型そのものだ。
特に日米韓3国は北朝鮮の揺さぶりに動じることなく、一致団結して確実な対処を進めることが何より肝要である。

やや懸念されるのは、米オバマ政権の対北朝鮮政策が、その戦略にせよスタッフの陣容にせよ、しっかり固まっていないことだ。

北朝鮮が6カ国協議を拒否しながら、米朝直接交渉を望むのは目に見えている。
米国は速やかに態勢を整え、中国とも緊密に協力して北朝鮮を6カ国協議へと導く工夫をしてほしい。

声明には、一見穏やかな表現を用いた脅しともとれる部分がいくつもある。
「自主的な宇宙利用の権利を引き続き行使していく」とは、人工衛星打ち上げを装った長距離弾道ミサイルの発射実験を重ねる構えを示唆したものと読める。
「自衛的核抑止力の強化」や「使用済み燃料棒の再処理」に言及した部分は、6カ国協議の合意に従って進んできた寧辺(ニョンビョン)の核関連施設の無能力化措置を逆戻りさせ、おそらく原爆数個分にあたるプルトニウムを新たに確保する狙い、と解釈せねばなるまい。

もちろん、これらは直ちに実現できることではない。
だが北朝鮮は放射能に対する作業員の安全を軽視してでも核施設の再稼働を急ぎかねない。
しかも数十年にわたる核開発、ミサイル開発の歴史を見れば、最終的に核兵器を搭載できるミサイルの保有により自らの安全を確保しようと願っている可能性を否定できない。そんなことになれば大変だ。

北朝鮮も破局は望んでいまい。
声明の末尾にある「非核化のプロセスが破綻しても朝鮮半島の平和と安全は守る」という言葉が、そのシグナルであろう。
甘い妥協を排しつつ交渉を通じて問題解決への道を探ることは可能なはずである。関係国の粘り強い努力に期待する。

読売新聞社説より「安保理議長声明 北朝鮮の挑発行為を許すな

国際社会の総意にあらがう北朝鮮の危険な挑発行為だ。

国連安全保障理事会は全会一致で弾道ミサイル発射を非難する議長声明を採択した。北朝鮮はその直後、6か国協議をボイコットし、核施設を再稼働させる方針を表明した。

東アジアの緊張を高め、平和と安定に逆行する動きだ。北朝鮮の核廃棄を目指す6か国協議の合意を反古(ほご)にする行動に出るなら、日米韓中露の5か国は結束して強い対応措置を取らねばならない。

安保理の議長声明は、「北朝鮮による4月5日の発射」について、「安保理決議1718に違反する」と認定し、さらなる発射を行わないよう北朝鮮に求めている。

発射が「人工衛星」か「弾道ミサイル」かには触れず、「発射」自体が決議違反と明示した。

「衛星打ち上げは主権国家の権利」という北朝鮮の主張を認めれば、発射に歯止めをかけられなくなる。弾道ミサイル計画に関連した活動は容認できない、との日米の主張を反映したのは当然だ。

北朝鮮は、安保理が発射問題を扱えば、6か国協議は「なくなる」と強く牽制(けんせい)してきた。議長声明を糾弾する外務省声明をただちに発表したのは予想通りだが、その内容は看過できない。

北朝鮮は「宇宙利用の権利を引き続き行使する」として、衛星打ち上げに名を借りたミサイル発射の継続を明らかにした。

さらに、6か国協議の早期再開を求めた議長声明を無視して、今後、協議には「二度と絶対に参加せず、いかなる合意にも拘束されない」と宣言した。

加えて、無能力化した核施設を再稼働させ、使用済み核燃料棒の再処理で核兵器用プルトニウムを抽出する方針を示したことは、核ミサイルの開発を目指すと公言したに等しい。

いつもながらの瀬戸際戦術で、オバマ米政権に米朝交渉の早期再開を迫り、譲歩への見返りを狙っているのかもしれない。だが、北朝鮮が言葉の通り、核施設の再稼働に踏み切れば、6か国協議は意味を失ってしまう。

6か国協議の議長国である中国の責任は重みを増している。最大の貿易国、支援国として、北朝鮮への制裁の徹底などあらゆる有効な手段を講じてもらいたい。

ノドン・ミサイルの射程に入っている日本にとっては深刻な事態だ。米国や韓国と緊密に協議し、核開発阻止に実効的な方策を探っていく必要がある。
(2009年4月15日01時39分 読売新聞)

朝日新聞より「北朝鮮、IAEA監視要員に退去通告 安保理声明に反発

【ウィーン=玉川透】
国際原子力機関(IAEA)は14日、北朝鮮・寧辺の核施設の無能力化を監視するために駐在しているIAEA要員3人に対し、北朝鮮が退去を通告してきたことを明らかにした。

北朝鮮のミサイル問題をめぐり、国連安全保障理事会が発射を非難する議長声明を採択したことに反発した動きとみられる。

北朝鮮はIAEAに対し、核施設に設置している監視用カメラなども撤去するよう要求。

その上で、施設だけでなく、速やかに北朝鮮から離れるよう求めているという。

AFP BB より「北朝鮮、IAEA監視要員に国外退去求める

【4月15日 AFP】
国際原子力機関(IAEA)は14日、北朝鮮がIAEAに対するすべての協力を即時停止すると通告し、寧辺の核施設にいるIAEA監視要員の国外退去を求めたと発表した。

監視要員らは、2007年2月の6か国協議の合意事項の一部として兵器級プルトニウムを製造していた施設を監視するため寧辺に駐在していた。

この数時間前、北朝鮮は国連安全保障理事会が北朝鮮が5日実施した打ち上げを非難する議長声明を採択したことに反発し、朝鮮半島の非核化を目指す6か国協議から離脱し、核開発計画を再開するとの声明を発表していた。

■各国は協議継続を求める

ロシアと韓国は北朝鮮の発表に遺憾の意を示した。
中国は、北朝鮮と友好的な関係を維持してきたこと、日本などが求めていた安保理決議に反対したことを強調して、北朝鮮に6か国協議にとどまるよう求めた。
日本は北朝鮮に6か国協議に復帰するよう強く求めた。

ヒラリー・クリントン米国務長官は、IAEA査察官の国外退去は「不必要な対応」で、北朝鮮が協議に復帰することへの期待感を示した。

■瀬戸際外交強化か

韓国・東国大学のキム・ヨンヒュン教授は、
「北朝鮮は掛け金を徐々に上げている。北朝鮮の瀬戸際外交は米国と国際社会から最大限の譲歩を引き出すのが目的だ」と述べ、北朝鮮が軍事的挑発に乗り出す可能性が高まったと指摘する。

北朝鮮大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、14日の北朝鮮の声明は記憶にある限りこれまでで最も厳しいものだと話す。
「この声明は、北朝鮮が行動に向けて動いていると言っている。米国とその同盟国、中国が状況をコントロールするよう賢明な対応をとることが非常に重要だ」

ある韓国の高官は、北朝鮮は核施設の無能力化作業11段階のうち8段階まで終わらせ、現在は9段階目の使用済み燃料棒を原子炉から取り出し、冷却槽に移動させる作業を行っているが、燃料棒の再処理を再開しプルトニウム抽出を始めるまでどの程度の時間がかかるか分からないと述べた。
(c)AFP/Park Chan-Kyong

ロイターより「北朝鮮による国連査察団への国外退去命令、不必要な反応=米国務長官

[ワシントン 14日 ロイター]
クリントン米国務長官は14日、国連安全保障理事会が、前週の北朝鮮によるロケット発射を非難したことを受け、北朝鮮が国連の核施設査察団に国外退去を命じたことについて、不必要な反応だとの見解を示した

同長官は、記者団に対し「われわれはこれを、安保理の懸念から出された合法な声明に対する不必要な反応とみている」と述べた。

さらに「言うまでもなく、われわれは、この件について話し合う機会を同盟国とだけでなく最終的には北朝鮮とも持つことを望んでいる」と語った。

ロイターより「北朝鮮、監視団に早期の国外退去命令=IAEA

[ウィーン 14日 ロイター]
国際原子力機関(IAEA)によると、北朝鮮は核施設の監視団との協力をすべて打ち切るとした上で、監視団に対しできるだけ早期の国外退去を命じた。

これに先立ち、北朝鮮は核問題について話し合う6カ国協議からの離脱と核施設の稼動再開を表明した。

広報担当のマーク・ビドリケア氏は声明で「(北朝鮮は)この日、寧辺施設のIEAE監視団に対し、IAEAとのすべての協力を即刻停止すると通告してきた」と指摘。

核施設のすべての封印および監視機器を撤去するよう求められ、監視団はできるだけ早期に国外退去するよう命じられたことを明らかにした。

読売新聞より「北朝鮮制裁、米が資産凍結の対象リスト…安保理委に提出へ

【ニューヨーク=白川義和】
北朝鮮のミサイル発射を非難し、国連安全保障理事会の制裁決議徹底を求める議長声明採択を受け、米国が近く安保理の制裁委員会に提出する北朝鮮企業の資産凍結対象リストが14日、明らかになった。

弾道ミサイル関連の取引を担う貿易会社や金融機関の計11社を挙げており、制裁委は24日までに対象企業を指定し、国連加盟国に制裁措置の徹底を促す。

2006年の北朝鮮の核実験を受けて採択された安保理決議1718は、核・ミサイル開発に関連する企業の資産凍結を定めているが、具体的な対象は指定していなかった。
13日に採択された議長声明は、今月中に制裁対象リストを作成する方針を示しており、日米などのリストを基に制裁委で安保理の各理事国が討議する。

読売新聞が入手した米国のリストは、11社の筆頭に「朝鮮鉱業開発貿易会社」を挙げている。
同社が北朝鮮の「主要武器取引業者」で、弾道ミサイル関連の物資・設備輸出の中心になっているとし、複数の国の事務所を通じて武器売却を推進していると指摘した。
防衛複合企業体の「朝鮮リョンボン総合会社」もリストに含めており、同社は軍需物資の獲得や、軍事関連物資の売却支援を専門に行っていると説明している。

金融機関で唯一リストに入っているのは「端川(タンチョン)商業銀行」
弾道ミサイルや通常兵器の取引決済を担い、前身の「蒼光(チャングァン)信用銀行」は1980年代後半から、中東やアフリカへの武器売却の利益を集めてきたとしている。
米側は、こうした売却益が北朝鮮の兵器開発や武器購入の財源になっていると指摘している。

朝鮮鉱業開発貿易会社と朝鮮リョンボン総合会社の子会社計8社もリストに含まれた。

制裁委の決定は全会一致が原則で、制裁対象企業を決定できなかった場合は、安保理が30日までに指定を終える。確定したリストは決議1718の関連文書となり、国連加盟国は対象企業への制裁履行が義務付けられる。

すでに日本と米国は、これら11社に独自の金融制裁を行っているが、北朝鮮に最も影響力がある中国は制裁を限定的にとどめており、全体の効果は不十分だ。
今回、安保理がリストを作成しても、制裁履行は各国の意思に委ねられるため、実効性を疑問視する見方も強い。
(2009年4月15日03時23分 読売新聞)

4月 15, 2009 at 09:44 午前 海外の政治・軍事 |

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