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2009.04.03

P3Cをソマリア海賊対策のために、ジブチに派遣

朝日新聞より「P3C、ジブチに派遣へ ソマリア海賊対策

防衛省は3日、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策で、来月にもP3C哨戒機2機を派遣することを決めた。

P3Cはアフリカのジブチ共和国を拠点とする計画で、中曽根外相は同日午後、ジブチのユスフ外務・国際協力相と、現地での自衛隊員の法的立場を保証するための地位協定に署名する。

訓練などを除き、P3Cが実際の任務で海外に派遣されるのは初めて。防衛省は、整備などを担当する部隊を含めて100人前後の海自隊員をジブチに駐留させる予定だ。

署名に先立ち、浜田防衛相は同日午前、ユスフ氏と会談し、協力を要請した。

地位協定は、P3C派遣のために駐留する海自部隊のほか、補給のために寄港する護衛艦の乗組員などに適用される。

P3Cは広い海域で海賊を警戒・監視することができる。海賊の位置や針路など、P3Cのレーダーで得た情報を護衛艦や各国軍艦に伝えることを想定している。

これだと妙にあっさりしている記事ですが、NHKニュースには「海賊対策 ジブチと協力を確認」として動画ニュースがあります。

浜田防衛大臣はジブチのユスフ外相と会談し、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、海上自衛隊の護衛艦がジブチの港を利用することなどに謝意を示すとともに、引き続き協力を強化していくことを確認しました。

この中で浜田防衛大臣は、海賊対策に取り組む海上自衛隊の護衛艦が4日、ジブチ港に入港することについて「日本の護衛艦を受け入れてくれ、感謝したい」と述べました。
そのうえで浜田大臣は、近くより広い海域を監視する能力がある海上自衛隊のP3C哨戒機を派遣する意向を伝え、空港の利用などさらなる協力を要請しました。

これに対し、ジブチのユスフ外相は「日本の海賊対策はたいへん効果的であり、受け入れに万全を期したい。
日本のこれまでの経済支援に対し、こういう形でお返しができてうれしい」と述べ、海賊対策をめぐり、日本とジブチが引き続き協力を強化していくことを確認しました。

ソマリア沖の海賊対策をめぐっては、護衛艦2隻がすでに現場海域に到着し、先月30日から日本の海運会社が運航する貨物船を護衛するなど、任務を本格的に開始しています。

ジブチと哨戒予定のアデン湾はこんなところです。白い線が600海里(1100キロ)に相当します。P3Cが活動するのにちょうど良い範囲と言えますね。

Photo

朝雲ニュースより「どう取り組む 海賊対策<上>まずP3Cで哨戒 艦艇より負担少ない 米欧とも協力

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策として、海自部隊派遣の公算が強まってきた。しかし、現行法下の派遣では日本船籍以外の船舶は保護できないなど、大きな制約が課せられることになる。新法の整備を待てないとしたら、どのような対応がベターか。海賊問題に詳しい海洋政策研究財団政策研究グループの専門家に、海自部隊が派遣された場合の課題や問題点などについて聞いた。

アジアと欧州を結ぶ海上交通路の要衝に位置する“アフリカの角”ソマリア。長く続く内戦で無政府状態にある同国では、貧しい漁民は海賊行為に走り、近年は武力集団が組織的に大型船舶を襲撃して積荷を奪い、乗組員を人質にして身代金を取るなど、海の犯罪がエスカレートしている。

こうした事態に対し、NATO、EU(欧州連合)、インド、ロシアなどは現地に海軍艦艇を派遣して海賊の取り締まりに乗り出し、中国やイランなども次々と艦艇を派遣、ソマリア沖ではこれまでにない多国籍海軍による海賊掃討作戦が展開されている。

アデン湾では昨年、日本の関係船舶が襲われる事件も5件発生し、日本船主協会は政府に海自艦艇の即時派遣を求めるなど、国内外で日本部隊派遣の声が高まっている。

だが、海自が現地で警察行動を行うには新法の整備が必要で、現行法の「海上警備行動」で送り出した場合は日本船籍の船しか守ることができず、各国と協調した海賊取り締まりは難しい。

では、現段階で海自はなんら期待に応えることはできないのか。これについて海洋政策研究財団の主任研究員を務める海自OBの秋元一峰氏(元海将補)は、「まずP3C哨戒機による情報収集活動が効果的ではないか」と提言する。「空からパトロールするP3Cなら海賊と交戦する危険性は少なく、海警行動で今すぐにでも出せる。固定翼哨戒機を出している国は少ないため、ニーズは高い。海自P3Cが哨戒活動で得た情報を各国海軍に随時提供できるようなシステムを作れば、海自の活動を大きく世界にアピールできるだろう。ただ、P3Cは海賊船からの不意のロケット弾攻撃などに対して脆弱な面がある。これには注意が必要だ」と話す。

現在、アデン湾に固定翼哨戒機を飛ばしているのはフランスとスペインのみ。
これにアルカイダの武器密輸などを監視している米軍機が哨戒飛行しているだけで、海自が加わる余地は十分にある。
これら哨戒機はソマリアの隣、ジブチ共和国の仏・米軍基地から飛んでいる。アデン湾のシーレーンは東西約1000キロで、1日1回、P3Cが往復すれば、継続的に海賊船の動向を探ることが可能だ。

海自P3C部隊の拠点として想定できるのはジブチの米軍基地。ジブチは旧宗主国のフランスと関係が深く、1977年の独立後、現在も仏軍が駐留。
01年の米国同時多発テロ以降は米軍も駐留し、首都ジブチ市の国際空港に近いキャンプ・ルモニエに部隊を配置している。日本はフランスに次ぐ主要援助国としてジブチとの関係も深い。

このためジブチ政府と米、仏両国の協力が得られれば海自P3Cをジブチの米軍基地に展開できる可能性は大きい。ルモニエ基地は航空機の整備・補給施設はもちろん、駐留隊員の生活設備なども整っている。

P3C部隊を派遣する場合の規模は、空自がクウェートに展開した際の派遣規模が参考となる。空自はクウェートのアリ・アルサレム空軍基地にC130H輸送機3機と人員約200人を展開させ、クウェート軍の施設を借り受けて約5年間にわたりイラクへの輸送任務を続けた。同様にジブチの米軍施設が利用できれば、そこを拠点に哨戒任務を行うことができる。

P3C1機を毎日飛ばすと、予備機を入れ3機が必要となる。ただし飛行中に海賊船団を発見し、これを継続して追尾するにはこの機数では足りない。P3Cの航続時間は約10時間で、連続して追跡するには常時、交代機をスタンバイさせておくことが必要になる。このため、最低でも4機が必要となろう。

P3Cを4機派遣する場合の人員は、司令部要員、搭乗員、整備・補給要員、後方支援要員などを含めて約200人程度。艦艇なら1隻で200人、2隻だと500人近くになるため、インド洋補給支援などの任務で艦艇・人員の不足に悩む海自にとっては航空部隊の方が負担は小さい。

P3Cを運用するには、飛行中のアクシデントも考慮しておかねばならないため、ジブチのほか、アデン湾沿いのイエメンやオマーンなど沿岸国の飛行場も緊急時に着陸できるようにしておくことが必要になる。

海自P3C部隊はこれまで海外の平和維持活動に参加した経験はないが、米本土やオーストラリアなどには頻繁に展開して訓練を実施しており、隊員は海外派遣には慣れている。しっかりした飛行場設備と本国からの後方支援が得られれば、P3C運用に大きな支障はないとみられている。

一方、海自艦艇がソマリア沖に派遣された場合も、仏軍が管理するジブチの港湾施設を利用することになりそうだ。ジブチ港はNATOやEU艦艇の補給場所ともなっており、ここに拠点を置けば各国海軍との情報交換にも都合がいい。

ただし、ジブチに日本大使館はなく、今のところ現地で外務省の直接的な支援は得られない。海自部隊が同国に展開する場合は、日本政府の何らかの外交的な支援拠点を現地に設けることが必要だ。

この記事に出てくる、ジブチの米軍基地とは Google Earth で見ることが出来るジブチ国際空港を併用している基地を指すのでしょう。
この基地には、P3C、C130がはっきりと見えますが、かなり狭いです。
そもそも空港としても小さい。滑走路は3000メートルが1本ですね。
ほぼ厚木基地程度の広さのようですが、そこに国際空港があるのですから、やはり相当狭いと言うべきでしょう。

4月 3, 2009 at 04:45 午後 国内の政治・行政・司法 |

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コメント

失礼いたします。

現地でのニーズはあるでしょうが、朝雲新聞の海上自衛隊のP-3の方が負担が少なくてすむという分析は首を傾げます。

そもそも海自航空部隊の編成が、国内基地を拠点に活動するコトを前提に作られています。海外での活動を前提としていません。200人位と簡単に記されていますが・・・・国内の最低限で編成された組織人員からこの人数を捻出して、現地で活動させるの容易ではないでしょう。運用を考えれば4機以上出した方が良いにもかかわらず2機のみ派遣になりそうなのが何か如実に現しているのではと愚考します。

また固定翼部隊が海外派遣になれているという分析もどうかと・・・・空自の政府専用機やC-130部隊(訓練としても様々な国に展開している)くらいならなれていると言って良いでしょう。

しかし年1回(それもP-3運用基地かつ至れり尽くせりの米軍基地)の派米訓練でなれていると言われても説得力はありません。

ジブチ自体は思ったより良いところのようですが、最初の派遣は厳しいものになるのは変わりないと思われます。

投稿: ME | 2009/04/05 13:05:11

P3C 懐かしい。
ロッキード事件の。

投稿: 桃の実神慈 | 2009/04/05 21:53:28

MEさんへ

自衛隊を含め、通常の軍隊はそもそもというよりごく一部の外征型の国を除いて、海外での活動を前提に作られていません。

P-3Cについては、一昨年はインドに、昨年はニュージーランドに各2機が訓練で派遣されています。ちなみに今年3月にはパキスタンに2機が派遣されています。
今回の派遣が2機というのは、これまでの訓練派遣の経験から、これで足りると判断したのかもしれません。

また、空自の部隊はイラクのC-130は別として、基本的に行って帰ってくるだけの旅客機のような運用ですので、それが慣れているとは言えません。

インド洋で忙しい艦よりも航空機を出す、というのは負担が少ないと言えます。

投稿: 名無しさんで | 2009/04/19 13:49:09

>>名無しさんで 様

>自衛隊を含め、通常の軍隊はそもそもというよりごく一部の外征型の国を除いて、海外での活動を前提に作られていません。

参考に空自のC-130隊は通常の輸送機部隊より、乗員・整備員・その他支援員は多めに設定されており、明らかに海外派遣を前提とした組織編成になっております。

まあ最も当方も問題になるのは、その辺ではなく、後方職種になるとは考えておりますが・・・・


>空自の部隊はイラクのC-130は別として、基本的に行って帰ってくるだけの旅客機のような運用ですので、それが慣れているとは言えません。

すいませんが空自が組織として貯めている、飛行場・各種空路・また派遣時のノウハウは海自のそれとは明らかに差がありますよ・・・・まして特に一から現地に拠点を構えるノウハウはゼロに等しい。
空自はT-4ブルーインパルスの海外派遣から高射部隊の米国派遣訓練も行っておりますので、組織として土の上に部隊を派遣することの問題の本質は海自より理解が出来ていますよ。海自がなれているのはあくまで、海の上の話しです。

>昨年はインドに、昨年はニュージーランドに各2機が訓練で派遣されています。ちなみに今年3月にはパキスタンに2機が派遣されています。

ええ最近ようやくですね(空自のそれとは10年からの差がある)。ちなみにインドでは、パイロットを含むクリューが主に水当たりと思われる、体調不良者が続発し、訓練に支障がでる寸前までになったとか・・・でもそういう逸話の一つ一つって組織としての海外派遣の慣れ具合が判る話しなんですよ・・・

ちなみに本当になれてる組織は飲料水まで持っていきますよ。

>インド洋で忙しい艦よりも航空機を出す、というのは負担が少ないと言えます。

あのね・・・・船と負けじ劣らず同等に大変だと私は言いたいんですよ。

海自は元々ビークル(艦艇・航空機)に対しての人員が少ないんですよ。艦は自己完結しているので極端な話し、日本近海で任務を行うか、遠い遠洋で行うかの差に過ぎないんですよ。しかし航空機はそうはいかない・・・海外に航空機を出したといっても国内に必要な後方支援の隊員の必要量はかは変わらなかったりする。

しかし現地に部隊を出すとなると人員を捻出しなきゃならん・・・・その捻出する余裕ががどれほどあるのかと言う話しで、恐らく少ないし、何より今回は長期化が予想され、人員ローテーションも考慮しなけりゃならない。
「負担が少ない」なんて台詞は何も知らないからでるのさ・・・・・

投稿: ME | 2009/04/19 22:42:31

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