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2009.04.22

北朝鮮と韓国の重要会談の結果

「北朝鮮問題・いよいよヨロイがあらわになった?」の中で紹介した「北が韓国に接触要求…開城工業団地で「重大事案」と」が、昨日(2009年4月21日)実施されました。

北朝鮮が、開城工業団地の韓国人職員を「北朝鮮労働者に対して脱北させようした容疑」で拘束し韓国からは面会も出来ない、状態でした。
その後、ミサイル発射、国連安保理での議長声明の全会一致での採択、北朝鮮がIAEA職員の追放、アメリカの外交関係者の北朝鮮からの出国、といったこと続いている中での「開城工業団地について重大な会談」ということでしたから、注目されました。

韓国側の報道としては、昨日の朝から「会談の用意」があったのですが、次のような進行になりました。

韓国聯合ニュースより
南北接触、現地で連絡官が接触場所・議題など協議中10:54
南北接触、開催場所・議題めぐり意見の対立続く17:56
南北接触いまだ始まらず、接触場所選定で対立14:39
南北当局者、開城工業団地で本接触を開始21:00
南北接触約20分で終了、双方が文書交換23:18

昨夜の内に「会談は20分で終了」の情報は速報されましたが、内容が詳しく伝わってきました。

韓国聯合ニュースより「開城工業団地の特恵を全面再検討、北朝鮮が通報

【ソウル21日聯合ニュース】
北朝鮮は21日に開城工業団地事業と関連し、賃金や土地使用など韓国側に与えていたすべての制度的な特恵措置を全面再検討すると明らかにした。これにより、2000年8月の現代峨山と北朝鮮当局間の開城工業団地開発合意書採択で始まった同団地事業が最大の危機に直面することになり、事業に相当狂いが出るものと予想される。

統一部によると、北朝鮮当局は開城工業団地で行われた李明博(イ・ミョンバク)政権発足後初の南北当局者接触で、北朝鮮側労働者の賃金を現実に合わせて再調整すること、当初10年間付与していた土地使用料の猶予期間を6年に短縮し、来年から適用することを要求した。北朝鮮はこうした同団地事業の再検討を一方的に通報した上で、既存の契約を再検討するための交渉を韓国側に提案したという。

韓国側はその席で、23日にわたり拘束されている開城工業団地の現代峨山社員を早期に釈放するよう求め、面会と身柄の引渡しを要求したが、北朝鮮はこの問題は今回の接触と無関係だとしてこれを拒否、面会は実現しなかった。

韓国側はまた、南北合意書無効宣言など緊張を造成する行為の撤回、陸路通行・滞在制限措置の撤回、国家元首の誹謗(ひぼう)・中傷の中止などを要求し、開城工業団地の出入・滞在問題などを含め南北関係の懸案解決に向けた当局者間の次期接触を提案した。

さらに、北朝鮮が韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)全面参加方針を強く非難し、反発を示していることに対し、「朝鮮半島水域では南北海運合意書が適用されるため、対決布告・宣戦布告といった主張は道理に適っていない」と強調し、北朝鮮に賛同を促した。

南北は同日午前と午後に7回にわたる事前接触を行い、接触の場所や議題、参加者リストの相互通報などの問題を話し合った。最終的には北朝鮮側が要求した中央特区開発指導総局の事務室で午後8時35分から約22分にわたり本接触を行ったが、議題を話し合うことなく互いの主張だけを伝え、具体的な成果を上げられなかった。

この結果について、韓国朝鮮日報は2本記事と社説で取り上げています。

「南北接触:開城工団の労働者賃金引き上げ要求」

北朝鮮は21日、李明博(イ・ミョンバク)政権発足後初の南北当局間接触で、開城工業団地の労働者の賃金を中国並みの水準に引き上げることと、開城工業団地の土地使用料の支払い繰り上げなどを要求した。

消息筋によると、北朝鮮はまた、韓国政府が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加しようとしていることに強い不満を示したという。

北朝鮮は一方で、先月30日から拘束している現代峨山社員(44)の身柄処理については全く言及しなかったとのことだ。

韓国統一部によると、今回の接触は、開城工業団地で北朝鮮側が管轄する中央特区開発指導総局の事務室で午後8時35分から同57分まで、22分間にわたり行われたという。

韓国側代表団は、接触終了後の午後11時半に報道発表を通じ、北朝鮮が開城工業団地の土地賃貸料契約を結び直し、10年間の支払猶予期間を経て、 2014年から支払うことになっている土地使用料を2010年から前倒しして支払うよう、韓国側に求めてきたことを明らかにした。

北朝鮮側は開城工業団地内の労働者の賃金を「現実化」することも求めてきた。現在、同団地で働く労働者の一人当たり月額賃金は74ドル(約7300円)で、中国に進出した韓国企業が現地労働者に支払う賃金の3分の1程度となっている。

韓国政府消息筋によると、北朝鮮は50年間と定められている開城工業団地の賃貸期間を25年に短縮すること、北朝鮮の労働者の宿舎問題を解決することなども求めてきたという。

同消息筋は北朝鮮側から「韓国のPSI全面参加は宣戦布告に当たるのに、戦争状態で開城工業団地を運営するのは困難ではないか」という趣旨の発言があったことも明らかにした。

韓国側は拘束されている現代峨山社員の身柄引き渡しを要求したほか、▲開城工業団地の運営に支障が生じれば、その責任は北朝鮮にある▲(韓国の)国家元首に対する侮辱を続ければ、相応の対応を取ることもあり得る-などとする内容の通告文を手渡したが、北朝鮮側は受け取りを拒否した。

本接触に先立ち、韓国側代表団は午前9時半から午後7時まで7回にわたる予備接触(連絡官接触)を繰り返し、議題と接触場所などを協議したが、なかなか意見差が埋まらず難航した。

一方、韓国政府は南北接触終了を受け、近くPSI全面参加を発表するとみられていたが、北朝鮮が再び不満を表明したことから、追加的な検討が行われる可能性もあるという。韓国政府は同日夜、大統領府(青瓦台)で安全保障関連の緊急会議を開いた。

大統領府高官は「PSIはロシアを含む94カ国が参加した国際協約であり、韓国政府がPSIに参加しても南北海運合意書の範囲内で運用されるため、公海上で北朝鮮の船舶を臨検することは不可能だ。北朝鮮を狙った措置ではない」と強調した。

「南北接触:北朝鮮、PSI非難口実に「現金獲得」狙う」

北朝鮮のカードが明らかになった。李明博(イ・ミョンバク)政権発足以来初の南北当局間接触で北朝鮮が取り出したカードは、韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)参加問題と開城工業団地だった。

議題自体は韓国側の予想の範囲内だった。しかし、北朝鮮側がそれを通じてどんなメッセージやシグナルを韓国側に送ろうとしているのかははっきりしない。北朝鮮の言葉を見ただけでは、北朝鮮の狙いが韓国のPSI参加を阻止するところにあるのか、それとももう少し現金を手に入れるため、開城工業団地の事業を拡大、進展させようとしているのか不明だ。このため、韓国政府は北朝鮮の本心をつかみ、対応策を準備するのにかなりの苦心を強いられそうだ。

開城での同日の接触が行われるのに先立ち、韓国側当局者と専門家からは、「韓国がPSIに全面参加すれば、開城工業団地が危険になる」というような脅迫に出てくると予想する声が多かった。最近、開城工業団地問題に深く介入し始めた北朝鮮軍部が「PSI全面参加は宣戦布告だ」と宣言しているためだ。

しかし、北朝鮮が同日の接触で実際に発した言葉は、「PSIは『同じ民族同士』という原則に反する」という程度のものだったという。予想よりも「穏健」な内容だったと言える。

さらに注目されるのは、北朝鮮が「優遇措置縮小」を掲げ、開城工業団地の今後の運営に関する新たな提案を行ったことだ。▲2014年から韓国が支払うことになっている開城工業団地の土地使用料を2010年から支払うこと▲開城工業団地の賃貸期間を50年間から25年間に短縮▲開城工業団地の北朝鮮側労働者の賃金水準を中国のレベルまで引き上げること▲開城工業団地の労働者の宿舎問題を解決すること-などが主な内容だ。

このうち、土地使用料の繰り上げ徴収は、「北朝鮮が李明博政権の任期内に、工業団地の使用料という名目で現金を受け取りたいと考えている」(韓国側当局者)とみられる。労働者の賃金引き上げも、金正日(キム・ジョンイル)総書記の金庫に入るドルを増額してほしいという要求に等しい。北朝鮮の労働者にドルで支給している賃金の相当部分を北朝鮮政権が持っていくためだ。労働者の宿舎問題は、北朝鮮が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代に韓国側と合意したものの、李明博政権が「核問題の解決」とリンクさせ、実施を先送りしている事項だ。こうした提案を見る限り、北朝鮮は開城工業団地事業を破綻に追い込むというよりも、むしろ事業継続を望んでいるとの解釈が可能なほどだ。

北朝鮮がなぜこんなやり方で韓国側に分かりにくいシグナルを送ってきたのかははっきりしない。北朝鮮の政権中枢で意見対立が整理されていないからなのか、韓国内部の混乱を招こうという意図的なかく乱作戦なのかは分からない。そこに関しては、韓国政府の深い分析と戦略的な判断による対応が必要だ。

ただ、明らかになった姿勢を見る限り、北朝鮮が少なくとも自分の手で先に開城工業団地をたたむ考えはないことは間違いなさそうだ。韓半島(朝鮮半島)の緊張をいくら高めたとしても、「現金をたやすく放棄しない集団」という北朝鮮の実態に変わりはない。

「【社説】開城まで呼びつけておいて何だ」

21日に北朝鮮の開城で開かれた南北当局者による接触は双方がそれぞれの立場を一方的に通告し、わずか22分で終わったという。今回の接触で何の成果も上がらないことはある程度予想されていたことだ。

韓国側代表団は同日午前9時ごろ開城工業団地に到着し、直ちに会談の議題、代表団の構成、場所などを協議するための予備接触を提案した。北朝鮮は韓国側代表団が開城に到着するまで、北朝鮮側代表団を誰が率い、議題が何で、開城工業団地内のどこで会うのかなど、接触に必要な最低限の事柄すら知らせてこなかった。

そして、現地では工業団地内にある北朝鮮側の中央特区開発指導総局の事務室に来るよう韓国側に指示した。50年を超える南北会談の歴史で、南北双方ともこれほど無礼な対応をした例はない。

韓国と北朝鮮は同日、7回にわたる予備接触を行った上で、ようやく双方の代表が出席する本接触を行ったが、それもわずか22分で終了した。北朝鮮がこんな対応に出た理由は容易に想像できる。

北朝鮮は韓国が自分たちの思い通りになる存在であるかのように開城工業団地まで呼び出し、国連の対北朝鮮制裁や韓国による大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加方針を一方的に非難し、同工業団地を閉鎖することもあり得る、と脅しをかけようとしたのだ。

国際社会が見守る中で韓国に恥をかかせようとした格好だ。韓国がそんな侮辱を甘受してまで南北接触にこだわれば、それは国の体面をも投げ捨てる行動だ。

韓国は同日、北朝鮮が面会も認めずに23日にわたり拘束している現代峨山の社員に会いたいと求めたが、北朝鮮はそれさえも拒否したという。

北朝鮮は最低限の人道的原則すら守らない存在だということを自ら明らかにした。しかし、そんな北朝鮮を相手にせざるを得ないのが、韓国の直面する現実だ。韓国政府は同日の南北接触の結果に一喜一憂するよりも、原則を持って南北対話を継続すべきだ。

韓国政府は最近のPSI問題をめぐる政府部内の混乱を整理し、対北朝鮮政策を全般的に再検討する作業に着手しなければならない。

今までも北朝鮮の外交交渉は、表向きには交渉にならないような通告のようなことだけで来たように感じますし、現実の交渉は秘密交渉であったのでしょうが、ここまであからさまに外交交渉にもならないし、内容的にもとても実現不可能な話を20分の通告だけというのは、朝鮮日報の社説のタイトルのようになりますね。

開城工業団地は、この写真の上側の左寄りにある色の薄くなったところです、開城工業団地の左上が開城市、右下がソウルです。

Up

これが開城工業団地の写真で、大体の大きさが3.5キロ角ぐらいです。
日本の工業団地と比較すると、さがみはらの内陸工業団地の倍程度の大きさですから、さほど大きなものではありません。
開城市の中心部からは7キロ、韓国側のゲートからは8キロ、ソウルから50キロといったところです。

Up1

北朝鮮の外交政策が、いわばテコの原理を使って事態を拡大しする演出は以前からありましたが、今回もその例に漏れない、と見るべきでしょう。
しかし、これではどこに落着するのだか、見当が付きません。

4月 22, 2009 at 10:07 午前 海外の政治・軍事 |

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