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2009.04.29

消費者庁の設置

サンケイ新聞より「【イチから分かる】消費者庁誕生へ トラブル解決の「司令塔」

消費者行政を一元化する消費者庁設置関連法案は参院での審議が始まり、年内にも消費者庁が発足する見通しとなった。

「産業重視」とされた日本の行政にあって、消費者の視点に立った初めての行政機関となる。偽装表示、悪質商法、製品事故…トラブル解決の「司令塔」としての役割が期待される

日本の省庁は「殖産興業」を掲げた明治期以来、生産者側の目線で施策を展開してきた。
しかし近年、食品偽装、悪徳商法、欠陥商品といった消費者を巻き込む重大な問題が起きるたび、行政の対応は後手後手に回った。

一例が、昭和60~平成17年に21人が死亡したパロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故だ。
経済産業省内で都市ガスとプロパンガスなど所管する課が分かれていて情報が共有されず、積極的な対策が打てなかった。遺族からは「業者を守るために消費者をないがしろにした」という声も漏れた。

そうした反省から、消費者保護のため、各省庁にまたがる法律や権限を一元化する省庁が消費者庁だ。

所管する法律は29本。

  • 食品表示にかかわるJAS法
  • 悪質な訪問販売を取り締まる特定商取引法
  • 対マルチ商法の武器となる出資法
  • 不当表示などを規制する景品表示法

など生活に密着する法律がずらりと並ぶ。

内閣府を筆頭に、農林水産省、経済産業省などから約200人の職員が集まる見込みで、業者の不正などに対応できるよう警察OBらを非常勤職員として雇用する。

事案に対して対応が不十分な場合は、各省庁に改善を求める勧告をするほか、重大事案は直接業者に立ち入り調査する。「より悪質と判断した場合は捜査当局への刑事告発も辞さない」(内閣府)

窒息事故で平成7年以降17人の犠牲者を出している「こんにゃく入りゼリー」のように、規制する法令がない「すき間事案」についても、積極的に立ち入り調査などを行う。

消費者への直接のメリットもある。全国共通の電話番号が設置され、不満などを感じた消費者が掛けると、最寄りの消費生活センターに転送される。
窓口が一つになることで、「たらい回し」にされることもなくなる。

こうした一連の新しい消費者行政は、有識者の独立組織「消費者委員会」で監視する。

関係省庁との協議を進めていた内閣府は「縦割りだった消費者行政の大きな受け皿となる。これまでの視点と百八十度変わる省庁ができる意義は大きい」と自信をのぞかせている。

≪課題は… 被害者の救済 相談態勢の充実≫ 

課題も多く残されている。悪徳商法で業者が得た不当利益を没収し、被害者に還元する「救済制度」は導入が見送られ、法施行3年後をめどに検討することになった。
消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士は「業務停止や勧告も重要だが、お金を取り戻すことが消費者救済に直結する」と早期の法整備を訴える。

また、野田聖子消費者行政担当相が「インパクトのある船長を選びたい」と強調する長官人事も注目だ。
「これまでの霞が関にない役所なだけに行政運営の際、各省庁からの抵抗も予想される。能力のあるトップでないと動きが鈍くなる」(紀藤弁護士)

急務なのが相談態勢の充実だ。全国の消費生活センターは586カ所(20年4月現在)。都市部に偏在し、地方には相談員が1人だけという窓口も多い。

センター業務自体は地方自治体の管轄なだけに、首長の“やる気”が問われる。73の消費者団体で作る「消費者主役の新行政組織実現全国会議」の原早苗代表幹事は「消費者庁ができても、窓口が薄いのではどうしようもない」と拡充を呼びかけている。

この記事は、なかなか丁寧に分かりやすく書いてあると思います。

各種の事故でも、事故調査よりも刑事責任の追求を優先するのものだから、事故対策が進まないという指摘は何十年も前からありますが、航空機事故ですら刑事責任追及があるために事故原因そのものがウヤムヤになってしまう、のは今でも続いています。

刑事責任は元もと限定的に負わせるべきものであるけど、賠償に代表される民事責任はより幅広く対応できるようにするべきだし、将来の事故防止といった観点では社会的な責任を明らかにするといったことも重要です。

現在は刑事責任については社会を代表して国家が追求するわけですが、賠償など民事になると「民事不介入」として「ご自身でどうぞ」となってしまいます。
食品偽装などは一種の詐欺ですが、被害者が賠償を求めて裁判を起こすというのは、コストの面で実現不可能です。

結果として、民事的責任も社会的責任も負わないです済む場合が出てきます。
確かに市場経済で市場の評価は下がるでしょうが、社名を替える、ブランドを替えるなどといった事故原因に対策しない対応も出来るし、決してこれは少なくない。

ここらひっくるめて、「被害者救済」であろうし、何よりも「将来の被害防止」の観点で事故原因の解明にも範囲を広げて欲しいものです。

4月 29, 2009 at 11:18 午前 国内の政治・行政・司法 |

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: ビジネスマナーのメール | 2012/06/11 19:45:23

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