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2009.03.26

京都駅ビル大停電の正体

京都新聞より「業者「排煙機誤作動」京都駅ビル大停電 伊勢丹 ボタン 納入用通路に

京都市下京区のJR京都駅ビルで25日に起きた全館停電で、市消防局は26日、ジェイアール京都伊勢丹から、商品の納入業者が誤って排煙機のボタンに触れた可能性があると説明を受けていることを明らかにした。

排煙機の誤作動が停電につながった可能性が高く、市消防局は同日、京都駅ビル開発による調査に立ち会い、詳しく調べる。

京都駅ビル開発によると、誤作動した排煙機は、伊勢丹地下2階にある商品納入用の通路の壁に設置してある。
一般客は出入りしない場所で、停電約3分前の25日午後3時47分に、ボタンが押された記録が中央監視センターに残っているという。

市消防局によると、伊勢丹の防災担当者の社員が25日夜、聴き取りに対し、「出入りの納入業者の野菜を運ぶかごとか段ボールが誤ってボタンに当たった可能性がある」と話したという。

伊勢丹総務部は「現時点では特定できないのでボタンが押された経緯について引き続き調査する」という。

京都駅ビル開発の説明によると、排煙機の作動だけでは通常停電しないが、当時はビルの高圧受電設備工事中で電気回路の一部を遮断していたことも影響し、1時間の停電につながったという。

■おわび張り紙やフロントで謝罪 駅内のホテル

全館停電から一夜明けた京都市下京区のJR京都駅ビルでは、館内のホテルや百貨店などが通常通り営業し、平静を取り戻した。

ホテルグランヴィア京都では午前9時すぎ、停電時に一時停止したエレベーター前2カ所に説明板を設置し、停電原因やおわびの文言を掲載。
フロントではチェックアウトする宿泊客に係員が謝罪の言葉を掛けた。ジェイアール京都伊勢丹はいつも通り午前10時に開店し、直後から大勢の客が訪れていた。

この駅ビルではけっこうはでに迷って、ウロウロした覚えがあります(^_^;)

あんなデカイ建物が全館停電でエレベーターに人が閉じ込められた、というのが想像外でしたし、そもそもなぜ停電したのか?と思っていました。

  1. 高圧受電設備を一部止めていた
  2. 排煙機を誤作動させてしまった
  3. 全館停電になってしまった

といった順序で事態が進んだようです。

事故は2009年3月25日午後3時50分頃に発生しています。
停電は1時間後に回復していますから、交通の便、昼間であったこと、比較的短時間であったことなど、大きな問題に拡大しなかったのはラッキーと言うべきでしょう。

不思議なのは、これだけの大規模施設で非常発電装置が作動した様子が見えないのですが、読売新聞関西版にこんな記事が「京都駅ビル停電、非常用発電させず…関係者が失念

京都市下京区の京都駅ビルで停電が起き、ビル内のエレベーター7基に31人が閉じ込められるなどした事故で、停電が発生した際、関係者が非常用発電機を作動させなかったため、非常用エレベーターなどの防災設備に電気が供給されなかったことがわかった。

13基の非常用エレベーターが停止し、4基に10人が閉じ込められたほか、上層階にいた人の避難に利用できなかった。

ビルを管理する京都駅ビル開発は、「非常用発電機が作動していれば、よりスムーズな避難ができた」としている。

京都駅ビル開発によると、非常用発電機は通常、火災などの緊急時に自動的に作動し、非常用エレベーターや排煙装置などの防災設備に電力を供給する。

しかし、25日は、受電設備工事に伴い手動に設定されていた。

停電は、百貨店「ジェイアール京都伊勢丹」地下2階の排煙機のボタンが押され、さらに工事で電気回路の一部が遮断されていた影響で、電気供給システムが緊急事態と認識して発生。

この時、ビル10階の非常用発電機の近くに工事関係者がいたが、停電に慌てたため、作動させることを失念したという。

京都駅ビル開発は、排煙機のボタンが誤って押されることのないような設備改善や、停電に特化した防災マニュアルの整備を検討するとしている。

こうして明らかになってみると、典型的な「事故」ですね。
しかし、受電設備の一部停止で、全館が停電になる可能性があるというのは、設計としては冗長度が低すぎるのではないでしょうかね?

3月 26, 2009 at 04:51 午後 事故と社会 |

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コメント

監視システムが、停電+非常スイッチで、火災で停電が発生していると判断して、非常用電源に切り替えし、その際、商用電源を自動的に断(ブレーカーをOFFに作動させた)のでしょう。
防災的には、延焼防止が優先ですので、電源を止めて、危険要因を取り除くのはまともな設計と思われます。
非常電源に切り替えたところで、商用電源は復旧しません。読売の記事にあったとおり、非常用エレベーターが作動して避難がスムーズではあったでしょうが、通常の営業は無理だった。

投稿: たろう | 2009/03/26 21:30:14

追記
非常用電源が自動的に立ち上がらなかったのは、ミスかも知れませんが、そこも受電設備の点検項目だったのでしょうね。
このシステム的な連動は、業者でさえなかなか気づかないもので、いろいろなケースを想定しなければいけないのです。
今回は、停電時の対策がお粗末だったことを暴露されてしまいましたが、業者を責めるばかりでなく、駅ビルさんも反省してほしいです。

投稿: | 2009/03/26 21:35:23

読売さんの記事の通り、排煙機のボタン改良や、停電に特化した防災マニュアルの整備がまともな対策でしょうね。
あと、点検中は、監視システムでブレーカーを落ちないようにプログラムを書き換えるとか?
(監視システムの改良)

投稿: たろう | 2009/03/26 21:42:20

私も、たろうさんに同感です。

安全第一という思想からは、今回のような事態が発生するのはある程度やむを得ないでしょう。

火災報知機の誤報が通常業務に影響するという問題と同じです。誤報をいかに少なくするかということは重要ですが、安全確保のための警報や停電を少なくするために冗長度を大きくするのでは本末転倒でしょう。それは警報のスイッチを切るのと同じです。

投稿: zorori | 2009/03/26 23:05:13

あの建物は、460メートルぐらいあるおそろしく長大なものですが、それが全館停電というのに驚いたわけです。

ホテルとデパートが同時に停電しているのですが、東西の端で、間が駅といった構造です。

まあ、電気が三系統でも問題無いと思うんですよね。
実際に、一体の建物としてのメリットは利用者の立場からは感じられなかったし・・・・。

投稿: 酔うぞ | 2009/03/27 0:37:47

>あの建物は、460メートルぐらいあるおそろしく長大なものですが、それが全館停電というのに驚いたわけです。

あ、勘違いでした。
的外れなコメントで失礼しました。

投稿: zorori | 2009/03/27 17:30:02

あれだけ巨大なビルの塊の電源管理が1箇所とは凄まじい。イニシャルコスト削減の最たるモンですね。
工事の時点で、受配電設備室まわりの電線が凄まじい量で、とんでもない事態なことを設計者は目をつぶったのだろう。あるいは、設計時点で目をつぶったか。

さらに、非常電源まで手動で落としていたとは・・・。火災予防と遮断関係(報知器、排煙機、防火・防煙シャッター、スプリンクラーetc)は動いていたのですかねー。もしこっちまで止まった瞬間があったとすると、とんでもない事態も起きていたわけです。

少なくとも、駅舎、百貨店、ホテルの3系統ごとに受配電設備を作るべきだったのは明白ですね。

今の電子制御じゃなく、リレーや手動スイッチの制御の方が安全だったりするかも、と思ってニュース見てました。

投稿: 昭ちゃん | 2009/03/29 0:12:09

>少なくとも、駅舎、百貨店、ホテルの3系統ごとに受配電設備を作るべきだったのは明白ですね。

いや、多分そんなに明白ではないと思います。

建物を3つの部分に分け、それぞれを独立に受電引き込みをすれば、全体が同時に停電する確率は格段に減りますが、それぞれの部分の停電の確率は変わりません。ただ、人間の心理として、確率は同じでも、このような危険分散を好むという傾向はあるようです。分散するわけですから、どこかの部分が停電する確率は増えまけど。

それも避けたいのなら、引き込みの系統を複数にし、それぞれの系統から建物全体に配電するという多重化を行え良いわけですが、コストはアップします。原発などはそうなっています。

一般の建物の設計や法規制では大規模施設の危険分散という思想はあるような無いような状況です。設備系統はいくらでも分散できますが、構造安全性は物理的に分散出来ない場合があります。平面的な分割は可能ですが、1階の柱はそれより上の層の荷重を支えないわけにいきませんから、上下の分割は不可能です。つまり超高層ビルなどは1階の柱が壊れれば全体が崩壊しますから、危険分散の思想からは作ってはいけないことになります。でも現実には作っていますし、一概に言えない面があります。

投稿: zorori | 2009/03/30 21:10:51

皆さんの言うとおりですね。今回反省すべき点として、1排煙釦。これは誰もが押しやすいものである。すなわち、業者がぶつけて誤作動することもしばしば、あと、イタズラで押される事、外国人が間違えて押す事。JR京都伊勢丹では1年間で約5回程度押されています。でも、非常時に誰もが押しやすいように設計されているぶん、これらの改良は難しいと思われる。2高圧受電設備工事。これは京都駅ビル開発が業者に依頼した工事である。もちろん、事故等の想定のマニュアル等作成していたはず。が、もしかしたら何もそうていせず工事を行った可能性が高い。
>この時、ビル10階の非常用発電機の近くに工事関係者がいたが、停電に慌てたため、作動させることを失念したという。
↑上記の記事より。
3中央監視室。10階の非常用発電機室や2階のコージェネ発電機室に行くまで時間がかかる。が、最短でも5分程度。

京都駅ビルには3つの防災センターがある。
中央防災センター(以後 中央防災)
百貨店サブ防災センター(以後 百貨店防災)
ホテルサブ防災センター(以後 ホテル防災)

中央防災では、主に2つのGR型受信機盤がある。
1、駅・共用部のGR盤
2、橋上駅部のGR盤

1、は常に連動切
2、は常に連動入

百貨店防災では、
1、常に連動入のGR盤

ホテル防災では、
1、常に連動切のGR盤

ここで注目すべき点は、百貨店防災である。
常に連動入の状態。すなわち、災害時に防災設備が連動して働く所です。

もし、これが連動切の状態なら排煙釦を押しただけでは今回の停電は起こらなかったはず。しかし、百貨店としては、万が一の為に防災設備機器を働かせる為に連動を入に入れている。

隣接連動
隣り合うGR盤区画で隣で火災等が発生した場合、火災ではない区画のGR盤が作動する。すなわち、シャッターの緊急降下など。

仮に百貨店以外でも連動入の所で排煙釦を押されると、同じような停電が起こるだろうと思われる。

非常用エレベーターが止まるほどの停電。
当時、現場に居た私が確認したところ、自動火災報知機の発信機のランプが消灯していた。すなわち、消火栓、スプリンクラー等のポンプを利用して消火を行う装置はまったく動かなかっただろうと想定されます。

これが実際の火災でこのような停電が起これば、かなりの死者や負傷者が出ただろう。

ですが、今回の停電で負傷者等がでなくて幸いだったのではないのでしょうか?


反省すべき点として、事故の未然防止が出来なかった事。緊急時のマニュアルがなかった事だと思います。

今後は、この点をみっちりと対策をし、マニュアルを作成してほしいです。

投稿: 新都 | 2009/03/31 10:48:48

新都さん、詳しいリポートで感心しております。現場におられたようですが、

>当時、現場に居た私が確認したところ、自動火災報知機の発信機のランプが消灯していた。すなわち、消火栓、スプリンクラー等のポンプを利用して消火を行う装置はまったく動かなかっただろうと想定されます。

消防システムは停電時にも何分間かははたらかなくてはなりません。もし新都さんが見られた状況が停電直後だったら、これは大変なことだと思います。あってはならないことです。

もう1点、この巨大ビルは多分スポットネットワーク受電でしょうが、排煙操作ボタンが押されて、消防連動が「入り」になっていると、この条件で受電遮断機を開放するシーケンスになっているのでしょうか。私もビル管理の仕事をしていますが、そんなシーケンスはありえないと思っています。

確かに排煙操作ボタンは停電3分前に押されたのでしょうが、これでほんとに全館停電しますか。私は排煙誤操作はたまたまで、本当の原因は電気工事のミスではないかと、勘ぐっています。

新都さんは、現場に居たようですが、図面でシーケンスを確認されたのでしょうか。一人のビルメン社員として、この停電原因に非常に注目しています。続報を期待しています。

投稿: KIM | 2009/04/02 21:01:31

続報。
近々、停電の原因の一つだった高圧受電設備工事の工事が再開するそうです。まぁ、打ち合わせの会議の予定があったが、会議が中止になったりと。詳しい日時は不明ですが…
まぁ、近々再開するでしょう。
今の所の情報として、工事は夜間に行われる予定です。そりゃ昼間だとまた停電になるかもしれませんしね。ただし、これだけ大きい京都駅ビルですので、他の工事との兼ね合いもあり、再開は当分先になる可能性も。現在は、シャッターの安全装置取り付けの工事等も行われていますし。

投稿: 新都 | 2009/04/11 22:30:51

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