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2009.03.30

シンドラーエレベータ事故・メーカの担当者を立件

サンケイ新聞より「シンドラー社 週内にも書類送検 EV事故 情報引き継ぎ不十分

東京都港区のマンションで平成18年6月、都立高2年生=当時(16)=がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、警視庁捜査1課は29日、保守点検に必要な過去のトラブル情報を保守点検業者に十分に引き継がなかったことなどが事故につながったとして、業務上過失致死の疑いで、製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)と保守点検を請け負った「エス・イー・シーエレベーター(SEC)」(台東区)の担当者ら数人を週内にも書類送検する方針を固めた。

シンドラー社は事故の1年以上前に保守点検業務から外れ、事故機はかごの上下動を指示する制御盤などに構造上の欠陥がなかった可能性も高い。

このためシンドラー社の過失の立証は難航したが、捜査当局は「メーカーが一義的に責任を負うべきだ」との認識から捜査を続け、情報の引き継ぎが不十分だったと判断。発生から約2年10カ月で立件にこぎつけた。

同課によると、事故機はブレーキドラムを左右からブレーキパッド付きのアームで挟んで静止させる。
制御盤と連動した電磁コイルが作動してアームが開閉されるが、コイルの不具合でパッドが完全に離れないままドラムが回転したことでパッドの摩耗が進み、ドラムを押さえつけられなくなったとみられる。ブレーキ周辺ではパッドが削れてできた黒い粉が落ちていた。

SECの点検員は事故の9日前に事故機を点検していたが、「黒い粉はなかった」と供述。しかし同課は同機種の再現実験で点検前には黒い粉が落ちるなど異常があり、点検員が見落とし、パッド交換などの処置を怠ったと断定した。

同課によると、シンドラー社は10年から17年3月まで事故機の点検を請け負っていた。

この間に事故機でトラブルが度々あり、16年11月にはブレーキの不具合も発生。

同課はシンドラー社側から事情聴取を重ね、過去のトラブルに関する情報が後継の保守管理業者だったSECなどに引き継がれず、SECによる保守点検を不十分にさせた一因との結論に達したという。

毎日新聞より「エレベーター事故:シンドラー社員も立件 6人書類送検へ

東京都港区のマンションで06年、都立小山台高2年生(当時16歳)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、警視庁捜査1課は週内にも製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)と保守管理会社「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)の担当者計6人を業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めた。

シンドラー社についてはエレベーターの製品自体には欠陥がないとして、立件は困難と見られてたが、稼働当初の7年間に保守管理も請け負っていた点を重視。故障情報や点検マニュアルなどを引き継いでいれば事故は防げた可能性が高いと判断した模様だ。

高校生は06年6月3日午後7時20分ごろ、港区芝の自宅マンション12階で、降りようとしたエレベーターの扉が開いたまま急上昇し、建物の天井とエレベーターの床との間に挟まれ死亡した。

港区などによると、シンドラー社はエレベーターの稼働が始まった98年4月~05年3月まで保守管理を担当。その後は別の会社が引き継ぎ、事故2カ月前の06年4月からエス社が担当していた。

シンドラー社は事故後の会見で、保守管理を担当していた7年間で住民が閉じ込められるなどの故障が27件あったことを明らかにしている。

捜査幹部によると、04年11月にはブレーキの不具合が原因とみられるかごの停止もあったという。しかし、シンドラー社はこれらの故障情報などを引き継がず、点検マニュアルも渡していなかった疑いがある。

一方、エス社は、点検作業員(29)らが事故9日前に点検した際、ブレーキパッドの摩耗で出た粉の堆積(たいせき)などの異常を見逃した疑い。

捜査1課の実験で、事故機はブレーキを作動させる電磁コイルに不具合が生じ、ブレーキがかかった状態での運転が続いたことが判明している。このためブレーキパッドが摩耗し、ブレーキが機能しなくなり、かごが急上昇したとみられる。
【佐々木洋、古関俊樹、神澤龍二】

◇消費者保護の流れが加速

警視庁が製造元の「シンドラーエレベータ」の担当者を立件する方針を固めた背景には、製品による被害の防止や救済を目的とした消費者保護の流れを重視したことがあるとみられる。

事故機を巡っては、シ社が保守管理を請け負っていた稼働当初の7年間で計27件の故障が発生。
当初はエレベーター自体の欠陥を問う見方もあった。しかし、製品には問題がないことが判明したため、警視庁は故障情報や点検マニュアルを引き継いでいなかったという点に着目し、立件の「壁」を突破した。

エレベーターの保守点検は、大手メーカー系列の会社と「エス・イー・シーエレベーター」のような独立系に分かれる。
業界関係者によると、大手は秘密保持を理由に自社系列でない会社に設計図などを渡さないことが多いという。

シ社は事故後の会見で、点検マニュアルなどについて「業者側から要請がなかった」と説明した。

事故を受け、国土交通省は定期検査・報告制度(年1回)を見直すなど建築基準法令を改正。エレベーターの所有者に、自治体への故障情報の報告を義務づけた。保守会社の間での情報共有などを目指したものだが、メーカーを含めたすべての関係業者が事故を教訓に徹底した安全対策を進める必要がある。【佐々木洋】

個人的な感想としては、どうにも抵抗がある立件ですね。

エレベーターの設計思想に問題があるのではないのか?と思いますが、製品がどのような設計思想で作られていて、どういう使い方をするべきなのかは購入者が判断するべき事柄でしょう。

そうなりますと、エレベーターのように複数のメーカーがありビルのオーナーが設備として選択するときに、どのような判断基準で購入したのか?によっても、事故になる・ならないといった現実があると考えます。

すべての工業製品が、一様の性能を持つことはあり得ないわけで、例えば「メンテナンス費用を掛ければ長期間使える」、というヨーロッパの自動車の設計と「短期間で更新するからランニングコストは安い」という考え方の日本車は、何十年か前は全くの別物と言っても良いほどの違いがありました。

この事故は、電磁ブレーキの故障が原因です。
電磁ブレーキの電力が切れますと、バネの力でブレーキが掛かる仕組みになっていました。
これが、不良になって、常時ブレーキパッドが接触していたために、摩耗してしまったついにはブレーキが利かなくなって、重りに引っ張られたかごが勝手に上昇しました。
ということでした。

制御的には、ブレーキが掛かっている状態の時に、それが制御信号以外の状況であるとこを関知する動作確認機構が無かったのではないのか?と思われるのですが、もしそうであれば根本的に設計が危ういというべきでしょう。

設計ミスが死亡事故になった、と判断して良いと思うモノには、三菱ふそうの車輪脱落事故がありました。
しかし、これも国交省がかなり怒っていたようですが、結局は設計ミスとはなりませんでした。

こうなりますと、事故調査委員会の拡充をして、非常識な設計について危険を指摘するようにするべきだと強く思うのです。
個人の責任を追及して、かかわる人を恐れさせても、事故原因が無くなるわけではありません。それでは社会は進歩しません。

3月 30, 2009 at 10:39 午前 もの作り |

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コメント

2009/5/14,15日の2日間、シ-社による初の技術説明会が開催され、エレベータ機器側に問題があったとの事、、、保守業務云々ではなくて。

■原因系:ソレノイドの巻き線に部分的に短絡。
■再発防止対策関係;2009/3月から「ソレノイドの状態を監視する装置」の無償設置を開始。

参照;日経BP社ーTECHONより 2009/05/18
「シンドラーエレベータ,東京都港区のエレベータ事故に関する技術説明会を初めて開催――ソレノイドの部分的な短絡に言及」

*解決策とされている装置をいかに速やかに導入するかに移ってます、、、シ-社の開発部門の全面的な技術指導が必須となりますが。
 参照URL:http://blogs.yahoo.co.jp/nipponsaisei_lab/29157105.html

投稿: 藤沢一郎 | 2009/08/06 8:59:18

「エレベータシステム」は様々な要因で故障するでしょう。
しかし、駆動装置、制御器等主要機能の故障/不具合があろうが、それが保守・点検漏れに起因しておろうが、「エレベータシステム」の破綻という最悪ケースに陥っても”最後のフェイルセーフ機能”をもって”かご”を制止できなければなりません、、重大事故の発生を避けるため。

””かご”の暴走が何故起こったか”の原因究明に多くのエネルギーが使われてきましたが、””かご”の暴走を何故制止できなかったか”の視点での原因究明が抜け落ちていたようです、、重大事故を引起した直接の原因だが。

一方、エレベータの基本機器デザイン上、「安全対策」として致命的な”機能不足”があったとして、今になって政令(9/28/2009施行)にて”ブレーキの二重化”+その他が義務付けされました。
 (自転車さえ前後別系統のブレーキがあり、一方が故障しても暴走は避けられます)

【政令による追加機能】
(1)「戸開走行保護装置」(ブレーキの二重化+独立した戸開走行判定装置) 
(2)「地震時管制運転装置」

▲新規工場出荷分 :(1)+(2)、      いつから?=9/28/2009以降 
▲既設分(稼動中):補助ブレーキ取り付け、いつから?=数年後に義務化

{既設分}については、ユーザー側が製造メーカーに”補助ブレーキ”を求めて行動する必要あります、、暴走リスク/再発リスクが残ったままですから。
”本件”は、保守云々ではなくて、機器デザインに安全対策上重大な瑕疵があったことが露呈したものと申せましょう、、国交大臣の認定がありながら。
http://blogs.yahoo.co.jp/nipponsaisei_lab/29912886.html

投稿: 藤沢一郎 | 2009/10/13 5:43:16

<真の原因>・<再発防止策>は何か?

本件を一言で言いますと、”かご”が暴走するのを制止できなかったのが”問題”です、、”最後のフェイルセーフ”が無いために。

”重大事故”を引き起こした「真の原因」及び「再発防止策」は次のようになります。

●「真の原因」 =”最後のフェイルセーフ無し”
●「再発防止策」=”補助ブレーキ”を追加

結局、”エレベーターの設計思想に問題があった”となります。

参照;
エレベーター事故_起訴中_⑯【真の原因】【再発防止策】明確化なる_まとめ1_チャート追加 10/27/2009
http://blogs.yahoo.co.jp/nipponsaisei_lab/30208417.html

投稿: 藤沢一郎 | 2009/11/07 6:12:20

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