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2009.02.19

GMとクライスラー問題

日経新聞社説より「混迷続く米ビッグスリーの再建(2/19)

米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは米政府に新たな再建計画を提出し、両社合計で216億ドル(約2兆円)の追加支援を要請した。米自動車市場の落ちこみは止まらず、公的支援はさらに膨らむ恐れがある。
発足早々のオバマ政権は難しい判断を迫られる。

GMとクライスラーは昨年末の政府決定で計174億ドルの公的融資を受けた。ところが、その後も資金流出に歯止めがかからず、追加支援を要請せざるを得なくなった。
GMなどは人員削減やブランドの整理を進めると表明したが、それで収支が均衡するかどうか微妙だ。

再建の具体策をめぐって、関係者間の調整が難航していることも前途の多難さを示している。
退職者向けの医療保険基金への拠出について、GMは負担軽減を要求しているが、全米自動車労組(UAW)は譲らず、着地点は見えていない。

債権者に対しては「債権の株式化」を求めているが、こちらも先行き不透明だ。債権を株式化できれば貸借対照表の強化につながり、金利負担も軽減されるが、債権者の合意を取り付けられなかった。

米自動車危機はGMなどの大手3社(ビッグスリー)にとどまらず、部品会社にも広がっている。
米自動車部品工業会は破綻回避のために最大255億ドル(2兆3000億円)の支援を政府に要請した。
部品会社が破綻すれば、そこから部品を購入する日系企業にも支障が出る。

米政府としても多数の雇用を抱える自動車産業の先行きに無関心ではいられず、ガイトナー財務長官らが率いる特別チームをつくって、追加支援の是非などを検討する。

GMが倒産した場合の世界経済に与える衝撃を考えれば、追加支援もやむを得まい。
だが、公的支援は緊急避難のための一時的な措置で、そこから先は企業独自の力で経営を立て直す必要がある。
そのためにはUAWなどの関係者も痛みを分かち合う覚悟が不可欠だ。

いま世界的に自国企業優先主義の風潮が高まっているが、その出発点は米政府によるビッグスリーの救済問題だった。
近く訪米する麻生太郎首相も、オバマ大統領に対して、自国企業の保護が行き過ぎないようしっかりクギをさしてほしい。

民間企業は自由競争による優勝劣敗が原則であり、政府支援はあくまで例外措置だ。これが常態化すれば、競争条件はゆがみ、産業構造の転換も進まない。
自由競争の原則に立ち戻るためにも、ビッグスリーの一日も早い経営再建が望まれる。

読売新聞社説より「米自動車再建 大統領は追加支援するか

経営危機に陥った米自動車大手の再建の道筋はいまだに霧の中だ。追加支援するかどうか、オバマ大統領は、難しい決断を迫られよう。

大手3社(ビッグスリー)のうち、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーが、経営再建計画を政府に提出した。

昨年末、政府が両社に緊急のつなぎ融資を決め、破綻(はたん)を一時的に回避した際に義務付けていた。

その再建計画の柱は、資金繰りに苦しむGMが、最大166億ドル(約1兆5000億円)の追加支援を要請したことだ。クライスラーも、50億ドル(約4500億円)を新たに求めた。

国がすでに投入した分を含めると、GMへの支援額は合計で300億ドル、クライスラーは90億ドルに達する計算だ。

支援額が際限なく拡大しかねない事態に対し、議会や国民の間から、厳しい批判が高まることも予想されよう。

両社は一応、リストラ策も打ち出した。GMは、世界全体で4万7000人の従業員を削減し、2012年までに米国で計14工場を閉鎖する。クライスラーも従業員3000人を削減する。

巨額支援を再び仰ぐ以上、当然の対応だ。しかし、最も肝心な点が盛り込まれなかった。それは、GMで言えば、約600億ドルに上る巨額債務と、割高な労働コストの削減策である。

再建計画の提出期限までに、これに抵抗する債権者や、全米自動車労組(UAW)との交渉がまとまらなかった。

今後の焦点は、両社が、債務削減と労働コストの削減の具体策を早期に決定できるかどうかだ。UAWも、このままでは業績不振に拍車がかかるという厳しい現実を見つめ直すべきでないか。

米国新車市場は急速に冷え込み、米自動車各社の販売不振は深刻だ。こうした逆風のもと、売れる車をどう作っていくかという、具体的な戦略も欠かせない。

オバマ政権は、3月末までに再建計画の実現性を精査し、追加支援の是非を判断するという。

納得できるような追加策を盛り込まないと、政府は計画を承認できまい。

そうなれば、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11章の適用が現実味を帯びる。GMなどを顧客とする日本の部品業界や、米国内で部品調達する日本車メーカーへの影響も懸念される。

経営再建か、破綻か。ビッグスリーの苦闘はまだ続く。

(2009年2月19日01時37分 読売新聞)

どちらも社説で取り上げては、いるものの「全米自動車労組(UAW)の対応次第だ」とも取れるわけで、実際にGMが政府に追加の融資を求めた際にも、全米自動車労組(UAW)との話し合いは事実上全く進んでいなかったようです。

高コスト問題の中核に、退職者の医療保険という問題があって、対象者が何人なのか分かりませんがこんなビジネスモデルは企業の縮小に対応できないのが当然で、想像するに全米自動車労組(UAW)としては企業に対して「企業活動の縮小自体を認めることが出来ない」といったことなっているのでしょう。
もしそういうことであれば、まるで交渉のしようがないわけで、世界中の自動車メーカーが大減産に向かっている現在、GMの(日本の)民事再生法適用、クライスラーの清算という展開もあり得るでしょう。

アメリカの自動車メーカーとしては、GMが一番内向きで国際化がまったくできていませんが、クライスラーは比較的世界メーカーとして国際化した自動車を作っているように思います。
極端な予想をすると、GMの清算、クライスラーの救済というのも経済合理性の点からはあり得ることかもしれません。

全米自動車労組(UAW)が了解するような、医療保険給付の減額が出来るのであれば、ここまで問題が長引くことはなかったでしょう。
つまり、手の打ちようがないのでは?と思っています。

2月 19, 2009 at 09:41 午前 国際経済など |

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