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2009.02.25

Google はやはり強引ではあるな

読売新聞より「日本の作家びっくり!申請なければ全文が米グーグルDBに

検索大手グーグルが進めている書籍全文のデータベース化を巡って、同社と米国の著作者らが争っていた集団訴訟が和解に達し、その効力が日本の著作者にも及ぶとする「法定通知」が24日の読売新聞などに広告として掲載された。

著作者らが自ら申請をしなければ、米国内でのデータベース化を拒めない内容で、日本の作家らには戸惑いもある。

集団訴訟が起こされたのは2005年。米国内の大学図書館などと提携し、蔵書をデジタル化して蓄積する計画を進めていたグーグルに対し、全米作家組合と全米出版社協会が、「著作権への重大な侵害」などとして訴えた。
両者は昨年10月に和解で合意、今夏にも出される連邦裁判所の認可を待って発効する。

合意の対象は、今年1月5日以前に出版された書籍で、同社は、

  1. 著作権保護のために設立される非営利機関の費用3450万ドル(約32億円)
  2. 無断でデジタル化された書籍などの著作権者に対しての補償金総額4500万ドル(約42億円)以上をそれぞれ支払う。
  3. 見返りとして同社は、絶版などで米国内で流通していないと判断した書籍のデジタル化を継続し、書籍データベースアクセス権の販売や、広告掲載などの権利を取得することが定められた。
  4. また、対象書籍に関連して同社が今後得る総収入の63%を著作者らに分配することも決まった。

また、著作権者は、オンライン上での使用を望まない場合、2011年4月5日まで、同社側に自著の削除を求めることができる。

さらに、和解に拘束されることを望まない著作権者に対しては、和解からの「除外」を認め、今年5月5日を除外通告期限としている。

和解の効力は米国での著作権を有する人すべてが対象となる。

著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定で、加盟国で出版された書籍は、米国内でも著作権が発生するため、影響は世界中に及ぶ。

このため法的手続きの一環として、今月に入って、世界200以上の国・地域、72の言語で和解合意内容を伝える通知の掲示が開始された。

グーグルは和解で、絶版や品切れ状態の書籍本文の入手が容易になると利点を強調、本文閲覧を含む新サービスは米国内の利用者に限られるとしている。
ただ、和解に巻き込まれる形になった日本の著作者団体は戸惑いを隠せない。

日本文芸家協会の三田誠広副理事長は「届け出なければ権利が保障されないのはアメリカ的なやり方だ。
アメリカで流通していない日本の新刊書がネット上で見られる恐れがある」と危機感を募らせる。同協会は、3月上旬の理事会で、会員の意思表示の手続き代行などの対応を議論する予定。

一方、著作権に詳しい福井健策弁護士は

「グーグルの説明が分かりにくいのは改善するべきだが、著者や出版社にとって長所も短所もある和解内容だ。音楽のように書籍もネット配信する文化が普及していくのか、注目している」

と話す。

図書館との提携事業は、現在、「googleブック検索」の一部となっており、700万件以上の書籍をデジタル化している。

いきなりすごい和解内容が世界中に適用されるというのは、いささか以上に違和感を感じますが、ネットワークは国境を越え、法律は国境を越えられない、があからさまに現れた、と感じます。

そもそも、 Google は商業出版された本のデータベース化を目指したのでしょうから、広く著作権一般に適用されることはないわけで、逆にネット上の論文などはバンバン検索されて当たり前、となっているのですから日本文芸家協会は具体的にどういう事になっていくと問題になるとしているのか、順を追って見解を明らかにするべきでしょう。

元々、出版業界は書評については「基本的に自由にやってよい」という姿勢でした。

わたしが、NIFTY-Serveの冒険小説フォーラムでオンライン書評を始めたときにも、一部からは「著作権の許諾を毎回取らないと・・・」という心配を言われましたが、普通の紙媒体での書評と同じレベルなら文句は言われないだろ、とやってみたら現在に至るまで、書評の体裁を取っているサイトなどが問題になったことはありません。

こんないきさつを考えると、書籍データベースや書評集といったものは、出版社や著作者にとっても「有利なこと」と認められていたわけですから、 Google が世界的な規模でデータベース化するのは時間の問題と言えました。

日本文芸家協会の三田誠広副理事長は昨日の朝日新聞の記事上で「わたしの作品がデジタル化されることには反対」といった意見を述べていましたが、これは分かりやすく言えば「売るお店を作る側が指定する」といういわば形あるものの物流の話であって(それも自由に売り手が決めることは出来ない)本質的に無形である著作物の流通方式に文句を言うのは意味がないだろう、と強く感じたところです。

こういうレベルで対 Google 闘争をしようとしても全く無理だ、ということだと強く思うのですがねぇ。

2月 25, 2009 at 09:14 午前 日記・コラム・つぶやき |

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コメント

ちと訳あって調べたら、既にアメリカの大学図書館で日本で出版された本のかなりの量がデジタル化済。ことによると、既に近々デジタル化完了の目処がついているから期限まで短い「法定通知」を送りつけたと読んだ方が適切かな。

投稿: 昭ちゃん | 2009/02/26 8:24:20

頭に来ているのは、著作権にうるさい米国の、大学図書館が、著作権管理者(オレ)に無断でオヤジの本を電子化していたこと。

投稿: 昭ちゃん | 2009/02/26 22:31:31

ストリートビューといい、「世の中のためになる」という「正義の御旗」を振りかざし始めてきたような・・・。
この会社は猛スピードで成長した分、老化も早いのでしょうか?
そろそろ瓦解が始まる時期かも知れませんねぇ。(;´д`)トホホ…

投稿: 我楽者 | 2009/02/27 0:46:51

著作権とは何か?というのをちゃんと整理する時期になったのでしょうねえ。

著作権は発表しないと意味無いですからね、書いた時点では無いはずなんですよね。

それなのに、日本の著作権法はそこらを明確にしていない。

どっちかというと、著作者が著作権を宣言しない限りは、著作権無しあるいは著作権を行使できない、という著作物がある方が自然ではないか、と思うのです。

投稿: 酔うぞ | 2009/02/27 8:57:05

>著作者が著作権を宣言しない限りは

インテルの8086は著作権表示を忘れたばかりに、著作権の保護を受けられなくなったとか...

自然かどうか以外に、実務上の問題がありそうです。

投稿: 多分役立たず(HNです) | 2009/03/01 6:35:38

>著作権表示を忘れたばかりに

一方の日本にはこんな宣言している機関も。
「自由に使っていただくことを目的としていますので,このプログラムには著作権がありません。自由にダウンロードして使ってください。」
(財団法人 日本建築総合試験所)

投稿: 昭ちゃん | 2009/05/10 19:11:50

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