« 検察が無罪判決の理由になった証人に家宅捜索。 | トップページ | 精神鑑定を分離した裁判 »

2009.01.24

タラップ落下・死亡事故

朝日新聞より「フックのボルト折損 タラップ落下原因か 造船所の事故

大分市の南日本造船(本社・大分県臼杵市)大在工場で23日にタラップが落下した事故で、船体に掛けていた先端のフックがタラップから外れたのが原因だったことが、わかった。

死傷者は作業員26人に増えた。

同社はフックの強度を把握しておらず、落下防止用ワイヤで船体とつなぐ措置もとっていなかった。大分県警は業務上過失致死傷容疑で、大分労働局も労働安全衛生法違反容疑で調べ始めた。

死傷した26人はいずれも下請け会社の作業員。けがをした24人のうち、一人が水中転落による急性呼吸不全で重体となっている。

県警や南日本造船などによると、タラップは鉄製で長さ約30メートル、幅約1メートル、重さ約3トン。
午前9時20分ごろ、クレーンでタラップをつり上げて岸壁から高さ約10メートルの位置にある右舷の開口部にかけ、作業員が上った際に落ちた。

タラップの先端にはフックが左右2本ずつの鉄製ボルト(直径18ミリ)で固定されていたが、すべて外れ、県警が3本を海中から回収すると、いずれも折損していた。
タラップと船体はワイヤでもつなぐことになっていたが、ワイヤは使われなかった。

運搬船は22日に進水。それ以前は船体の開口部と同じ高さに足場がある作業場で建造していたため、タラップは水平に渡して使っていた。
階段のように斜めに船体にかけたのは23日が初めて。

斜めにかけるために、下請け業者がフックを取り付けた。
同日は作業開始が約1時間遅れ、大勢の作業員がタラップを上っていて事故が起きたという。

同社は23日夕の会見で、フックとタラップの接合部の強度を把握しておらず、何人乗れるのかを現場に示していなかったことを認めた。
吉田泰社長は「事故が起きたのは当社のミス。安全確認が完全ではなかった」と謝罪した。

厚生労働省は安全衛生部門の専門官を現地に派遣した。大分県警は24日午前10時から現場検証を行う。

昨日(2009/01/23)の第一報からかなり混乱気味に情報が出てきていました。
この記事を元に問題になりそうなところを挙げてみます。

  • タラップは鉄製で長さ約30メートル、幅約1メートル、重さ約3トン。
  • 岸壁から高さ約10メートルの位置にある右舷の開口部にかけた。
  • タラップの先端にはフックが左右2本ずつの鉄製ボルト(直径18ミリ)で固定されていた
  • 県警が3本を海中から回収すると、いずれも折損していた。
  • タラップと船体はワイヤでもつなぐことになっていたが、ワイヤは使われなかった。
  • フックとタラップの接合部の強度を把握しておらず、何人乗れるのかを現場に示していなかった。
  • 以前は船体の開口部と同じ高さに足場がある作業場で建造していたため、タラップは水平に渡して使っていた。
  • 階段のように斜めに船体にかけたのは23日が初めて。
  • 斜めにかけるために、下請け業者がフックを取り付けた。

死傷者が26人ですから、50人ぐらいが乗っていたかもしれませんね。
タラップそのものは以前から使っているようですし、壊れたのがフックのボルトだけであるようなので、新たに付けられたフックに問題がありそうです。

直感的には、18ミリ(?)のボルト4本が破断するほどの重量が掛かったとは思えません。
そこで考えてみると、幅1メートル長さ30メートルのタラップが3トンというのが「本当か?」と感じます。

Up

この写真を見ると、このタラップの構造は上下左右で合計4本のチャンネル材が通っているようですね。
この部材の板厚が2ミリぐらいなのでしょうか?それでも3トン以下に出来るものなのか?

仮に50人乗ったとすると、5トンぐらいは静止重量で増加しそうです。そうなると、どうも折れたボルトには瞬間的には50トンぐらい掛かっても不思議ではないですね。

こんな風に考えてみると、どうもボルトの強度が見事に余裕が無かったようです。
水平に渡していたときには、タラップは滑っていたのでしょう。それがフック → ボルト → タラップという構造になって、全ての荷重が4本のボルトにかかった。
振動や衝撃などが無い静止荷重では問題が無かったのが、作業員の歩く振動や船の動き等で、限界を超えた、ということでしょうか?

それにしても、船に掛けるタラップをフックで引っかけるのなら、地面側にはローラーなどで水平に動くようにする必要があるし、船側のフックも自由に回転出来るようにしないとまずいですね。
なんか変だなあ?

Up1

【追記!!】

読売新聞より「大分・造船所の死傷事故、落下タラップの重さは会社発表の倍

大分市青崎の南日本造船大在(おおざい)工場で23日、建造中の船に架けられた鋼鉄製タラップ(長さ29メートル、幅90センチ)が落下して2人が死亡、24人が重軽傷を負った事故で、大分労働局が事故後にタラップの重量を計ったところ、同社が発表した重量の2倍以上の6・8トンだったことが24日わかった。

同社の工場長は24日午前、読売新聞の取材に対し、「実際の重さは把握していなかった」と話した。

同社は、社長らが出席した23日午後の記者会見で、「タラップの重さは約3トンで、1・5トンの重みまで耐えられる」と説明した。3トンの根拠については、「タラップをつくらせた大分県内の下請け会社の報告」としていた。

しかし、大分労働局が23日の事故直後、クレーンでタラップをつるして重量を計測したところ、6・8トンだったことが判明した。

(2009年1月24日16時07分 読売新聞)

ブツを見て重量が判断できないのなら、製造業には不適ですよ。>工場長

1月 24, 2009 at 01:37 午後 もの作り |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2299/43839632

この記事へのトラックバック一覧です: タラップ落下・死亡事故:

コメント

何人も並んで歩調が合うと、ユサユサと多少なりとも交番荷重が加わったか?だとすると静荷重よりずっと不利になるのでは?

投稿: テスラ | 2009/01/26 2:04:42

テスラさん

>何人も並んで歩調が合うと、
>ユサユサと多少なりとも交番荷重が加わったか?
>だとすると静荷重よりずっと不利になるのでは?

もちろんその通りだと思いますし、第一写真で見ると「フック」はタラップの幅一杯のカギ形の巨大なものです。

相手は船だから、6軸に動くわけです。
例えば、船が前後に傾斜したら、フックが船に掛かっている部分で、一方だけが引っかかっている状況になります。

常識的には、ジョイントなどがあるべきところをソリッドにしているのですね。

ひどい話だと思います。

投稿: 酔うぞ | 2009/01/26 17:03:46

大分合同新聞から

折れたボルトが写っています。労働安全衛生総研によると破断面の状況からせん断破壊だとのこと。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_123275797042.html
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_12328464139.html

日頃から安全管理に疑問があったとの証言も。
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_123275740328.html

杜撰だったんですね。

投稿: 昭ちゃん | 2009/01/26 22:59:03

コメントを書く