新たなホームオブハート裁判が始まった
昨日(2009/01/13)ホームオブハート裁判の新たな提訴に基づく第一回の法廷が開かれました。
ホームオブハーと事件が報道されたのは、2004年の春で複数の裁判が次々と起きていて、地裁の判決が出たのは一つだけで、その事件も控訴審の最終段階にようやく到着した、という状態です。
ホームオブハート事件は、自己啓発セミナーの主催会社ホームオブハートの会員であった人たちが、金銭被害の損害賠償請求をしている裁判と、2004年に「元 X-Japan の Toshi が児童虐待・・・」と大々的にテレビに報道された前後での動きについて、双方が互いに名誉毀損裁判を提起したもの(これは反訴の扱いで合同)の二種類が今まで、続いてきました。
裁判の予定は、HTP最新情報に掲示されています。その他、ホームオブハートが日本テレビを提訴している裁判も進行中です。宗教&カルト・ウォッチ
今回新たに始まった裁判は、これらの裁判とは異質なものです。
原告は、2004年春に児童相談所がホームオブハートから「保護」した子どもたちとその親で、紀藤弁護士・山口弁護士その他、金銭被害の裁判の原告(元会員)など4名を相手に、損害賠償請求訴訟を起こしました。
普通に考えると、訴えることが出来る内容ではない、と考えます。
児童相談所の一時保護とは児童福祉法・第11条「都道府県の義務」と第12条「児童相談所」によって定められています。
第11条〔都道府県の義務〕
都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
- 一 前条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。
- 二 児童及び妊産婦の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと。
- イ 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
- ロ 児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること。
- ハ 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。
- ニ 児童及びその保護者につき、ハの調査又は判定に基づいて必要な指導を行うこと。
- ホ 児童の一時保護を行うこと。
- ②都道府県知事は、市町村の前条第一項各号に掲げる業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
- ③都道府県知事は、第一項又は前項の規定による都道府県の事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。
第12条〔児童相談所〕
都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。
- ②児童相談所は、児童の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務及び同項第二号ロからホまでに掲げる業務並びに障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第二十二条第二項及び第三項並びに第二十六条第一項に規定する業務を行うものとする。
- ③児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務(前条第一項第二号ホに掲げる業務を除く。)を行うことができる。
- ④児童相談所長は、その管轄区域内の社会福祉法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)の長(以下「福祉事務所長」という。)に必要な調査を委嘱することができる。
児童相談所による一時保護は法律上の児童相談所の義務であり、平たく言えば警察が犯罪を捜査するというほどの意味でしょう。
社会常識として、児童相談所に「児童福祉法の一時保護の対象になる児童が居ます」と通告することは、市民の義務と言えるでしょう。
もちろん、通告しても児童相談所が実際に保護するのかどうかは、児童相談所が判断することです。
通告したが児童相談所は保護の必要がないと判定した、のだから不当な通告である、として通告者に賠償請求を求める、という裁判はありうると思いますが、今回は児童相談所は一時保護を実施しています。これに対して賠償請求を通告者に出来るモノか?という点をわたしは大いに問題にします。
先に警察に通報するのと同じだろう、と述べていますが、裁判所でも同じですよね。
裁判を提訴したことに対して新たな裁判を起こす、ということは原則として許されません。そんな事をやったら、無限に裁判の数が増えてしまう。
また、AとBの二者が児童相談所や警察、裁判所に通告などをする時に、Aは通告することを許されて、Bは許されない、という片寄りがあってはならないのも自明のことであって、児童相談所、警察、裁判所といったこところは「中立である」と決まっているわけです。
ホームオブハート側が「児童相談所に通告したから民事訴訟を通告者に起こす」というのは、この「偏ってはならない」に完全に反しています。
児童相談所の一時保護が不当だというのであれば、児童相談所(行政)を訴えるべきなのは明白ですから、これを訴えないことは、児童相談所が保護したこと自体は正当な行為と認めているのでしょう。
今回の裁判の被告(紀藤弁護士以下)には「児童相談所に通告することを許されない」という論理においてのみ、この提訴は成り立つわけです。
たまたま、児童相談所であるわけですが、
片寄り(差別)があるべきだ、という恐るべき論理の提訴
であるように思えるのです。
今後とも、この裁判には注目するつもりです。
1月 14, 2009 at 01:33 午前 裁判傍聴 | Permalink
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コメント
「よくもチクったな」ということでしょうね。
韓国の裁判では、虚偽の告訴をしたと逆告訴されるようなことがあるようですが、
日本ではそういうことはないのでしょうかね。
投稿: tambo | 2009/01/14 10:19:11
濫訴以外の何物でもないとおもいます。
が…
裁判所が訴状を受け付けた以上は、被告は応訴しなければならなくなります。
日本でもこうした「恫喝訴訟(SLAPP Strategic Lawsuits Against Public Participation)」に対する法的規制が必要でしょう。
投稿: Yamag | 2009/01/14 11:26:35
裁判そのものについては、非常に極端な判断を裁判所がしない場合は、淡々と終了するだろうと思います。
しかし、素人としては「こんな裁判を提訴すること自体が問題」だと思うし、さらに何が問題なのかは明確にしたいですね。
Yamagさんのお考えのように「手間を省くために、事前規制をするべき」ではあると思いますが、こうなってみると「こんなバカな裁判を起こすことは大問題」という市民レベルでの法的常識のレベルを高めるべきだ、と感じています。
投稿: 酔うぞ | 2009/01/14 11:42:57
ところで、
>中立であるべき警察や裁判所
と極めて当たり前のことをわざわざ書いたのは、ホームオブハートで自己啓発セミナーのトレーナーを務めている、MASAYAの証人尋問で彼が上記に反する意見を述べているからです。
一言で言えば彼は「紀藤弁護士らは、児童相談所を操って・・・・」と陰謀論のようなことを証言していました。
彼の証言と今回の提訴が同じ意見の元にしているのであれば「児童相談所は当時、紀藤弁護士が欺して、紀藤弁護士寄りの意見で動いていた」となるはずです。
警察・裁判所といったものを同列に挙げたのも、彼は「裁判所は独立して判断してくれると思っていたから、(敗訴した)地裁では裁判に関わらなかったが、児童相談所・警察・裁判所と横のつながりがあって、それを紀藤弁護士が操ったから敗訴したことが分かったから、高裁に出廷した」といった見解を述べています。
児童相談所・警察・裁判所は彼の目から「中立でない」のであって、それを是正する必要がある、というのが今回の提訴の根幹にあるのではないか?と思うのです。
投稿: 酔うぞ | 2009/01/14 17:15:46
>児童相談所・警察・裁判所は彼の目から「中立でない」のであって、それを是正する必要がある、
というのなら「訴える相手が違うだろ」と…
オリコンvsフリージャーナリスト名誉毀損裁判(http://ugaya.com/column/080422oricon_index.html)でも記事にした編集者や出版社じゃなくて、電話インタビューに応えたフリージャーナリスト個人のみを提訴(賠償額5000万円)してますが、これと同じ構図のように見えます。
こういう提訴に加担した弁護士についても何らかのペナルティを課すべきでは?とまで、個人的には思ってしまいます。
投稿: Yamag | 2009/01/15 10:47:38