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2008.01.19

BA機ヒースローで胴体着陸?その2

「BA機ヒースローで胴体着陸?」の詳細が明らかになりつつあります。

サンケイ新聞より「着陸3キロ手前でエンジン不調に 英BA機事故

ロンドンのヒースロー空港で17日起きたブリティッシュ・エアウェイズ(BA)機の着陸失敗事故で、英運輸省の航空事故調査当局は18日、同機が着陸の約3・2キロ手前で高度約180メートルまで降下した際、エンジン2基の推力が低下したとの初期調査報告書を公表した。推力低下の原因は特定できておらず、調査を続ける。

同機は北京発ロンドン行きのボーイング777。報告書によると、自動操縦装置、自動推力調整装置を作動させて順調に航行していたが、着陸直前にエンジン不調が発生した。

自動推力調整装置の出した指令にエンジンが反応せず、操縦士が手動で操作しても推力は回復しなかった。このため同機は正規の着陸地点から約300メートル手前、滑走路外の芝生に着地。衝撃で右主脚が外れ、左主脚は主翼にめり込んで破損した。報告書によると、1人が重傷、12人が軽傷を負った。

BAによると、同機は当時、副操縦士が操縦を担当していた。

英当局は今後の調査にあたり、米運輸安全委員会(NTSB)と協力。米ボーイングやエンジン製造元の英ロールスロイスの協力を受けながら原因究明を進める。(共同)

3.2キロ手前というのは2マイルですが、飛行機だから2海里だとしてして計算すると、120ノット(220キロ)でアプローチしているのであれば、30秒手前ですよね。

アメリカABCニュースでは「乗客にアナウンスする時間もなかった」と機長がコメントしていると言っていました。
この状況で死者が出なかったのは運も良かったし、緊急時のコックピットの対応力は優れていたと言えるでしょう。

報告書によると、自動操縦装置、自動推力調整装置を作動させて順調に航行していたが、着陸直前にエンジン不調が発生した。

とのことですから、下手すると全世界のボーイング777の飛行停止もあり得るでしょう。

気になるのは、操縦士が手動で操作しても推力は回復しなかった。の部分で、マニュアルオーバライドが作動しないのでは意味がない。

もっとも、エンジンコントロールもジェットエンジンでは機械式の制御の方が制御装置が極めて複雑になって電気制御・電子制御はかなり以前から導入されていて、現在ではデジタル制御になっていますから、マニュアルオーバライドと言ってもエンジン制御システムに直接信号を送ることが出来る、と言うことでしょうがそれが作動しないとなると極めて深刻ですね。

アプローチの最終段階で推力が低下した、ではシャットダウンしてしまったように感じますが、これまたすごいことで一体何が起きたの詳細が知りたいですね。

1月 19, 2008 at 11:54 午前 海外の話題 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.18

BA機ヒースローで胴体着陸?

AFP BB より「英ヒースロー空港でBA機が着陸に失敗、13人負傷

【1月18日 AFP】(一部更新)

英ロンドンのヒースロー空港で17日、中国北京発のブリティッシュ・エアウェイズ38便のボーイング777型機が緊急着陸を試み、滑走路の手前に着地、13人が負傷した。負傷者は現在手当てを受けているが、全員軽傷だという。BA38便には乗客136人と乗員16人が搭乗していた。

着陸直後に機体の着陸装置は破損し、現在、機体後部とエンジンが地面に接触する状態となっている。消防隊が安全のため消火剤を散布するなか、乗客らは脱出シュートから避難した。無傷で避難した乗客のひとりは、「宝くじが当たったようだ」と自らの幸運を語った。

BBCによると、パイロットは「着陸時にすべての出力を失った」と述べており、滑空しながら着陸したという。テレビで報道された映像によると、滑走路の手前の芝生に機体を引きずった跡が残っている。

BAのウィリー・ウォルシュ最高経営責任者は、「乗員が136人の乗客を無事避難させたことを誇りに思う」と語っている。

警察当局は、今回の件についてテロを示す証拠はないとしている。

事故は、中国公式訪問を控えたゴードン・ブラウン首相を乗せた便が同空港から離陸する直前に発生。この影響で離陸は一時的に延期され、滑走路1本が閉鎖された。航空管制を行っているNATS社によると、多少の遅延は予測されるものの、閉鎖されていない1本の滑走路を使用して離着陸は行われているという。(c)AFP

写真で見ると見事に滑走路の端に止まっています。
胴体着陸の格好ですが、何が起きたのでしょうか?

「緊急着陸を試み滑走路の手前に接地」ですから死者がなかったのはラッキーでした。

「着陸時にすべての出力を失った」では、まるでカナダ航空の767の「燃料切れで不時着」にそっくりですね。
何があったのだろう?燃料高騰の影響でしょうか?

1月 18, 2008 at 09:03 午前 海外の話題 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.17

ボーイング787再度の納入延期

ボーイング787の納期が再度遅れることについて、AFP BB と CNN.co.jp に記事がでいてますが、原因について微妙に異なっています。

AFP BB より「ボーイング「787ドリームライナー」またも納入延期

【1月17日 AFP】

米航空機器大手ボーイング(本社:シカゴ)は16日、次世代中型機「787型ドリームライナー」の納入が2009年初めにずれ込むと発表した。当初2008年末と予定されていた。

同社民間航空機部門のスコット・カーソン社長兼最高経営責任者は声明の中で「787の基本デザインと技術は問題ないが、工場と世界規模の供給網の立ち上げ問題が解消していない」と述べた。
787は世界各地のメーカーが各部品を製造する手法を採っている。ボーイングは、これによる財政面への大きな影響はないとしている。(c) AFP/Rob Lever

CNN.co.jp より「ボーイング787ドリームライナーに再度の遅れと米紙

シアトル(AP)

米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナ(WSJ)は16日、米航空機製造大手ボーイングがまもなく、開発中の次世代中型旅客機787(ドリームライナー)の納入が遅れること発表すると報じた。
ボーイング社は昨年10月、納入時期の半年遅れを発表しており、再度の延期となる。この報道を受け、ボーイング社の株価は同日、4.7%下落した。

WSJは787開発計画に詳しい人物の話として、同機の電気系統に不備が出ており、技術者が問題を解明するために2─3カ月が必要だとしている。

787は、1995年に投入された777シリーズ以来のボーイングの新型旅客機。機体の大部分を炭素繊維素材で製造し、軽量化と耐久性を向上させ、燃費効率も改善している。日本メーカーが初めて主翼の生産などを請け負っている。

最初の引き渡し先は全日本空輸。当初の予定では、今年5月に航空会社へ引き渡しを予定していたが、昨年10月に部品納入の遅れが原因だとして、2008年11月から12月に延期されていた。

なんだかわけの分からない事になってきましたね。

当初はボーイングの発表が「ファスナーが無い」ということで「それは無いだろう」という批判がありましたが、その後「客室の情報システムが出来ない」という、これまた「初飛行が出来ない理由か?」と突っ込まれる情報が出てきました。

同じく話題の大型機のエアバスA380の場合は、初飛行後の航空会社向けの開発に手間取って大幅に納期が遅れました。
ボーイング787は、当初の計画では2007年7月に初飛行して2008年5月に全日空に一号機を納入の予定でしたが、2008年になっても初飛行が出来ません。

一号機の組み立てが遅れているのなら分かるのですが、一応ロールアウト(完成披露)しているのですから、外見などではないシステム上の問題があるのだろうと想像されます。

そうなると、初飛行しても航空会社に納入できるレベルになるのはいつなのか?と考えてしまいますが、今回の発表では「2009年初めに納入」ですから、ここ2~3ヶ月ぐらいの内には初飛行しないと間に合わないでしょう。

問題の解明に2~3ヶ月掛かるというのはどういう意味なのでしょうか?

一方で、エアバス社の2007年の受注は過去最高の1341機だそうです。
747の燃費が悪いとのことで、全日空・日航とも747の退役を計画的に進行中で787の納期が何年もずれるようだとかなり大きな影響があるでしょう。

1月 17, 2008 at 02:08 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

三菱ふそう・刑事裁判についての社説

三菱ふそう経営陣への有罪判決についての社説が、朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、東京新聞、北海道新聞、中国新聞にありました。

その中から、面白い部分を紹介します。

朝日新聞

ほかの欠陥のクレーム隠しが発覚したのは、今回の事故の2年前だ。当時の運輸省は改善が必要な欠陥をすべて報告するように求めた。ところが、同社はクラッチ系統の欠陥を隠し続けた。

当時社長だった被告は、自社製品のクラッチに欠陥があること自体は知らなかった。しかし、部下が一部の欠陥を隠して運輸省に報告することを承認し、記者会見してリコール隠し問題に区切りをつけるとまで宣言した。

判決はこうした経過を認め、「事故は予測できなかった」という無罪主張を退けた。

そもそも被告は、社長に就任した当初から長年にわたるリコール隠しを知っていたのに、発覚するまで何も手を打たなかったというのだから、なんとも理解しがたい。

日経新聞

判決の「量刑の理由」に並ぶ言葉を見れば、有罪になったのは個人であっても、裁かれたのが「企業の犯罪」であることは明らかだ。

厳密な証拠評価と「疑わしきは被告人の利益に」を原則に行う刑事裁判で、3件で三菱自の隠ぺい工作が指弾され、2件で「リコールなどの改善措置をとっていれば事故は起きず人命は奪われなかった」と断罪された事実を三菱自の経営陣、従業員は重く受け止める必要がある。

自動車の“安全偽装”は、食品表示偽装などとは比べものにならない重大な危険をはらむことを、改めて肝に銘じてもらいたい。

毎日新聞

判決によれば、三菱自動車では30年も前から、販売した車の不具合情報を運輸省(現・国土交通省)に報告するものと秘匿するものに分けて二重管理し、指示改修の名でリコールの届け出をせず、独自に点検・改修していた。本件事故につながった不具合も90年以降、多発し、人身事故も起きていたのに、指示改修で済ませていた。河添被告らは安全対策が不十分だと承知していながら、手を打たなかったというのだから悪質極まりない。

しかも、社長被告は00年にリコール隠しが発覚した後、「今後はオープンにしよう」と指示していながら、実際にはその後もリコール隠しを了承し、自ら虚偽の事実を公表して批判をかわそうとしたという。大企業トップとしてのモラルもプライドも失っていた、と言わざるを得ない。

それにつけても、企業犯罪に対して社会は寛容すぎる。家庭でまで「仕事のため」という言い訳が容認されたり、いつの間にか利益のために不正や不法行為に目をつむることを是とする風潮までがはびこっている。社会を挙げて改善すべき点は少なくない。

業務上過失致死傷罪の法定刑も、妥当と言えるだろうか。いずれは事故を起こす車を世に送り出していた企業のトップの責任が、飲酒運転で人を死傷させた罪よりも軽くてよかろうはずはない。

不祥事が起きると、トカゲのしっぽ切りよろしく末端に責任を転嫁するのが企業体質の常であることにかんがみても、トップの刑事責任を厳しく問う必要がある。偽装トラブルの一掃のためにも、法的責任追及のあり方を見直すべきだ。

東京新聞

経営トップへの欠陥報告が適切にされなかったとすれば、それは組織に欠陥があり、企業統治そのものの問題といわざるを得ない。

消費者の生命や健康、安全を預かる企業であればこそ内部統制システムの確立が欠かせない。

不祥事を起こした企業に求められるのは、隠ぺい体質を打ち破り、速やかな原因分析、情報公開を進める姿勢である。そうした危機管理こそ、企業トップの役割でなければならないことを判決は、あらためて教えている。

いずれの社説も「イライラ感」を感じさせますが、パロマのストーブ事故を引き合いに出しているのは、ちょっと違うと感じます。

パロマの例は、違法修理なども含めて元の原因の大半は経年劣化でした。
死亡事故に至った原因は、メーカのパロマが「経年劣化すれば買い換え需要がある」と考えたようで、その結果修理部品が無くなり、違法修理になり、死亡事故に至った、と判断できることで、商品の経年劣化がガス中毒事故を引き起こすガス器具であったのに対応策を意図的に用意しなかった点が問題になったのでしょう。

三菱の事故は、他社のトラックなどでは起きないところが壊れているのですから、技術的には経年劣化の問題ではないし、点検をしないところが壊れている、つまり突然壊れていて、ガス湯沸かし器の「ガスが着かなくなったから違法修理した」という使用者やサービス業者に相当するところが三菱の事故では関わっていません。

製品が破損して死亡事故になったというところは同じでも、内容が全く違うでしょう。

それを「経営者の責任だ」とだけ言うのは、正に「失敗学」が扱うべき範囲であって、原因はいまだに解明されていないと言うべきだし、原因が未解明であるのなら、「本当の責任(者)はどこにあるのか」を困窮するべきです。
その意味では、社説はいずれも表層的な論に止まっている、と見るべきです。

1月 17, 2008 at 12:45 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

三菱ふそう・刑事裁判の記事

「三菱ふそう・クラッチハウジング破断事故で経営者に刑事責任」の続報です。

東京新聞神奈川版が

と3本の記事を、読売新聞神奈川版が

と2本記事を出しています。裁判は弁護側の即日控訴で東京高裁で続くことになりました。

ここまで大量の記事が出てくるのは異例だと思いますが、読売新聞・東京新聞ともにかなり踏み込むことで間接的に強い批判をしていると感じます。

この事件を刑事裁判で社会的な責任追及をすることが正しいのか、わたし自身は疑問があります。
確かに、O-157による集団食中毒事件での業務上過失致死傷罪での有罪判決と同じ構造という指摘はその通りだと思いますが、弁護側の主張にある「部下がやったこと」というものまた事実でしょう。

もちろん、責任者として社長や上司が事件の責任を追及されるのは当然ですが、責任ではなくて原因はどこにあったのか?を考えると、欠陥部品を設計してしまう会社全体であって、社会的な観点からは「会社があることが良くない」となります。

仮に、会社が潰れてその経営責任を経営者に取らせたらその方が理解しやすかったかもしれない。

法的には「リコールするべきところ隠した」で十分なのかもしれませんが、もう一歩踏み込んで「なぜリコール隠しをすることになったのか?」を解明するべきだったのかもしれません。

技術上のトラブルで事故になった例はたくさんあって、非常に有名なのは最初のジェット旅客機コメットの構造疲労による空中分解事故が連続したのがあります。

コメットの墜落は当時は与圧キャビンの疲労試験が行われていなかったことなど、未知の領域の技術を使用したことによる事故と解釈できます。

その一方で、100年・200年前から知られている技術上の問題に引っかかって事故になることもあるわけで、そのために技術者を高等教育して育成しています。

今回の三菱ふそうのハブ破損事故・クラッチハウジング破損事故は、最終的にリコールになるのですが、公表された範囲でも国交省が「リコールの説明になってない」と突き返していた例があったと記憶しています。

以前から繰り返し書いていますが、ハブ破損事故は他社の例を考えると材質の問題ではないのです。
部品の形状そのものが強度不足を生みだしている、と考えるべきです。
しかし、ハブは周辺に多数の部品があるために、部品の形状を変えると交換する部品数が増えすぎてコストアップになる、という判断があったのだろうと想像しています。

裁判がこのレベルまで踏み込んで判断していれば、後のためにも大変に良かったのではないか、と考えますが今回の判決が法的追求の限界であろう事は分かります。

読売新聞神奈川版より「弁護側「承服できぬ」部下の証言巡り失望感

問われる企業責任

三菱自クラッチ欠陥事件の判決を受け、横浜市中区の横浜弁護士会館で開かれた社長被告らの弁護側の記者会見。
「到底承服できない」「予想外の判決」などとして、控訴して戦う姿勢を強調した。

社長被告の主任弁護人の金森仁弁護士は「結果責任を押しつける検察官の主張を追認し、企業経営者に実現不可能な義務を課す判決であり、到底承服できない。上級審で是正されることを確信している。検察は、単に結果責任を過失とした」と即日控訴した。

ほかの被告の判決の受け止め方について、それぞれの弁護人が説明した。

役員被告は「判決は不当で、承服できない。高裁判決で正当な判断を望みたい」と話しているという。会長被告は「無批判に検察官の主張に追随した判決。必ずや控訴審で是正されると信じる」と判決を批判。品質保証部長被告は「予想外の判決にがく然とし、憤りさえ覚えた。不具合はトラック・バスカンパニーの取り扱う案件であり、乗用車部門に属している私に責任はまったくなかった」と話しているという。

過失認定について、金森弁護士は「検察は2000年のリコール問題で、運輸省にとにかく全部報告していればよかったと主張していたが、判決は本当にそういうことが可能なのかすら判断しておらず、あの時、何をすべきだったのかがわからない」と語った。

企業責任を厳しく問うことになった判決内容について「厳しければ、どういうことをすべきかという規範を示すべき。今回の判決はその規範を示していない」とした。

クラッチの不具合自体を知らなかった社長被告の過失が認定されたことについて、金森弁護士は「過失と結果が結びついていればいいが、結びついていない。公判で部下が『自分は基準に従わないで適当に選び出して、上司にはウソの報告をしました』と法廷で証言しているのに全く無視している。なんのために今まで審理してきたのか」と失望感をあらわにした。

横浜地検の中井国緒次席検事は、判決について「当方の主張が認められた判決であると理解している」とコメントしている。

不具合故意に無視

前田雅英・首都大学東京教授(刑法)の話「埼玉で起きた国内初のO(オー)157による集団食中毒事件と同じ構図。汚染井戸水を幼稚園児に飲ませて死なせ、業務上過失致死罪で有罪となった元園長は、水の危険性は知っていたが、O157は知らなかった。

今回の判決は、社長被告が、汚染井戸水に相当する『安全性にかかわる重要部品の不具合』を知っていたと認定し、クラッチ部品の欠陥に対する認識を問わず、事故の予見可能性につなげた。社長被告は、重要な不具合を故意に無視しており、有罪とした判断は納得できる」

三菱自動車を巡る動き

90年6月ごろ大型車のクラッチ部品の不具合が多発
97年11月総会屋への利益供与事件を受け、会長と社長が引責辞任し、社長被告が社長に就任
00年7月リコール隠しが発覚。社長被告が9月に引責辞任を発表
01年5月リコール隠し事件で三菱自と元副社長らに罰金の略式命令
02年1月横浜市内で大型トレーラーのハブが破断。脱落したタイヤの直撃で母子3人が死傷(ハブ欠陥事件)
10月山口県内で大型トラックのクラッチ部品が破損し、壁に衝突した男性運転手が死亡(クラッチ欠陥事件)
03年1月三菱自から商用車部門が「三菱ふそうトラック・バス」として分社
3月母子死傷事故の被害者の母親が、三菱自や国に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴
04年5月神奈川県警が虚偽報告事件で会長被告らを、ハブ欠陥事件で部長被告らを逮捕。三菱ふそうがクラッチ部品の欠陥を認めてリコール
6月神奈川、山口両県警がクラッチ欠陥事件で、社長被告らを逮捕
06年4月三菱自や国に対する損害賠償請求の民事訴訟で、横浜地裁が三菱自に550万円支払い命令。制裁的慰謝料は認めず
12月虚偽報告事件で横浜簡裁が会長被告らに無罪判決
07年12月ハブ欠陥事件で横浜地裁が部長被告らに有罪判決
08年1月クラッチ欠陥事件で横浜地裁が社長被告らに有罪判決

読売新聞神奈川版より「天井に目やる社長被告 クラッチ欠陥隠し有罪

横浜市で母子が脱落タイヤの直撃で死傷した事故に端を発した三菱自大型車欠陥3事件。16日の横浜地裁判決は、男性運転手が死亡したクラッチ欠陥事件で企業トップの刑事責任を初めて認めた。

禁固3年(執行猶予5年)の有罪判決を受けた同社元社長・社長被告(71)やほかの元役員について、鈴木秀行裁判長は部下の欠陥隠しを追認したり、不具合の漏れが出ることを承知したりしていたと指摘。長年続いてきた欠陥隠し体質が、事故につながったと結論づけた。

さらに、「不合理な弁解をろうしている」と批判した。弁護側は判決を不服として、即日控訴した。

◆入 廷

山口県で起きた運転手死亡事故から5年。横浜地裁に午後1時10分、社長被告はコート姿で背筋を伸ばし、三菱ふそうトラック・バスカンパニー元社長・役員(70)、三菱ふそうトラック・バス元会長(67)、三菱自元執行役員・品質保証部長(65)の3被告とともに、ゆっくりとした足取りで正門をくぐった。

◆判 決

午後1時30分。横浜地裁101号法廷。グレーのスーツ姿に青いネクタイの社長ら4被告が、長いすに並んで判決言い渡しに臨んだ。
「被告人社長を禁固3年に処する」
無罪を主張してきた社長被告は、大きく頭を動かし、裁判長の方に向き直って見据えた。ひざの上で手を握り締めた。

「(社長に)就任当初から、不具合情報を二重管理していたことなどを熟知していた」
社長被告は「二重管理」の言葉に大きく首を横に振ったり、天井に目をやったりした。

「事故を未然に防止する注意義務があるのに怠った」「不具合の情報が保存されていたのに、国に調査できないと虚偽の報告書を出した」

2時間に及ぶ判決理由読みあげが進むと、社長被告は険しい表情になり、手をさすったり落ち着かない様子をみせた。

◆企業責任

「リコールを多く出せば会社のイメージを損なう」「費用もかさむ」――。判決は、不具合を隠す三菱自の企業体質についても厳しく指弾した。

さらに、「不具合の情報を国に報告するものと、秘匿するものに区別して二重管理していたことが慣行化していた」とした。

三菱自は大口のユーザーを個別に呼んで改修する「指示改修」を販売会社に指示していたが、「指示改修は安全対策として不十分」と結論付けた。

こうした一連の措置について、「安全上極めて不十分な闇改修」とし、社長被告について「代表者として自覚に欠け、無責任」と批判した。

ほかの元役員らについても「長年にわたる隠ぺい体質を打破しようとの積極的な気持ちをもたなかった」と無責任体質を糾弾した。

役員被告は顔をこわばらせて床を見つめ、会長被告はマユをひそめ目を閉じ、うつむいて聞き入っていた。

■三菱自社員ショック隠せず■

16日夜、東京都港区芝にある三菱自動車本社ビル。元社長ら幹部陣の有罪判決に、中年の男性社員は「えっ、本当に? 全然聞いていなかったので、コメントできない」とショックを隠しきれない様子をみせた。

また、川崎市中原区の「三菱ふそうトラック・バス」川崎製作所では、男性社員が「有罪判決が出たことを重く受け止めている。一連の不祥事の後、現場の社員の安全意識は高まり、幹部らとのコミュニケーションも増えた。三菱の社員として、お客様を第一に考え、仕事に励んでいきたい」と話した。

東京新聞神奈川版より『ブランドイメージ守るため』 三菱自元社長ら有罪 遺族 『少し救われた』

欠陥放置は企業トップの責任-。三菱自動車製大型車の欠陥クラッチ事故をめぐる判決公判で、横浜地裁は十六日、三菱自元社長の社長(71)ら四被告に有罪判決を下し、「会社代表者として無責任な態度だった」と企業トップの過失責任を厳しい口調で断罪した。四被告は即日控訴したが、三菱自製の欠陥車で愛する家族を奪われた遺族らは「少し救われた」と安堵(あんど)の表情も見せた。 (三菱自裁判取材班)

午後一時十分、横浜市中区の横浜地裁前に姿を見せた社長元社長ら四被告はいずれもワイシャツにスーツ姿。やや緊張した面持ちながらもゆっくりとした足取りで、弁護人とともに一〇一号法廷に入廷した。

鈴木秀行裁判長に促され、座ったままで有罪の主文を言い渡されると、社長被告は大きく首をかしげ、残る三被告は硬直したように顔をこわばらせた。ひと息置いた後、鈴木裁判長は淡々とした口調で、判決理由の朗読に入った。その中で裁判長は「ブランドイメージを守る目的で、ヤミ改修を行っていた」と指摘した。

一昨年十二月、虚偽報告事件の横浜簡裁判決で無罪を言い渡された際、「警察と検察は猛省を」とコメントした三菱ふそうトラック・バス元会長の会長被告(67)。今回の公判でも、「検察官は無理やり、過失構成した」と強い口調で捜査当局を批判したが、この日の判決では、その面影はなく、みけんにしわを寄せ、目をつぶったまま動かなかった。

大型車部門の最高責任者だった元役員の役員被告(70)は顔をしかめてうつむいていたが、厳しい判決の朗読が続くと、込み上げるおえつを抑えるようにせき払いをした。品質・技術本部副本部長だった品質保証部長被告(65)は両手をひざの上に置き、目を閉じて、うつむいたままだった。

満員の傍聴席には、欠陥クラッチ事故で亡くなった男性運転手=当時(39)=の遺族もいた。公判で証言台に立ち、「(リコールしないことに)一人でも強く反対していれば、主人は死ぬことはなかった…」と悔しさをにじませた男性の妻に代わり、この日は息子が傍聴。じっと判決に聞き入っていたが、閉廷後はほっとした様子を見せた。

傍聴席抽選 3倍の132人

横浜地裁前には昼すぎから、用意された一般傍聴席四十二席に対して約三倍の百三十二人が抽選に並んだ。二〇〇四年十月六日の初公判から約三年三カ月が経過したが、一流企業の頂点に立った元社長らの刑事責任を追及する裁判への関心の高さをあらためて示した。

抽選に並んでいた横浜市泉区の無職男性(64)は「一流企業の元社長が死亡事故の刑事責任を問われるというのは珍しいと思う。どんな判決が出るか、ちゃんと聞いておきたいと思って来たが、こんなに並んでいるとは」と驚いた様子。同市青葉区の大学院生の男性(25)は「元社長は不具合があることを知っていたのだろうか。知っていて放置していたとすれば、経営者としての元社長から学ぶべきことは何ひとつないと思う」と話した。

判決冷ややかに

三菱自動車から分社化した三菱ふそうトラック・バスの社員らは、元幹部らの有罪判決を冷ややかに受け止めていた。

同社川崎製作所に勤める男性社員(27)は「当たり前」ときっぱり。真剣な表情で「事件については現場に情報が流れず、報道で知ることばかり。生産現場は不良品を売りたくないが、営業は販売台数を優先して考える。互いに交流はなく、現場同士の横のつながりを深めるべきだと思う」と話した。

別の男性社員は「以前、抜き打ち検査というのは社内に存在しなかった。『この日にチェックに入る』ということが分かっているから、担当者は全員で数字やミスのつじつま合わせをして報告していた。どの現場もそういうものだという認識で、グループ全体がそうだった」と隠ぺいが起きた背景に言及。「有罪になった元幹部は全員、こうした土壌の中で育っているので、欠陥隠しは起こるべくして起こったと思う」と、当時の社内体質の問題を指摘した。

東京新聞神奈川版より『欠陥ハブ事件』遺族の増田さん 幾分の心の整理も

「少し、救われた気持ちがします」
横浜母子三人死傷事故で死亡した大和市の主婦岡本紫穂さん=当時(29)=の母増田陽子さん(58)は、三菱自元社長らの有罪判決に、ほっとひと息をついた。

母子三人死傷事故をめぐる「欠陥ハブ事件」の裁判はほとんどすべてを傍聴したが、直接の当事者ではない今回の「欠陥クラッチ事件」は傍聴してこなかった。それでも判決が気になり、仕事中に携帯電話のインターネットで速報を読んだ。

「社長は責任者。一番罪が重いと思っていた」。執行猶予が付いたことには納得がいかないが、欠陥ハブ事件に続く有罪判決となったことで、幾分、心の整理もついた。「私なりに進む方向を変えていきたい」。今後は紫穂さんへの思いをつづった文章をまとめることも考えているという。

鹿児島・息子奪われた母『心癒やされず涙』

「息子の話をすると、今も涙が出てね…」。鹿児島県の男性運転手=当時(39)=が死亡した三菱自動車製大型車のクラッチ事故で、横浜地裁は十六日、被告全員を有罪とした。事故から五年余り。同県霧島市の母親(72)は、自慢の息子を奪われた心の傷が癒やされることはなかった。

「子供を大きくするのは大変だった」。母親は苦労しながら女手一つで子供たちを育て上げた。男性は長男で、サラリーマンなどを経てトラック運転手に。

「『長距離の運転手は危ないからやめて』と頼んだこともあった。巡り合わせで(事故を起こした)トラックに乗ることになって…」と母親は涙を浮かべた。

がむしゃらに働き、幸せな家庭と念願のマイホームも手に入れた男性の命を突然奪ったのは三菱自が隠し続けた「欠陥」だった。高速道で制御不能になったトラックは暴走。懸命のハンドル操作で一般道に出た後、地下道入り口に激突した。

「(激突した場所の)横に上り坂があって、そっちに行けば大丈夫だったかも。でも暗くて、ブレーキも利かなかったのだろう」。おととし初めて事故現場を訪れたという母親はあきらめきれないようにつぶやいた。

三菱自が事故原因のクラッチ系統の欠陥を認識し、社内会議で組織的隠ぺいを決めたのは、男性の事故の約六年半前。二〇〇〇年の「クレーム隠し」発覚後も欠陥を隠し、リコールしたのは事故の一年半後だった。

霧島市の勤務先で有罪判決を聞いた母親は「被告は判決を受け止め、ちゃんと罪を償ってほしい」と、静かに語った。

東京新聞神奈川版より「傍聴を終えて 三菱事故、忘れまい

最初はまさに「ちんぷんかんぷん」だった。

三菱自をめぐる三つの刑事裁判は二〇〇四年九月から、横浜簡裁・地裁で相次いで始まった。異動してきてまもなくのころで、細かい点は頭に入っていなかった。「疲労限」「応力」「トルク」…。法廷で飛び交う専門用語をノートに次々と書き留め、後から意味を確かめた。

「欠陥ハブ事件」の公判では、横浜母子三人死傷事故で亡くなった岡本紫穂さん=当時(29)=の母増田陽子さん(58)が、ほとんど欠かさず傍聴を続けていた。その増田さんが公判途中で突然席を立ち、法廷を後にしたことがあった。

後から聞くと、責任逃れをするような被告の言動に、たまらない気持ちになったという。遺族の深い悲しみを知るとともに、裁判が有罪か無罪かを争う「法廷ゲーム」のようにも思えてきて、やるせない気持ちになった。法廷で証言した三菱自関係者が、問題に関与していたにもかかわらず、同社関連会社にとどまっていることを知った時には、あまりの厚顔無恥ぶりに心底あきれた。

実感を得たくて、事故現場にも足を運んだ。夕暮れの緩やかな坂道。紫穂さんと、手を引いていた長男=同(4つ)=とベビーカーの二男=同(1つ)=はどんな会話を交わしていたのだろう。タイヤが少しでもそれていたら、通る時間が少しでもずれていたら、ガードレールがあったなら…。運命の残酷さを思う。

三つの裁判は合計で百二十回にも上り、「詳報」として県版で掲載した回数は合わせて二十八回を数えた。だが、どれだけ「真相」に迫れたのかは分からない。裁判の舞台は東京高裁へと移されるが、取材した記者として、事故を忘れずにいたい。(佐藤大)

1月 17, 2008 at 10:48 午前 もの作り | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.01.16

三菱ふそう・クラッチハウジング破断事故で経営者に刑事責任

サンケイ新聞より「元三菱自社長ら4人全員に有罪判決 横浜地裁、クラッチ欠陥で死亡事故

山口県で平成14年、三菱自動車製大型トラックがクラッチ系統部品の欠陥で暴走し、鹿児島県の運転手=当時(39)=が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた三菱自元社長、社長被告(71)ら元役員4人の判決公判が16日、横浜地裁で開かれた。鈴木秀行裁判長は、社長被告に禁固3年、執行猶予5年(求刑禁固3年)など4人全員に有罪を言い渡した。

一連の欠陥隠しに絡む3件の刑事裁判で、最後の1審判決。欠陥車による死亡事故でメーカートップの刑事責任が問われたのは初めてで、公判では4人が欠陥を認識し、事故を予見できたかなどが争われた。

ほかに判決を受けたのは、三菱自元役員で大型車部門の最高責任者だった役員被告(70)=禁固3年、執行猶予5年(求刑禁固3年)▽三菱ふそうトラック・バス(商用車部門が三菱自から分社)元会長、会長被告(67)=禁固2年、執行猶予3年(求刑禁固2年6月)▽三菱自元品質・技術本部副本部長被告(65)=禁固2年6月、執行猶予4年(同)。4人はいずれも起訴事実を否認、無罪を主張していた。

検察側によると、三菱自は平成8年5月ごろまでに、

クラッチ系統部品の強度不足

があることを把握。費用が約90億円に上ることなどから、リコール(回収・無償修理)せず、ひそかに修理する「ヤミ改修」(指示改修)で対応。12年のクレーム隠し事件発覚後も、旧運輸省に不具合情報を隠す虚偽報告をし、欠陥を放置した結果、死亡事故を招いた。

検察側は、社長被告はヤミ改修の実態を知っており、4人はクレーム隠しの発覚後もリコール回避の姿勢を貫いたとした。弁護側は「社長被告はクラッチ系統部品の不具合自体を知らず、ほかの3被告も事故の予測は不可能だった」などと反論していた。

一連の裁判では、横浜市の母子3人死傷事故で業務上過失致死傷罪に問われた元同社部長ら2人が昨年12月、横浜地裁で禁固1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受け控訴。会長被告ら3人が国に虚偽報告をしたとして起訴された道路運送車両法違反では、横浜簡裁が18年12月に無罪とし、検察側が控訴した。

他の新聞記事では「クラッチ系統部品の欠陥」としているのが多いのですが、サンケイ新聞は「強度不足」であり毎日新が「部品破断」と書いています。
この事件の詳細は「三菱ふそう・クラッチハウジングで記者会見」であってクラッチハウジングの破断です。

大きいけれど基本的にはベアリングを支えているだけの部品ですから、掛かる力もタカがしれているものです。

だから、車の寿命まで交換しないことを前提にしているのに、それが走行中に破断した。

別の部品に置き換えると、車体が折れたというほどのことです。
それくらいあり得ない、壊れてはいけない部品でした。

その部品が現実に割れて、ブレーキが利かなくなりドライバーが死亡しています。
しかもひどいことには、この事件では当初は「ドライパーの責任」とされていました。

どう考えてもクラッチハウジングの破断の全員がドライバーにあるとは思えないわけですが、リコール隠し騒動になってから部品の問題であるとなって、亡くなったドライバーの責任は無いと法的には修正されました。

そういういきさつを経ての裁判だったのですが「部下が隠した」とか主張したとのことですが、先に挙げた「車体が折れた」という事件があっても「部下が隠した」と言うのでしょうか?
どう考えても、メーカの人間の言うセリフではないでしょう。
元々メーカの経営者の器ではなかったということでしょう。

1月 16, 2008 at 05:20 午後 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (0)

サブプライム問題

日経新聞より「米シティ、サブプライム損失2兆5000億円・欧米10兆円超す

【ニューヨーク=財満大介】米大手銀行、シティグループは15日、2007年10―12月期決算で、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に絡み、235億ドル(約2兆5000億円)の損失を計上したと発表した。

米大手証券メリルリンチも損失計上が必至で、

欧米大手金融機関20社
の関連損失は合計で
1000億ドルを超えたもよう。

資本不足に陥るのを防ぐため、メリルはみずほコーポレート銀行などから、シティはシンガポールや中東から合計で200億ドルを超える出資を受け入れる。

追加損失計上が続いているのは、金融市場でサブプライムローン関連の証券化商品の価格下落に歯止めがかからないため。

シティの10―12月期の損失の大半は有価証券の評価損で、計181億ドル。さらに消費者ローンの貸倒引当金の増加などで54億ドルを計上した。シティは7―9月期にも64億ドルの関連損失を計上しており、合計の損失は約300億ドルに達した。(07:03)

1000億ドル(10兆円)の損失(資金不足)はすごいなと思って、世界のGDPと比較してみました。
2006年のデータですが、GDPが1000億ドルから2000億ドルの国を並べると

Portugal1,947
Hong1,778
Malaysia1,489
Singapore1,322
Pakistan1,280
Czech1,240
Philippines1,176
Hungary1,129
New1,099

だそうです。
結構なレベルの一国のGDPに相当するわけで、これは世界恐慌のようなことになりかねないのでは?とすら思ってしまいます。

当然のように、ニューヨーク・東京と株価は大幅続落になっていますね。

1月 16, 2008 at 09:32 午前 国際経済など | | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.01.14

心臓が出来た!

AFP BB より「死んだ心臓を細胞注入で再生、ラットで成功 米ミネソタ大

【1月14日 AFP】

米ミネソタ大の研究チームが、死んだラットから取り出した心臓を拍動させることに成功したとする論文を13日の英医学誌ネイチャー・メディスンの電子版に発表した。研究成果が人間にも応用されると、ドナー(提供者)不足問題が解消され、心臓移植を待つ患者数百万人の命が救われると見込まれる。

実験では、死んだラットの心臓を薬剤処理してすべての細胞を取り除き(脱細胞化)、内部に誕生直後のラットの子の心臓から採取した細胞を注入して実験器具内で培養した。
4日後に収縮が始まり、8日目に拍動が始まったという。

心臓再生研究においては、これまで組織の再生は実現されていたが、心臓そのものの再生に成功したのは今回が初めて。

将来的には、心臓移植手術が必要な患者を対象として、死亡者の心臓に患者自身の幹細胞を注入して再生し、移植されることが期待される。この方法では、拒絶反応の問題も解消される。

研究を主導するドリス・テイラー氏は、「患者自身の細胞に由来した臓器が利用できるようになると、数百万人の患者が恩恵をこうむるだろう」と語る。

研究チームは現在、心臓再生の効率化を目指し実験を進めており、この技術を腎臓や肝臓やすい臓、肺に応用したいとしている。(c)AFP/Marlowe Hood

この記事のタイトルが「死んだ心臓が再生」と読めたのですが「どういう意味があるのだ?」と感じました。
ちょっと読んだだけではかなり分かりにくい内容ですが、手順をまとめると以下のようなことになるようです。

  1. 死んだラット心臓を取り出す
  2. 死んでいる細胞から細胞を取り除いてしまい(何が残るのだか理解できないが)
  3. 別のラット(生まれたばかり)の心臓の細胞を注入した
  4. 注入された細胞は増殖して、心臓になった

つまり、死んだ心臓を利用して

新たな心臓を作ることに成功した。

だから「臓器再生」と言っているわけです。
記事の通り組織の再生は出来ていましたが、それだけではあまり役に立たないわけで、臓器再生とか臓器創生が出来て初めて、交換可能な臓器を作ることが出来るようになった。と言うべきなのでしょう。

その点からは、大きな一歩ですが、一方で「本当かな?」とちょっと思っていたりします。
ともあれ、こういう具合に進んでいくというのは実にすごいことだと思います。

1月 14, 2008 at 09:58 午後 医療・生命・衛生 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2008.01.13

台湾の総選挙・与党惨敗

昨日(2008/01/12)の台湾の総選挙は、定数113議席に対して

与党民進党27議席24%
野党国民党81議席72%

と野党国民党の圧勝となりました。

台湾の政治体制は大統領制と言って良く総統選挙が3月22日にあります。
陳水扁総統は民進党の主席(党首)ですが、選挙の惨敗で党主席を辞任する異なりました。

陳水扁総統は台湾の独立を目指していて、総統選挙では台湾独立について国民投票を実施するとしていました、これに対して国際世論はアメリカも日本も現時点の対話独立に反対を表明していました。

日本の新聞は、朝日新聞が中国よりの観点から大きな記事を作り、サンケイ新聞が反中国よりの観点から複数の記事を出しています。

朝日新聞より「台湾立法院選、野党国民党が圧勝 与党、総統選に打撃

台湾の国会にあたる立法院の選挙(一院制、定数113)が12日、投開票され、中央選挙委員会の発表によると、野党国民党が3分の2を超える81議席を獲得した。国民党にとって歴史的な大勝で単独過半数は98年選挙以来。与党民進党は27議席にとどまり、諸派・無所属が5議席だった。民進党には3月22日の総統選に向けて深刻な打撃となり、米中との対立も辞さない陳水扁(チェン・ショイピエン)総統の独立路線の転換を含め、態勢立て直しが急務になる。陳総統は12日夜会見し、「支持者に申し訳ない。私に全責任がある」と述べ、兼務する党主席の辞任を表明した。

国民党は今回から導入された小選挙区制で持ち前の組織力を動員した。民進党政権の腐敗や経済失政をテレビ広告で繰り返し攻撃し、陳総統への有権者の反発を利用して「陳政権への信任投票」を印象づけた。野党連合を組む親民党との候補者調整にも成功。やはり直接選挙で行われる総統選に向け、これ以上ない勢いを得た形だ。

陳総統は台湾人意識や台湾の独自性を強調し、今回の選挙が「中国か台湾かの選択だ」と主張。中国との融和姿勢をとる国民党との違いを有権者に訴えたが空振りした。

05年の選挙制度改革で今回から定数が半減、小選挙区73議席と政党比例区34議席、先住民区6議席の計113議席を争った。陳総統は04年総統選の公約だった小選挙区制導入で一気に勢力拡大を狙ったが、支持率下落で自ら墓穴を掘った形になった。

今回は、小選挙区で国民党が民進党の固い地盤だった高雄市・県など南部でも議席を伸ばすなど73議席中57議席を占めて圧倒したほか、比例区でも国民党票は全体の51%に及び、民進党票の37%を大きく引き離した。李登輝前総統が指導者である台湾団結連盟(台連)は比例区での得票率が3.5%にとどまり、議席なしに終わった。

国民党の総統候補、馬英九(マー・インチウ)氏は12日夜に会見し、「皆さんが我々にチャンスをくれた。今回の成果を総統選への加勢と変えたい」と話した。

今回は民進党が求めた「国民党の不当資産返還要求」と国民党が求めた「政権腐敗追及・国家財産返還」の二つの住民投票も同時に実施されたが、棄権が多く投票者不足で成立しなかった。

投票率は小選挙区で前回選挙の約59%をやや下回る58.5%、比例区で58.3%だった。

■議席3分の2、議会支配

国民党の議席数は3分の2にあたる76議席を超える81議席となった。台湾の立法院では3分の2の賛成があれば、総統の罷免案を提案して住民投票で賛否を問うことができ、たとえ次の総統選で民進党の謝長廷(シエ・チャンティン)氏が当選しても不安定な政権運営を強いられる。

国民党と協力関係にある諸派・無所属の当選議員5人も加えると、合計で4分の3を超える。4分の3の賛成を得れば憲法改正などの提案が可能で、国民党が議会運営で圧倒的な支配力を行使できることになる。

90年代の民主化以来、基本的に右肩上がりで勢力を伸ばしてきた民進党は「党創設以来の歴史的敗北」(陳総統)という惨敗だ。今回の議席割合は約24%にとどまり、初めて完全直接選挙となった92年の選挙で161議席のうち50議席(約31%)を得たときをさらに下回った。

陳総統は、台湾名義での国連加盟の住民投票を総統選と同じ3月22日に実施することを決めるなど選挙運動を主導してきたが、総統選に際し、主役を総統候補の謝氏に明け渡すよう求める声が党内から上がりそうだ。

ただ、このままでは00年と04年の総統選で勝ち取った政権の維持が難しいと判断した場合、陳総統がより台湾独立に傾くなど過激な方法で情勢を緊張させたり、「混乱」を理由に総統選延期などの手段を講じたりするのではと危ぶむ声が国民党側からは出ている。

サンケイ新聞より「台湾人意識より経済 立法院選 陳政権に厳しい審判

【台北=長谷川周人】
12日の台湾立法院選で、与党・民主進歩党が歴史的惨敗を喫したことは、初の台湾人政権を誕生させながら成果に乏しい陳水扁政権の執政8年に対し、有権者が抱く複雑な思いを代弁している。対中融和による経済振興策を掲げる最大野党・中国国民党は、次の照準を3月の総統選に合わせ、議会での大躍進をバネに8年ぶりの政権奪還に動き出す。民進党が巻き返しを図れるか、「台湾人意識」を根付かせた真価が問われる。

陳総統は選挙戦で、「台湾」名義による国連加盟の問題や「脱蒋介石化」政策を矢継ぎ早に打ち出し、国民党独裁による民衆弾圧をやり玉に挙げて、「台湾人意識」の高揚による民意の一体化を引きだそうとした。12日は台北市内の投票所で呉淑珍夫人とともに投票を済ませ、「台湾、民主、正義のために投票しよう」と支持を訴えた。

しかし、独立志向を強めながら中台関係は前進せず、頼みの経済も深刻化する貧富格差に住民は不満を募らせるばかり。腐敗を招いた政権の責任も先送りしたままで、陣営幹部は「理念だけでは有権者には問題のすり替えと映る。対立をあおれば政局混乱を招き、政治への嫌気を誘うだけだ」とため息をつく。

これに対し、経済重視という現実路線で選挙戦を優位に進めた国民党は、総統候補の馬英九前主席が高い支持率を武器に党の広告塔となり、全土で応援遊説を展開。党内調整や統一派政党との協力関係の構築を図る呉伯雄主席とは役割を分担し、組織力を背景に圧勝し、悲願の政権復帰を目指して総統選に駒を進める形となった。

今回は、立法院選と総統選が接近しており、有権者の揺り戻しが起こる可能性は低いとみられ、総統選でも勢いに乗る国民党が有利とみられる。

民進党は選挙結果を踏まえた体制の立て直しが急務だが、党主席を兼任する陳総統は13日から南米への外遊を決めた。総統は先週、選挙責任についても「総統選後」との考えを示したが、総統候補の謝長廷元行政院長(首相)は「今後の『主役』は私。立法院選の政治責任を党主席がとるのは世界の常識だ」と認識の開きはなお大きく、今後の調整の行方が注目される。

現在の台湾は、第二次大戦後の中国での共産革命で大陸を追われた蒋介石政権が台湾にいわば亡命政権を作ったという考え方があって、中国大陸の正統政府は台湾にあるとして「大陸反攻」で長年、台湾と大陸が戦ってきた関係にあります。

一方で、台湾では大陸からの亡命者が元からの住民の財産などを奪ったという事で、大陸から来た人たちを外省人と呼び、元々の台湾の住民を本省人と呼び、少数派の外省人が本省人を支配しているということで、対立がありました。

陳水扁総統の「台湾独立」論はこの争いを明確にしたものですが、国民党政権下では、台湾は中国の一部であるという事については大陸も台湾も共通認識であったのですから、台湾独立は極論と受け取られたのかもしれません。

実際問題として、現在の台湾は経済で大陸と深い関係にあり大陸と経済断交になった場合は台湾の先端産業は生産能力を事実上失うでしょうから、経済が不安な現時点で陳水扁総統は経済界からの支持を得られなかったのでしょう。

台湾ほどの巨大な国力の地域が、国際的に中途半端な状態のままであるの決して良いとは思いませんが、隣国である日本はそこそこうまくやっていると言えるでしょう。
なんらかの形で国連での発言力を台湾が持てることぐらいが、望ましいのでしょうか?

1月 13, 2008 at 11:26 午前 海外の政治・軍事 | | コメント (0) | トラックバック (0)