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2008.06.05

憲法違反

東京新聞より「婚外子訴訟逆転勝訴 これ、夢だよね

出廷した十四人の裁判官が退出し壇上の扉が閉まると、大法廷を埋めた原告や支持者に拍手が広がった。親の事情で日本国籍が得られず、差別され続けた子どもたちに四日、国籍取得の道を開いた最高裁大法廷判決。
「これ、夢だよね」。原告の女の子は喜びのあまり、信じられないという表情を見せた。
数万人に上るとされる同じ境遇の子どもたちに、ようやく光が差す。

「すごくうれしくて言葉にできない」。日本国籍の取得が認められた子どもたちは判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見。こぼれそうな笑みを浮かべたり、目を潤ませたりしながら、裁判を戦ってきた母親や支援者らに謝意を表した。

可能性が広がった子どもたちの将来。小学五年(10)は「日本人でしかかなえられない夢。警察官になりたい」とほおを緩め、時折涙ぐんでいた中学三年(14)が「結婚が楽しみになった」と照れると、母親(46)が「まだ十四歳だよ」とたしなめ、笑いを誘った。

女優になりたいという小学六年(11)は「私のために頑張ってくれてありがとう」と母親への感謝の言葉を口にした。会見の終わりには、子どもと母親らがフィリピンのタガログ語で「フィリピン人移民、万歳」と心を一つにするように声を上げた。

■国籍法の改正法務省検討へ

「真正面から違憲と言われたものをそのままには…」。父母が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないとした国籍法の規定を憲法違反とした四日の最高裁大法廷判決の判断を受け、法務省は法改正を含め検討に乗り出した。

ただすぐに法改正できるわけではない。今回の原告と同様に日本国籍ではない子どもは数万人いるとされるが、現時点で国籍取得申請をしても法務局では当面、窓口で申請書を預かるしかないとみられる。

最高裁で一九七三年に違憲判決が出た尊属殺人罪の規定は、九五年の刑法改正で削除されるまで条文上は残っていた。「尊属殺人罪を適用せずに、殺人罪で起訴すればよかった」(法務省幹部)との事情があった。だが今回のようなケースでは、法改正まで違憲とされた国籍法三条一項を適用し国籍を認める必要があり、通達などによる救済は困難とみられる。同省民事局は「トラブルにならないよう対応したい」としている。

■認知に3年以上 母の願いかなう

食品包装工場で働くリリベス・アンティキエラさん(41)=神奈川県相模原市=は、小学六年の長女ジェイサさんの日本国籍が認められたことに「良かった」と涙を流し支援者と抱き合った。

マニラ近郊の生まれ。母は病身で、家計を助けようと一九九一年に観光ビザで来日。不法滞在して働いていた先で、日本人男性と知り合った。

妻子の存在を隠していた男性は、結婚するとうそをついた。妊娠が分かると「おれの邪魔をするな。おまえとは関係ない」と音信不通に。おなかの中にジェイサさんを宿していたリリベスさんは途方に暮れた。

故郷の家族にも言えず、独りぼっちで出産。二カ月で夜の仕事に復帰し、必死で働いた。逃げた男性に胎児認知をさせることなど思いも寄らなかった。支援団体が男性を捜しだし、裁判で認知させたのはジェイサさんが生まれてから三年以上たっていた。

八〇年代に入ると興行ビザの発給やバブル景気で、アジアを中心に大勢の外国人女性が出稼ぎで来日するようになった。ジェイサさんと同じ境遇の子が数多く生まれ、その数は数万人以上ともいわれる。

同じ日本人の父から生まれたのに、なぜ妊娠中の認知だと日本人と認められ、生まれた後の認知だと認められないのか。今もどう考えても分からない。

リリベスさんは、ジェイサさんを一人で育てている。祖国には母子家庭で食べていける仕事はない。日本で生まれ育った娘はフィリピンでの生活になじめない。

自分に何かがあったら日本国籍のない娘が生きていけるか、不安で胸が張り裂けそうだった。学校で「ガイジン」と仲間外れにされて泣かされても、自分には心配をかけまいと黙っている、歌とダンスが好きな優しい娘が無事に生きていけるように…。その母の願いがかなった。

<過去の大法廷違憲判決>

最高裁大法廷がこれまでに、法律について憲法違反と判断した判決は次の通り。

■尊属殺人を死刑または無期懲役にするとした刑法の重罰規定は、一般の殺人に比べ刑が極端に重すぎ不平等とした判決(1973年4月4日)

■薬局の新規開設を制限する薬事法の規定が職業選択の自由を侵害するとした判決(75・4・30)

■衆院選で選挙区により著しい「一票の格差」が生じたとして、公選法の定数配分規定が不平等だとした2件の判決(76・4・14、85・7・17)

■森林の細分化を抑えるために共有林の分割を制限した森林法の規定は財産権を侵害するとした判決(87・4・22)

■郵便法の規定が、損害に対する賠償の範囲を一部制限しているのは、国に対する賠償請求権の保障に反するとした判決(2002・9・11)

■海外在住の日本人が衆院選の小選挙区と参院選の選挙区で投票できないのは選挙権を保障した憲法に反するとした判決(05・9・14)

大法廷が違憲判決を出したこと自体が「事件」とも言えますが、東京新聞の記事を取り上げたのは最後にある複数の違憲判決との対比を考えるのにはちょうど良いだろうと思うからです。

確かに、親の結婚や父親の認知が出産後か出産前かで国籍が取得できたり出来なかったりというのは仏に考えてもおかしいし、世界的も例がないのと言われて当然でしょう。

しかしそれが法律に決められていたわけで「法務省は法改正を含め検討に乗り出した」のも当たり前です。

時代の変化につれて法律も変わらなくてはいけないのは当然ですが、根本的に疑義がある酔うことについては広く議論するべきでしょう。
どうも日本はここらヘンの議論が上手ではないし、その一方で出来た法律を改正する意欲に少々欠けるところがあるようにも思うところです。

6月 5, 2008 at 09:16 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (2) | トラックバック (2)