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2008.12.25

海上自衛隊をめぐるニュース

「ソマリア沖の海賊対策」

海上警備行動を発令して、護衛艦を派遣する方針を決めた。というのはちょっと驚きです。
記事中にもあるように、海賊対策の実が上がるのか?という問題であって、単に護衛艦を送れば何とかなるとは言えません。

わたしから見ますと、中国・韓国も軍艦を派遣するとしていますが、海賊に軍艦を派遣して何とかなるものなのでしょうか?ということもあります。

さらに本質的には警察活動ですから、コーストガード(海上保安庁)の方が得意な分野でしょう。

確かに現在の、国会が「政治抗争最優先」としている状況では、国会決議ですら得ることも難しいでしょう。実施を最優先とするために、このようなことになったのは分かりますが、実際面としてはやはり「護衛艦を派遣して何になるのでしょうか?」です。

効果としては、P3Cの派遣の方が効き目はあるかもしれませんが、結局は「派遣した」という名目だけでもあれば良いというのが、政府の方針なのでしょう。

「海自の不祥事対策」

ソマリア沖派遣が決まるという一方で、海自の不祥事対策を「抜本的改革委員会」が発表したという記事ですが、人員不足は世界中の海軍で問題になっていることでもあり、充足できるとも言いがたいでしょう。

経済政策としては、現在のような不況期には軍が雇用の受け皿になるのは当たり前のことなのですが、そういう機動的な対応も簡単ではないでしょう。

現代社会一般に言えることだと感じるのですが、省人化することによって社会全体も個々の職場や企業も応用力というか柔軟性を失ってきている、と感じます。
これは、進学や就職といったところにも及んでいて、新卒学生に即戦力を求めるという、無理なことになってきています。
投資効率とか、投資の回転率といったことが重要視されているのでしょうが、結果として「今、必要な事しかやらない」社会になってきているのでしょう。
そのために「予定外のことには極めて弱い日本」となりつつあるのだと感じます。

海自:ソマリア沖に護衛艦派遣へ 海賊対策で政府検討

政府は24日、アフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、海上自衛隊の護衛艦を現地に派遣する方針を固めた。

周辺海域を通航する日本船籍の民間船舶などを護衛することで、海賊行為を抑止する。
活動内容の最終調整を進めており、麻生太郎首相が年内に表明することも検討している。

ソマリア沖で海賊による誘拐事件などが多発していることを受け、政府・与党は、自衛隊の派遣を検討してきた。

海賊対策のための新法制定も検討しているが、ねじれ国会で早期に法案を成立させるのは事実上、困難。
各国が軍艦派遣を決めて海賊対策に乗り出すなか、日本も海上警備行動で実施可能な対策を先行させる必要があると判断した。

派遣される自衛隊の護衛艦は、海賊事件が多発するソマリア沿岸のアデン湾などを航行する日本船籍のタンカーなどを護衛する。
新テロ対策特別措置法により派遣されている護衛艦や補給艦とも活動海域が重なるため、活動の連携も検討している。

ただ、海上警備行動では、国内法が適用できない外国船籍の護衛は困難。
武器の使用権限も限られており、逃走する海賊船に向け発砲し、強制的に停船させることも不可能だ。

海自のP3C哨戒機による空からの警戒活動にもニーズがあるが、陸上の基地を使用するための地位協定の締結が受け入れ国との間に必要となる。
関係国との調整が付けば、派遣を別途、検討する。

国際海事局によると周辺海域での08年の海賊被害は11月19日現在で94件。

同月14日には、日本人船員を含む24人が乗った中国のマグロ漁船が乗っ取られるなど日本人が巻き込まれる事件も発生している。【古本陽荘】

◇新法より早期行動

海賊による事件が多発するアフリカ・ソマリア周辺海域への海上自衛隊派遣にあたり、政府が新法ではなく、海上警備行動を発令する方針を固めたのは、早期派遣のために現実的と判断したためだ。ただ、武器の使用などで他国の軍隊に比べ自衛隊に可能な活動は限定的。
現地で関係国とあつれきが生じる可能性もはらんでいる。

24日の閣僚懇談会。ソマリア沖の海賊対策が話題になった。

金子一義国土交通相が「早急に対応する必要がある」と指摘。
河村建夫官房長官も「政府全体として早急に検討し、万全を期す必要がある」と語った。

閣僚懇談会でのやりとりは伏せられるのが通例だが、
河村氏は記者会見で「海賊対策を早期に検討」と自ら発言したことを公表。
中国が軍艦派遣を表明するなど各国が海賊対策に本腰を入れるなか、石油などを中東に依存する日本が参加しなければ「ただ乗り」批判を浴びかねないという懸念もあり、自衛隊派遣に向けた政府の焦りを象徴する河村氏の異例の発言公表だった。

ねじれ国会の下、憲法論議にも発展しかねない新法制定は極めて困難。

そのため選択された海上警備行動の発令だが、これに基づき自衛艦が護衛できるのは、国内法の適用を受ける日本船籍か、他国船籍でも日本人が乗船している場合などに限られる。
他国の民間船舶が海賊に襲撃され、現場に向かうよう関係国から求められた場合、対応に苦慮することが想定される。

また、自船や護衛している船舶を守るための武器の使用は許されるが、逃走する不審船がたまたま自衛艦の付近を航行しても、武器を使って強制的に停船させることは困難だ。
仮に海賊を捕まえた場合に日本で裁判にかけるかなども問題となりそうだ。

一方で政府は、海上警備行動での派遣は、海賊活動という犯罪行為を取り締まるための任務であるため、武力行使そのものについて憲法解釈が問題になることはないと解釈している。【古本陽荘】

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海自の不祥事「心の問題」が要因 改革委が対策の指針

イージス艦衝突事故など続発する不祥事を受けて設置された海上自衛隊の「抜本的改革委員会」が24日、規律の緩みや倫理観の低下など「心の問題」を不祥事の要因と位置付け、根底には冷戦後の任務の増大、多様化に、隊員も組織も対応できていない現状があるとする「改革の指針」をまとめた。

「働く自衛隊」への急激な変容がもたらしたひずみを認めた格好だが、海自内部でまとめただけに、改革の柱に人員不足の解消や業務削減を据えるなど“身内びいき”な側面もあり、組織の病理解明と不祥事根絶への実効性を疑問視する声も上がりそうだ。

指針は一連の不祥事の要因を、法令・規則の軽視、規律の緩み、組織への帰属意識の低下など隊員の「心の問題」と分析。
冷戦後、工作船対処や弾道ミサイル監視、海外派遣など任務が増大、多様化する中で人員不足が浮かび上がったが解決されず、隊員の目的意識やプロ意識が希薄化したことなどが「不祥事の底流」にあると指摘した。

特に指針は、海自の中核である艦艇部隊に不祥事が集中している点を重視。人員不足で隊員の負荷が過剰になり「組織としての注意力やチェック機能が低下する弊害をもたらした」としている。

その上で改革の基本方針を「物(艦艇などの装備)先行型から人・物均衡型への転換」とし、具体策として

  1. 2014年度を目標に護衛艦乗組員の充足率を90%以上にする
  2. 業務の削減と効率化
  3. 女性自衛官の採用、登用拡大
  4. 入隊時教育、中堅隊員の教育、艦長養成課程の充実-などを挙げている。

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12月 25, 2008 at 09:38 午前 国内の政治・行政・司法 |

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