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2008.11.20

児童相談所をめぐる報道

神奈川新聞より「女児の虐待死/児童相談所など「軽いネグレクト」と判断/育児指導の最中、最悪の事態に

川崎市多摩区の自宅で三歳の女児が母親と交際相手の男に殴られ死亡した傷害致死事件は、市中央児童相談所(高津区)や女児が通う私立保育園などがネグレクト(子育ての怠慢)と判断して母親と女児を見守りながら、育児指導をしていた最中に起きた。周囲が問題を把握しながら、なぜ最悪の事態に至ったのか。自宅訪問など積極的な措置の必要性があらためて浮かび上がった。

女児が通う保育園は昨年八月、衣服が汚れていることなどに気付き同児童相談所に連絡。「軽度のネグレクト」と判断した児童相談所は、保育園と多摩区保健福祉センターを交えて協議し、母親や女児について情報共有することや育児指導することなどを決めた。

保育園と同センターは女児が死亡する直前の十一月初旬まで、母親が保育園に送り迎えしたり、生活保護費を受給したりするなどのために多摩区役所を訪れたりする際、家庭状況を確認するために面談などを行ってきた。児童相談所によると、その間、女児にあざができるなどの大きな異変はなく、虐待しているような様子は把握できなかったという。

しかし、関係者の証言をつなぎ合わせると、長女の変化が浮かび上がってくる。保育園は今年二月に長女の鼻の下が内出血しているのを確認。また、昨年八月からの約一カ月間と今年十月末から死亡するまでの間、長女は保育園を欠席していたという。

しかし、児童相談所などは「内出血は暴力によるものではない」という病院の診断や、「家族全員がかぜをひいたので(保育園を)休む」という女性の連絡を受け、自宅訪問などの積極的な措置は取らなかった。児童相談所は「軽いネグレクトだと判断していたので、見守りながら育児指導し徐々に改善しようという方針だった」と説明している。

児童虐待の問題に詳しい特定非営利活動法人(NPO法人)「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」の山田不二子理事長は「母子家庭に男性が加わると、子供がなつかないために男性が暴力を振るうことは珍しくない。生活保護や若年出産などの状況を考えると虐待が起きてもおかしくない」と指摘。「ネグレクトから暴力につながるケースは多いので、少しでも異変を感じたら専門家が自宅訪問して様子を見に行くべきだ」と注文する。

児童相談所は「最善の対応を取ってきたつもりだが、今ではもっとやるべきことがあったと考えている。同じことを繰り返さないために課題を検証し改善したい」と話している。

京都新聞より「乳児遺体遺棄、再発防止へ 事件受け、京都市検証委が初会合

生後約1カ月の乳児の遺体を遺棄したとして、11月1日に京都市中京区の両親が逮捕された事件で、京都市は19日、再発防止策を検討する「市乳児遺体遺棄事件検証委員会」を設置し、初会合を開いた。年内に報告書をまとめ、門川大作市長に提出する。

市児童相談所は、今年4月に乳児が生まれた病院から「母親の言動が不安定」という趣旨の通告を受けていたが、両親や乳児に会うことができず、立ち入りまで半年を要した。

検証委は、同志社女子大の宮本義信教授を委員長に、精神科医や民生児童委員ら計6人で構成。児童相談所と保健所の対応内容や時期、関係機関との連携の在り方に問題がなかったか検証する。

初会合は非公開で行われ、今井豊嗣子育て支援政策監が「再発防止に向け、取り組みを強化したい」とあいさつした後、市が事件の概要や市の虐待対応マニュアルについて説明した。

全く別の事件について、たまたま児童相談所の対応が問題になった記事が同時に出ていました。
児童相談所とは以下のものです。

児童福祉法 第11条〔都道府県の義務〕

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
  • 各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
  • 児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずること。
  • 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。
  • 児童及びその保護者につき、ハの調査又は判定に基づいて必要な指導を行うこと。
  • 児童の一時保護を行うこと。

第12条〔児童相談所〕

  • 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。
第12条の4〔一時保護施設の設置〕
  • 児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。

第33条〔一時保護〕

  • 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。

第33条の6〔親権喪失宣告の請求〕

  • 児童又は児童以外の満二十歳に満たない者(次条及び第三十三条の八において「児童等」という。)の親権者が、その親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百三十四条の規定による親権喪失の宣告の請求は、同条に定める者のほか、児童相談所長も、これを行うことができる

児童相談所は、各都道府県にあり、児童の一時保護と、親権喪失請求ができる。
という極めて強力な法律です。
もちろんここまで強力な法律が必要な社会情勢であるのは、明らかですが同時に慎重な運用も必要であって、慎重でありすぎるから事件になった、というのが二つの新聞記事でしょう。

わたしが応援している、ホームオブハート裁判のきっかけとなった事件も児童虐待から一時保護でした。
児童相談所の仕組みなどについて、意外と知られていないと思うのです。

11月 20, 2008 at 08:34 午前 国内の政治・行政・司法 |

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