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2008.11.09

高校生模擬裁判選手権

昨日(2008/11/08)は第23回司法シンポジウム「カウントダウン!みんなで築こう裁判員制度」に行ってきました。

実は「高校生模擬裁判選手権・東西対抗決戦」

Up

を見に行ったら、弁護士会館全体を使った司法シンポジウムだったのです。
プログラムは

  1. 裁判員ドラマ上映とドラマの出演者を交えたパネルディスカッション
  2. クイズ大会、川柳大会
  3. 模擬裁判「あなたも裁判員 ~体験してみよう裁判員裁判~」(申込み受付終了)
  4. 【シンポジウムⅠ】「裁判員裁判における弁護人の役割」
  5. 【シンポジウムⅡ】「理想的な評議のあり方を考える」
  6. 「高校生模擬裁判選手権・東西対抗決戦」
  7. 法教育模擬授業・授業参観と懇談会

と盛りだくさんで、高校生模擬裁判選手権と法教育シンポジウムに出席しました。

高校生模擬裁判選手権は、8月9日行われた関東選手権を見たので「決勝戦も見てやろう」と言うほどの意味しかなかったのですが、関東選手権も大変に面白く、大いに期待していました。

チラシの説明をそのまま書きますと、実際に起きた事件をそのままではないそうですが、ほぼそのまま題材にして、高校生に検察役と弁護役に別れて刑事裁判の、冒頭陳述から論告までを行い、出来を競うというものです。

弁護役と検察役を入れ替えるので、いわば先攻と後攻のようなことになり。
決勝戦は、関東大会優勝校と関西大会優勝校の決勝戦が二試合行われました。

多くの方は、実際に裁判を傍聴されていないでしょうし、何度も見ないと検察・弁護のテクニックの違いに触れることもないですから、わたしはかなりマニアックに見ていたことになります。

事件としては、起訴は殺人事件で、弁護側の主張は無罪、という正面衝突の事件で実際の裁判でも紛糾するだろうと思われるものでした。
なお、予選会(関東大会では8校が参加)から決勝戦まで同じ事件を扱います。
刑事裁判ですから、弁護士・検察官・被告・証人の4者が登場するのも、全試合同じです。

  1. 被告は、被害者の妻の兄つまり義理の兄弟
  2. 被告が被害者の結婚式に欠席したことで、以前は不仲であった
  3. 事件当日は、翌朝に釣りに一緒に行く約束をして、二人で酒場でかなり深酒をした
  4. 事件現場である、被告の仕事場で独身寮がある運送会社の構内に戻ってきたところで、被害者が被告を十数回殴打した。
  5. 被告は、数日前に同僚に頼まれて購入した全長40センチ以上の包丁を事務所から取り出して、トラックの駐車場に出た。
  6. 被害者は、被告に向かってきたので、包丁を上下に振って抵抗、被害者の腕に骨に達する傷を負わせた
  7. なおも、被害者は被告に迫り、よろけてトラックにもたれかかった、被告に覆い被さった。
  8. 被告は、包丁を持っていた手を出していたので、被害者の左胸に刺さり、被害者は死亡した。
  9. 被害者は、刺されて倒れた後に「兄貴、俺はもうダメだ」と被告に言って死亡した

この事件には、第三者が2名関わっていて、一人が証人になります。その状況は

  1. 同僚Aは喧嘩の仲裁をするが果たせず「勝手にしろ」と言い残して、独身寮の部屋に帰ってしまった。
  2. 目撃者として証言する、同僚BはAよりも先に喧嘩に気づくが、独身寮の階段から見ていて、仲裁には入らず最後まで事件を見ていた。

まるでミステリーのようなことなのですが、物語ではないので読者に相当する観客は「神の視点」が与えられていません。
上記の説明は、ほとんど小説の骨子のように書きましたが、わたしは関東大会と決勝戦で数回に渡って同じ事件を説明を、検察役と弁護役の高校生のプレゼンテーションを聞いたから組み立てる事が出来たのであって、実際の高校生の論告などは、これら全てを述べてはいません。

また、わたしにはまだ謎なのですが、目撃者がどの位置に居たから何が見えて、何が見えないかは分かりません。
実際の裁判では重要な事ではない、という判断になるのかもしれません。

このような、複雑な事件を題材にして、検察と弁護の攻防が行われるのですが、判決は下しません。

関東大会の優勝校は、湘南白百合学園高等部でした。
不思議なことに、わたしは関東大会で会場が複数あったために見ていませんでしたが、他の学校のレベルもかなり高いと思っていたら、昨年度の優勝校であるといった説明があって、関東大会優勝というのはどんな学校なのか?と非常に関心がありました。

関西大会の優勝校は、京都教育大学附属高校でした。
HPに関西大会の様子が紹介されています。

8月9日(土)大阪弁護士会館で行われた第2回高校生模擬裁判選手権(大阪大会)で昨年に引き続き優勝し,2連覇を果たしました。

今年は11月8日(土)東京弁護士会館にて関東の覇者・湘南白百合学園高校(神奈川県,同じく2連覇)と日本一をかけて戦います。

当日の画像はこちら

関東大会の時には「高校生の様子を見よう」という事で、ビデオを撮っていましたが、決勝戦では「裁判員になったつもりで、検察・弁護の評価をしよう」とメモを取ってきました。

試合は、午前と午後に行われ、午前は京都教育大付属が検察、湘南白百合が弁護で行われました。
実は、わたしはこの前半戦だけを見て、午後は法教育シンポジウムに参加したために、後半戦を見ませんでした。

優勝は、僅差で京都教育大学附属高等学校になりましたが、講評によるとチームワークの良さが評価されたとのことです。
湘南白百合は非常にクールというか、見事な法廷戦術で「本物の弁護士でももっと下手なのを見たぞ」というレベルでありました。

実際の法廷を傍聴して、その後に解説でも聞かないと分からないことですが、証言を引き出すための段取りといったものが利いてきます。
証人や被告にいきなり核心を突く質問をすると「分かりません」とか「覚えていません」といったあいまいな証言になる可能性があります。
そこで段取りを踏んで、問題の状況を正確に証言させる技術があるのだそうです。

この証言の攻防は、リハーサルを行って攻撃も防御も手順を確認するのだそうで、湘南白百合は「これは相当リハーサルを積んで、攻撃と防御を良く理解した生徒たちが参加したな」とわたしは見ました。
前半戦を見たところで「湘南白百合の優勝か」と思って、法教育シンポジウムに席を移したのですが、結果は京都教育大学附属高校の優勝でした。

何よりも、こんな難しいことに挑戦した、各校の生徒を誉めたいと思います。
それよりも、面白いのが一番でありました。

日経新聞より高校生、模擬裁判で熱戦 日弁連シンポ、審査員「迫力あった」

来年5月に始まる裁判員制度を控え、市民の参加意欲を高めようと、日本弁護士連合会は8日、司法シンポジウム「カウントダウン!みんなで築こう裁判員制度」を東京都内で開き、パネルディスカッションや日弁連制作の裁判員ドラマの上映会を実施した。高校生による「模擬裁判選手権」東西決戦も行われ、京都教育大付属高(京都市)が優勝した。

模擬裁判対決は同シンポの目玉で、高校生が実際の刑事裁判と同じように検察側と弁護側に分かれ、有罪か無罪かなど主張の説得力を競う模擬裁判の“甲子園”。

8月に行われた関東、関西大会の両優勝校、湘南白百合学園高(神奈川県藤沢市)と京都教育大付属高が繰り広げた熱戦に、審査員の1人の裁判官は「これほど迫力のある模擬裁判は初めて。司法の未来は明るい」と舌を巻いていた。(08日 23:01)

朝日新聞より立証技術競い合い「高校生模擬裁判」、京教大付が日本一

初開催となった「高校生模擬裁判選手権東西対抗決戦」(日本弁護士連合会主催)が8日、東京・霞が関の弁護士会館であり、西日本代表の京都教育大付属高校(京都市伏見区)が東日本代表の湘南白百合学園高校(神奈川県藤沢市)を破り、初の日本一となった。

両校が検察側と弁護側に分かれて立証の技術を競い合い、現職の裁判官や検事、弁護士ら5人が審査員を務めた。京都教育大付属は主張に情熱がこもり、チームワークが優れていた点などが評価された。裁判員役の東京地検の検事は「(両校とも)すぐにプロとして通用する」と舌をまいた。

サンケイ新聞より【迫る裁判員制度】プロも舌巻く法曹“卵” 高校生が模擬裁判選手権

日本弁護士連合会(日弁連)が11月8日に東京・霞が関の弁護士会館で開催する司法シンポジウム「みんなで築こう裁判員制度」で、「高校生模擬裁判選手権東西対抗決戦」が行われ、初の日本一が決まる。弁護士らも舌を巻く裁判術を披露する高校生たち。来年5月スタートの裁判員制度など、司法の市民参加時代を迎えた法曹界にとって心強い存在となりそうだ。

「模擬裁判の甲子園」ともいえる同選手権は、1つの事件を素材に争点を見つけ出し、弁護側(被告含む)・検察側(証人含む)に分かれて“試合”を行う。それぞれ(1)冒頭陳述(2)証人尋問(3)被告人質問(4)弁論(弁護側)・論告(検察側)を実施。(1)~(4)の時間配分や技術を現職の裁判官、検事、弁護士らが採点し、勝敗が決まる。

今回の題材は、男性が左胸を刺されて死亡し、男性の妻の兄が犯人として起訴されたが、殺意を否認している-という事件。

証拠類をもとに高校生らしい発想で論理を組み立て、主張・立証する。相手側の出方次第で臨機応変の対応を迫られることがあるうえ、裁判員制度適用を前提に、分かりやすさもポイントとなる。

関東・関西大会では計15校(県予選含む)が出場。関東で湘南白百合学園(神奈川)、関西は京都教育大附属(京都)が、それぞれ代表に勝ち上がった。両校は第1回の昨年も各代表になったが、決戦大会がなかったため、「今年初めて雌雄が決する」(日弁連)。

両校の“選手”は1、2年生有志。法曹志望者ばかりでなく、理系や、「おもしろそう」と知的好奇心を刺激された生徒も多く、試験や学校行事の合間をぬって“練習”を重ねている。

湘南白百合学園(8人編成)は弁護士の指導や裁判傍聴に加え、証拠書類の読み込み・分析、プレゼンテーション資料作り、他校との“練習試合”までこなして万全の構え。指導にあたっている熊本秀子教諭(49)は「汗と涙の日々ですが、究極の知のゲームにみんなハマってます」。

対する京都教育大附属(14人編成)は、弁護士、検察官、裁判官のほか、殺人事件対策に医師、表現力を磨くため元劇団四季俳優・講師からも話を聞くなど、幅広く技術を磨いている。札埜和男教諭(46)は「生徒も僕も優勝をねらいます」と気合十分だ。

実際に予選の戦いぶりを見た日弁連副会長の福島康夫弁護士は「司法試験を受けていなくてこれだけできる。われわれ弁護士は何なのだろうと思う」と、レベルの高さに感心していた。

予選の運営に携わった村松剛弁護士も「裁判員を意識して分かりやすく論を組み立て、証拠の見方もいい。相手に訴えかけたり説得したりという本来あるべき姿を、プロの法律家以上に表現している」と絶賛していた。

当日は開会式後、攻守(弁護側・検察側)を替えて2試合開催する。見学の問い合わせは日弁連(電話03・3580・9977)。

11月 9, 2008 at 09:53 午前 教育問題各種, 裁判傍聴, 裁判員裁判 |

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 さらに昨日の続きで、日経BP記事から。 私が最初に裁判員制度の問題点を発信していこうとした時期に、この制度に反対していたのは主に保守系、もっと言えば「右翼」とも言われる勢力でした。現在の「裁判員制度...... 続きを読む

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昨日は、模擬裁判選手権の東西決勝でした。 私は、S学園の支援弁護士として、ずっとずっと関わってきたわけですが。 結論からいうと、優勝は、 京都教育大学附属高等学校。 京都教育大附属のみなさんオメデトウっ! シャカシャカρ(≧ω≦)ρマンボ!! ほんとうに、すばらしいプレゼン、そして尋問技術だったなぁ。 本当によく記録を読み込んでいると思いました。 講評でも出ていましたが、スタイルが本当に違いましたね。 尋問で証人、被告人をどんどん追い詰める京都教育大... 続きを読む

受信: 2008/11/10 13:28:44

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