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2008.10.05

子どものネット利用安全教育の無策

サンケイ新聞より「ネット有害情報から子供守れ!携帯、通信各社が連携

NTTドコモ、ヤフー、楽天などの情報通信会社や通信機器メーカーが、日本PTA全国協議会などの教育団体と共同で、インターネットの有害情報から子供たちを守るための「安心ネットづくり促進協議会」を発足させる。
産業界と教育界が連携し、サービス提供者としての業務ガイドラインを作成するほか、保護者向けの啓発活動などに取り組む。

発起人にはほかに、KDDI、ソフトバンクモバイル、マイクロソフト、富士通、インターネットイニシアティブなどが名を連ねる。発起人総会を8日に開き、来年1月をめどに協議会を設立。数百社規模のネット関連企業に参加を呼びかける。

情報通信関連業界が横断的に連携し、ネットの安全確保に向けた協議会を設けるのは過去に例がない。

協議会では、

  1. 教師や保護者向けシンポジウムなどの啓発活動
  2. 事業分野別でのネットの安全利用実現に向けた「自主憲章」の策定や、業務ガイドラインの作成
  3. ネット上の違法有害情報に関する調査・研究
などを行う。

これまでネットの安全利用に向けた啓発活動などは大手のネット企業などが個別に行うケースが多かったが、企業色が強く、教育関係者から敬遠される傾向があった。業務ガイドライン策定も、業界が個別に行っており、具体的な取り組みや成果が見えづらいなどと指摘されていた。

協議会では教育界と連携することで、効果のある対策を探ると同時に。社会的な認知や理解を深めていきたい考えだ。

6月には議員立法で有害サイト規制法が成立し、総務省もネット安全利用に向けた促進計画の策定を進めるなど、業界に対しネットの安全維持にむけた取り組み強化を求める動きが強まっている。協議会の設立は、民間による自主的な取り組み強化を強調する狙いもある。

産業界と教育界が連携し、サービス提供者としての業務ガイドラインを作成するほか、保護者向けの啓発活動などに取り組む。

こう言ってしまうといかにも分かりやすいのだけど、

有害サイト規制法が成立し、総務省もネット安全利用に向けた促進計画の策定を進めるなど、業界に対しネットの安全維持にむけた取り組み強化を求める動きが強まっている。協議会の設立は、民間による自主的な取り組み強化を強調する狙いもある。

要するに、総務省と業界団体と法律、なのであって実行機関である行政として総務省が教育の現場に口を出しても

企業色が強く、教育関係者から敬遠される傾向があった。

が変わるわけではあるまい。
学校の現場では、まず第一に教委委員会を通じて文科省を見ています。これが当然なのであって、そこにどうやってネット安全利用を入れるのか?と考えると、そもそもその場所がない。

こういう「その他のこと」ができるのが、総合的学習の時間であって、それが「ゆとり教育問題」と同一視されて、時間枠を削減しようという話になっています。

学校の現場にとって、ネット安全教育を実施すること自体が、文科省がノータッチだから「指示していないことをやる」というリスクがあって、例えば親から「ムダなことをするな」と抗議があった場合に、学校のリスクにおいて「必要な事だから断固として実施します」とは言いがたいわけです。

こういう状況において、学校がネットの安全利用について教育を依頼すると考えたときに「とりあえず携帯電話会社に頼もう」となっているのが、現状でその携帯電話会社が「個別にはやってられない」として連携するのは「何がやってられない」なのか?を理解する必要がありますね。

わたしは「文科省がネット利用教育を正式に取り上げろ」という側面は少なからずあるだろうと思います。
今や、携帯電話の子どもたちの使用を禁止する、なんてことは社会的に不可能であるのは明らかですが、その一方で「どういう利用が子どもたちにふさわしいのか」が取り上げられていません。

文科省が出しているのは「携帯電話における「フィルタリング(有害サイトアクセス制限)」の普及促進について

平成19年2月16日
文部科学省
警察庁
総務省

本日、文部科学省、警察庁及び総務省は合同で、インターネット上の有害情報から子どもを守るため、都道府県知事・都道府県教育委員会・都道府県警察等に対して、別紙のとおり、携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について、学校関係者や保護者をはじめ住民に対する啓発活動に取り組んでいただくよう依頼しました。

要するに、文科省は「安全利用については、総務省・警察庁に任せる」と言っているわけです、その一方で最近こんな事を発表していることになっています。

CNET Japan より「小中学生、校内への携帯電話持ち込み「原則禁止」へ--文科省が要請

文部科学省が全国の小中学校に対し、学校内への携帯電話持ち込みを原則禁止すると通達したことが明らかになった。

7月25日付けで通知されており、「児童生徒が利用する携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底について」として、全国の教育委員会をはじめ、都道府県知事など宛てに送付されたもの。その中では各学校や教育委員会において、学校内における携帯電話の取り扱い指針を作成し、児童への指導を徹底することを求めている。

また取り扱い指針の具体例として、

  1. 小中学生の学内への携帯電話の持ち込みの原則禁止
  2. 安全性等やむを得ない事情で携帯電話の持ち込みを許可する場合には、GPSなど一部の機能に使用を限定する
  3. 持ち込みが許可された携帯電話の校内での使用の禁止
、という3点を挙げている。

児童の携帯電話の使用をめぐっては、文部科学省の有識者会議が2008年6月にまとめた報告書においても、学校での携帯電話の取り扱いに関するルール策定の必要性が提言されている。実際、多くの学校が自主的に作成したルールに基づいて指導しているが、一部の学校では実践されておらず、文部科学省の今回の通知に至った。

あくまでも「学校運営の観点で携帯電話に触れたくない」というところ止まりなわけです。
探し出せないのですが、何年か前に国会だと思うのですが文科省に子どもの携帯電話利用について質問があり、文科省の答弁が「携帯電話は教育には無関係。だから学校に持ちこむことは考えていない」とかいうものがあったと記憶しています。

要するに、私物であって学校も文科省もノータッチだ、と宣言したわけです。
だから今になっても「ネット安全利用教育を学校は行わない」としているのではないか?とわたしは強く疑っています。

このわたしの判断が正しいように見えるのは、上に上げた文科省の「要請」にも感じられるところです。
文科省という役所が、こうまでネット利用についてバラバラでむちゃくちゃなスタンスをとり続けていて、良いとはとうてい思えません。
一体何を考えているのか?「敵は文科省」ということになるのでしょうか?

10月 5, 2008 at 11:10 午前 教育問題各種 |

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