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2008.10.22

金融危機

朝日新聞より「ローン返済、突如倍増 アイスランド、円建て人気裏目

家や車のローンの毎月の返済額が急に倍になる――。悪夢みたいな話がアイスランドでは現実になっていた。

レイキャビクの高校教師、(47)は2年前にアパートを買った。子供が5人なので広めの約200平方メートル。そのローン返済額が今年初めは月11万4千クローナだったのに今は22万クローナなのだ。

実は資金を「日本円」で借りた。それがつまずきのもとだった。

バブル経済で同国通貨クローナは金利が高いうえ、返済額が物価の上昇率に応じて変わる独特の制度もある。それに比べ円はずっと低金利だし、この国のインフレにも振り回されない。返済は円での定額を毎月のレートでクローナに替えて払う。「為替の変動が多少あっても割安」になるはずだった。

ところが、この春ごろから下落気味だったクローナは金融危機で暴落。ついに1クローナが約1円と年初のほぼ半分の価値に落ちてしまった。

手取りで26万クローナの月給のほとんどがローン返済に消えるはめになった。生活は大工の棟梁(とうりょう)である夫の収入頼み。

「通勤は車から燃料代のかからない自転車にかえました。休暇の家族旅行も当分中止」とため息をつく。

レイキャビク郊外の高級車販売店。経営者(36)によると、ここ4、5年は客の9割以上が円などの外貨ローンを利用していた。
客が購入を決めると一緒にコンピューターの前に座り、銀行系ローン会社のサイトにアクセスする。提供される各種ローンの中から選んでもらいクリック。

「人気が高いのは円だった。クローナの金利は2けた台。それが円だと4%ちょっと。ほとんどの客が円を選んでいたよ。だれも日本のお札なんて見たことないけどね。これからは僕も落ち目だな」

と彼もため息。

一国の経済がバスタブの湯だとすれば、政府や中央銀行は熱湯や冷水を出して湯加減を保つ蛇口。ところが、アイスランドではバスタブがいつのまにか巨大な海に変わっていた。

過熱した経済によるインフレを抑えようと中央銀行は自国通貨の金利を上げる。
今年10月はじめには15.5%にまでなっていた。しかし人々は中央銀行の規制から自由で低金利のまま流入する外貨でローンを組み消費を続ける。
世界の金融市場という海のなかで、アイスランドの小さな蛇口は意味をなくしていた。

中央銀行によると、外貨ローン利用はこの4年間で急増。04年1月は家計の借金のうち4.5%だったが、08年には3月の時点で23%に。クローナ暴落で、外貨による借金の重みはさらに増す。

73年まで世界銀行が「途上国」に分類していた小国は、80年代から経済のグローバル化の波に乗ろうと大胆に規制緩和を進めた。
舞台が広がり外資も流れこんだ。次々と内外で注目される企業が輩出。
06年には専門家らが首相に対し、「国際金融センターとして理想的。さらに条件整備を」という野心満々の提言さえまとめた。

気がつけば1人当たり国内総生産(GDP)は世界トップクラス。07年には国民の幸福度を示すともいわれる国連開発計画(UNDP)の人間開発指数で第1位に輝く。

ただ、その陰で経済は「規制緩和が産みだした巨大な怪物」(ビフロスト大学のエイリクール・ベルグマン教授)と化していた。
英国などで自国の人口より多い預金者を獲得したり、日本でサムライ債(円建ての債券)を発行したりして巨額の資金を集めた銀行の資産は合計でGDPの10倍。
何か起きれば政府の手に負えない規模に膨らんだ。そこへリーマン・ブラザーズの経営破綻(は・たん)。万事休した。

明日からどうなるか。通貨下落が続き、失業は増え、物価は上昇し、給料はカット……。グローバル化がもたらしたサクセスストーリーはホラーストーリーに変わった。

02年に首相経済顧問を務めたアイスランド大学のギュナール・ハラルドソン経済学部長は「私たちは自身の成功の犠牲者かもしれない」と嘆く。
首都の中心街の高級店やしゃれたレストランはまだ営業を続けている。
だが、いつまでもつか。最も幸せだった国から突然、人々の夢がごっそりと消えてしまった。(レイキャビク=大野博人)

〈アイスランド〉 北海道よりやや広い約10万平方キロの国土に約30万人が暮らす。
漁業国だが、80年代以降、経済の規制緩和を積極化。
特に資本の移動の自由化、金融機関の民営化や通貨クローナの変動相場制への移行など金融部門の規制緩和を機に、経済成長を遂げた。
06年までの10年で国内総生産(GDP)は2倍強に。1人当たり5万ドルを超え、3.4万ドルの日本を上回った(06年)。
日本への輸出はシシャモなど水産物が中心で、日本からの輸入の多くは乗用車。

欧州連合(EU)未加盟だが、経済分野にかかわる欧州経済領域(EEA)には参加。非武装で、北大西洋条約機構(NATO)加盟。

これは確か先週のテレビで放送された取材そのもののようですね。

ちょうど今「閉塞経済―金融資本主義のゆくえ」金子勝著・ちくま新書を読んでいます。
この中に「バブルとバブル崩壊を繰り返す経済」という言葉が出てきて、なるほどと思っています。

住宅ローンとか自動車ローンに直接外資を使うというのはテレビで見たときに驚いたものですが、テレビではアイスランドの問題が直接イギリスの問題になっていることも放送されて、これまた「そういうことだったのか」でありました。

アイスランドの金利が高いから、イギリスの100を超える自治体がアイスランドの銀行に預金していたのだそうです、それが凍結されてしまって予算執行が出来ない自治体が出てきてしまった。
さらに、イギリス政府がアイスランドに抗議して、イギリス国内のアイスランドの銀行を営業停止にしてしまったとか。
イギリス下院でも、政府の責任を追及するなど、完全に政治問題になってしまったようです。

アイスランドの「国内金利が高い(15.5%)なので、円でローンを組む」というのは、簡単に言えば裏技といったところですが、結局は「金利差を利用して儲ける」事であって、金融工学などと言う分野のテクニックですね。
もちろん、アイスランドの場合もアイスランド通貨クローナが暴落することがなければ、大問題にはならないわけでしたが、本質的には高金利であることがすでに危険信号でもあるわけで、そこで金利差があることがいずれは誰かがババを引くと理解しても間違えではないようです。

金子氏の本はまだ半分ぐらいしか読んでいませんが、経済危機になると金融機関救済のために結果として資金を市場に供給してきたのだから、世界は常に金余りになっている。という指摘があります。
つまり、いつでも資金運用=バブルになるわけで、これがバブル崩壊になるので、10年周期でバブル崩壊がある。と述べています。

今回の世界的に金融危機に対しては、たまたま円は巻き込まれなかったから円高に推移していますが、日本国内について考えると、資金が市場に溢れていることは代わりがないでしょう。
つまり、バブル崩壊があるかもしれないわけですね。

これでは、銀行は潰れないかもしれないけど、銀行の信用は無くなる、といったことになってしまいそうです。

10月 22, 2008 at 08:39 午前 国際経済など |

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コメント

弱りましたね。未経験の状態が来そうです。従来、世の中の大局の動きは即仕事に来ることはなかったんですが、どうも今回は尋常じゃないことになって来ました。
この暮れ正月は寂しいことになりそうです。世相も切羽詰まった人達が犯罪に走る物騒なことになりそうな気がします。

投稿: テスラ | 2008/10/26 10:53:07

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