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2008.10.09

ドルはもっと下がるかも

BIZ+PLUS より「第12回「『サブプライム』の次に来る『米住宅問題の本質』」(2008/10/07)

前回までは、サブプライム問題が起こった原因や、金融市場の状況、銀行問題が発生したときの政府の対処方法などについて述べてきたが、今回は、住宅市場の動向に目を向けてみよう。

米住宅価格、日本のバブル期と同じ状況

下のグラフは、米国の住宅価格とバブル時の日本の近畿圏と首都圏のマンション価格の推移である。これを見ると、今回の米国の住宅価格の上昇は日本で起きたバブルと全く同じ状況だったということが良く分かる。

別の言い方をすれば「家を売ろうとしている人達は、できるだけ早く売ろうとし、家を買おうとしている人達はできるだけ遅らせようとする」わけだ。こうなってしまうと、先物市場が示唆するように、住宅価格の先安感はなかなか払拭されない。

「米住宅ローンはノンリコース・ローン」が招く懸念とは

もしこれからも、住宅価格が下がり続けるとしたら、米国にどういった問題が起こるのだろうか。これを解くカギは、米国の住宅ローンは日本と違ってノンリコース・ローンになっているという点にある。

ノンリコース・ローンでは、お金を借りる人ではなくで、家そのものに対してお金を貸しているので、借り手が仮にローンを払えなくなってしまっても、担保となっている住宅を銀行に返してしまえば、残債を払わなくてよい。

このため、住宅価格がローン残高を下回って「債務超過」になると、人々は住宅ローンを払い続けるインセンティブを失い“Return the key(=家の鍵を銀行に返す)”という行動を考え始める。家を銀行に返してしまえば、住宅ローンの借り手はこれ以上責任を問われなくなるからだ。

しかし、そのような形で銀行の所有に戻った住宅は、再び市場で売却されるときに住宅価格を押し下げてしまう。こうして住宅ローンのデフォルトが増えれば、米国の住宅市場は、差し押さえられて売りに出される住宅の数が増え、その結果、増えた住宅供給が更に住宅価格全体を押し下げるという悪循環に陥ってしまっているのである。

ところが、このサブプライムの問題がトリガーとなって住宅価格がピークから221%近くも下がった結果、今度はサブプライムとは無関係の “Return the key”問題が発生してしまった。これは、今後の住宅価格の下落度合いによっては、規模にして変動金利でサブプライムローンを借りた人達の10倍以上の件数になる可能性がある。

しかも、これらの人達の大半はプライムローンで借りた人達である。今までサブプライムローンだけが何とかなれば良いと思っていた人達にとっては、これは大きなショックとなる。このように見ていくと、米国の住宅市場はまだまだ楽観視できるような状態ではないと思われる。

住宅在庫、中古・新築とも過去最高水準に

次に、新築と中古の住宅販売件数を見てみると(下の「下落が続く米国の住宅販売」)、すでに過去の平均的な状況を下回るところまで販売件数が急激に落ちている。また、新築住宅と中古住宅の在庫率、これは今の在庫を販売戸数で割って、何ヶ月で今の在庫が掃けるかを計算したものだが、それによると、中古住宅も新築住宅も在庫の積み上がりが過去最高水準という大変な事態になっている(下の「歴史的水準にある米国の住宅在庫」)。

ここまで在庫率が悪化するのにおよそ3年かかっているということは、在庫が適正なところに戻るのにも少なくとも3年かかることになり、政府はその間、景気を下支えしなければならないことになる。

日本でも95年くらいから金利はゼロだが、景気は悪化し続ける、土地の値段は下がり続けるということがあったわけで、これだけ金利を下げたにもかかわらず「住宅価格の先物市場が全然反転しない」という米国とそっくりだ。

そういう意味では、金融政策は、住宅価格が収益還元価格に戻るまではほとんど効かない。ただ、バーナンキ氏は、10年前日本経済について「日本銀行は皆バカばかりだ」「ヘリコプターからお金をばら撒けば日本経済は良くなる」とか「トマトケチャップさえ買えばいい」というむちゃくちゃなことを随分言っていたと記憶している。

バーナンキ議長が進める「ドル安政策」のリスク

もっとも、1ヶ所だけ金融政策で反応したところがある。下落を続けていたドルである。その結果、米国の輸出は今のところ好調に伸びている。

ただ、ドル安には大変多くのリスクがある。例えば、米国は石油にあまり税金をかけていなかったので、原油価格が上がると、ガソリンスタンドの価格も同じ比率で上がり、米国民の生活を直撃した。

こういったインフレの弊害もあって、バーナンキ議長は、今は金融政策の緩和を止めているが、彼の本音は今でも、金融緩和を通じて景気を下支えしたいというところにあるだろう。

しかし米国でも、サマーズ元財務長官などは「この問題は、金融政策でも対応できない。もっと財政でやらなくてはいけない」と言っている。もっと財政に頼れば、米国がドル安に頼る必要は減少するわけである。

「IMFからも財政出動求める声」の理由を考えよう

また、IMFのストラスカーン専務理事は、今年1月のダボス会議から「全世界が財政出動すべきだ」という話をしている。なぜなら、全世界がこの問題を金融政策で対応しようとしたら、1930年代のように、お互いが切り下げ競争になってしまい、全世界が崩壊してしまう。それを回避するには財政出動しかないというのだ。

IMFの60年の歴史の中で、財政を出せと言ったのは、恐らく彼が初めてである。IMFはこれまでどのような局面でも、助けを求めれば「まずは財政再建だ」と言っていた。だから、IMFの頭文字は何かというと、It’s Most Fiscal、つまり「財政再建の話しかしない」と言われるくらい、財政再建ばかりを言っていた。

ところが、この世界経済の危機に直面して、IMFも、全世界で財政をすべきだと言っている。そういう方向に世界が行けば、こういう問題はかなり解消されるということだが、そうはならず、日本も米国もヨーロッパも財政赤字があるから金融政策をやりましょうということになったら、かなりいろいろな所で問題が出てくるということである。

「銀行への資本投入」に米政府・議会は決断を

最後に、上の表に、米国の経済政策の選択肢についてまとめてみた。まず、米国の財政政策については、既に減税は実行されている。これはやらないよりはましだが、今はやはり政府支出を拡大させることが何より重要であり、なおかつ、それが継続的なものでなくてはいけない。

それから金融システムについては、銀行への資本投入が必要である。公的資金による不良債権の買い取り策については、先日、紆余曲折を経て何とか成立したものの、これでは本質的な解決策にはならない。ましてや、不良債権の買い取り法案に対して、あれだけ議員や国民の抵抗感が強いなかでは、資本投入については、まだ政治的に議論ができるような状況ではないだろう。

金融政策のほうは、住宅価格が収益還元価格に戻るまでは、なかなか効かない。ただ、流動性の供給については、主要国の中央銀行が協調してドル資金を供給してきたように、今後も積極的に続けていかないと、経済システムそのものがおかしくなりかねない。あとはインフレの問題が収まれば、ドル安で、なんとか景気を下支えしようというふうに米国は考えているはずだ。

従って、今の米国は、景気対策の面で言うと、バブル崩壊で状況が悪化していた1992年の日本、つまり1、2回景気対策をすればよくなると政府や経済企画庁が言っていたあのときと同じだろうし、金融システムについては、1996~97年ごろの日本と同じような状況だと言える。

「リチャード・クーのKoo理Koo論」の10月7日号の記事である。

正直に言えば、読んでもよく分からないところがあります。

なるほどと思うのが、住宅ローンが返せないから住宅が売りに出され、それが住宅の供給過剰となり、住宅市場での価格を押し下げ・・・・、という循環の説明です。
日本でも同じ事が土地バブルがはじけたときに起きていて、いまだに土地デフレ状態から変わらない。
それほど変化しにくいものだとすると、アメリカの景気後退というか、ドル安も簡単に元に戻るとは言えなくなります。

アメリカは、消費で経済を動かしてきました。個人の信用をもっとも支えるのが住宅でしょうから、その住宅価格が低迷すると、アメリカ全体の信用収縮とも考えられるわけで、現在のドル安は一時的な問題ですぐに回復する、とは言い切れないという考え方も成り立ちます。

リチャード・クー氏が「だから金融ではなくて、財政出動」と言っているところは良く分からないのですが、各国の政府がうまく信用の下落を駐めることが出来るか、が現在の世界的な通貨危機を収束させるポイントであることは理解できます。

しかし、現状がどうなっているのか?を理解しているのか?というと「分かっていない」と思うことが、数日前にありました。イザブログに書きました。「ドルの価値がいまだに下がらないことの意味について 」
サンケイ新聞の田村秀男記者のブログ「いくらドル札刷っても足りない米金融危機」から引っ張ったのですが、

米国はこの9月一ヶ月だけで、もう一年分以上のドル札を増刷したことをご存知だろうか。

いくら供給しても「まだ足りない、助けて、振り込んで」という電話が米連邦準備制度理事会(FRB)にはひっきりなしにかかってくる。振り込め詐欺のことではない。

米国ばかりではない。英国、アイルランド、フランス、ドイツ、ルクセンブルグなど欧州からもかかってくる。日本でもその恐れが強い。そこで、米欧日の中央銀行が協調して、ドル資金を流す取り決めもした。
なぜ国際的に市場ではドル資金不足が続くのか。金融商品バブルが崩壊したためで、歴史的には前代未聞である。

それは金融のグローバル化によりドル建ての金融商品が世界に出回っている。それらの金融商品の多くがサブプライム関連の証券化商品で、その値打ちが下がっている。金融機関の資産は大きく目減りする一方、清算してドルの現金に替えなければならないが、手元にドルがない。金融商品を叩き売れば、同種の金融商品を中心に投げ売りが連鎖してしまう。欧州では特にそれがひどい。とりあえずは、資金が金融機関の手元にふんだんにあり、融通し合えるという通常の姿に近づけるしかない。
いくら国際協調してもドル札はFRBでなければ刷れないから、FRBへのドル資金需要は高まるばかりだ。皮肉なことに

ドル資金は不足しているのだから、ドルが今のところ暴落するはずはない。ドルは見かけ上、まだ強い。
FRBは金融機関から米国債を買い上げては刷ったドルを供給するのだから、米国債相場は堅調なのだが、それは台風の目の中にいるようなものだ。サブプライム危機がおきた昨年8月以降ことし6月までのドル資金供給で生み出された余剰ドルは原油・穀物先物市場になだれ込んだ。輸入国は高騰したドル建ての原油、穀物をドルで払わなければならないので、ドル需要が高まり、ドル相場は強含んだ。

「えっ?!」である。

確かに、韓国のウォン安はドル不足を示していて、ユーロも下がっている。
アメリカ発のバブル商品の清算にはドルが必要だから、ドル不足になっているというのは分かる。
しかし、先に書いたように、アメリカの実体経済である消費市場の信用低下は事実だからドルが下落し、それもある程度の長期に渡るだろうというのも、予想の範囲内であって、現在の見かけ上のドル相場が一時的なドル不足によって高めになっているのだとすると、先行きドルはもっと下がることになってしまう。

わたしの理解では、アメリカの消費市場中心の経済はやはり付加価値をあまり生まないものだったのではないだろうか?
確かに、アメリカは人口が増加しているから、生産力の上昇も期待できるのではあるが、近代が生産性の向上と人口の増加による消費市場の拡大でバランスが取れていたのだと考えると、バランスが崩れる場合もあるのだろう。

生産調整は簡単だが、消費の調整は難しい。

これでは、国際経済は、ドルを基幹通貨として決済や経済指標評価に使って良いものか?という事にもなります。
それがまた、貿易のコストを上げる事にもなるでしょう。

今後、どうなるのでしょうか?

10月 9, 2008 at 09:06 午前 国際経済など |

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