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2008.09.11

株価暴落の原因がSEO?

ITmedia News より「UAL株価暴落はなぜ起きた――アルゴリズム検索も一因に

United Airlinesの株価暴落は、Google Newsのクローラーが古い破産記事を拾ってしまったことがきっかけだった。さらに自動的に株式を売買するシステムが、被害を大きくした。
2008年09月10日 17時07分 更新

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)

GoogleとTribuneが、9月8日のUAL株価急落を引き起こした問題をめぐって互いを責め合う中、自動的にWebのニュース記事を収集したり、株式取引を実行するシステムにも非難が及んでいる。

この日、UALの2002年の破産申請に関する古い記事が、新しい記事であるかのようにGoogleのニュースサービスに現れた。UALの親会社 United Airlinesの株価はすぐさま約12.50ドルから3ドルに急落、NASDAQ市場は取引を一時停止し、UALは新たな破産申請はないとする声明文を発表した。

UAL株は9日の取引で、2.8%安の10.60ドルで引けた。8日の取引開始前の株価を約13%下回る価格だ。

NASDAQ、またTribuneとUALの弁護士はこの件を調査中だが、詳しいことはまだはっきりしていない。

Googleが調べたところ、問題の2002年の記事が同社の検索エンジンに拾われたのは6日の夜だった。午後10時36分(太平洋夏時間)に Googleのクローラー(Webページを見つける技術)が、Tribune傘下のSouth Florida Sun-Sentinel紙のWebサイトの「最も読まれている記事:ビジネス」セクションに新しいリンクを見つけた。その記事――日付は載っていないが、2002年12月にChicago Tribuneが掲載した記事だ――はGoogleのクローラーが前回アクセスしたとき(午後10時17分)にはそのセクションにはなかったと Googleは説明している。

この古い記事がどのような経緯で人気記事ランキングに躍り出たのかは依然不明だ。Tribuneによると、6日夕方からトラフィックが増え始めたという。一部のUAL投資家は、UALの財務状況への不安を広めるために、何者かがWebトラフィックを操作しようとしたのではないかと考えている。

だがもっと無難な説明もできるだろう。フロリダと西海岸が激しい嵐に見舞われていたことから、フライトの遅延についてのニュースを見ていたWeb サーファーが、偶然UALの破産申請の記事を見つけた可能性もある。少数のユーザーがアクセスしただけでも、この記事が人気記事のリストに入るのには十分だったのかもしれない。Tribuneの広報担当者は、問題の記事にどの程度のアクセスがあったのかを明らかにしていないが、不正行為の兆候はないとしている。

この記事は、ユーザーが「United Airlines」などのキーワードを検索した場合に、Google Newsを介してアクセスできるようになった。記事はGoogle Newsトップページの見出しには表示されなかったが、UALや関連する話題についてGoogle Newsアラートを受け取るよう設定していたユーザーには電子メールで届けられた。

8日の株式市場の開場時には、UALの株価は下がっていなかった。だが、調査会社Income Securities Advisorsの投稿で、問題の記事が広く出回り始めた。この投稿は、ウォール街関係者が注目しているBloombergのニュースサービスの利用者向けに提供されたものだった。午前10時45分ごろ、この記事の見出しがBloombergの画面に現れた直後、UALの株価は急落した。それから15分で株価は3ドルにまで下落し、NASDAQは取引を一時停止した。

誤報で株価が変動することは以前にもあったが、Google、Yahoo!などのニュースアグリゲーターへの依存度が高まっていることで、情報――正しいものでも、間違っていても――が世界中に広まるのが速くなっている。

ニュースアグリゲーションサイトには多くのタイプがあり、その数も種類も増え続けている。Google Newsのように、表示するニュースをアルゴリズムで決めているサイトもあれば、Digg.comのようにユーザーの評価に大きく依存しているところもある。多数の新興企業が新しいアプローチを試しており、ユーザーの友人が読んでいる記事を、ユーザーが関心を持ちそうなニュースとして提供するなどしている。

SlateやHuffington Postなどニュースや論説を掲載したオンラインのみのサイトは、印刷メディアや放送局よりもかなり懐疑的に見られていると、Pew Research Center for People & the Pressは最近の調査で報告している。だがGoogle NewsやYahoo!ニュースのように単に従来メディアからニュースを集めているだけのサイトは信頼度が比較的高く、ユーザーは日刊新聞と同じくらいこの種のサイトを信頼していると答えている。

検索エンジンはニュースサイトにとって依然、重要なトラフィック流入経路だ。調査会社Hitwiseによると、2008年8月に、検索エンジンはニュース・メディアサイトへのトラフィックの20%を占めていた。この割合は前年同月からほぼ横ばいだった。その中で最大の流入経路はGoogleで、ニュース・メディアサイトへのトラフィックに占める割合は、前年同月の13%から14%に上がった。

一部の人にとって、UALの一件は、従来の報道機関が、Googleなどの検索エンジンがニュースを取り上げる仕組みをまだ完全には理解していないことを指摘するものだ。検索エンジンの専門家は、Sun-Sentinel紙が元のTribuneの記事に掲載日を記していれば、このような混乱は避けられただろうとしている。そうしていれば、Googleのニュースクローラーが問題の記事を無関係のものとして避ける可能性はずっと高くなっていただろうとインターネットアナリストとGoogleは主張する。

この問題は、Sun-Sentinelの「SEO(検索エンジン最適化)がまずかった結果起きたようだ」と検索・ソーシャルメディアマーケティング企業Reprise Mediaのマネージングパートナー、ピーター・ハーシュブルク氏は語る。

人間の介入なしで自動的に株式を取引するプログラムの利用がウォール街で増えていることも、被害を大きくした。ニュースの見出しや業績データを基に株式を売買するアルゴリズム売買メカニズムによる取引は、8月最終週にはニューヨーク証券取引所の取引の約4分の1を占めていた。

投資家は、人間が簡単に確認するだけでUALの記事が古いことが分かっただろうが、コンピュータの取引システムはそうした判断はできないと指摘する。

「トレーダーは執行前に注文を取り消すことができるが、あまり高度でない取引システムにはそれはできない」とニューヨークの証券会社Cuttone & Co.の上級副社長バーニー・マクシェリー氏は語る。

全くの人にとっては誤解の余地がない情報でも、株価はすぐさま約12.50ドルから3ドルに急落・NASDAQ市場は取引を一時停止というほどの惨事になるのですねぇ。

トンデモ商法問題でしばしば出てくるのか「専門家はこんなことは認めていない」のようなもので、最後には詐欺事件だとなるのですが、いわば機械同士がニセ情報に従って動いた、と解釈するしかないですね。

元が新聞社の記事が人気ニュースとして古い記事をフレームアップしてしまった、というのだからこれ自体は人手ではよく行われていることで「だからネットの情報は信用できない」と指摘される大きな理由になっています。
それが、新聞社の「人気記事ランキング」のようなものだと「新聞社だから」 → 「人が監視しているはずだから」 → 「信用できる」という構造なのでしょう。

これは、Google がサイトランキングに採用した根本原理であって、考えてみると「Google が評価するサイトは、人手で作られているから。機械的な信用性が低い」 → 「だから、Google があらかじめ設定した信用度が高い、新聞社などの情報は優先度を高くしたランキングを作っている」ということなのでしょう。

もしこういう原理であれば、「世界は Google のみがランキングしている」でいわば公平性が保たれたのかもしれませんが、「人が見ていないサイトのランキング」であったとなると、Google の基礎原理である「信用できる人の社会」が反映していないのだから、けっこう重大な問題なのかもしれません。

9月 11, 2008 at 10:06 午前 ネットワーク一般論 |

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