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2008.07.10

横浜市大騒動の調査結果

「横浜市大騒動は拡大か?」の続編(結果)です。

横浜市立大学で学位審査で教員が大学院生に金銭を要求したという事件の最終報告書が発表され、東京新聞と読売新聞が報道しています。

面白いのは、この二つの新聞の記事が焦点を当てているところが微妙に違うところです。

東京新聞神奈川版より「一般社会と感覚にずれ 対策委最終報告 教育者の資質にも言及

学位のやりとりをめぐって教え子らから金を受け取っていた教員が全体の三割以上に達することが明らかとなった横浜市立大学大学院医学研究科(金沢区)。九日夜の会見で、問題の調査に当たった対策委員会(委員長・宗像紀夫弁護士)は大学の体質に苦言を呈した。

大学は信頼回復を目指す姿勢を強調したが、教授が自ら金銭を要求する事例が判明するなど問題の根は深く、再発防止策が結実するかどうかは未知数だ。 (中山高志)

「医学部の特異性を強く感じた。一般社会との乖離(かいり)があると思う」

この日発表された最終報告書で、同大大学院の二つの研究科のうち、金銭授受というあしき風習があったのは医学研究科だけであることが判明した。

元東京地検特捜部長の宗像委員長はこの点を指摘し、「医」の世界の非常識さが問題の温床となったとの見方を示した。
本多常高・同大理事長も「学内で放置され続けたことに問題があった」と振り返り「大学の評判は地に落ちたことを実感している」と無念さをにじませた。

一連の金銭授受問題では、内部通報者の責任追及を求めるという非常識な文書が学内から大学当局に提出されるなど、同大のコンプライアンス(法令順守)意識の低さも際だった。
宗像委員長は「みなし公務員という立場で仕事をするという意識に欠けていた」と述べた。

最終報告書はこのほか、同大教授の一人が学位審査の際、学位取得者に金銭を露骨に要求し、受け取ったという事実を認定した。

取得者の証言によると、教授は「学位審査後にお礼をするのは慣例だ。金額も安くしている」と謝礼の支払いを求めたという。
あからさまな要求に取得者が反発し、口論になったところ、教授は「学位を出さないことができる」と脅迫ともとれる発言をしたという。

対策委は証言を事実と認めた上で、事実関係を否定したこの教授を「教育者としての資質を疑わざるをえない」と強く非難。厳しい処分を大学に求めた。

こうした新事実が判明する中、対策委は医局制度の抜本改革など四項目から成る再発防止策を提示した。

本多理事長は「(大学と一般社会の)倫理観のずれを直すのには時間がかかるかもしれない。そのためにいろいろな方策が必要になる」と述べ、大学の再出発へ決意をみせた。

読売新聞神奈川版より「謝礼横行浮き彫り 横浜市大最終報告

横浜市立大の学位審査対策委員会が9日公表した最終報告で、医学部教員61人のうち、19人が大学院生らからの謝礼の受け取りを認め、ほかの3人も同委員会が謝礼授受を認定、推認したことが明らかになった。

ほかにも18人が「金銭を持って来られたが断った」と回答しており、謝礼の受け渡しが横行していた実態が浮き彫りとなった。

同委員会は「関係者の認識は社会常識と乖離(かいり)していた。組織の管理運営に非常に問題があった」と約3か月にわたる調査を総括し、再発防止策を提言した。

同委員会では中間報告を発表した5月2日以降、謝礼を巡る証言が食い違った学位取得者6人と教員9人について、経験豊富な弁護士らが面談による聞き取り調査を実施。

その結果、2人の教員が「院生らが渡したというなら、そうでしょう」と一転して授受を認めた。
さらに、別の教員が「受け取りを思い出した」と名乗り出たという。

同委員会の委員長を務めた元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士は記者会見で「粘り強く関係者に協力を依頼し、回答が一致しない事例にも客観的事実などから見解を示した」と調査結果に胸を張った。

また、学位取得者2人から「お礼をするのは慣例だ。金額も安くしている」「学位を出さないこともできる」などと謝礼の要求があったことを指摘された指導教授について、宗像委員長は「力を入れて調査した点だ」と説明。

指導教授は金銭の要求や授受を完全否定したが、院生らの証言を「明確かつ具体的で、信用性が高い」と判断し、授受があったと認定したという。

報告書は指導教授を「法令に抵触するおそれのある行為。否定する態度は良識を疑う」と厳しく指弾。
宗像委員長は「慣行の中での行為で、ただちに刑事告発の対象になるとは見ていない」と言葉を選びながら慎重に話した。

調査対象の教員のうち、受け取り拒否を含めると3分の2近くの教員が謝礼の受け渡しにかかわっていたことになる。

本多常高理事長は「医学部には特殊性があり、個々の問題ではなく(全体に)あしき慣習があった」と苦渋の表情。
「大学の評判が地に落ちているのを実感している。
一般社会との倫理観の乖離を直すには時間がかかるかもしれない」と語った。
同委員会から提言された再発防止策については「真摯(しんし)に受け止め、全力をあげて信頼回復に取り組む。一つ一つやっていく」と述べた。

二つの新聞記事は、調査委員会の発表内容を報道しているのですが、東京新聞の記事のトーンは、

  • 医学部の問題であり
  • (教員の)個人の資質や、刑事事件の可能性など強く非難するべき

と感じられるのに対して、読売新聞の記事のトーンは、

  • 組織に問題がある
  • 医学部だけとは報じていない
  • 調査が強力であった

と感じられます。

わたしには、こんな事がどこの大学や医学部でも起きているとはとうてい思えないわけで、その意味では報道の姿勢としてもより精密に何が起きているのかを知らせるべきだと思うのです。
そういう観点からは、読売新聞の記事には、なんとなく「幕引きの一端を担っている」という印象がつきまといますし、横浜市大のもう一つの研究科から「もっとはっきり書け」とクレームが来ても不思議じゃないように思います。

それにしても、金銭を要求し「払わないと学位を出さない」とまで言って、これを脅迫や強要として刑事訴追しないのであれば、大学は刑事事件になった時よりも、より強い制裁を科して当然だと思うのだが、大学当局の見解が漠然と「信頼回復に取り組む」では早晩大学自体の不要論につながっていくだろう。

学問の自由や、大学の自治は重要な問題であるのだから、外部から(法的な)指摘をされる以前に社会が納得する管理ができなければいけない。
その「管理」が学問の自由などに基づいているのだ、と社会に示すことこそが大学の存在意義なのだから、これでは全くダメだ、ということを大学当局は分かっているのだろうか?

横浜市大に明日はあるのか?

7月 10, 2008 at 09:38 午前 事件と裁判 |

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コメント

横浜市大は他にも疑惑がある。

投稿: | 2008/08/20 15:09:07

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