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2008.06.21

神栖市市議会選挙・ようやく決着

2008年3月5日に「神栖市議会選挙結果の修正」と書いたエントリーしたものの誤操作で削除してしまいました。

サンケイ新聞より「最下位当選者の当選「無効」 神栖市議選

2月10日の茨城県神栖市議選(定数26)で、5票差で次点となった後藤潤一郎氏(36)=無所属=が有効票を無効にされたとして異議を申し立てた問題で、市選挙管理委員会(伊藤實委員長)は4日、無効票15票を後藤氏の有効票と認め、最下位当選した関口正司氏(64)=共産=の当選を無効とする決定を行った。ただ、関口氏は県選管への異議申し立てを検討しており、市議会の議席が事実上、確定しないという異例の事態が長期化する可能性もある。

市選管は同日、決定を告示。告示から21日以内に県選管に異議申し立てがなければ、ただちに選挙会を開き、後藤氏を当選人と確定する。それまでは関口氏が市議会議員としての身分を有する。

ただ、関口氏は「弁護士と相談して県選管への申し立ても含め検討したい」と話しており、混乱も予想される。

今回の問題は後藤氏の名前が、同じく市議選に立候補していた泉純一郎氏(61)=無所属=と似ていたことから起こった。「後藤純一郎」との投票が多数あったため、後藤氏は「有権者が名前を混同して記入する『混記投票』で有効票が無効になった」と主張。市選管は2月26日、投票総数から持ち帰り票を除いた計4万9674票を再点検。「後藤純一郎」と記された投票が30票あり、うち15票が有効、残り15票が無効とされたことがわかった。

市選管によると、開票作業で機械が読み取れなかった票は審査係が目視し、混記投票で無効と判断したという。市選管は判断ミスを認め、「大変申し訳ない」と陳謝している。

当選を決めた後藤氏は「選管の重大なミスに大変驚いている。市の信頼回復のためにも原因を追究したい」と話している。

【視点】

投開票から約半月。神栖市選管のミスは、一度決まった当落を覆すという重大な結果をもたらした。

開票作業では、投票用紙を機械にかけ、機械が誰への投票か読み取れなかった票は審査係が目視で有効票とするか否かを審査するが、ここで有効票とすべき票を無効票とするミスが起こった。

市選管は「選挙前の説明会では1文字でも間違っていれば疑問票に回すよう指示していた。それが末端の職員にまで行き届いていなかった」と説明する。

総務省によると、得票が有効か無効かを争ったり、当選者が入れ替わったりするケースは年に数回起こるという。

平成18年9月の沖縄県名護市議選では、1票差で当落を分けた2人が「票の数え間違いがある」と主張。訴訟を経て当選者の1票が無効で2人の得票が同数となったため、公職選挙法に基づき、くじ引きで当選者を決めている。

わずな開票の狂いは候補者の明暗を分けるばかりか、有権者の暮らしにも影響がおよぶ。

同市議会では10日から定例市議会を開き、平成20年度予算案を審議する。だが開会当初、議場にいるのは市選管が「落選」の判断を下した議員ということになる。

その意味では、今回の事態は、民主主義の根幹を揺るがす痛恨事といえるだろう。

(豊田真由美)

わたしは、開票立会人は何度も経験しているので、開票実務なども理解しているつもりですから、このような凝らんが起きたというだけで、反射的に前回はエントリーしました。
その後、「神栖市議会選挙結果の修正」には現場からのコメントを複数いただき、色々と大変な事情があったのだろうと分かってきました。

現在の神栖市は平成17年(2005年)8月1日に神栖町と波崎町が合併して誕生しました。
2008年の神栖市議会議員選挙は、初めての正式な選挙で2008年8月1日から、2008年2月10日までの923日間は両町を町議会議員が市議会議員となっていたのでしょう。このため、定数26に対して38人が出馬した選挙となりました。

神栖市議会議員一般選挙(平成20年2月10日 執行)

得票順当・落候補者氏名党派名新現前元の別得票数
1いとう 大無所属3017.584
2神﨑 清無所属2360
3木内 としゆき無所属2126
4えんどう 貴之無所属1838
5佐藤 せつこ公明党1710.556
6やなぎほり 弘公明党1684.326
7野口 ふみたか無所属1665.689
8長谷川 はるよし公明党1634.612
9三好 ただし無所属1589
10いいだ こうぞう無所属1538.609
11古徳 ひとし無所属1524.000
12山本 まもる無所属1512.725
13長谷川 たかし無所属1493.387
14梅原 章無所属1472
15宮川 一郎無所属1448
16山中 正一無所属1386
17中村 勇司無所属1373
18いがらし 清美無所属1311
19泉 純一郎無所属1292
20藤田 あきやす無所属1263
21山本 源一郎無所属1262.274
22安藤 まさよし無所属1218
23小山 茂雄無所属1122
24野口 かずひろ無所属1043.310
25大槻 邦夫無所属995
26関口 まさじ日本共産党990
27後藤 潤一郎無所属985
28鈴木 康弘無所属982
29塚本 しげる無所属951
30佐藤 一乙無所属888.443
31高橋 克己無所属860
32田中 三郎無所属832
33高安 たけお無所属785
34ぬかが 成一無所属763
35いいだ 誠一無所属714.390
36いばと 幸次郎無所属656
37田村 ひろし無所属458.088
38和田 たかお無所属440

現職が33人立候補していて、当選者がすべて現職であっても、現職から落選者が出るという選挙でした。

つぎに得票数を見ると、小数点以下の得票が非常に多いのですが、基本的にこれは按分比例した結果です。
佐藤、山本、野口、長谷川姓の方はそれぞれ2名ずつ立候補していますから、投票用紙にこの4つの姓だけを記入した場合には、どちらに候補(この場合は姓が同じなのは2名です)の得票にするのかは、按分比例によりますす。

これが姓だけを取り上げた分けた説明ですが、さらに「名」が同じもの,漢字表記をカナで投票したもの、など色々なパターンでどの候補者の有効票になるのか、すぐには分からない票がどうしても出てきます。

その処理について、時点となった後藤 潤一郎候補が異議を申し立てたのが始まりです。

再点検の結果、後藤候補が最下位当選の関口氏の得票数を上回るとして、関口氏の当選は無効となった、というのが新聞の報道ですが、ここまでに半月かかっているのですから「何がどうなっているのか?」となります。

そもそも、なぜ

「後藤純一郎」と記された投票が30票あり、うち15票が有効、残り15票が無効とされた

というすごいことが起きたのか?が大問題です。
なぜなら、他の候補については按分比例も含めてきちんと処理されています。これについて神栖市選管は結果を説明する発表をしています。

神栖市選挙管理委員会発表「市議会議員一般選挙における投票の効力に関する調査報告

この選挙の候補者で次点となった後藤潤一郎氏から,無効として取り扱われた投票の中に自身の有効投票があり,その票を加えると,最下位当選者の得票数を上回るとの申し出を受けました。

市選挙管理委員会では,申し出の内容を審査し,必要と認めたので,全投票の再点検を行い,投票の効力について判断した結果,
後藤氏の得票数が999票,
関口氏の得票数が991票となり,
後藤氏の得票数が上回るため,関口氏の当選を無効とすることを,3月4日,市選挙管理委員会として決定し,その旨の決定書を後藤氏に交付しました。

調査報告は「神栖市議会議員一般選挙(平成20年2月10日執行)における投票の効力に関する調査報告書」(PDF)が2008年4月11日付けで発表されています。

事務局は、「後藤純一郎」と記載された票を後藤潤一郎候補者(以下「後藤候補」という。)と泉純一郎候補者との混記投票により無効と判断したため、選挙長が無効と決定した。

この結果を受け、後藤潤一郎氏から2月12日付けで異議申し出が提出され、2月19日に選管において受理した。
その結果、開披再点検を2月26日に実施することを決定した。開披再点検により、「後藤純一郎」と記載された票に有効、無効の判断ミスが生じていたのを確認した。

本件は、後述の通り、選管事務局がいくつかのミスを積み重ね、引き起こしたものであり、市民全体の選挙事務に対する信用を揺るがした重大な問題である。

と始まっています。私が当初理解できなかった事の一つに「純一郎」とカナ記載があったような場合にはどう処理したのだろうか?でした。
それ以上に不思議なのが、後藤候補にだけ判断ミスが発生したのか?です。つまり、後藤潤一郎後藤純一郎泉純一郎候補の名と混在しているのであれば、同じ問題が泉候補にも起きたのではないのか?それはなぜ無効判定されなかったのか?です。

この謎が、報告書の後段に出ています。

PDFの図にありますが、開票した票は最初に機械で読み取らせています。手書きOCRですね。
この段階で、どうも姓に該当する部分だけを「ア行」「カ~サ行」「タ・ナ行」「ハ~」「読み取り不能」に分類してしまうようです。

その後、判断が付かない票を疑問票にして審査係に回すといった作業をするわけですが、ここで同じ記載なのに、有効と無効の判定に分かれてしまった。
本来は間違えない記載以外は一旦審査係に回すべきところを、回さないで有効・無効を判断したらしい。

その後、点検を経て最終的に選挙長が後藤候補の票のある程度の数を無効にしたのだが、どういうわけか事前に同一の読みの名を持つ後藤候補と泉候補についての判断基準を決めていなかったらしい。

結局、この「事前に判断基準の周知徹底をしていなかった」ことが、長時間の再点検に至った最大の原因なのでしょう。
しかし、この報告書の日付は、選挙から2ヶ月経った4月11日付けなのですから、時間の掛かりすぎです。

他の候補では同じような問題が発生しなかった理由が、最初に機械読み取りで分類したからなのではないかと思います。
簡単に言えば、機械が名字だけで分類したものを人の手で、再度分類することになるのでしょうが、機械で分類済みだから同じ票が特定の人に集中するでしょう。

報告書によると、非常に少人数で作業しているようなので、機械が分類した票をさらに分類するのは一人の担当者なのかもしれない。
その一人が判断ミスをし、他の候補の票を分類している人がミスをしないと、一人の候補の開票結果だけが判断をミスしていた、となるのかもしれません。

もし、私の想像の通りだとすると、最初に機械で分類するのが良いのかどうか?となりますね。

6月 21, 2008 at 11:34 午前 選挙 |

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