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2008.06.16

内陸地震でのヘリ活用

読売新聞より「防災ヘリ大動員 生かされた「中越」の教訓

岩手・宮城内陸地震では、ヘリコプターが大量動員されるなどして、孤立住民らの避難は発生から2日目の15日、ほぼ終わった。

今回と同様、山間部を襲った2004年の新潟県中越地震の教訓が生かされつつあるが、依然として、中山間地域の防災対策には課題も多い。(岩手・宮城内陸地震取材班)

発生当日53機 孤立住民、円滑避難

■ヘリによる空輸

地震発生から約2時間後。宮城県庁に設置された「ヘリコプター運航調整会議」には、県や仙台市、県警、陸上自衛隊東北方面隊、第2管区海上保安本部、仙台空港事務所の連絡員が次々駆け付けた。

被災状況や場所を記した連絡カードが届くと、空いているヘリを順次、現場に派遣していく。「担当者が顔を合わせたのは初めてだが、組織の壁を感じることはなかった」と、連絡員らは声をそろえた。

初日に近隣県などから県警や自衛隊などのヘリを中心に航空機53機が投入され、情報収集や住民の避難搬送を行った。宮城では、道路の寸断などで孤立した住民や観光客ら約500人を、岩手では約250人をそれぞれ救出したという。

このうち、12都道県からヘリ13機を送り込んだ総務省消防庁は、地震発生の40分後には、緊急消防援助隊の先発隊として新潟県など5か所に出動を要請した。

同庁によると、全国の都道府県と政令市が所有する消防防災ヘリは計71機。「被災地に近く、飛行可能なヘリはすべて使った」(防災課)という。ヘリを最初から大量に投入したのは、今回と同様、山間部が被災地となった04年10月の中越地震の苦い経験がある。

同庁が新潟県の要請で本格的にヘリの派遣を始めたのは発生の翌朝だった。「次々に被害が見つかり、対応が後手、後手に回った。山間地でのヘリの重要性が身に染みた」と、同庁幹部は振り返る。

■「震源地を目指せ」

岩手に陸路向かっていた東京と千葉の派遣部隊は、宮城・岩手県境にいた。「まだ間に合う」。総務省消防庁の危機管理センターでパソコンを見ていた職員は、両部隊を宮城県側の被災地へ転進させた。

今回、援助隊の「動態情報システム」が初めて本格運用された。各指揮車に配備された全地球測位システム(GPS)端末で部隊の位置を即時に把握できる仕組みだ。

発生当日の14日に現地入りした陸上援助隊は、救急、後方支援など11都道県の184部隊。同庁は当初、すべてを震源地の岩手側に向かわせた。これも中越地震の教訓だ。

これまでは、被害状況が判明してから部隊を送り込んでいたが、「ある程度、予測して行動を起こし、途中で修正した方が早い」(防災課)と方針を転換。発生から3時間後、宮城で行方不明者が続出しているとの情報を受け、目的地の変更を指示した。

■夜間出動など課題

「初動の立ち上がりが早く、うまくいった」。増田総務相は15日朝のテレビ番組で、ヘリを軸にした当初の対応を評価した。

だが、同庁幹部は、まだまだ課題はあるという。

今回は発生時間が朝方で、天候にも比較的恵まれていた。ただ、中越地震のように夜間に起きた時はどうするか。全国の消防防災ヘリのうち、夜間も含めていつでも出動できる態勢を取っているのは仙台市、埼玉、東京だけだ。

同庁は今年度末にも、有識者による検討会で、夜間でもヘリを運航できる装備や訓練などについて盛り込んだ報告書をまとめる予定だ。

通信・搬送手段 中山間地整備進まず

今回の地震では、当初、岩手・宮城両県で計7か所の集落が孤立した。新潟県中越地震で多くの集落が孤立したのをきっかけに、中山間地域の防災の重要性が指摘されるようになったが、対策は思うように進んでいない。

中越地震では、7市町村で計61の集落が孤立し、固定電話や携帯電話が不通になるなどした。そのうち2自治体では災害時に役立つ衛星携帯電話があったが、導入したことを忘れたり、故障したりして、使えないケースがあった。

内閣府が2005年に行った全国調査では、地震などの災害で孤立する恐れがある中山間地の集落は、1万7451か所(推定約260万人居住)に上った。しかし、衛星携帯電話や防災無線を備える集落は2%前後にとどまった。

中越地震で被災した中山間地域の復興に携わる長岡造形大の沢田雅浩准教授(都市防災)は、「今のところ災害時の連絡手段は衛星携帯や防災無線が最も有効だ。ふだんの生活に使う場面を作るなどして習熟する必要がある」と話す。

今回の地震の救助活動では、15都道県の消防防災ヘリが活躍中だが、同じ内閣府の調査では、ヘリの駐機場所がある中山間地域の集落は3000か所余りで、2割にも満たない。「水や食糧の備蓄がある」としたのは、各4~6%程度だった。

中山間地域の防災対策が進まない背景について、京都大防災研究所の河田恵昭教授は「対策を自治体だけで進めるには限界がある。社会全体で防災への認識を高めていくことが必要」と強調。「東海や東南海・南海など広域で大規模な地震では、防災ヘリを救助に回すこともできず、数か月間孤立する集落が現れる恐れもある」と警告している。

( 2008年6月16日 読売新聞)

全体として手際が良いなとは感じていたのですが、こんな背景があったのですね。

確かに、中越地震での孤立集落からのヘリコプターによる脱出はもっと速くできるのではないのか?と感じたところで、その経験が生きていたのは明らかです。

これで、まずは行方不明者の捜索に全力で当たり、復旧用の道路の修復と集中できますね。

6月 16, 2008 at 12:47 午後 天災 |

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コメント

 自然現象ってヤツはある意味身も蓋もないわけで、震度分だけの被害はきっちり出してくれます。震度の値さえきちんと測れていれば、具体的な中身はともかく被害は出ているに違いない、と専門家であれば判断できるでしょう。震度の数値を見て震源に向かって早めに動くというのは正しいやり方だと思います。

投稿: apj | 2008/06/17 0:19:41

この手の話題を見ると、阪神淡路大震災が思い浮かびます。

あの時は、情報収集にしろ、全てが後手に回りましたから...

初めのニュースを聞いた時は、まさか、あそこまでの被害があるとは、想像だにしませんでした。

投稿: 多分役立たず(HNです) | 2008/06/17 1:17:01

お役所仕事は、一本線が原則ですから、全部が分かってから対応するになってしまうのですね。

緊急対応策は、それでは緊急にならないから平行で動く、途中で変更する。
となるのでしょう。

阪神淡路大震災では、あっちこっちの機関が「指示が来るまで待っていた」という報告がありました。

その頃に比べると、ずいぶん改善されたと言えますね。

ただ、当初の報道とその後の避難が順調であったことで、なんとなく被害が軽いように感じましたが、行方不明者が増えていますね。

ここらは報道の方が情報の伝え方を研究して欲しいところです。

投稿: 酔うぞ | 2008/06/17 10:00:39

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