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2008.06.13

超電導自動車誕生

サンケイ新聞より「世界初 超電導電気自動車公開 住友電工、10年後実用化へ

住友電気工業は12日、超電導技術を応用したモーターを搭載した電気自動車を公開した。

超電導モーターで動く自動車は世界初といい、10年後をめどにバス、トラック、建設機械などへの実用化を目指す。19日から札幌市で開催される「北海道洞爺湖サミット記念 環境総合展2008」で展示される。

市販の乗用車に、同社が開発した世界最高レベルのビスマス系超電導材料を使ったモーターを搭載。液体窒素を利用した冷凍機で零下約200度の超低温状態を維持しながらバッテリーからの電力で動く仕組み。

デモンストレーションでは、ガソリンで動く自動車と変わらない加速性能で、静かでスムーズな走りが披露された。

電気抵抗がゼロで、大きな電流を流せるため強い回転力が得られ、銅線を使う通常のモーターと比べ、大幅な燃費向上が見込めるという。

これではあまりにあっさりした記事ですが、住友電工のプレーリリースに割と詳しく出ていました。
住友電工プレスリリース「世界初となる超電導電気自動車を試作

2008年6月12日
住友電気工業株式会社

住友電気工業株式会社は、このほど世界で初めて超電導モータにより駆動する超電導電気自動車を試作し、本年6月19日より北海道札幌市で開催される「北海道洞爺湖サミット記念 環境総合展2008」において一般公開いたします。

【超電導電気自動車の試作目的】

超電導は、電気抵抗がほとんどないためエネルギー損失が小さく、かつ電流密度が高いという特長により、省エネルギー技術としても期待されています。

当社は、世界最高レベルとなる臨界電流値(*)を有するビスマス系高温超電導線を開発するとともに、米国での高温超電導ケーブル実証実験への参画、産学グループ共同による船舶用超電導モータなど超電導応用製品の開発を進めており、様々な産業分野における高温超電導技術の実用化に向けての研究開発に取り組んでいます。

今般、こうした取り組みの一環として、高温超電導技術の新たな応用分野として考えられる電気自動車用モータへの適用検証を行うために、また実用化に一歩近づいた高温超電導技術を産業界はじめ広く社会にアピールするために、当社の高温超電導技術を結集し、世界初となる超電導モータで駆動する電気自動車を試作しました。

【超電導モータの特長】

通常の電気自動車用モータには銅線が使用されていますが、銅線は電気抵抗で発熱するために電流値を制限しており、この結果大きなトルク(回転力)が得にくくなります。一方、超電導線は電気抵抗がなく、大きな電流を損失無く流すことできます。そのため大きなトルクを連続して得ることができるとともに、バッテリーのエネルギーを効率よく使用できるため省エネルギーに寄与できます。

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【今後について】

当社は、高温超電導線の更なる性能向上を図るとともに、今回の試作車は乗用車をベースとしていますが、バス・トラック等大型車への超電導モータ応用についても検討を進めていきます。

以上

(*) 臨界電流値は、超電導状態で流すことができる最大の電流値であり、超電導線の最重要性能です。臨界電流値の向上により、電力用ケーブル、変圧器、モータ、発電機、電磁石等の応用製品において、電力品質やエネルギー効率の向上が可能になります。また、応用製品に必要な超電導線の使用量を削減できるため、製品のコスト低減と小型・軽量化を実現します。

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乗用車にそのまま搭載できるシステムにまとめたというのは高く評価できますね。
しかし、今のところ冷却がかなり大変ではないか?と感じるところです。液体窒素冷却なのだから、冷凍車にはそのまま使えそうな気もしますが、いくら配線のロスが少ないと言っても、動力の変動が大きい自動車に使うと、定常運転で使える鉄道などよりも効率が悪いのではないか?という気もします。

でも、それもやってみないと分からない事の一つでしょうから、実用テストまでは進んで欲しいものです。

6月 13, 2008 at 09:42 午後 もの作り |

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コメント

というより、自動車における全エネルギー消費のうち、原動機にかかる部分がどれくらいなのかということじゃないかと。

投稿: Ikegami | 2008/06/13 22:11:18

ハイブリッド自動車の商業的な成功にビックリしています。
アイディアとしては、40年前ぐらいからあって、実験も色々やっていましたが「あれがダメ、これがダメ」と色々とダメ出しばかりで、トヨタ以外のメーカは商品化できないだろうという判断になっていました。

初代プリウスが発表された直後でも「失敗するよ」という声が自動車業界では少なくありませんでした。

そういう「やってみないと分からない」何かが、出てくれば面白いんですけどね。

投稿: 酔うぞ | 2008/06/13 22:25:02

液体窒素冷却の超伝導モータの搭載は、まず、リニアモータの鉄道だと思うのです。山梨実験線の車両はいまだにヘリウム冷却ですから。

投稿: Inoue | 2008/06/14 2:36:54

>ハイブリッド自動車の商業的な成功にビックリしています。
 あれはエコロジという宗教に訴えた末の商業的成功であり、本当に節約になっているかどうかはっきりしません。
 普通自動車から、軽自動車に乗り換えた方が、燃費だけでなく維持費や車両価格も含めたトータルコストは安いんじゃないかと今でも思います。

投稿: Inoue | 2008/06/14 11:11:12

うん、だからそういう見方をしてみたいわけです。

ハイブリッド車の商業的成功は、新型ディぜールエンジンにも影響しています。

これが商業的な成功が無かったらディーゼル車普及は別の形になったでしょう。

超電導自動車のアイデア自体は、それほどすごい事じゃないし、技術的にブレークスルーと言うほどものでもないでしょう。

そこで意味が出てくるのが、商業的に成功する可能性のある方向を試している、ところだと思うのです。

もちろん、商業的に成功すること自体はわたしには二番目か三番目の話であって、他にどう影響するのか?に興味があります。

本多宗一郎氏が生前「電気自動車の無公害の主張は間違えだ」と述べています。
その中心は「バッテリの廃棄処理が大変で、それがより大きな公害問題なる」でした。

これは今でも一つの見識ではありますが、全然どうにもならないという事でもない。

技術という観点では、評価基準を科学的なところに置くのが当然ですが、経済などの要素を加味すると「出来る・出来ない」が微妙にずれます。

その微妙なところを突いたのかハイブリッド車で、はっきり言えば現在の商業的大成功の最大の理由は、石油価格のバブル化でしょう。

こんな事を考えると、純技術的な評価と経済などの要素を加味した評価は、まったく同じにはならない。
むしろ実施面では、経済的要因の方が大きく、さらには政治的な要素も非常に利きます。

だから「試してみる価値はある」でしょうし、その評価は最終的には市場が下すのでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2008/06/14 11:29:38

 以前に経済学の本で読んだのですが、市場が効率的だったら、企業活動で利益なんか出ないそうです。
 「エコロジーという宗教」ってエントリで池田信夫さんがまとめてくださってますが、現代においても、非合理的な行動を人は簡単に採りうるし、だからこそ、企業活動で利益が発生するんだと思います。

投稿: Inoue | 2008/06/15 14:43:12

池田氏のあれは、「排出権取引でCO2問題が解決する」という、*誰も言っていない*話をいつもの知ったか節で否定してるだけですが。例によって利権とかなんとかいえばマスコミがちやほやしてくれると思いこんでるだけでしょ。
言ってることはいつものとおりぐしゃぐしゃですよ。「地球温暖化」においては、地域的には気温が低くなることもありうるという基本中の基本すら把握できてません。あの人が言うからにはどこか間違ってるはずだ、というヒューリスティクスは割と有効です。

投稿: やまき | 2008/06/15 22:46:23

ついでにこっちも突っ込んでおきますが、企業が利潤を出せないのはパレート効率的状況に*収束した*場合です。あくまでも(多分に仮想的であるところの)静的な最適状況をとらえた話にすぎません。だからこそ、企業には現状に安住せずイノベーションを行い続けるインセンティブがある、ともいえます。
収束に至る過程においては利潤を出せます。利潤がでるのは必ずしも個々の非効率性だけが理由ではありませんよ。

なお、プリウスの成功については私はわりと評価してます。軽自動車にすればという話もありかもしれませんが、性能等をまるっきり無視した議論には首肯しかねます。それだったら全部自転車にしろとか歩けとか動くなとかいう議論だってあるはずですよね。

投稿: やまき | 2008/06/15 22:55:18

補足しますが、「エコロジー」が宗教化しているという点は私も否定しません。が、それにつっこみたいあまり、自分も変な議論をおっぱじめてしまう人がいるのを憂慮しています。

連投すみません。

投稿: やまき | 2008/06/15 22:59:05

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