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2008.04.20

フィリピンの米騒動

東京新聞より「穀物価格高騰 フィリピン 『不足』報道で米騒動

国際的な食糧価格の高騰が深刻化している中、コメ輸入国であるフィリピンでも政府供給米の販売所に毎日長蛇の列ができ、政府が矢継ぎ早に対策を打ち出している。
価格高騰が庶民の懐を直撃しているのは事実だが、背後には「コメ不足」の不安を盛んにあおるメディアの姿もちらつく。(マニラ・吉枝道生、写真も)

毎日三万三千トンのコメを消費するフィリピンは、おかずは買えなくてもコメは食べるというお国柄。マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのメニューにさえライスがある。コメの価格はことしに入って約30%高くなっており、庶民の財布を直撃した。

一方で、「コメ不足の可能性」を報道するメディアや、政府の無策を訴える反政府勢力が、国民の不安を駆り立てている面も否めない。飲食店には「半ライス」も登場し、“コメ危機”のイメージを増幅した。

一キロ一八・二五ペソ(約四十四円)の政府供給米には毎日早朝から市民が殺到し、長蛇の列をつくる。

マニラ市内で政府米を販売するアンジェリーナ・チャンさん(52)は「コメは十分にあるのに、報道がパニックを引き起こし、お客は買いだめしている」と話す。貧困層ではない人が何度も列に並び、必要以上のコメを買っている例が目立つという。

マニラ首都圏パラニャーケ市に住む男性(35)は、セブ島の親類がコメを持って訪問してきたことに驚いた。「マニラはコメがないとテレビで見たから」。セブ島では昨年より収穫が多かったと聞き、男性は「コメはある。問題は値段だけ」と答えたという。

社会不安につながる事態だけに、既にベトナム、米国などからの輸入を確保したアロヨ政権は「コメは不足していない」とパニック防止に必死。
備蓄量は昨年同期より約30%多い百九十四万トンで、今年六月までの国産米収穫量も昨年同期を上回る見通しと発表した。国内で毎日千二百五十トンが食べ残されて捨てられているという研究報告も出された。

国連食糧農業機関(FAO)などはフィリピンでも暴動が起こったと報告した。
しかし、テオドロ国防長官は「暴動など起こっていない」と憤る。

三月末に新人民軍(NPA)がコメ倉庫を襲撃した例はあるが、NPAによる各種襲撃事件は頻発しており、即座にコメ問題と結び付けるのは早計といえる。

ラグナ州の国際稲研究所(IRRI)によると、フィリピンは輸出国であるタイに比べて一ヘクタールあたりの収穫量は三割以上も多いが、水田の総面積は約四割にすぎない。多くの稲田が失われてきた。

騒動が長引く中、貧困層などを対象とした当面の対策に加えて「国内農業のあり方や人口問題、社会構造を根本的に見直すべきだ」との中長期的な論議も始まっている。

<コメ国際価格の高騰>国連食糧農業機関(FAO)によると、1998-2000年を100とした全米価指数は、昨年3月には130だったのが今年3月には216と66%も上がり、現在も上昇を続けている。世界各地で暴動などが続発し、FAOは「貧しい人たちが一番打撃を受ける」と警告。世界銀行や世界食糧計画(WFP)なども対策を打ち出している。

フィリピンで米不足の報道があって、その中には「ベトナムが輸出を止めた」という記事までセンセーショナルに取り上げられました。

例えば日本農業新聞は「アジア米騒動/自国優先鮮明に 逼迫感 相場押し上げ」で以下のように説明しています。

世界第2、第3位の米輸出国インドとベトナムは、昨年秋から米輸出を厳しく抑制してきた。国際相場が高騰する中で、アジアのそのほかの国にも実質的な輸出規制の動きが広がる。自国優先の姿勢が鮮明になってきた。

■インドネシア 事実上の輸出禁止

インドネシア政府は17日までに、今年産米の輸出を事実上、禁止する方針を打ち出した。国際的な需給逼迫(ひっぱく)を受け、国内備蓄を積み増すとともに価 格高騰を抑制するためだ。

この記事は慎重に読まないと「米の絶対量が足りない」と受け取りますから、東京新聞の記事にあるように「マニラでは米がない」と思いこんだ人も出てくるわけです。
これは日本の石油ショックの時のトイレットペーパー買いだめ事件のようなものでしょう。

国際商品が実際に不足するといったことは非常な長期変動であって、実際の過不足よりもはるかに急激な価格変動が起きます。
価格変動は最終的には実需の範囲に収まるのであって、突如として物が足りなくなること自体がありません。

しかし、投機的判断で国レベルの機関が国際商品価格を操作することは原油価格などでは何十年も続いてきたことで、そういう手法が米の国際価格に及んだと考えるべきなのかもしれません。

原油の国際価格が操作可能なのは、需要が全世界規模なのに生産が僅かな国に偏っているからで、米についても同じ事が言えるのかもしれませんが、米の生産はアジア地域では特に困難な要素はありませんから、米の国際価格の暴騰と貿易制限はすぐに収まるでしょう。

合理的に考えると、問題は無いのになぜフィリピンでは大事件になっているのか?は東京新聞の記事のように、メディアがアロヨ政権批判と連動させているからであり、ベトナムやインドネシアも米が国際戦略商品になったことをテコとして利用するために国家管理に乗り出した、ということでしょう。

米不足なのではなくて、各国の内外の政治問題だ、となります。

4月 20, 2008 at 12:45 午後 国際経済など |

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