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2008.04.05

もんじゅの誤警報問題の原因解明

サンケイ新聞より「もんじゅ 県、全検出器の点検要請 誤警報 施工ミスの可能性

高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で3月下旬に1次系配管でナトリウム漏れの誤警報が相次いだ問題で日本原子力研究開発機構は4日、接触式ナトリウム漏えい検出器の施工ミスの可能性が高いと発表、国や県、同市などに報告した。
県は、原子力機構に対しもんじゅの全検出器の健全性と整備体制の確認を要請した。また3月26日の誤警報の連絡が遅れたことについても教育や訓練を求め、原子力機構は応じる考えを示した。

◇原因を報告

原子力機構によると、問題の検出器は電極と電極の根本にあるさやが、ナトリウムなどの導電性物質に同時に接触することで警報を出す。

今回の検出器は平成2年2月の施工時に、留め具の設置ミスで予定より約1センチ深く入り、電極が配管内の開閉弁の一部(弁棒)に接触して曲がり、さやだけが接触した状態になったという。
その後、120回以上弁棒が動作する中でさやがこすれ、電極と同時に接触。3月26日と同28日に誤警報が出された。

原子力機構では「検出器としての機能は確保されていたが、施工時に、意図したとおり設置されていなかったことは、改善が必要だ」として、もんじゅに設置された検出器479台の内、今回と同じく1次系に斜めに取り付けてある22台について、6月中旬までに検査を実施する。

また、残りの検出器についても検査を検討しており、プラント確認試験の行程内で適切な時期を選んで実施する方針。もんじゅは10月の運転再開を目指しているが、行程が遅れる可能性があるとしている。

この日、早瀬佑一・敦賀本部長が県庁の旭信昭副知事を訪問。誤警報の原因が部品の製造ミスだったことを伝えた。また、県への連絡が誤警報から3時間後になったことについて所長らが通報を確認していなかったと説明。早期に1次系の検出器の点検、通報体制の確認や意識改革を行うと対策を説明した。

これに対し、旭副知事は昨年来2次系でも誤警報が発生したことを踏まえ、1、2次系すべての検出器の点検を求め、連絡体制のマニュアル整備や見直し、通報責任者の複数配置を行うよう文書で要請。また「漏れの確認手段については県原子力安全専門委員会での要請もあり、複数の方法を講じるようお願いする」と述べ、早瀬本部長は「重く受け止め、信頼回復に努める。委員会の要請も検討し、対策を取りたい」と答えた。

一方、敦賀市役所を訪れた原子力機構の伊藤和元理事は誤警報の原因を説明した後、地元自治体などへの連絡が遅れたことに触れ、「(通報遅れは)市民の皆さまの信頼を損なう重大な問題。一報を入れることより、事実確認を優先してしまった」と謝罪。河瀬一治市長は「電話一本いただければ済んだ話。今回の問題を教訓にしてほしい」と苦言を呈した。

検出器が誤警報を出したのに、「機能が確保されている」というのは無理でしょう。

原子炉の歴史ではナトリウム冷却炉は失敗の連続で成功した例はあるのですかね?

もんじゅがナトリウム漏れ事故を起こしたのは、1995年で以来止まったままです。
とは言っても、ナトリウムを暖め続けるために膨大な電力を消費しているのですから、原子炉として機能停止ではあっても、プラントは動き続けているとも言えるでしょう。

1995年の事故は、二次冷却配管(だから人が立ちいることが出来る部分)の温度計のサヤが破断してナトリウムが漏出して発火した、というものでした。

温度計のサヤが破断した原因は、設計不良による応力集中と管内のナトリウム流によって温度計のサヤが振動したことによるとされましたが、機械工学的にはかなり初歩的なトラブルでした。

今回の「工作ミス」も同じように「機械工学上の初歩的ミス」の印象を受けますが、それがかなりやっかいな事態に展開しているところが「ナトリウム炉は大変だ」と思うのです。

日本での高速増殖炉の計画は、実験炉・常陽、原型炉・もんじゅ、実証炉ということになっていますが、増殖炉・原子炉という以前にいわばボイラーとしてナトリウム冷却機構を使いこなせるのか?という問題のように見えます。
こんな段階でつまずいているようでは、高速増殖炉は本当に「夢の話」になってしまうように思えます。

それにしても、本当に10ミリも間違えて工作したのに、それがチェックできなかったのでしょうか?
そこまでいい加減な設計なのでしょうか?これほどの誤作を許してしまう設計自体が問題じゃないのでしょうか?

4月 5, 2008 at 10:13 午前 もの作り |

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» 既視感ばりばり、「もんじゅ」低技術の恐怖 トラックバック Blog vs. Media 時評
 先日、直下に15キロの大活断層があると公表された福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」。追い打ちを掛けるように、ナトリウム漏れ検出器を設置する時に押し込みすぎるという初歩的なミスで、多数が誤作動を起こし得ると判明しました。福井県の指示で400基余のナトリウム漏れ検出器すべてを点検することになり、冷却材のナトリウムを配管から抜き取らざるを得なくなりました。10月の運転再開に向けた最終試験の遅れは必至になりました。  朝日新聞「もんじゅナトリウム漏れ検出器全点検 4カ所で同様ミス」によると「誤警報... 続きを読む

受信: 2008/04/08 0:19:03

コメント

 もともと、95年のもんじゅ事故は、温度計の設計ミスでした。高速で液体ナトリウムを流したら、パイプ内面に突き出している温度計のさやが振動し、金属疲労をおこして穴が開いて、大量のナトリウムが漏れたのです。
 なにやら、今回の「施工ミス」は、前回の事故と似たような話で、同じような事故が起こりうるような気がします。
 いくらなんでも、冷却材に高熱液体ナトリウムなんて危険なものを使わなくてもいいじゃないかと思うんですが、水銀や鉛や錫の類は、専門家がとっくの昔に検討して破棄されたのだろうし。
 八田達夫教授などが主張しているように、ウランはワンスルーにしてしまって、使用済み核燃料は地下で保存して、ウランが枯渇してから、再処理とか高速増殖炉の技術開発をしても遅くない気がします。

投稿: Inoue | 2008/04/05 15:09:16

実証炉常陽が着工したのが、1970年。既に35年経過。要するに未だに研究段階というところでしょう。もんじゅを原型炉と称するのは早すぎると思います。

投稿: zorori | 2008/04/06 11:50:47

1954年にアメリカは原子力潜水艦ノーチラスを建造しますが、そのすぐあとにナトリウム冷却原子炉の潜水艦に挑戦しています。

同じ事はソ連もやっていてますが、双方とも結局失敗しています。
加圧水型の原子炉を搭載する潜水艦は現在もたくさんある事を考えると、ナトリウム冷却炉そのものが難しいのだろう、と考えざるを得ません。

要するに、原子炉の問題じゃない。

そこに、高速増殖炉を作り上げようというのだから、基本的に無理ばかりと思いますね。

もんじゅに関しては、さっさと「勉強になりました」と廃炉した方が良いと思うのです。

投稿: 酔うぞ | 2008/04/06 12:43:04

 八田達夫教授は、さらに、核燃料再処理も絶対にペイしないから、最初からやらない方がいいという意見です。MOX燃料は発熱量あたりで、ウラン燃料の8倍もします。
 もしも、再処理が強行された場合、いくらカネがかかろうが、その費用は電気料金に転嫁されるから、電力会社の懐は痛まないが、再処理工場を取り壊した場合の後始末は電気料金に転嫁できないので、経営のため、電力会社はどうしても再処理をしなければならない。
 すでに作ってしまった再処理施設は、汚染されないうちに取り壊す。その費用は国がもつ。これで何も問題ない。
http://www015.upp.so-net.ne.jp/hatta/teigen/documents/NikkeiJuly.pdf

投稿: Inoue | 2008/04/06 17:27:53

昔の話ですが、電力料金は総括減価方式といって、発電コストに利益率を乗じて決めていたそうです。競争性のない公共料金はおおむねこの方式ですが、コストが高い方が利益が出て電力会社にとっては都合が良いのでした。ただし、電力会社が言うには、原子力は他の発電方式より低コストであると説明しています。

ところが、数年前に電力自由化が進んできたら、電力会社は突然このように言いだしました。「原子力発電は国策として行っているのだから、国が補助をすべきだ。」これは、原子力発電は他の発電方式にコスト面で太刀打ちできないと言っているも同然です。

コスト比較では、どこまで考慮するかで結果は違ってきます。超長期の廃棄物処理費用や廃炉費用は最近になってもいろんな数値が発表されたりしてコストも確定できません。さらに、inoueさんのおっしゃるような再処理費用の問題が加わるとますますどうなることやらです。電力自由化以前は再処理費用も電力会社にとっては有利な条件だったのですが、今は事情が誓います。また、原子炉よりも再処理工場のほうがはるかに危険ではなかったでしょうか。事故も多かったと思います。今や、電力会社としても、原子力発電はお荷物ではないでしょうか。ましてやFBRとなると。

投稿: zorori | 2008/04/06 21:11:14

何だか政治的な、どうにもならないお話に飛び火していそうなので…もっと現実的に、化学工場としての安全性という観点からコメントを。

comは化学工場に勤務しています。工場が何かしようとしても、法律、規則、条例等でがんじがらめに行動を制約されていたりします。

特に、高圧ガスに関しては、かなり厳しく制限をかけられています。自主的にとはいえ、HAZOP等により、異常時の危険性評価、設計段階における二重三重の内部審査があります。自主審査だから甘いのでは?と疑問があるかもしれませんが、甘くして誰の首を絞めることになるのか、を考えると甘くする意味が全くありません。

この高圧ガスの取り扱いに関する法令、規定を管轄するのが…原子力保安院だったりするのですが…。

同系列の所轄官庁下にあるというのに、いわゆる「事故」に分類されるトラブルが、特にもんじゅに関して多すぎではないか?と疑問に思ったりします。

きっちりとした設計審査、運転管理審査等…本来であれば試運転前に終わっていて、問題があればフィードバックされ改善してなければいけない、と思われるトラブルが多いと感じます。
むろん、マスコミへの露出が多い、というバイアスはあると思いますが、通常の化学工場で起きる「災害」「事故」…マスコミによって露出されるケース…は、試運転前に遡ってのエラーで起きるケースはほとんど無いはずです。

個人的には、この設計段階での安全性を十分に再確認…現時点では他にも何かあるのでは?という疑問を払拭できないだろうから…し、再始動してほしいと思います。

この「技術」についてはcom的には早く実用化してほしい…その時点でこのまま行くのか、得られた知見によってステップアップするのかを判定してほしいと思います。
現段階では、その本来ほしいと思われるデータ取得をしないまま、しかもしっかり審査さえされていれば回避できたであろう事象によって、ダメ出しをされるのは、大きな損失に思えます。

投稿: com | 2008/04/06 23:26:43

 comさんへ。それって、ウランが枯渇する半世紀以上先にもう一度やってもいいんじゃないのですか?材料工学がもっと進歩してからでも。金利を考えれば、未来の技術の現在割引価値は非常に低いです。
 現在でも、一次冷却水漏れ事故は年中行事のように発生しています。高温の液体を巨大で長大なパイプを通して循環させている限り、冷却水漏れは当然あるものと考えなくてはならない。
 単なる「水」だから、システム内で封じこめさえできていれば、パイプから漏れても大した問題にならないのです。
 高温液体ナトリウムは、<もんじゅ>事故のように、単に漏れて床のコンクリートと接触しただけで、激烈な化学反応をします。こんな技術が実用化できるとは、到底思えない。

投稿: Inoue | 2008/04/07 2:17:18

 さらに話を広げると、特定技術にばかり入れ込むと、そのために他の研究が抑制されるという問題もあります。
 ITER建設の真の問題は、トカマク核融合方式にのみ兆単位の金をつぎ込むことで、他のエネルギー研究があおりを食って抑制されてしまうことです。
 研究費は無限ではありません。ある研究に金を突っ込んだら、他の研究は諦めなくてはならない。
 液体ナトリウム炉以外にも、いくらでもエネルギー開発の選択肢は存在します。それらの「芽」を摘んでしまうことになるのではないかと思うのです。
 特定分野に偏らず、多く分野に研究費を配分し、基礎研究を地道にやっていれば、90年代初頭の常温核融合のようなものが、ふっと沸いて出てくるかもしれないのです。液体ナトリウムをうまく制御する技術だって開発されるかもしれない。

投稿: Inoue | 2008/04/07 2:25:22

inoueさん、

comは一義的に○か×か、の議論をしたつもりはありません。設計当初の基準で審査をクリアしたとしても、現在の基準で設計審査を見直し、それでも問題が無ければ…と書いたつもりでしたが。

化学プラント的にみれば、十分制御可能な温度、圧力に思えます。
ナトリウムであることを重視されているようですが、ナトリウム選定のメリットと比較しても、十分メリットがあると判断したからこそ選定されたと考えられますが。

なにやら、「どの技術的課題に投資するか」という政治的な問題と、「なぜこれだけトラブルが発生するか」という技術的な問題を同列に扱っているように思えます。

>現在でも、一次冷却水漏れ事故は年中行事のように発生しています。高温の液体を巨大で長大なパイプを通して循環させている限り、冷却水漏れは当然あるものと考えなくてはならない。

うちの会社のプラントは、冷却水なんぞ漏れたことはないですが?むろん、漏れない等という前提で動かしているわけではありません。念のため。
漏れた情報が氾濫しているように見えるのは、徹底した情報公開のデメリットでしょうね。マスコミが、わざわざ流すほどの情報ではないのに、さも大きな「事故」「災害」のトラブルのように報道するので…まるで原子炉本体のトラブルであるかのように。

comはあくまで、化学工場に勤務する技術者としての視点からどう写っているか、という議論の範囲を超えてコメントするつもりはありません。そう言った意味で、先のコメントの最後二つは余計だったかもしれません。
エネルギー枯渇問題はcomとしては悠長に構えていられない、との認識でありますので、寧ろ今すぐ投資すべき対象だと思います。

mixiのページを参照することはちょっと不誠実とは思いますが…最近おもしろい議論があったので示します。

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26851624&comm_id=70043

トピ主自体、科学的に政治的判断を否定してほしい、という訳のわからないお方でしたが、なぜナトリウムでなければならないか、という点まで掘り下げられており、読む価値はあるかと…半分以上、おかしな議論があるのが残念ではあります。それとmixiアカウント持ってない方…申し訳ないです。

投稿: com | 2008/04/07 7:05:00

comさんの指摘の通り、脱線気味のコメントをしてしまいました。酔うぞさんの言わんとするところは、原子力施設云々ではなく、一般の施設としてもお粗末な施工管理や設計という指摘ではないかと思います。

そうなってしまったのは、関係者の間で原子力施設への展望が開けず、モチベーションが下がっているなんてことが考えられないでしょうか?原子力は石油文明に含まれ、決してその後を引き継ぐものではありません。石油なしの原子力は成立しませんので、原子力の役割は石油を長持ちさせるというものでしかありまん。(かえって、消費するという意見もある)ところが、石油は40年持つといわれますが、ウランはその倍程度だそうです。原子力をうまく使えば、石油を60年程度持たせることができるかもしれません。でも、60年は短いと思います。海外ではほとんどFBRの開発を放棄し、日本も実験炉常陽からすでに40年経過でこの状態です。次の実証炉DFBR-1が2025年の計画。その後、実用炉となるわけで、計画通り進んだとしても、実際に使える期間はどの程度だろうと思ってしまうわけです。なんとも、展望のない話に思えます。モチベーションもさがるのではないかと。

投稿: zorori | 2008/04/07 10:17:54

zororiさん

    酔うぞさんの言わんとするところは、
    原子力施設云々ではなく、
    一般の施設としてもお粗末な施工管理や設計
    という指摘ではないかと思います。

その通りですが、もう一つ「ナトリウム冷却炉が実用になっているのか?」が疑問です。
原子力発電は早い話が水冷ですが、子供の頃は「よく原子力で蒸気発生が出来たな」と漠然と思っていたのですが、きちんとした情報を見るようになると原子炉の場合は低温なのですね。決してボイラーの質として飛躍的に高度化したとは言えません。

ところが、ナトリウム冷却は大変な数の失敗をしているわけです。
わたしの理解では、水冷かナトリウム冷却かの違いであって、一方は成功し片方は失敗の連続だ、となります。

それはなぜでしょうか?という話がどうも聞こえてきません。

もんじゅに関しては「うまくやれば出来る」といった手工芸的なセンスで巨大プラントを作っているのではないのでしょうか?と疑っています。

もし、この「手工芸的なセンス」でやっているのであれば「あっちが収まればこっちがダメになる」といったことになるでしょう。

対策は「改良ではなくてやり直し」しかないのは経験が教えるところです。
もし高速増殖炉を「やり直し」的にプロジェクトを見直しますと、「耐えがたいコストになるから実用化不可能」という結論が出るかもしれないと思っています。

投稿: 酔うぞ | 2008/04/07 10:36:30

酔うぞさん、

>もう一つ「ナトリウム冷却炉が実用になっているのか?」が疑問です。

実用化されているのは、フランスぐらいではなかったでしょうか?ただ次の展望は無いようです。日本のもんじゅは原型炉で実用ではないはずです。

>決してボイラーの質として飛躍的に高度化したとは言えません。

製鉄にも使えるHTTR(黒鉛減速)なんてのが開発されてましたが、その後どうなったのでしょうね。それはともかく、普通の原子炉は低温で発電ぐらいしか用途が無い技術ですね。石油とは大違いです。

>わたしの理解では、水冷かナトリウム冷却かの違いであって、一方は成功し片方は失敗の連続だ、となります。

いやこの違いが大きいのだと思います。ナトリウムは簡単に扱えるものではないはずです。

基本的に原子力も石油文明の技術に過ぎませんから、石油が枯渇したら原子力も使えないわけです。FBRは結局は使えない厄介もののプルトニウムを残すだけという気がするんですよね。あまり定量的な根拠はないのですが。

投稿: zorori | 2008/04/07 18:12:21

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