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2008.01.07

教育の質的な転換について

朝日新聞社説より「希望社会への提言(11)―「アポロ13号」に教育を学ぶ

教育の質について述べているのですが、とりまとめて引用します。本文はリンク先をご覧ください。

・正解を急がず、競わせず、考える心を育てよう

日本が低迷を続ける国際学習到達度調査(PISA)は「未来型学力」のテストと呼ばれる。いま何を知っているかではなく将来何ができるかを測る――。

調査をしている経済協力開発機構(OECD)の事務総長は、日本にこんな警告を発した。「知識を再現する学習ばかり続けていると、労働市場に出た時に必要とされる力が身につかない」

学力世界一といわれるフィンランド。福田誠治・都留文科大教授は、その教育の神髄を二つあげた。

第一に、正解を先回りして教えない。

理科の授業では、まず実験だ。様々な現象を見させて、各自が仮説をたてる。自分とは違う意見にも耳を傾け、もう一度考えてみる。
教師が理論を説明するのは一番最後だ。正解を先に教えると、その時点で思考が止まってしまう。

次に、他人と競わせないことだ。

競争させると、順位に関心が向いて、考えることへの興味がそがれる。
テストは各自がどこでつまずいているかを確認し、補うためのものだ。
考える力がつくとともに学力格差も少ないのは、この二つの理念と実践が成果をあげているからだ。

福田教授はそう指摘する。

学力危機は子どもに限ったことではない。大学生でも分数ができないと揶揄(やゆ)される。しょせんは試験でいい成績をとるために頭に押し込めた知識だ。

学力低下は、PISA調査で勉強への意欲が際だって低いことと分かちがたく結びついている。単なる知識の量で成績や入試の合否が決まってしまう。

教室で学んでいることが現実の生活に、今後の人生につながっていく。そして、何よりも考えることが楽しいという手応えを感じさせることができるかどうか。そこが分かれ道になるだろう。

学力の質を転換させることである。

考える心を育てるには、授業を変えなければならない。未来型学力を育む教員の養成が急務だ。教科書をただ覚え込ませるのとは違って、相当の力量がいる。授業にも十分な準備が必要だ。

フィンランドでは、教師には原則的に修士号が必要で、実習も実践的だ。授業に専念する環境も確保されている。

大量の雑務に追われる日本からは別世界だが、授業と放課後の活動の分業など思い切った改革に踏み切るしかない。

社会に出たら、教室で習った公式では解けない問題ばかりである。正解がわからない問いと向き合う力をつけることこそが、未来を拓(ひら)く教育の役割だろう。

基本的にはこの社説の通りだと思うが、教員の養成が必要というのはちょっと違うように思う。

教員ではなくて、教員を支援する人たちは現在のところ皆無に近い。だから学校での事務処理に教員が追いまくられるし、授業の準備も出来ない。
この問題を解決するのには、大学の助手のような立場の人を数多く学校に入れることになる。

もう一つ重要なのは、特に大学の入学試験で学科の成績の評価割合も大幅に下げるべきだと思う。

もちろん、学科によってペーパーテストが示す「学力」の必要度が違うのは当然だが、受験生である高校生が「大学進学に相応しい社会性を身につけているのか」といった項目を評価しないで、入学させてから大学が苦労するというのは筋違いだろう。
「君は高校生らしさがない」という評価で大学が入学を拒否するぐらいでも学科によっては構わないと思う。

実際に高校生に接していて改めて感じるのは「人の評価は多面的である」という当たり前のことです。

多面的な評価をするためには、評価を段階的に構成しては出来ない。
一回の評価では順位は当然付くのだが、次の評価に前の評価の順位を取り入れてやると、どの段階の評価でも最初の評価が影響してしまう。
これでは多面的な評価ではなくて、多段階の評価だ。

多段階の評価は基本が選抜であり、言葉を変えれば切り捨てだ。
今の日本に「若者を切り捨てる程の余裕があるのか?」という極めて単純な命題であって、もちろんそんな余裕はない。

多段階評価から多面的評価に切り替えないといけないが、教育の仕組みはこの100年以上も基本的には変わっていなくて、元々が第一次大戦で成功した士官養成の手法がそのまま使われているから、多段階評価のままだ。

なんとかして、教育での評価手法を多段階評価から多面的評価に変更する必要がある。

1月 7, 2008 at 10:54 午前 教育問題各種 |

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