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2007.12.21

警察官が霊感商法その3

「警察官が霊感商法」は昨日(2007/12/20)の0時頃に書いたもので、サンケイ新聞にちょっと記事があったので書きました。
それから一晩経ってみたら、テレビも含めて大騒動です。

あまりに新聞報道が多いのでとりあえず主な記事を紹介します。

朝日新聞吉田警視 悩む部下に接近、金引き出す 霊感商法事件
毎日新聞霊感商法:お札1枚52万円 「神世界」被害弁護団明かす
読売新聞3年で100億超も被害 霊感商法の被害者弁護団が会見
サンケイ新聞霊感商法疑惑 警視は語る「神世界の神は本物」
東京新聞霊感商法、被害100億円か 疑惑の警視宅を捜索
読売新聞神奈川版警視「会計を担当」 霊感商法一斉捜索
東京新聞神奈川版神世界被害で弁護団が会見 高額請求払えず『加害者に』

新聞記事のタイトルだけ見てもものすごく広範囲に影響していて、大規模な事件であることが想像されます。

警察組織という上下関係が公式に決まっている組織にこういう問題が入り込むと拡大する、という例はマルチ商法などで良く見られたことで、そこに「神は本物」とか「被害者から加害者への転換」といったことが積み重なって、100億円規模とまで拡大したのでしょう。

読売新聞神奈川版の記事「警視「会計を担当」 霊感商法一斉捜索」を紹介します。

「前代未聞の不祥事」県警幹部怒りあらわ

「会計の仕事を任されていた」――。霊感商法への関与が浮上した県警警備課長を解任された警視(51)。保証人をしている東京・赤坂の高級マンションのサロンが20日、「神世界」系列会社が高額の祈とう料をだまし取ったとして県警の捜索を受けた。「ヒーリング」「セラピー」。若い女性に人気の癒やしブームの陰で、詐欺的な被害は増えている。警視は、部下に不審な投資話も持ちかけていた。県警幹部の裏ビジネスに、県警に衝撃と波紋が広がった。

警視や部屋の連帯保証人になっている別の警視をはじめ計9人の現職警官が事情聴取され、県警本部16階にある警備課長室も捜索を受けた。

警視は、ヒーリングサロンの会計をまかされていたことを認めたうえで、「詐欺のつもりはない」と話しているという。

警察官に投資話を持ちかけていたことについては、「兄に会社経営での借金があるとウソをついて投資話を持ちかけた。警察学校の教え子4人に430万円を借りた」と説明した。

警備課はドアが固く閉じられ、野尻幸雄課長代理は「課員全員が驚いている。それ以上、説明のしようがない……」と戸惑いをみせた。

警視の自宅で午後5時45分、県警の捜索が始まった。「身内」への捜査に捜査員の表情は硬い。警視の母親は「(警視は)18日朝、出勤してから帰ってきていない。新聞報道を見て、本人に電話をしてみたが、連絡が取れない。霊感商法のことは、新聞で初めて知って驚いている。家族は全く知らない」と電話取材に答えた。

東京・赤坂のサロンが入っている高級マンション。午後3時55分、県警の捜査員が次々と入り、辺りは一時騒然となった。

山梨県甲斐市玉川の神世界には午後5時55分ごろ、捜査員約20人が入った。朝から数人の男女が出入りしていた。

近くに住む男性(67)は「出入りしているのは女性が多く、県外ナンバーの高級外車が集まって来て、何か儀式をしている様子だった。経文を唱えるような声が聞こえることもあり、近所で『なんだろう』と不思議がっていた」と話していた。

田端智明・県警本部長は20日の定例記者会見で、「犯罪抑止に向けて警察職員一丸となって取り組んでいる中、疑惑を持たれること自体極めて遺憾。徹底した捜査で真相を解明し、厳正に対処したい」と述べ、警視の不祥事に厳しい態度で臨む姿勢をみせた。

将来を嘱望された「エリート警視」と「霊感商法」。あり得ない組み合わせに、県警幹部は首をひねり、憤りをあらわにした。県警幹部からは「前代未聞だ。かつての県警不祥事からの再生が台無しになる」と嘆きの声が上がった。

警務部の幹部は「温和な性格でバランス感覚に優れた人だった。どうして霊感商法にかかわるようになったのか理解できない」と語る。刑事部の幹部は「警察官にあるまじきという非難すら生ぬるい。現場で苦労を重ねる捜査員に説明できない」と怒りを込めた。

また、監察の経験がある警察署長は「なぜ、もっと早くに把握できなかったのか悔やまれる。幹部だっただけに、盲点となっていたのかも知れない」と話した。

この事件では、わたしが10年来おつき合いがある紀藤正樹弁護士(リンク総合法律事務所)が被害者対策弁護団の表舞台に出ていますで、事務所はまた忙しくなるのだろうな、想像しております。
詳細については「ヒーリングサロンによる被害」がお勧めです。

12月 21, 2007 at 10:15 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.20

警察官が霊感商法その2

昨晩書いた「警察官が霊感商法」では、問題の会社がどこなのか確実な情報が無かったので、検索結果を「まあここなのでしょうね。」と書きましたが、紀藤弁護士のブログに記事が出ました。

弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS-BLOG版より「神世界について

この記事で問題の会社が有限会社・神世界と確認出来ました。

朝日新聞より「霊感商法拠点に神奈川県警警視が関与 名義人と保証人

神奈川県警の警備課長(51)名義で賃借されている東京都港区内の高級マンションの一室を舞台に、不当に高額商品を買わせる「霊感商法」が行われていた疑いが強いことが19日、分かった。保証人も、課長の元同僚の警察署警備担当次長(47)がなっていた。商法を展開していたのは山梨県内に拠点を置く宗教色のある有限会社で、県警は近く、詐欺容疑で捜査に乗り出し、警備課長らの関与についても調べる方針だ。

県警などによると、この商法に関与した疑いが持たれている警備課長と警察署警備担当次長は03年4月ごろ、この部屋の賃貸契約の名義人と保証人になっていた。いずれも警視で、かつて同じ職場にいたという。

調べでは、この部屋は、同社が各地で「癒やし」や「セラピー」などを掲げて運営しているサロンの一つ。女性を中心にした客の悩みや美容の相談を受け、ペンダントやお守りのような宗教的な物品を購入させていたとされ、県警は一連の売買が詐欺にあたるとみている。

同社を巡っては、「霊感商法で高額なグッズを買わされた」などとして、多くの客との間でトラブルが続発。客からの相談を受けている弁護士によると、関連店舗は全国に100前後あり、被害は1000人以上、被害額は100億円近くにのぼるという

一方、県警は、警備課長が複数回、このマンションに出入りしていることを確認した。さらに、課長の銀行口座に数人の警察官から、それぞれ数十万円単位の不自然な現金の振り込みがあったことも把握。振り込んだのは、課長のかつての同僚や課長が警察学校の教官をしていた時の教え子らで、県警は問題商法の被害者とみている。

県警本部の警備課長は、警備警察の運用上のトップで、大規模なスポーツ試合などの警備のほか、警備に伴う捜査を担当する。問題商法に関与していた疑いのある警備課長は、将来の部長候補と目されていたという。

読売新聞より「神奈川県警の警備課長、仏画「霊感商法」に関与

神奈川県警警備部の警備課長(51)(警視)が、「霊感商法」の拠点とみられる東京都港区の事務所の名義人になっていることが19日、同県警の調べで分かった。

警備課長は、高価な仏画を販売するなどの「霊感商法」に関与していた疑いがあり、県警は20日に解任を決め、調べを進める。県警はほかにも関与した警察官がいないかを捜査しており、警察組織を利用した霊感商法事件に発展する可能性がある。

事務所は高級マンション内にあり、山梨県に本社のある会社の出先の拠点となっている。県警は9月から内偵捜査。警備課長が事務所の賃貸借契約の名義人になり、頻繁に出入りしていることや、警備課長の口座に不自然な多額の入金のあることを確認した。

調べによると、同社は「占いによる運勢・姓名の鑑定」などを主な事業とし、全国各地に数十か所の事務所を展開。「ヒーリング(癒やし)」や「祈願」などを名目に客を勧誘し、仏画や書、書籍などを数万~数十万円で販売している。県警は法外な金額で売りつけていたとみている。県警警察官5、6人も物品を購入していたという。

マンションの管理人が9月、「人の出入りが多い部屋があって不審だ」と住民らから苦情を受けて調査し、契約者が警備課長と判明した。

マンションの賃貸借契約書には、連帯保証人の欄に警備課長以外の警視の名前が記載されている。県警は、警備課長を中心とする霊感商法グループの実態解明を進める。

この事件は元が有限会社で、配下の「サロン」が霊感商法で高額の商品を売りつけた、という構造に見えます。

カルト宗教問題では宗教団体の活動そのものが社会常識から見ておかしいとされて、その一つとして高額商品の販売による被害が発生しています。
「カルト宗教」とされる団体は普通は宗教法人で登記していますから、宗教法人ではない団体が「カルト宗教ではない」と主張したりしています。

以前から、この手の話はいくつかあるのですが100億円の被害が事実であれば、大事件と言うべきで、まして警察の組織が利用されていたというのでは本質的に組織としての警察の責任問題も出てくるでしょう。

12月 20, 2007 at 09:35 午前 事件と裁判 | | コメント (4) | トラックバック (0)

ジェットコースター脱線死亡事故で送検

産経関西より「エキスポ事故 元取締役ら書類送検 危険認識、利益を優先

大阪府吹田市のエキスポランドで今年5月、立ち乗りコースター「風神雷神Ⅱ」が脱線して乗客1人が死亡、19人が重軽傷を負った事故で、吹田署捜査本部は19日、事故の危険性を認識しながら保守点検を怠ったとして、業務上過失致死傷容疑で、エキスポランド社の伊藤正則・元取締役総括部長(59)と建部淳・元施設営業部長(65)を大阪地検に書類送検した。
また、車軸などの法定検査をせずに吹田市に虚偽報告したとして、建築基準法違反容疑で2人に加えて松田博・元技術課長(58)と法人としてのエキスポ社も書類送検した。

捜査本部は、脱線の原因となった車軸の破断は金属疲労が原因と断定。

昨年11月末には肉眼で見える大きな亀裂があったにもかかわらず同社は車体から車軸を抜き取って目視する作業を怠っていた。
また、車軸検査は建築基準法に定められているが、同社は検査項目を実施せずに吹田市に異常なしと報告していた。

伊藤元取締役らは「このままの検査ではいずれ大事故が起こることは分かっていたが、ゴールデンウイークにコースターを稼働させる利益を優先させ、検査を先送りした」と供述しているという。

調べでは、伊藤元取締役と建部元部長は安全管理を徹底しなければ重大事故が起きることを認識しながらも保守点検を怠り、漫然と「風神雷神Ⅱ」を運行。5月5日午後、車両が乗客20人を乗せたまま脱線し、20人を死傷させた疑い。
また、2人は松田元課長と共謀して3月16日、法定検査を実施しないまま異常なしとする虚偽の報告書を提出した疑い。

捜査本部は鑑定で車軸の破断面を分析。
事故から約半年前の昨年11月末の時点で、直径の約6割、外周の約6割に及ぶ大きな亀裂があったことが分かった。

亀裂は、車体から車軸を取り外して点検すれば肉眼でも確認できたという。

供述によると、昨年12月に伊藤元取締役が新アトラクションの導入を提案。建部元部長が検査用の点検庫に収納することを決め、「風神雷神Ⅱ」の車体検査はGW後に延期した。

そもそも運行開始以来、車軸を車体から取り外した検査は一度もしていなかったという。

吹田市に対しては2人の意向を受けて松田元課長が虚偽の報告書を作成したという。当時社長の山田三郎会長(77)については、伊藤元取締役らから検査を実施したと虚偽の報告を受けていたとして立件を見送った。

2007/06/05に書いた「ジェットコースター脱線死亡事故その8」のその後の話で取締役が責任者として書類送検されました。

どうもこの報道によると「全く点検していなかった」としか読めないので、破断事故が起きるのは必然であった、と言えるのでしょう。

いくら利益優先とは言っても「点検しないでも良い」という考え方はどこから出てきたの知りたいところです。
そもそも、日常点検していたようですから、年に一度といった分解検査だけをしないというのはどういうことなのか?

「検査なんて形だけでよいのだ」ということで押し通していたのでしょうか?
こうなると、検査をしたかどうかといった事実よりも「どういう考えだったのか?」も同一レベルで明らかにするべきでしょうね。
「失敗学」は重要だ、と改めて思うところです。

12月 20, 2007 at 09:09 午前 もの作り, 事故と社会 | | コメント (1) | トラックバック (0)

白河高校PTA解散事件の続編

福島民報より「元会長ら争う姿勢 白河高PTA訴訟

福島県白河市の白河高PTA職員の契約をめぐり、元会長ら2人が元職員から賃金分などの損害賠償を求められた訴訟の第1回口頭弁論は18日、地裁白河支部(高瀬順久裁判官)であった。

被告の元会長ら2人は請求の棄却を求める答弁書を提出し、全面的に争う姿勢を示した。

答弁書によると、原告が主張する雇い止めについては、いったん合意した契約条件を原告が撤回して交渉決裂となり新たな契約が締結されなかったためで雇い止めに当たらないと主張した。また解散はPTA総会での決議で、被告が主導したものでないとしている。

次回は2月5日午後3時半から。

この記事は「白河高校PTAが労働争議で解散・その11」の後日談というか続編といったところでしょう。

2007/12/18 日に始まった裁判の内容が分からないのですが、「雇用契約確認等請求事件」の判決が確定して原告には請求権が認められたので、元会長ら被告に請求したが拒否されたから賠償請求訴訟裁判が始まったのでしょう。

この事件、裁判官が同一ですね。白河支部だから、性質の同じ事件は同じ裁判官になってしまうのでしょうか?

福島民報の報道の通りだとすると、被告側の主張は前の裁判で行うべきことでないかと感じますが、前の裁判の判決は確定していますから被告側の主張で争えるものなのか非常に興味があるところです。

前回の裁判は、被告が裁判を無視して全く対応しなかったために原告側の主張が全面的に認められてしまったもので、社会のルールという観点からは「裁判は無視したら負け」という当然の結果そのものでした。
今になって「争う」と言い出しても、判決は変わりませんからその中での争いしかないわけで「全面的に争う余地」があるとはちょっと思えません。

ここで「全面的に争う」となると、この裁判は延々と続く可能性がありますが、それは主に被告側の主張の量(証拠の量)によるはずで、原告側が「前の判決に基づいて支払え」という主張であるのなら、争うことが出来るとはちょっと思えないのですが・・・・・。

注目せざるを得ません。

12月 20, 2007 at 08:51 午前 事件と裁判, 教育問題各種 | | コメント (2) | トラックバック (0)

警察官が霊感商法

サンケイ新聞より「被害額数億円?の霊感商法に警視が関与か 神奈川県警

神奈川県警警備部の課長を務める警視(51)が、心身の疲れを癒やす「ヒーリングサロン」を装って、客に高額の宗教用品を売りつける霊感商法に関与した疑いが強まり、県警が本格捜査に乗り出したことが19日、分かった。警視は部下10人前後を勧誘していたとされ、警視の口座にはサロンを運営する企業グループ側から定期的に多額の現金が入金されていたことを県警は確認している。

疑惑は、東京都港区のマンション一室に複数の人が出入りしているのを不審に思った住人が、不動産会社に苦情を言ったことがきっかけで発覚した。不動産会社が調べたところ、部屋の名義人は警視になっており、連帯保証人も横須賀署の警備担当次長の別の警視だった

通報を受けた県警が内偵調査したところ、マンションは同サロンの事務所の一つとして使われていることが判明。部屋には、警視のほか部下だった警察官数人と複数の一般人が出入りしていたとみられる。

県警は9月上旬、同サロンの霊感商法の被害者らから「霊のたたりなどの話をされ、高額の現金をだまし取られた」などという相談を受けており、サロンを運営する企業グループの詐欺容疑での立件に向けて捜査を進めている。被害者らの訴えによると、被害額は数千万~数億円に上るとみられる。

警視は警備部の重要ポストを歴任、警察庁警備局にも出向し、9月に現在の課長ポストについた。警視の関与が裏付けられれば、県警の重大な不祥事に発展する。

関係者によると、同サロンは平成12年、占いによる運勢、姓名鑑定、お守りの販売などを目的に有限会社と企業グループが運営。東京都内を中心に数十店舗を展開、本部は山梨県内にある。

全国霊感商法対策弁護士連絡会などによると、サロンは最初は宗教色を排除した「癒やし」を全面に掲げて勧誘し、「体験ヒーリング」から始まって、徐々に料金を上げていくという。「除霊」など宗教色を強めて客の不安をあおり、数十万以上のお守りなどを売り付ける手口で、若い女性を中心に被害が広がっている。

誠にとんでもない話だと思いますが、山梨県で企業が母体のサロンを検索してみたらこんな記事が見つかりました。

「ヒーリングサロンによる被害」から引用します。

6、組織の実態

全国各地に点在する一連のヒーリングサロンは山梨県にある、有限会社・神世界を頂点とした組織である。

まあここなのでしょうね。
それにしても、現職の警察官が組織を使って詐欺商法をやっていたということになりますから、ちょっととんでもない話と言うべきです。
警察は立件するようですから、どういう展開になるのか注目しようと思います。

12月 20, 2007 at 12:35 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

TGVが踏切で衝突事故

読売新聞より「仏TGVがトラックと衝突、1人死亡35人負傷

【パリ=林路郎】

スイス国境に近いフランス東部の村トシアで19日午前(日本時間同日夜)、パリ発ジュネーブ行きの仏国鉄の高速鉄道TGVが踏切を横断していた大型トラックと衝突し、ロイター通信によるとトラックの運転手1人が死亡、TGVの乗客35人が負傷した。

列車は脱線し、この影響でTGVはパリ―ジュネーブ便の運行が停止された。

TGVは最高時速320キロ・メートル程度で走行するが、乗客が仏メディアに語ったところでは、列車は事故当時、比較的低速で走行していたという。

世界初の高速鉄道であった東海道新幹線は全線が専用線であり、踏切は皆無であったので踏切事故は一件もありませんでしたが、TGVや秋田新幹線などその後に登場した高速鉄道の多くが在来線を走るために踏切があり、秋田新幹線でも何度か踏切事故がありましたが列車の乗客に被害が出るのは極めて珍しいですね。

読売新聞の記事では、脱線して列車乗客が負傷となっていますが、CNNでは脱線せず乗客はショック状態とのことで、まだ情報不足です。

しかし、踏切があれば列車事故は防げないわけで、それでは高速鉄道とは言いがたいわけですから、踏切の廃止を積極的に進めないといずれは大事故になる可能性は残りますね。

12月 20, 2007 at 12:13 午前 海外の話題 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.12.19

温泉爆発の遠因はややこしすぎる構造かな?

東京新聞より「渋谷スパ爆発から半年 吸気口 地下溝で代用 ガス配管も水抜きせず 換気低下、原因か

東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」で従業員三人が死亡、八人が重軽傷を負った爆発事故で、爆発が起きた別棟の地下では排気口の反対側にある地下溝を吸気口として代用する構造になっていたことが十九日、分かった。
警視庁捜査一課と渋谷署は、業務上過失致死傷容疑で捜査しており、地下溝からでは外気の流入が不十分で天然ガスを排気する能力を低下させていた可能性が高いとみている。事故は同日で発生から半年を迎えた。

温泉の源泉にはメタンガスを主成分とした天然ガスが含まれるため、源泉のくみ上げ施設があった別棟の地下区画では室内の十分な換気が必要だった。

調べでは、この室内には、空気を屋外に排出するファン付きの排気口があるが、外気を取り入れる吸気口については、施設を運用するユニマットビューティアンドスパ(東京都港区)や設計した大成建設(新宿区)側は「別棟と本館をつなぐ地下溝から吸気できていた」と警視庁に説明したという。

この地下溝には、源泉やガスなどを本館に送る配管や上水管などが詰まっており、空気が通るすき間はあったが、同課などは、十分に換気できるほどの外気の流入は確保されていなかったとみている。

一方、別棟地下にはガス分離器で源泉から分離された天然ガスを排出するための配管があるが、その配管のU字形に曲がった部分の底に水がたまり、ガスが流れなくなっていたことも分かった。同課は、本来なら配管を通じ屋外に放出されるガスが行き場を失って別棟地下に流出し、爆発を招いた可能性もあるとみている。

ガスの配管は冬季の結露などで水がたまるため、定期的に水抜き作業をする必要があり、水抜き栓も付いていた。しかし設計した大成建設は取扱説明書をユ社や保守点検会社に渡しておらず、点検作業員は施設の運用開始から約一年半の間、一度も水抜き作業を行っていなかったという。

別棟の構造をめぐっては、室内にガス検知器が設置されていなかったほか、設計の変更で別棟の密閉性が高まっていたなど、安全確保が不十分だったことが判明している。同課は運営のユ社、設計の大成建設、保守点検会社の三者それぞれの過失が重なって、事故が引き起こされたとみて、捜査を続けている。

本館・別棟といった説明になっていますが、別棟は道路を挟んだ反対側に建っていて、道路の下を温泉を送るパイプを敷設死していました。
爆発したのは別棟で、温泉をくみ上げてガスを分離して、本館に温泉を送るという仕組みになっていましたが、地面よりも低いところでやっていたからガスが滞留するために、積極的に排気する装置が必要なった、ということです。

そこで、設計というか企画の関係で慎重に扱うべき仕組みになってしまっていたが、それが関係者の間で情報共有になっていなかったのでしょう。

わたしには「こんなにややこしい仕組みでやるべき事ではなかったのでは」という印象が非常に強いですね。

12月 19, 2007 at 04:15 午後 事故と社会 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.17

平和神軍裁判・論告

今日(2007/12/17)は「平和神軍裁判」を傍聴してきました。

被告の次瀬氏(ハンドル)のサイト「平和神軍観察会」より

お知らせ

「ラーメン花月・平和神軍事件」の刑事裁判の第二十一回公判が終わりました。
論告、弁論が行われました。
検察側の求刑、罰金30万円に対し、私は無罪を主張しました。
これにて本件は、結審となりました。

次回、判決は2008年2月29日(金)
13:30~15:00 428号法廷です。

是非ご傍聴頂けるよう、よろしくお願いします。

ご傍聴頂いた皆様、本当に有難うございました。

今日は、論告・求刑・判決日の指定でした。

この裁判は、インターネット上の名誉毀損事件が刑事裁判になった初めての例のようで、しかも内容が名誉毀損なのか否かを十分に争う余地があるものでしたから、野次馬的な感想としては「なんで検察は起訴したのか?」とずっと思っております。

わたし自身が平和神軍問題を知ったのは、NIFTY-ServeのBBS8の騒動の頃ですから、98年頃だとなります。
当時は「なんだいこの団体は?」でありました。どう見てもいたずらレベルのことにパソコン通信ですらそれなりのお金を突っ込んでいるわけで「何のつもりなのだろう?」にしかなりませんでした。

2004年にホームオブハート裁判と平和神軍裁判の両方を応援することになって現在に至っているわけですが、次瀬氏の言によると「裁判の間にはっきりしたこともをたくさんあった」とのことで、事実が明らかになった面も大きいです。

現在の名誉毀損事件の考え方にはわたしは「古すぎるのではないのか?」と強く思っていて、刑法が出来た当時(明治40年=明治40年=1907年)状況をそのまま固定的に法的判断をしているのだが、主に技術的進歩が社会を変革して法律と現実の接点がどんどん希薄なっているのではないか?と感じています。

名誉毀損

第二百三十条

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

(公共の利害に関する場合の特例)

第二百三十条の二

前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

(侮辱)

第二百三十一条

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

基本的に「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」は処罰されるとなっていますから、「公然と」とは何か?が問題となるでしょう。
公然ではない、とされているものには「他人が聞いていないところで、本人だけに言う」とか「家族内の会話」などは公然ではないとされています。

これで「公然」とは放送・出版・チラシの配付といったものが対象になりそうだ、と分かりますが、では明治40年(1907年)にはどんな「広報手段があったのか?」を考えてみます。

電報1869年
新聞1870年
雑誌1873年
謄写版1894年
日清戦争1894年
日露戦争1904年
大正デモクラシー1905年
ラジオ放送1925年

こういう時代に「公然と」とはどういうことかを想像してみると、なにしろ謄写版の発明は日清戦争での情報伝達に非常に有効だったとして軍隊が大量に使用したという位の時代ですから、チラシを大量に作るなんてことは出来ないわけです。

「公然と」とは「多くの大衆に」といったほどの意味でしょうから「情報の量産」が前提になっているわけで、1907年に情報の大量生産が出来たのは新聞と雑誌だけと言って間違えないでしょう。

名誉毀損の対象は「個人の名誉=個人」ですから、個人を新聞や雑誌を使って責めると言う図式の中で考えられた法律であろうと思われます。

「公然と」と定義するだけで、「資力を使って」という意味に相当したのではないか?と考えています。
逆に言えば、個人の情報発信力の程度では名誉毀損は成立しない。だから、個人の言い分の自由は保障される。という考え方だったのでしょう。

確かに、政治家を雑誌などが名誉毀損に相当する記事で誹謗中傷した場合に、法的に全く追求できない社会には、正義は無いと言えるでしょうから、名誉毀損罪は必要だと思います。

現在でも、週刊誌は名誉毀損事件になることが多いのですが、これこそが刑法の名誉毀損の典型なのでしょう。

このような1907年頃の社会情勢に対して、戦後のコピーから始まる個人による情報の大量生産が可能になった現代では、機械的に「公然と」を1907年当時の判断基準に置いては無理がありすぎる、と言うべきであって行き着くところが今回の刑事裁判になった、と考えています。

事件としては求刑が罰金30万円の小型の事件ではありますが、ネットワーカとしては注目するべき裁判です。

12月 17, 2007 at 11:41 午後 ネットワーク一般論, 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

佐世保の乱射事件

中日新聞より「佐世保乱射 殺傷力強い弾も使用? 馬込容疑者、150発を購入

長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」の銃乱射事件で、容疑者(37)=自殺=が、3発連射可能な自動式の散弾銃を犯行に使用し、射殺した2人については、殺傷能力が高い弾を使っていた可能性が強いことが、長崎県警の調べで分かった。

容疑者は佐世保市内の銃砲店で昨年11月までに、多数の弾丸(鉛などの粒)が飛び散る散弾約2000発だけでなく、1つの弾体が飛び出す、より殺傷能力が高い単発弾(スラッグ弾)を少なくとも150発購入していたことが判明した。

県警は逃走車両の中などから押収した3丁の散弾銃などを鑑定して、犯行に使用された銃と弾の種類の特定作業を進めているが、(1)自殺した馬込容疑者の手元には自動式があった(2)「薬きょうが飛び出していた」との目撃情報があることなどから、銃については自動式が使われた可能性が高いと判断。
死亡した容疑者の同級生の男性(36)と、クラブの水泳インストラクター(26)の傷あとから、2人の射殺には、スラッグ弾が使用された疑いがあるとみている。

一方、容疑者の携帯電話を分析した結果、同容疑者は事前に、事件当日の14日にクラブに来るよう誘った友人は少なくとも4人だったことが判明した。このうち被害男性さんと、同級生の男性1人がクラブを訪問。被害男性さんは逃げられずに射殺された。

十数発発砲したとの報道で「どういうことか?」と思っていました。
自動銃を使い、その上にスラッグ弾を撃つというのは極めて凶悪と言わざるを得ませんし、なんでこんなことをやるヤツに銃所持の許可を出したのか?と思います。

日本では個人が所持できるのは基本的に小銃で短銃(ピストル)は所持出来ないはずです。
ライフル銃は口径が7ミリ程度で、ライフル溝を切った銃身になっています。
散弾銃は18ミリ口径といった具合にずっと大きくなりますが、散弾銃の名の通り小さな粒状の弾を多数発射するのが普通です。

散弾銃の弾の一種類がスラッグ弾で一発の玉を発射します。口径が大きいので、イノシシやクマを狩るために使います。

自殺した容疑者は狩猟した形跡がないとの報道もあり、クレー射撃、鳥猟、イノシシ猟といったところが、散弾銃の利用目的ですが狩猟していない人物が自動銃とスラッグ弾を持つというのは、それだけで十分に危険信号ではないでしょうか?

銃の所持者は定期的に検査があるはずなんですよね。そこで「この人物に銃を持たせるのは疑問がある」という検査結果は無いのでしょうか?
おそらくは、ハードウェアとしての銃が管理されているのかを検査するのでしょうが、全米ライフル協会の言うとおり「人が人を殺す」のですから、銃を所持する人を定期的に検査する必要があると思うところです。

12月 17, 2007 at 10:35 午後 事件と裁判 | | コメント (7) | トラックバック (0)

2007.12.16

生産・消費・市場・メディア

「新聞社のネットへの姿勢か?」は結局は新参メディアであるネットと以前からあるメディアである新聞との関わりが新聞社毎に違うだろうという観点で新聞記事を並べてみたものです。

新参メディアであるネットにとって別に新聞社や出版社だけが摩擦を起こしている相手ではなくて、音楽業界があるわけですが音楽業界の問題について小倉弁護士が「ライブの復権とネットとレコード会社」と書いています。わたしが注目したのは

The BeatlesのPlease Please Meがそうであったように、数時間のレコーディングで1枚のアルバムを作り上げることは可能です。

いずれにせよ長時間スタジオを借りなければレコーディングもままならないようなアーティストはいずれ淘汰されるようになるのではないかという気がします。

私は、特段レコード会社不要論に立つものではありませんが、とはいえ、アーティストの発掘、育成、プロモーションについでの主導権が、レコード会社からプロダクションに移行していく可能性は十分にあるとは思います。

ただ、欧米の例を見ると、「目利き」的な機能こそ、ネットがレコード会社を凌駕してしまう部分なのです(Kaminiなど典型ですが。)。

音楽CDが売れない理由は最大のマーケットである少年少女のお小遣いが昔はなかった、携帯電話とネットアクセスに吸い取られているからで、これは逆に見ると音楽CDを買う場合には無闇に買うわけにいかない(お金がもったいない)のだから「非常に厳しく吟味する」し一番売れる曲と二番目の曲の落差はものすごい差になる、といったことを引き起こすでしょう。

自分のことを考えてみると、FMで繰り返して流れているようないわゆるヒットCDを買うのはいつもかなり後回しにしていました。
それよりも「聞いたことのないCDから良い曲を見つけた楽しみ」の方が遙かに大きかった。
目利きの楽しみ、であったのでしょう。

パソコン通信が始まって、本を紹介するフォーラムとして冒険小説フォーラムの運営に関わって、ネット書評を確立してしまいましたが、これも目利きの楽しみを共有するというところがありました。

こうして考えると、情報交換の楽しみのかなり本質的な部分に「目利き」があるのではないか?
そして目利きは消費者(需要家)のものであって、生産者(供給者)は関わることが出来ない部分なのでありましょう。

であるとすると、旧メディア側がネットを供給サイドから評価していては、これは本質を見誤っているわけで、ネットを構成している利用者は本質的に需要家であり時には供給者になる、というのが平均的な実像でありましょう。

消費者=市場を無視して生き残った生産者は無いのであります。そういう観点で見ると、法的な保護が強い放送業界、テレビ離れ(番組離れ)で消費者に急速に見捨てられつつあるのは、誠に表徴的というべきかもしれません。

12月 16, 2007 at 09:27 午後 日記・コラム・つぶやき | | コメント (3) | トラックバック (0)

新聞社のネットへの姿勢か?

ニュースをネタに使っているとどうも週末は困るのであるが、今日は偶然面白い記事が並んだ。

朝日新聞、毎日新聞、イザ(サンケイ新聞)である。

どこを面白く感じたのかには、毎日新聞とサンケイ新聞がそれぞれのサイトを劇的に変更したことに遠因があります。

10月にサンケイ新聞がMSNと提携して「MSN産経ニュース」となりました。
同時にそれまでMSNと組んでいた毎日新聞は独自サイトになりました。

それまでも、ニュースに直接ブログが付いているイザは「ネットワークフレンドリー」であると感じていましたが、一層促進されたと言えるでしょう。

そこで、下記の朝日新聞、毎日新聞、イザ(サンケイ新聞)の読み比べてみると、ネットは無視の朝日新聞、ネットが苦手の毎日新聞、ネットをうまく使いたいサンケイ新聞。
と読めてしまうのであります(^_^;)

朝日新聞より「市民ら350人、橋下弁護士の懲戒請求へ 光市事件

大阪府知事選への立候補を表明した橋下徹(はしもと・とおる)弁護士(38)が、99年に山口県光市で起きた母子殺害事件の被告弁護団の懲戒請求をテレビ番組で視聴者に呼びかけたことをめぐり、全国各地の市民ら約350人が17日、橋下氏の懲戒処分を所属先の大阪弁護士会に請求する。「刑事弁護の正当性をおとしめたことは、弁護士の品位を失うべき非行だ」と訴える。発言に対しては、被告弁護団のメンバーが1人300万円の損害賠償訴訟も広島地裁に起こしている。

懲戒請求するのは京阪神を中心とした11都府県の会社員や主婦、大学教授ら350人余り。刑事裁判で無罪が確定した冤罪被害者もいる。

橋下氏は、5月27日に大阪の読売テレビが放送した「たかじんのそこまで言って委員会」で、広島高裁の差し戻し控訴審で殺人などの罪に問われている元少年(26)の弁護団の主張が一、二審から変遷し、殺意や強姦(ごうかん)目的を否認したことを批判。「許せないって思うんだったら、弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」などと発言した。

17日に提出される懲戒請求書によると、元少年の主張を弁護団が擁護することは「刑事弁護人として当然の行為」と指摘。発言は弁護士法で定める懲戒理由の「品位を失うべき非行」にあたるとしている。

弁護士への懲戒請求は、弁護士法で「何人もできる」と定められている。請求を受けた弁護士会が「懲戒相当」と判断すれば、業務停止や除名などの処分を出す。

橋下氏は、元少年の弁護団のうち4人が9月に起こした損害賠償訴訟での答弁書で「発言に違法性はない。懲戒請求は市民の自発的意思だ」と反論した。15日、朝日新聞の取材に法律事務所を通じて「(懲戒請求されれば)弁護士会の判断ですので、手続きに従います」とコメントした。

毎日新聞より「インターネット:青少年の4割が1日1回利用

内閣府は15日、「情報化社会と青少年に関する意識調査」(06年度)の結果を発表した。インターネットの情報サイトを1日1回以上閲覧すると答えた人の割合は全体の41.2%となり、01年度の前回調査(17.9%)の2倍以上に増えた。新聞を読む時間が1日「0分」との回答が22.3%から47.7%に増える一方で、「30分以上」も8.7%から16%に増えている。

調査は10~29歳の男女5000人を対象に今年3月、面接で実施。2468人(うち小中高生1166人)から回答を得た。

小中高生のメディアの1日平均利用時間を調べたところ、テレビ視聴は高校男子(178.2分)、同女子(174分)がそれぞれ最長。携帯電話のメールを利用する中高生の3割以上が1日20回超発信しており、中学男女、高校女子では「51回以上」との回答が2割弱を占めた。【石川貴教】

イザ(サンケイ新聞)より「ネットで変わる情報空間

産経デジタルが運営するインターネット上のサイト「iza(イザ!)」で記者ブログを書くようになって1年半が過ぎた。どんな記事が求められ、読者のニーズはどこにあるのか。新聞紙面との書き分けはどうするのか。まだまだ試行錯誤中だが、読者と頻繁なやりとりを行うブログ運営を通じ、実感したことがいくつかある。(阿比留瑠比=阿比留記者のブログはこちら)

■マスコミへの不信

まず、既成マスコミのあり方に対する強烈な反感と不信感だ。新聞やテレビは、情報を加工し、紙面や番組枠に収まるようコンパクトにまとめて発信する。記者として当たり前のように繰り返してきたこの作業は、多くの情報の受け手に、マスコミによる日常的な情報操作だと受け取られていた。

昨年8月10日、「小泉首相の靖国関連ぶらさがり全文」という記事をブログに投稿した。政治部記者にとっては、日常の取材メモで簡単に読める首相と記者団のやりとりをそのまま載せたに過ぎなかったのに、これが大きな反響を呼んだ。この日のコメント欄には次のような書き込みが寄せられた。

「マスコミは正確で豊富な情報提供をしない」「物を考える際に情報のオリジナルソースがどれほど大切か」「私たちは、たくさん語られた中からマスコミの都合のいい形にまとめられたものをずっと聞かされ読まされてきた」…。

中には、記者に対し感謝を表すコメントまであった。間違いなく、読者は加工されていない一次情報を欲しているのだ。現在、MSN産経ニュースは官房長官の記者会見全文や裁判傍聴記の詳報を流しているが、これには記者ブログでの経験が生かされている。

■ネットの機動力

産経新聞は今年1月13日付朝刊で、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体の平成17年の事務所費が約4億1500万円に上ることを報じた。記者も同日のブログに「民主党・小沢代表の事務所費について思うこと」という記事を投稿し、この団体が小沢氏に多額の借金をし、利子を払っていることなどに疑問を呈した。すると、すぐにこんなコメントが届いた。

「産経の13日の朝刊より1日早く、小沢氏の高額な事務所費について注目していたその筋では有名なサイトがある」

そのサイトを見てみると確かに小沢氏の事務所費問題について、いろいろな角度から指摘がなされていた。小沢氏が提出した17年分の政治資金収支報告書には当初、実際には存在しない住居表示・地番が複数書かれていたが、この点についてもネットでは早くから疑問の声が上がっていた。

驚いたのは、複数のネットユーザーが実際に法務局に赴いて登記簿を上げ、現地調査を行っていたことだ。その結果、収支報告書に記載された地番には小沢氏が説明した「秘書の寮、共同作業場」は見つからず、小沢氏に厳しい視線、批判が向けられていた。

不特定多数のネットユーザーの機動力が発揮された好例であり、ユーザー同士の情報共有にも成功しつつあると感じた。新聞は、ネットの情報力を取り込まないと生き残れないという思いを強くした瞬間だった。

■情報ニーズとは

ネットが普及する前までは、情報は新聞、テレビなどのメディアが発信し、読者や視聴者は、基本的にその情報を受け取るだけという一方的な流れが固定化していた。もちろん、投書や情報提供、苦情電話などは毎日、数多くメディアに寄せられていたが、新聞の読者数やテレビの視聴者数に比べれば、ごく少数だった。

一方、「イザ!」は双方向型の情報空間を目指している。まだ必ずしも十分に機能しているとまでは言えないが、記者と一般利用者がブログで相互にコメントし合うことによって、新たな発見も生まれている。こんなこともあった。

安倍晋三前首相が病に倒れ、入院してしばらくしたころ、記者のブログのコメント欄に、千羽鶴を折り届けて安倍氏を励まそうという有志による運動がネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」内で始まったという紹介が書き込まれた。

最近になって「ところで、千羽鶴運動のその後は?」との問い合わせがあり、安倍事務所に照会したところ、秘書がきちんと千羽鶴を受け取り、安倍氏もそれを承知していることが分かった。早速、千羽鶴を撮影してブログで報告しようと事務所を訪ね、千羽鶴を手にした笑顔の安倍氏の写真を載せた記事を投稿できた。

これには多くの好意的コメントが寄せられ、アクセス数も多かった。従来の新聞ではニュース価値がないと判断したであろう話でも、読者のニーズが高いもの、本当に知りたがっていることは少なくない。それを再認識できたのも、ブログを通じてのことだ。

(あびる るい=政治部記者)

12月 16, 2007 at 10:16 午前 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)