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2007.06.09

プール吸い込み事故の暗黒面 市役所職員を起訴

2006年7月31日に埼玉県ふじみ市の市営プールで発生した「吸い込み死亡事故」について多く記事を書きました。

  1. プール吸い込み事故の暗黒面
  2. プール吸い込み事故の暗黒面その2
  3. プール吸い込み事故の暗黒面その3
  4. プール吸い込み事故の暗黒面その4
  5. プール吸い込み事故の暗黒面その5
  6. プール吸い込み事故の暗黒面その6
  7. プール吸い込み事故の暗黒面その7
  8. プール吸い込み事故の暗黒面その8
  9. プール吸い込み事故の暗黒面その9
  10. プール吸い込み事故の暗黒面その10
  11. プール吸い込み事故の暗黒面その11
  12. プール吸い込み事故の暗黒面その12
  13. プール吸い込み事故の暗黒面その13

2007年6月8日にさいたま地検は当時の市教委課長と係長を業務上過失致死罪でさいたま地裁に在宅起訴し、委託業者ら4人を起訴猶予処分としました。

朝日新聞 「ふじみ野プール事故、元市課長ら起訴

ふじみ野市の市営プールで起きた事故で8日、ふじみ野市教委の当時の職員2人が在宅起訴された。

<解説>

市が設置するプールだから、みんなが安心して使う――。ふじみ野市営のプール事故でさいたま地検は、期待を裏切るずさんな市側の管理の実態を重くみる一方で、業者側については、元々欠陥があるプールの管理を委託されたにすぎないと判断した。市と業者側で処分に差がついた一番のポイントは、事故現場が「市のプール」だった点だ。

県のプールを管理する指導要綱では、02年以降は吸排水口のふたをボルトやネジで留め、吸い込み防止金具をつけ、定期的に点検することが明記されていた。しかし、地検によると、ふじみ野市ではその点検が全くされていなかった。

吸水口のさくは四隅をビスで留めておかなければならなかったが、事故があった吸水口は、針金で1カ所が固定されていただけだったとみられるという。

市の2人は職務権限上、固定状況を確認する義務があり事故を防げる立場にあったのに、それを怠ったと判断された。

一方、起訴猶予となった管理委託業者3人については、責任は免れないが基本的には、さくがビスで固定されていない危険なプールの管理を委託されていたにすぎない、という考え方だ。

送検された6人のうち、事故発生時唯一現場にいた京明社の現場責任者についても、補修の針金を探しに行くなど、事故の際の対処に一定の理解を示した上で、「元々、さくが外れること自体があり得ない」とした。

事故後、全国各地の公営プールで安全性の不備が次々と明らかになった。「責任の所在を際だたせた」(地検幹部)今回の処分は、プール設置者である行政の姿勢を改めて問うものとなった。事故の真相は今後、公開の法廷の場で明らかにされることになる。

読売新聞 「ふじみ野プール事故  欠陥見逃し 市を非難

公営プールにもかかわらず、施設の欠陥を見逃した市側の責任が厳しく問われた格好だ。

■責 任■

さいたま地検は「外れてはならない吸水口のふたが外れていた」のが事故の主な原因と設定。プールを主管する市体育課の課長と係長は、プールを開場する前にふたがねじで固定されているかどうかを確認し、委託業者に固定状況を点検させる注意義務があったのに、確認も指示も怠っていたとした。

一方、委託業者側の3人については「当初からふたの固定が不十分なプールの業務委託を受けたに過ぎず、修繕の責任はない」とし、もう1人の市職員も「課長らの指示を受けたに過ぎない」として起訴猶予とした。

同地検によると、ほかの公営プールでは、担当職員が業者と固定状況を確認しており、「他市町村並みのことをしていれば事故は防げた。市が基本的な点検を怠った結果、本件事故が発生した」とした。

同地検幹部は「現場をほったらかしにしていた市は無責任極まりなく、業者とメリハリを付けた。客は『市だから』と安心して利用しており、市の責任は大きい」と指摘した。

    ■丸投げ■

事故があったのは昨年7月31日午後1時40分ごろ。プール側面の吸水口(直径約60センチ)に設置されていた2枚のふた(60センチ四方)の1枚が脱落し、遊泳中の女児が吸い込まれて死亡した。

その後の調べで、ふたがねじの代わりに針金で留められ、当時は左下の1か所しか固定されていなかったことが判明。さらに、市が運営を委託した業者が、下請け業者に無断で業務を“丸投げ”していたことも発覚した。

市は、厚生労働省や県が定めた安全点検なども十分に行っていなかった。関係者から「市職員はプールサイド周辺を歩くだけだった」との証言が出るなど、ずさんな管理が非難された。

毎日新聞 「ふじみ野のプール事故死:業者起訴猶予 「責任に軽重ない」両親、処分に困惑 /埼玉

市教委体育課の元課長(60)ら事故当時の市担当者2人が業務上過失致死罪で起訴され、行政の管理責任が厳しく追及されることとなった。一方で、管理業務を請け負った民間業者は全員が起訴猶予に。瑛梨香ちゃんの両親は「(行政と業者に)責任の軽重があるとは思えない」と複雑な心境を吐露した。

「ずさんの連鎖」。同市事故調査委員会は昨年10月、同プールの管理体制をそう指摘した。市は管理業務をビルメンテナンス会社「太陽管財」に委託。「太陽管財」は下請けの「京明プランニング」に再委託していた。

地検は施設管理者である市の責任感の欠如が事故につながったとの認識を示した。一方で、約1100万円で市から管理業務を委託され、下請けに「丸投げ」した「太陽」や、「京明」の現場責任者らは刑事責任を問われないこととなった。

両親は「傍観して事故を招いた現場責任者こそ責任が重いと考えていた。ふじみ野市や下請け業者が、たった1枚の書類・たった数分の確認を怠ったことが、どれだけ大切な命を奪ったのかを、もう一度自覚してほしい」とコメントし、処分に戸惑いを見せた。【町田結子、弘田恭子】

◇監督責任を重視--元最高検検事の土本武司・白鴎大法科大学院長

市職員2人を起訴したことは、監督責任を重視した考え方による選択で正当な処理だ。しかし、(フタが外れた後の)直近過失にあたるものが外され、事故発生に直接関係する管理責任が軽視されている。今後、同種の事故が発生した場合、請け負った側は責任を問われず、委託した側だけが責任を負うことになりかねないのではないか。

プール吸い込み事故の暗黒面その12で以下の記事を書きました。

「ARエコノート」の有田さんからでした。

そこで、さっそく拝見したのですが、「埼玉プール事故:欠陥プール」にわたしの勝手な推測とは比べものにならない詳細な記事が出ています。
写真で説明がありますから、是非とも記事をご覧いただくとして

「吐出側には安全格子があるのに、吸水側にはないよね。これは設計か施工に大きな問題がある」

出水口の安全対策まで配慮するような建築業者が、なぜ吸水口は危険なままにしていたのか。出水口の格子を見る限り、建築業者が安全対策をとらなかったというのはちょっと考えにくい。

とすると、吸水口の安全対策は別の業者が行ったのではないか。その別の業者とは誰か?

設計図書と完成図書を併せて見れば、当たっているのかどうかがすぐにわかります。 実は、私が入手した本件プールの建築図面には吸水口の位置もサイズもありませんでした。

だとすると、吸水口に関する図面は設備工事側の図面にあるはずが、現段階では私にはわかりません。

もし施工図面に吸水口の安全対策がないのなら当初から「悪魔の穴のプール」だったことになり、設計施工業者とオーナーのふじみ野市の責任はきわめて重くなります。

ふじみ野市が始めた事故調査委員会をみていると、プール本体の問題には一切触れず、受託業者やプール管理の問題に責任を押しつけようという気配が出てきましたので、敢えて私の考え・推論をここに公開する次第です。

という極めて恐るべき情報がありました。

つまり、この情報では管理の問題と言うよりも設備の問題だ、となっていて地検が市役所の職員を業務上過失致死罪で起訴したのは、この装置が本質的に欠陥があったと認定したからでしょう。

プールの吸い込み事故については、記事中に何度も書いていますが、毎年文科省(文部省)が出している指示を連続して無視していたこともあり、あまりにひどい管理状態であったと言えるでしょう。今回の起訴は他のプール管理者(教育委員会)への検察の強い警告という面も大きいのでしょう。

追記

この事件は、柵が外れていたから、被害児童が流水プールの循環ポンプの吸水口に吸い込まれて亡くなりました。

文科省がプールの吸水口に対して出している安全基準は、吸水口の網や柵はボルトなどで固定して引っ張っても取れないこと、万一に備えて二重に柵を設ける事、です。

ふじみ市の問題のプールでは、吐出口は二重の格子で吸水口は外れる柵だけだった。

これらは、工事の問題であって監視員が出来ることはプールの運用を止めることぐらいしかないでしょう。
しかも、市に対しては以前から問題点として柵の取付について報告(警告)があったとも伝えられています。

事故のその時だけを問題にすると、監視員や請負業者の責任が強いように思えますが、では他の業者や監視員が別の人間であった場合に事件は起きなかったのか?と考えれば「運が良ければ」になってしまうでしょう。

事故の本質は、装置の欠陥であり、しかも設計・設置の段階から法令違反の疑いが極めて濃厚な装置でありました。これらについて責任があるのは市である、ということです。

それにしても、日本では各種事故について事故原因を究明する部署が無く、刑事捜査の一環でしか究明できないのは安全を高めるという見地からは大問題でしょう。

6月 9, 2007 at 03:58 午後 事故と社会 | | コメント (3) | トラックバック (0)

2007.06.08

ひき逃げ事件の車輌を争う

大石英司の代替空港経由、読売新聞・長野版より「ワゴン車争点に激しく対立 警官ひき逃げ死公判

長野市で昨年5月、長野中央署巡査長が死亡したひき逃げ事件の公判は、道交法違反と業務上過失致死罪で起訴された被告が無罪を主張し、検察、弁護側が激しく対立している。
5回行われた公判前整理手続きで、主な争点は「被告所有のワゴン車が犯行車両なのか」に絞られている。
13日の第3回公判まで検察側証人が、20日の第4回以降、弁護側証人がそれぞれ出廷し、検察、弁護側は自らの“正当性”をぶつけ合う。(矢野誠)

 ■事件の経過 

昨年5月9日午後11時40分ごろ、長野市西三才の市道に倒れていた被害者を通行人が発見した。被害者は病院に運ばれたが、翌10日朝、死亡した。

約7か月にわたる県警の捜査の末、被告が逮捕され、「何かをひいたかもしれない」と一部容疑を認めた。
だが、被告は起訴・保釈後の今年1月、記者会見を開き、「当時、ワゴン車には乗っていなかった」と冤罪(えんざい)を訴えた。

 ■双方の主張 

公判では事件当夜、被告が、勤務先の会社が有する乗用車で帰宅し、午後11時半に知人と会う約束で、西三才の自宅から外出したことまでは、検察、弁護側双方とも争っていない。

検察側は犯行時刻を午後11時13分としている。
その際、「被告が自分のワゴン車に乗っていた」と主張するのに対し、弁護側は「勤務先の乗用車で向かった」と反論する。

公判前整理手続きで裁判所は、事件当時、ワゴン車のかぎを管理していたのは被告1人だったため、ワゴン車が犯行車両の場合、運転して事故を起こしたのは被告しかいないと推定されるとした。

 ■証人尋問 

検察側は第2回公判で、鑑定を行った県警科学捜査研究所職員2人を尋問した。職員は、ワゴン車の車底部についていた繊維片が「被害者がはいていたジーパンの繊維と同種と推定できる」と証言。
ジーパンに残る痕跡についても、別の職員が「ワゴン車車底部の部品の特徴と似ている」と述べた。

しかし、弁護側は、「繊維片は青色の綿としか証明できていない」として、信州大教授らによる繊維片の鑑定を証拠請求した。
さらに、ワゴン車が事件当時、近くの駐車場にあるのを目撃した住民を証人申請して、ワゴン車が犯行車両でないことを立証する方針だ。

■今後の展開

公判は、第7回の8月10日に、検察側論告求刑と弁護側最終弁論を行って結審し、8月22日に判決が言い渡される予定だ。

主任弁護人の村上晃弁護士は、今回の事件について「迷宮入りが案じられる中で、捜査機関が拙速な捜査を行い、脅迫や利益誘導による取り調べで、被告を犯人に仕立て上げた事件。無罪を勝ち取る」と話している。

時系列を整理してみます。

  1. 2006年5月9日 午後11時40分ごろ、倒れていた被害者を通行人が発見
  2. 2006年12月 約7か月後()県警の捜査の末、被告が逮捕
  3. 2007年1月 起訴・保釈後に被告は記者会見、冤罪を主張
  4. 2007年6月13日(水) 第3回公判
  5. 2007年6月20日(水) 第4回公判
  6. 2007年8月10日(金) 第7回公判、論告求刑と最終弁論で結審
  7. 2007年8月22日(水) 判決予定

なので、第5回、第6回公判は6月27日と7月1日でしょうか?

ひき逃げとなっていて、しかも事故車がワゴン車となると衝突の跡はかなりはっきりと残ると思うのですが、なぜそこで衝突したかどうかを争えるのか?となります。
そこで事故の記事を読売新聞記事データベースで検索しましたが

9日午後11時40分ごろ、長野市西三才の市道で、男性が頭から血を流して倒れているのを通行人が見つけ、119番通報した。男性は病院に運ばれたが、全身を強く打って意識がなく、約7時間後に死亡した。

長野中央署で調べたところ、死亡したのは、近くに住む同署交通課巡査長。
被害者は私服姿で、現場や傷の状況、近所の人が発見の約30分前に「ドーン」という物音を聞いていることなどから、同署は、死亡ひき逃げ事件と断定。
県警交通指導課の応援を得て、80人体制の捜査本部を設置し、逃げた車の行方を追っている。

被害者は9日夕方、勤務を終えて退庁したといい、事故当時は、帰宅する途中だったとみられる。

現場は、JR三才駅の西300メートルにある住宅街の中の市道。被害者は坂道の途中で倒れており、近所の人の話では、通行するのはほとんどが住民の車両で、交通量も多くないという。

これで想像できるのは、道路に寝ていた被害者が車にひかれたのかな?ということぐらいですが、「ドーンと音がした」というのでは、車には相応に跡が残るでしょう。
それが、ジーンズの繊維と同種、ではいかにも証拠が弱い。と思います。

裁判員裁判では証拠不十分とされてしまう起訴内容ではないか?と想像します。

6月 8, 2007 at 11:30 午前 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (0)

2007.06.06

中学校で事務管理情報がハッキングされる

信濃毎日新聞より「テスト成績データなど生徒が見て持ち出す 小諸東中

小諸市加増の小諸東中学校で、生徒が校内のパソコン教室の端末から、学校のサーバー内にある教員用データを集めた「フォルダー」を閲覧し、勝手にテストの成績や生徒の住所録などのデータをコピーして自宅に持ち帰っていたことが5日、分かった。
同校は管理ミスがあったとして同日の朝会で生徒に報告し謝罪、夜に保護者説明会を開く。
市教育委員会も同日、市議会全員協議会で報告した。

市教委や同校によると、持ち出されたデータは、1学年分個人ごとの中間・期末テスト得点をまとめた成績表と名簿、住所録、学級編成資料。男子生徒2人がパソコン教室で昨年10月ごろから放課後の部活動の時間に閲覧していたとみられ、4月以降に何回かに分けてUSBメモリーなどの記憶媒体にコピーして自宅に持ち帰った。
さらに別の2人の男子生徒にデータをコピーして渡したという。

5月25日に「情報が漏れている」と別の生徒が教員に訴え発覚。

業者が調べたところ、本来なら教師用パスワードを入力しないとアクセスできないフォルダーが、生徒用パスワードで開ける状態になっていた。
システムは一昨年9月に更新。
教員側が何らかの設定変更をした際にアクセスが可能になったとみられる。学校はデータの入った記憶媒体や自宅のパソコンの提出を受けてデータを消去した。

校長は5日、取材に対し「学校の管理ミスで生徒に申し訳ないことをした」と述べた。
データを持ち出した生徒には厳重注意したという。
同市教委は「生徒が閲覧できる環境をつくってしまい、ミスを発見できなかったのは学校や教育委員会の責任。
生徒のケアに努めるとともに、教職員を対象にした研修会を開いて再発を防止する」としている。

学校(校長)や教育委員会が「再発を防止する」と言っても、調査段階で業者が調べたらパスワードの設定が混乱していた、と言うのですから技術的には当事者能力が無いですね。

高校では情報の授業が必修になっていて、一クラス40人が同時にコンピュータ実習が出来るようにコンピュータ実習室があって、ちょっと昔のことを考えると隔世の感というよりもウソみたいといった印象です。

当然のことながら、学校自体でもネットワーク利用環境の整備は進んでいますし、教育委員会は教員1人ずつにメールアドレスを配付することも多いのですが、実情はかなりお寒いところもあります。

学校での事務合理化を考えると、何十人かの教員・職員がいる職場ですから複数の端末を置いて、サーバに情報を集中して、ネットワーク構築をしなければならない。となりますが、学校でネットワーク管理を任せるのが適任の方、となると情報の先生が当てられてしまうことがあります。

情報の授業をする先生が、ハードウェアの故障診断から工事に至るまで担当しているのが現実で、ネットワーク環境を活かすことが出来る可能性はあるとは言えますが実際には「担当者が多忙で」とかなっても不思議ではありません。

こんな実情なので、教員が学校でメールを使う(メールアドレスを取得する)のも個々の事情によるとされていて、必ずしもメールが機能していない学校も少なくありません。
また、中途半端にネットワークが機能しているので、メールを受信する専門の担当者が印刷して宛先の先生に配付する、なんてこともありネットワーク活用とは言い難い状況もあります。

問題の中学校で事務管理と授業用の情報が同一ネットワークに流れていたこと方が問題じゃないかと思います。
学校・教育委員会の認識は「間違えないようにする」なのだと思いますが、人間は間違えるものだ、間違えても重大事故にならない、という対応こそが大事でどうも基本的なところを理解していないのではないか?と感じます。

6月 6, 2007 at 10:44 午前 セキュリティと法学, ネットワーク一般論, 教育問題各種 | | コメント (4) | トラックバック (0)

白河高校PTAが労働争議で解散・その2

「白河高校PTAが労働争議で解散」には大変な数のコメントが付きました。

コメント内での議論は真摯なもので、ネットワークとして責務を多少とも果たしていると思います。

元記事が結構長いのでここで再整理します。

  1. 福島県では、非常に長期に渡ってPTAが常勤職員を雇用していた。
    当事者は17年間に渡って、年間契約を更新していた。
  2. 県立白河高校PTAでは、給与支払いが収入の45%に達するとの見通しで新年度に向けて賃金引き下げ交渉を行った。
  3. 交渉は合意しなかった。最終的に職員側は雇用継続を求めて、福島地裁白河支部に提訴
  4. 白河高校PTAは「訴訟に対応できない」ことを理由に、PTA総会を開いてPTAの解散を決定した。

「白河高校PTAが労働争議で解散」のコメント欄での議論や情報交換は、上記項目の一つずつについて背景の説明や判断などになっています。つまり基本的には過去のいきさつを論じています。
一方で、提訴された裁判がどうなるのか?がわたしは気になっていたのですが、福島民友新聞に「地裁白河で白河高PTA訴訟第1回口頭弁論」と出ました。

雇用契約が更新されなかったのは解雇権の乱用に当たるとして、元白河高父母と教師の会の女性事務職員が同会を相手に、雇用契約の確認などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、地裁白河支部(高瀬順久裁判官)で開かれた。

被告側が出廷しないまま開廷。元女性事務職員は、提訴に至った経緯を踏まえ、生徒のためにPTAを復活させ、職場復帰を求める陳述書を読み上げた。次回の口頭弁論は19日午後1時30分から。

同会は5月26日「訴訟には長い時間と費用がかかり、負担が大きい」などとして、応訴せず会の解散を決めた。

被告側が出廷しないというのは、次回結審で原告勝訴に終わるように見えます。

記事では「同会を相手」にと白河高校PTAを相手取って提訴したようですが、おそらくはPTAは任意団体でしょうから法人格は無いだろうと推測します。結局はPTA会長個人を訴えることになっているように思います。

裁判がどういう結論になるのか非常に気になりますが、わたしは19日は他の予定があって傍聴できません。
興味のある方は、是非傍聴して下さい。

わたしは今回の白河高校PTAの対処は一種の問題先送りというか「とりあえず避けるためにPTA解散」としたのだと考えますが、相手が裁判では避けることが出来ません。
裁判が社会のあらそい事の究極の解決手段であることは世界共通のことで、白河高校PTAの「対応策」では白河高校PTAはかえって窮地に追い込まれてしまったと思います。

色々な意味で心配な事件です。

6月 6, 2007 at 09:41 午前 教育問題各種 | | コメント (2) | トラックバック (1)

2007.06.05

ジェットコースター脱線死亡事故その8

毎日新聞より「コースター事故:車軸と軸穴にすき間 長年使用で磨耗か

大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」で、ジェットコースター「風神雷神2」の車両の車軸が折れて脱線し、乗客の女性が死亡した事故で、車軸と軸穴が長年の使用で摩耗し、すき間ができていた疑いが浮上した。
車軸は本来、軸穴にすき間なく差し込まれる構造設計だが、エキスポランド社の関係者は「走行に伴う摩耗ですき間ができる」と証言。
この結果、車体に固定された車軸のうち、折れた付け根部分に荷重が集中し、金属疲労を起こした可能性が出てきた。

折れた車軸は「ボギー軸」と呼ばれ、車体側と車輪ユニット側の軸穴にそれぞれ差し込む「はめ合い工法」で組み立てられている。
風神雷神2の車軸は、強度の強い特殊なはめ合い工法により軸穴にきつく差し込まれる設計で、中央部分と両端を固定している。中央部分が太く、最も荷重がかかる構造だ。

エキスポランドで遊具の保守点検に携わった経験のある技術者は「ボギー軸は、5~6年たつとはめ合い部分が摩耗しているものがあった。
接着剤ですき間を埋めたりして補修した」と証言する。解体点検の際は油圧式機械やハンマーを使って車軸を抜いたり、差し込んだりするが、摩耗が進行し抜けやすくなっているものもあったという。

本来、はめ合い部分で荷重を支える構造なのに、ここにすき間ができると、車体と固定された車軸の付け根部分に荷重が極端に集中する。付け根部分が支点となり振動などで車軸が上下左右に動くため、金属疲労による亀裂が進行するという。

風神雷神2と同型の立ち乗りコースターがある「よみうりランド」(東京都)でも、はめ合い部分の摩耗が原因で00年に車軸12本をすべて交換した。軸穴を再加工したため、差し込む車軸もそれに合わせて新しいものにしたという。

風神雷神2は15年前の使用開始以来、一度も車軸を交換していない。関係者は「どの程度の摩耗で交換すべきかは技術者の判断。
摩耗の進行を見落としていたか、まだ大丈夫だと判断したのではないか」と指摘する。

府警吹田署捜査本部は、コースター発生1カ月を前に4日、折れた車軸の破断面などの写真を公開した。破断面は金属疲労の特徴があり、専門家は「少なくとも数年前から金属疲労による亀裂が進行していたと推測できる」と指摘。
エキスポランド社は、年1回は車両の解体検査をしていたと説明しているが、数年間にわたり亀裂を見落としていた可能性が浮上した。

折れたのは2両目の車両の車軸で、ナットで車体と固定された部分が破断した。材質は鉄にニッケルとクロムを加えた合金で、折損部分は直径3.6センチだった。

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なんとも分かりにくい内容ですが、以前の記事「ジェットコースター脱線死亡事故その7」にアップしたシャフトの写真と「ジェットコースター脱線死亡事故その5」で示した構造図を合わせて見ると分かってきます。

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  1. 車体に車軸は締嵌めで取り付けられている
  2. 車軸に車輪ユニットが取り付けられる
  3. 車体側の穴が摩耗で大きくなる
  4. 車軸が長手方向に動くようになる
  5. 固定ナットに衝撃が繰り返し掛かるようになる
  6. 車軸のネジ部分が疲労して破断
ということのようですね。

回転方向の動きも当然あると思うのですが、どこが動いていたのでしょうか?
破断した部分だけで長手方向の抜け出しを押さえていることになりますね。これはちょっと怖い。
変形することで異常を知らせるとか、複数部品で支えるとか、いきなり致命的な事故にならないようにするという配慮に欠けた設計だと思います。
点検/補修すれば起きなかった事故ではあるが、設計不良と言えると思います。

しかし、運用側の整備担当者はこのような構造であることを承知していたのだろうか?
整備情報のノウハウを交換することは飛行機では組織的に行われているのだが、他の機器ではどんなものだろう?

6月 5, 2007 at 09:37 午前 事故と社会 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.04

犯罪被害者の刑事裁判参加・その2

朝日新聞社説より「被害者参加―「求刑」はいきすぎだ

犯罪にあった被害者や遺族が法廷で検察官の隣に座り、被告や証人に直接問いただす。それを可能にする法律の改正案が衆院で可決された。

この改正については被害者らが熱心に働きかけてきた。犯罪の当事者であるにもかかわらず、裁判が始まるとカヤの外に置かれてきたからだ。

改正案の提出に先だって、私たちは被害者の参加を基本的には支持した。同時に、裁判の使命である真実の解明という役割をそこなうことがないよう注文をつけた。

この点で、検察官が論告・求刑をしたあと、被害者も独自に「論告・求刑」ができる、という改正案の規定には賛成できない。

被害者からの「求刑」はあくまでも意見とされているが、そんなに単純に割り切れるものではない。凶悪な犯罪になればなるほど被害者は被告に強い憤りを持つことが多い。「求刑」は検察官より厳しくなることもあるだろう。

2年後に始まる裁判員制度では、素人の市民が裁判官とともに、有罪か無罪かだけでなく量刑も決める。法廷の最終段階になって聞いた被害者の生の声に大きく影響されないか。それが心配だ。

いまでも被害者には意見を述べる機会がある。そこで被告への思いを語ることもできるはずだ。参院では、被害者が「求刑」まですることの是非について、十分に議論して見直してもらいたい。

改正案が通ると、被害者は被告や証人に直接質問できるようになる。その際、検察官や裁判官が被害者の質問の内容をあらかじめ確かめる。被害者からすれば不満かもしれないが、裁判が報復したい気持ちをぶつける場になってはいけないからだ。

政府案に対しては、与野党の一部議員や日本弁護士連合会などから「刑事裁判のあり方を根底から覆す」といった懸念や反対論が根強くある。

色を変えたところをよく読んで欲しい。

  • 刑事裁判に被害者参加を支持する
  • 被害者は法廷で「意見」を述べる
  • その「意見」が求刑であってはならない

普通に考えて、この社説の意見は矛盾しているだろう。
被害者が刑事裁判に参加して意見を述べるとなれば、被告の罪について論じることになるだろう。被害の実情などについて述べるのであれば、証人の証言として扱う範囲でわざわざ被害者に限定するのであれば意見が罪についてどう考えるかになるのは仕方ないだろう。

わたしは「犯罪被害者の刑事裁判参加」で述べたとおり、被害者の刑事裁判参加制度には反対です。

なんで被害者が刑事裁判に参加する方が良い、という意見になったのか?は元を質すと被害者の意見が現行の裁判制度で十分に反映しないからであって、それは単に検察の仕事のやり方がヘンだということでないのだろうか?

検察側が被害者側の意見を積極的に評価することでかなり解決できる課題であるように感じます。

参考 刑事訴訟法改正案より抜粋

第三百十六条の三十三

裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、決定で、当該被害者等又は当該被害者の法定代理人の被告事件の手続への参加を許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

裁判所は、第一項の規定により被告事件の手続への参加を許された者(以下「被害者参加人」という。)が当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人に該当せず若しくは該当しなくなつたことが明らかになつたとき、又は第三百十二条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため当該被告事件が同項各号に掲げる罪に係るものに該当しなくなつたときは、決定で、同項の決定を取り消さなければならない。
犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して被告事件の手続への参加を認めることが相当でないと認めるに至つたときも、同様とする。

第三百十六条の三十四

被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、公判期日に出席することができる。

公判期日は、これを被害者参加人に通知しなければならない。

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士が多数である場合において、必要があると認めるときは、これらの者の全員又はその一部に対し、その中から、公判期日に出席する代表者を選定するよう求めることができる。

裁判所は、審理の状況、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、公判期日の全部又は一部への出席を許さないことができる。

前各項の規定は、公判準備において証人の尋問又は検証が行われる場合について準用する。

第三百十六条の三十五

被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し、意見を述べることができる。この場合において、検察官は、当該権限を行使し又は行使しないこととしたときは、必要に応じ、当該意見を述べた者に対し、その理由を説明しなければならない。

第三百十六条の三十六

裁判所は、証人を尋問する場合において、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者がその証人を尋問することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、審理の状況、申出に係る尋問事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、申出をした者がその証人を尋問することを許すものとする。

前項の申出は、検察官の尋問が終わつた後(検察官の尋問がないときは、被告人又は弁護人の尋問が終わつた後)直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら尋問する場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十七

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、その者が被告人に対して第三百十一条第二項の供述を求めるための質問を発することの申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士がこの法律の規定による意見の陳述をするために必要があると認める場合であつて、審理の状況、申出に係る質問をする事項の内容、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、申出をした者が被告人に対してその質問を発することを許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、質問をする事項を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、当該事項について自ら供述を求める場合を除き、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十八

裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。

前項の申出は、あらかじめ、陳述する意見の要旨を明らかにして、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

第三百十六条の三十九

裁判所は、被害者参加人が第三百十六条の三十四第一項(同条第五項において準用する場合を含む。第四項において同じ。)の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において、被害者参加人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、被害者参加人に付き添わせることができる。

前項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者は、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

裁判所は、第一項の規定により被害者参加人に付き添うこととされた者が、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認めるに至つたときその他その者を被害者参加人に付き添わせることが相当でないと認めるに至つたときは、決定で、同項の決定を取り消すことができる。

6月 4, 2007 at 09:32 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (0)