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2007.12.27

名古屋高裁の危険運転致死傷罪判決

中日新聞より「4人死亡飲酒事故で懲役18年 名古屋高裁 危険運転致死傷を適用

愛知県春日井市で昨年2月、飲酒運転の車が赤信号の交差点に入りタクシーに衝突して4人を死亡、2人にけがを負わせたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた元会社員(27)の控訴審判決が25日、名古屋高裁であった。片山俊雄裁判長は「赤信号を認識したのに意に介さず、相当な速度で交差点に進入したと認められる」と述べ、業務上過失致死傷罪等を適用して懲役6年(求刑懲役20年)を言い渡した一審・名古屋地裁判決を破棄、危険運転致死傷と道交法違反の併合罪を適用して懲役18年を言い渡した。

控訴審も一審と同様、危険運転致死傷罪の成立要件である「被告が意図的に赤信号を無視したかどうか」が争点となった。

片山裁判長は、事故現場の一つ手前の交差点で被告が赤信号を無視したことを認識していた点に着目し、「次の交差点では、それ以上に信号表示に注意するのが普通。赤信号を意に介さず交差点に入った以外に考えられない」と指摘して、同罪の成立を認めた。

弁護側は「青信号と思いこんでいた」と主張したが、判決は「なぜ思いこんだかについての具体的な説明がなく、信用できない」と退けた。

量刑について、片山裁判長は「酒を飲んだ後に帰宅するために車を運転したという動機に酌量の余地は皆無」と指摘した上で、「無謀な行為で取り返しのつかない結果を生じた。過去に6回の交通違反があり意識に問題がある」と述べた。

判決によると、被告は昨年2月25日午前1時ごろ、酒を飲んで乗用車で同市の国道302号を運転しながら赤信号の交差点に進入。青信号で入ってきた航空自衛隊小牧基地の隊員4人を乗せたタクシーに衝突し、運転手と隊員ら4人を死亡させ、女性隊員と被告の車の同乗者の2人に重軽傷を負わせた。

この事件は、確かテレビでも取り上げられたように思いますが「青信号だと思い込んでいた」というのはあまり考えられない言い訳で「そんなの通用するものか?」とも思っていました。

落合洋司弁護士が「[刑事事件]4人死亡飲酒事故で懲役18年 名古屋高裁 危険運転致死傷を適用 」で次のようにコメントしていました。

一つ手前の交差点では、クラクションを鳴らしつつ通過したとされていて、赤信号を認識しつつ無視した後の、次の交差点では「無視」ではなく「見落とし」というのは、やや不自然、不合理な弁解、という印象は受けます。

では、あり得ないか、というと、人間の行動ですから、あり得なくはない、そうではないと排斥しきれない、と考えたのが地裁判決であり、あり得ない、排斥できる、と考えたのが高裁判決、ということになるでしょう。微妙な事実認定の問題であり、証拠を見ていない立場から、その当否を俄かには決しがたいものがあります。

この高裁判決が、福岡の幼児3名死亡事故の判決へ与える影響、ということを論じる向きもあるようですが、問題になっているのが危険運転致死傷罪ではあっても、事案の内容が異なっていて、影響がある、ない、などと安易には言えないと思います。

落合弁護士のご意見はまことに妥当なものですが、では実際にはどんな現場なのだろうか?と地図で見てました。
特に「前の信号が赤なのを突っ切って、次の信号も赤を承知で突っ込んで事故になった」と裁判所が判断したと見られますから「どんな場所なのだ?」であります。

どうもココのようです。
地図を見ると、問題の二つの信号の距離は250メートルぐらい。国道302号線で、東名阪自動車道が上を高架で通っている二階建ての道路です。

250メートルですから、時速72キロで走れば約12秒で次の信号ですね。

これはなかなか微妙な距離で、止まれないほど近い距離では明らかに無いし、一つめの信号を通過後の数秒後には次の信号の判断を迫られるわけだから、前の信号のことを忘れてしまった、というのも無いでしょう。

だからこそ、前の信号をクラクションを鳴らして通過した、が非常に重大な判定基準になったのでしょう。

前の信号は赤だと認識したが、数秒後に出てくる信号は青だと認識した、というのが弁護側の主張であったのなら「その意見は採用できない」となるでしょうね。

ただこれで「赤だと認識して突入した」と言えるのか?となると、難しいかな?とも感じます。
仮に、通過した信号に気を取られて前の信号に気がつくのが遅れた、であれば話は違ったかと思いますが、通過時間で12秒、信号への対処に数秒という微妙な時間が決め手になってこの判決になったのかな?と思うところです。

12月 27, 2007 at 05:11 午後 事件と裁判 |

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