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2007.12.06

国政選挙でも電子投票か?

毎日新聞より「電子投票:国政選挙に導入で自公民合意 来年1月施行

自民、公明両党と民主党は電子投票を国政選挙に導入するための公職選挙法特例法改正案に合意した。
法案は7日の衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で採決され、衆参の本会議で可決のうえ、今国会中に成立する見通しだ。
施行期日は来年1月1日で、次期衆院選では一部の自治体で電子投票が実施される可能性がある

電子投票は、有権者が投票所に置かれたタッチパネルなどを操作し、画面に表示された候補者名などを選んで投票する方法。票数をコンピューターで集計するため、開票時間を大幅に短縮できるうえ、従来の「自書式」より高齢者や身障者の手間が省けるメリットもある。

01年11月に成立した地方自治体電子投票特例法により、自治体では02年6月の岡山県新見市長・市議選で初めて電子投票が行われた。今年4月の統一地方選でも、青森県六戸町議選と宮城県白石市議選の2選挙でタッチパネル式の電子投票が実施されており、六戸町では開票作業29分、白石市も49分で終える実績を上げている。

ただ、最高裁で選挙無効が確定した岐阜県可児市議選(03年7月)などの故障や人為ミスも発生している。このため、今年6月の通常国会では、公明党から「システムの信頼性」に懸念が示され、国政導入の法案は継続審議となっていた。

国政選挙での電子投票導入は実施条例を独自に定めた自治体に限られ、政府は導入する自治体に対し交付金などで財政支援することを検討する。【七井辰男】

何回かわたしの意見を書いていますが、わたしは「電子投票反対」であります。

海外での選挙の紹介番組など大きな投票用紙を使うシーンが紹介されますが、候補者名をチェックする方式なのでしょう。
日本の選挙では、投票用紙に候補者名を書き込むのですがこの方式を「自書式」と呼び世界では珍しいとされています。

候補者名をチェックする方式から派生したのでしょうが、アメリカで何年か前に大問題になったのが「パンチ式」で、これは候補者名のところにパンチで穴を開けるというものでした。
このような自書式ではない投票方法を採用している選挙では電子投票機の採用も、機械の改変といった感じになるのだろと思いますが、自書式から電子投票に改変というのは大きく選挙の方式を変えると言えるでしょう。

記事にも紹介している通り、電子投票のメリットとして

  • 開票時間の短縮
  • 障害者の投票の促進
  • 投票判定の必要がない
  • 開票担当人員の削減によるコストダウン

などが挙げられています。これに対して、テスト結果も含めて問題点として挙がっているのが

  • 機器が作動せず、投票所が機能しなかった
  • データが明らかに間違っていた(おそらくはソフトウェアの不良)
  • メディア(CFカードを使うことなっている)が不適合で開票に問題が生じた
  • 機器の設置(配線)に失敗した
  • 電子データが消滅する可能性がある
  • 投票用機器の大幅なコストアップ

現在の選挙事務を投票用紙の観点から見ると

  1. 投票入場券を有権者の自宅に配付
  2. 投票入場券をチェックして重複投票の禁止
  3. 投票用紙に候補者名を自書
  4. 投票箱に投票
  5. 投票箱を開票所に移動
  6. 開票所ごとに候補者の得票数を確定
  7. 集計した投票用紙は内容(候補者・無効票など)別にまとめて封印し、次回選挙まで保存。

電子投票について考えてみると、赤字で示したところが無くなると考えられるでしょう。
投票箱に投票が操作パネルで投票ですから、おそらくはここは面倒になっているでしょう。
投票結果をどうやって集計するのか?については、開票所をどこに設けるのか?という問題になりますが、データそのもの点検は公開するべきですから開票所はどこかには出来るはずで、現在は神奈川県横浜市では開票所は一つの区に一ヶ所あります。
それを横浜市で一ヶ所だけにするのかどうか?という問題になりそうです。

各投票機から直接データを通信することは現在のところ無いようで、CFカードに投票結果を入れて運び集計する方式で行っています。
つまり「投票箱を運ぶ代わりにCFカードを運ぶ」ようなのです。

投票判定そのものは、無いわけで単に各候補者の得票数だけのデータですから、後からの検証などのたに記録メディアを保管することを除けば、各投票所ごとの得票一覧表を作ることも出来ますし投票機ごとに作ることも出来ます。

問題は、どうやって選挙区全体のデータとして集積するのか?であって、現在は開票所での集計データは選管に「手書きの集計用紙をファックス送信している」のです。
投票用紙に自書するところから、集計に至るまでアナログによって情報の信頼性を高めているわけですから、電子投票にしたときにはどうやって信頼性を確保するのか?という問題が新たに発生します。

こういうことを考えると、わたしには「コストダウンになる」とは思えません。
むしろ安全性を損ねるのではないのか?という印象が強いのです。
ことは選挙であって、コストアップの上に信頼性が落ちる、というのではいったいどこにメリットがあるのか?
これが理由で、わたしは電子投票には反対なのです。

12月 6, 2007 at 12:54 午後 国内の政治・行政・司法, 選挙 |

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ディーボルドAccuVote-TS投票機の安全性分析:要約 Ariel J. F 続きを読む

受信: 2007/12/08 16:40:13

コメント

酔うぞさんへ
 電子投票が国会の電子採決と決定的に違うのは、前者は数年に一度しか行われないので、バグを洗い出すことができないということだと思います。
 間欠的にしか使わないシステムは、いつまでたってもバグが取れないのはどこの業界でも同じではないでしょうか。

 しかも、故障した場合のコスト(再投票?)がとてつもなく大きい。
 国会採決なら、採決をやりなおしても結果が大幅に変わるということはないですが(党議拘束があるので)、選挙の投票だと、有権者が前回の結果を見て投票行動が変化して、結果が変わってしまう。

投稿: Inoue | 2007/12/06 13:31:24

システムを扱ってる人には自明だと思いますが、投票所のように臨時に設備するところで複雑な機器を確実に動かすのはリスクが非常に高くなりますよね。

その上、こちらの方がより大きな問題だと思うのですが、専門家を配置しきれないだろう思うのです。

もう一つは情報管理というか運搬のリスクがあります。

現在でも投票箱を運搬しているので、交通事故の危険性はあるわけですが、それでも投票箱が行方不明になるなんてことは、日本ではほとんど起きません。
というかあれだけ大きな物は行方不明になりようがない。

投票箱は、最初の投票の時には開けてあって、その後2個の南京錠を掛けて、開票まで開かないために、鍵を封筒に入れて別に管理します。

こんな方法で、冗長度を高めて事故をボウしているわけで、電子化は密度を上げるために小型化しますが、CFカード(でもなんでもメディア)が行方不明になるリスクは格段に大きくなるでしょう。

そのために、暗号化して・・・・となっていくわけですが、それは即座にシステム構築のコストとなるわけです。
投票箱は専用のアルミの箱という以上のものではないので、開票現場ではかなり乱暴に扱っていますが、別になんの問題も発生しません。

こういったことの一つ一つがノウハウとなって安定した投票・開票作業が出来ているわけで、電子化することが別のノウハウを手探りしていくことなるでしょう。

そこで、最終的に問題とするべきなのはコストでしょうね。
開票時間が短くなる、と言いますが平均的な開票速度は2時間半程度ですから、電子化してもおそらくは半分程度の1時間ちょっとが平均値になるように思います。

この一時間そこそこの時間短縮にさほどの意味あるとは思えません。
人件費だって、選挙に動員される人員のうちの開票作業での作業員が減るだけですから、ゼロにはならない。
これも半分程度でしょう。
しかも、開票作業のためだけに20時頃から集まってくる人たちはだいたいは23時には解散ですから、人件費としては一人あたり高くても5000円程度のものです。

残りの半分の人たちは朝から深夜までですから、2万円といったレベルになっているでしょう。
作業員の数は半減できても、人件費は1/5しか減らないといった計算も成り立ちます。

電子投票の本当の狙いはなんで、そのためにいくらのコストアップを良しとするのか、という話に全くなっていないのですよ。

投稿: 酔うぞ | 2007/12/06 20:41:05

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