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2007.12.14

三菱ふそうトラック前輪脱落死亡事故の判決その3

昨日(2007/12/13)の三菱自動車トラックハブ破断・死亡事故の刑事裁判判決についての記事を集めました。

東京新聞の本紙と神奈川版、読売新聞の神奈川版です。

東京新聞本紙は、被害者家族、事故を起こした運転手、販売店といった関わった人々についての記事を中心に構成しています。後半で、新聞社としての意見を述べています。

読売新聞神奈川版は、三菱ふそうトラック・バス会社のコメントを載せています。

東京新聞神奈川版は、直ちに控訴した弁護側の激しい判決批判を載せています。

弁護側の意見に

ハブの強度不足が推認できる、とした点にも「今もハブのリコールが繰り返され、原因が解明されていないのに予見ができるわけがない」とし、控訴審で争う姿勢を見せた。
というのがあるようですが、だとすると結果責任を全社に求めるぐらいしかないわけで、ものを作り社会に供給することをビジネスとしている限り、原因が究明されない欠陥品を出していること自体に責任があるとされて当然でしょう。
一体、何を争うというのか?良く分からない論理です。

東京新聞より「三菱自元部長ら判決   遺影抱き『刑軽すぎる』 娘失った母涙と怒り

「三菱自は絶対に許せない」。判決の瞬間、最愛の娘を失った母親はうつむいたまま遺影を握りしめた。十三日に横浜地裁で開かれた三菱自動車(三菱ふそうトラック・バスに分社)の欠陥車による横浜母子三人死傷事故の判決公判。木口信之裁判長は「欠陥車を社会に放置したため悲惨な事故が起きた」として被告らを指弾した。

「結果はこうだよ。悔しい」。事故で娘の岡本紫穂さん=当時(29)=を亡くした増田陽子さん(58)は判決の主文を聞き、腕の中の遺影につぶやいた。

約三時間に及んだ判決文の朗読。「被告の姿を見たくなかった」という増田さんは、ずっとうつむいたまま聞き入り、涙を何度もぬぐった。何の落ち度もなく突然、命を奪われた紫穂さんの無念さを思い、感情がこみ上げた。

ちょうど一年前、同社の虚偽報告事件で無罪判決が出された法廷を傍聴し、「怒り心頭で言葉が出ません」と語った増田さん。閉廷後、「無罪でなくてよかった」と話したが、「(刑が)軽すぎる。会社が何も問われないのは納得できない。紫穂はもっと納得していないはず」と怒りを見せた。

今も仕事帰りは横浜市瀬谷区の事故現場を通り、心の中で手を合わせる。閉廷後、紫穂さんの墓前に報告した。「少し甘い判決だったけど、一つ終わったよ」

■少しは妻の供養に

事故で亡くなった岡本紫穂さんの夫の明雄さん(41)の話五年余の歳月が流れましたが、事件のことは片時も忘れたことはありません。妻が戻ってくるわけではないが、供養には少しでもなったのではないかと思います。私も亡き妻も願いはただ一つです。もう二度と悲惨な事故を起こさないでください。悲しみ、悔しさ、無念さを味わうのは私たちだけでたくさんです。

■事故車の運転手ら苦難続きの人生

「生きている限り、事故を忘れることはできない」。横浜の母子三人死傷事故を引き起こした三菱自動車製トレーラーのハンドルを握っていた男性(61)の妻は、神奈川県綾瀬市の自宅の庭先で、言葉を選びながら、事故とその後に夫が見舞われた苦難を振り返った。

「人殺し」。事故直後は、ひどい中傷を記したビラが家の壁に張られたこともあった。無言電話もあり、家族をおびえさせた。ほそぼそと営んでいた運送業は廃業に追い込まれた。さらに不運は重なった。男性は転職先の溶接会社で左足を低温やけどし、指三本を切断するけがを負ってしまった。

三菱自が車のハブの欠陥を認めたことで汚名はそそがれたが、その後も男性は、法廷で証言台に立った以外は、事故について沈黙を貫いている。そんな男性の気持ちを妻が代弁する。「理由はどうあれ、事故を起こした責任を感じているのだと思う」

男性は最近、配送の仕事を始めた。家ではあの事故の話はしないが、裁判のニュースがテレビから流れると、じっと画面を見つめているという。

「なんで三菱の車なんか買うのよ」。新車購入を決めた顧客の妻が、翻意を迫った。関東地方で三十年以上も三菱車専門の販売会社を営んだ元経営者の男性は、店頭でのそんな屈辱的なやりとりによく出くわした。

「“天下”の三菱の名前をもらって会社を始めて、お客さんにも応援してもらってきた。でも一連の事件でお客さんを失望させた」

男性は三菱自の度重なるリコール(無料の回収・修理)を振り返り、歯ぎしりした。「修理工場は自分たちが一度売った車でいっぱいになった。この悔しさが分かりますか」

怒りの矛先は三菱自に向けられる。「私たちがユーザーに頭を下げている間に、これでもかと不祥事が出てきた。メーカーがお客さんを裏切り続けるようでは、販売はもたない」

一度離れた顧客が戻ることはなく、男性の会社はこの夏、倒産した。

三菱自の欠陥車をめぐる一連の事件の陰で人生を狂わされた人たちも、複雑な思いでこの日の判決を迎えた。

■安全への意識欠如

製品の安全問題に詳しい明治大理工学部長の向殿政男教授の話三菱自動車にはハブの欠陥を疑わせる事故のデータが多く集まっていたのだから人命を預かる自動車メーカーとして設計の問題を疑わなければいけなかった。だがデータを隠しユーザーの責任にするなど、組織として危険を管理する安全への意識が欠けていたと言わざるを得ない。ユーザーからの事故情報を軽視していた会社全体の問題が、あらためて浮き彫りになった。

■トップ責任も問え

製造物責任(PL)法に詳しい中村雅人弁護士の話三菱自動車がうそをついていくプロセスを詳細に認定した判決。被告らは隠ぺいにかかわった張本人で、有罪は当然だ。トップの責任も問われなければならない。今回の件に限らず、製品事故はたくさんあるのに、これまでは「消費者の使い方が悪かった」と企業側に言われると、消費者は反論できなかった。その意味で、捜査が入り、有罪が認定されたことは大きい。

<解説>ものづくり現場に警鐘

三菱自動車の欠陥車をめぐる横浜地裁の判決は、名門企業のずさんな安全管理態勢を厳しく指弾した。機械製品の欠陥をめぐり、メーカー側の刑事責任が認定されるのは異例で、ものづくりの現場全体に警鐘を鳴らしたと言える。

判決を受けたのは品質保証担当者だったが、裁かれたのは同社の根深い「隠ぺい体質」だ。判決は、同社を「リコールなどの改善措置を回避しようとする姿勢が顕著だった」と批判。事故について「同社の業務態勢の中から発生した面がある」と指摘した。何ら落ち度のない歩行者が突然命を奪われた無念を、関係者はかみしめなければならない。

同社の体質が事故を招いたとはいえ、同社だけの問題とは言えない。自動車に限らず、近年、あらゆる製品で事故や不具合が見つかっている。背景には、開発期間の短縮や製品の高度化など、複雑な問題が絡んでいる。

まずはメーカーが、欠陥製品を世に出さない態勢を早急に整える必要があるし、不幸にも欠陥製品が市場に出回ってしまった場合、事故情報を適正に扱い、再発防止に全力を尽くさなければならない。ものづくり企業は、安全な製品を提供するという原点にいま一度、立ち返るべきだ。(横浜支局・佐藤大)(東京新聞)

読売新聞神奈川版より「予見可能性明確に認定 三菱自タイヤ脱落有罪判決

目閉じうつむく被告

リコールなどの改善措置を一切とらずに放置した――。三菱自動車製の大型車のハブ欠陥隠しによる母子3人死傷事故から約6年。横浜地裁は13日、業務上過失致死傷罪に問われた元品質保証責任者2人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。「ハブが破断してタイヤが脱落すれば、人に危害が生じることは当然、予測できた」と予見可能性を明確に認定。リコールを避けようとし続けた企業姿勢にも言及した。だが、遺影を手にした遺族は「納得できない」と涙を浮かべた。

「被告人両名を禁固1年6月に処する」

午後1時半過ぎ、木口信之裁判長が主文を読み上げると、三菱自動車元市場品質部長(61)は厳しい表情に変わり、同部元グループ長(59)はぼう然とうつむいた。

3時間に及ぶ判決理由の朗読の間、元部長は神経質な面持ちで裁判官席を見つめ、元グループ長は終始、目を閉じ、うつむいたまま。被害者の岡本紫穂さん(当時29歳)にタイヤが直撃した場面の朗読で、元部長は一度、裁判長に目を向け、まばたきを繰り返した。

被告側の弁護人は判決後に県庁内で記者会見。金森仁弁護士が「不当な判決。到底承服できない」と控訴したことを発表した。さらに、「無罪判決が出ることを信じていただけに、大きな衝撃を受けた。真実が明らかになるまで闘う」とする元部長と、「到底納得できない。目の前が真っ暗です」とする元グループ長のコメントを読み上げた。

法廷の最前列の右側には、紫穂さんの遺影を手にした母親、増田陽子さん(58)の姿があった。

増田さんが裁判の傍聴を始めたのは、第4回公判から。最愛の娘を奪われたショックから、「当初は全く傍聴する気になれなかった」と明かす。だが、「しいちゃん(紫穂さん)のためにも見届けてあげて」という友人の言葉に背中を押され、地裁へと足を運ぶようになった。今年3月には証人として出廷。被告2人に対し、「事故を防ぐために出来たことがあったはず。もっと後悔してほしい」と直接、怒りをぶつけた。

執行猶予の付いたこの日の判決に「自分も納得できないが、娘はもっと納得しない」「企業のトップの責任はどうなるのか」と悔しい気持ちを吐露した。

一方、夫の明雄さん(41)は、報道各社にコメントを寄せた。

「事件のことは片時も忘れたことはありません。妻が戻ってくるわけではありませんが、供養には少しでもなったのではないか。私も亡き妻も願いは一つ。もう二度とこのような悲惨な事故を起こさないで下さい。悲しみ悔しさ無念さを味わうのは私たちだけでたくさんです」

三菱自動車と、バス・トラック部門を分社化した三菱ふそうトラック・バスは、「判決内容に対するコメントは差し控える」とするコメントをそれぞれ発表。その上で、三菱自は「お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心よりおわびします」と謝罪、三菱ふそうは「『品質』を最優先事項に、順法精神にのっとり、社会的責任を果たしてまいります」とした。

東京新聞神奈川版より『責任認めてくれた』三菱自元部長ら有罪判決 『謝罪し信頼取り戻して』

横浜地裁で十三日に開かれた横浜母子三人死傷事故の判決公判。木口信之裁判長は検察側の主張をほぼ全面的に受け入れ、業務上過失致死傷罪に問われた三菱自動車元市場品質部長(61)と元同部グループ長(59)の両被告に有罪判決を言い渡した。弁護側は「不当判決」として即日控訴したが、遺族は「娘は何も分からないまま亡くなった。悔しい」と、あらためてその無念さを口にした。(三菱自裁判取材班)

「被告両名をそれぞれ禁固一年六月に処する」-。午後一時半、横浜地裁で最も大きい一〇一号法廷。主文の朗読が始まっても、元部長と元グループ長の両被告は表情一つ変えなかった。主文言い渡し後、二人は裁判長に一礼したが、事故で亡くなった岡本紫穂さん=当時(29)=の遺族らのいる傍聴席には目もくれず被告人席に座った。

二被告はいずれも白いシャツにスーツ姿。判決理由の朗読に入ると、裁判長をじっと見つめる元部長に対し、元グループ長は目を閉じてうつむきながら耳を傾けた。無罪を主張してきた弁護団は終始、釈然としない表情を浮かべた。

閉廷後、大きくため息をついた元部長被告と元グループ長被告はその場で、弁護団に控訴の意思を伝え、手続きを行った。

傍聴席には、紫穂さんの夫明雄さん(41)と、母親の増田陽子さん(58)、友人の秋山由美さん(33)の姿があった。明雄さんは、こみ上げる感情をこらえるように口をぐっと閉じ、二被告を断罪する裁判長の朗読に聞き入っていた。

明雄さんは「命を大切にするという人として最低限の気持ちがあったなら、あの事件は起きなかった」とコメント。紫穂さんと家族ぐるみで付き合っていた秋山さんは「(刑は)軽いと思うが、裁判長がはっきり二人の責任を話してくれて良かった」と話した。

『なぜ予見可能なのか』会見で弁護士、争う姿勢

「有罪ありきの判決。これが通るなら、日本の刑事裁判はやっても意味がない」。判決後に即刻控訴した元市場品質部長(61)と元同部グループ長(59)両被告の弁護団は横浜市中区で記者会見し、怒りをあらわにした。

弁護団の金森仁弁護士は「不当な判決で到底承服できない。科学的裏付けを放棄し、蓄積された過失の理論構成を無視して、単に結果責任を押しつけただけだ」とするコメントを読み上げた。

判決で、事故の予見可能性と結果回避可能性を認めた点について、同弁護士は「二人がなぜ予見可能だったのか具体的な事実を何一つ指摘できていない」と批判。

ハブの強度不足が推認できる、とした点にも「今もハブのリコールが繰り返され、原因が解明されていないのに予見ができるわけがない」とし、控訴審で争う姿勢を見せた。

12月 14, 2007 at 10:47 午前 もの作り, 事件と裁判 |

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コメント

アメリカの小中学生が使用する辞書によると、「corporation(法人)・・(事業など)ある活動を遂行する目的で組織され、法律上一個人としてふるまうことを認可されている人々の集団」(ウェブスター英英和辞典/日本ブリタニカ 1987年27版 p200)となっており、法律上起訴される対象は法人であり、個人は法人内部の問題で法律上は起訴の対象外だと考えられるのですが日本の法律はどうなっているのでしょうか?

投稿: 田吾作 | 2007/12/15 11:05:06

>法律上起訴される対象は法人であり

何について、起訴されるのかによって変わりますから、これだけでは何とも言いようがないですが・・・・・。

今回の裁判は「業務上過失致死傷」ですから、自然人の犯罪行為しかあり得ないと思います。

投稿: 酔うぞ | 2007/12/15 11:15:40

はじめまして。
関連記事と共に拝読いたしました。
本件事故を考える上で、大変参考になりました。
私は以前、バス会社に勤務しておりました。
関連会社を含めると、日野車・ふそう車半々づつという環境でしたが、ハブに関するトラブルはありませんでしたが、ふそう車はミッションの不具合が少なくなかった様な気がします。
ふそうの整備サイドの方にチラッと聞いたところでは、設計・開発と製造、整備の各セクションが上手く関連していないようなことをおっしゃっておりました。

投稿: 札幌運転所隣人 | 2007/12/21 2:42:37

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