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2007.11.16

国連で死刑制度廃止決議

朝日新聞より「死刑執行停止決議を採択日米などは反対国連総会委

欧州連合(EU)が主導し、87カ国が共同提案した死刑の執行停止を求める決議案が15日、人権問題を扱う国連総会第3委員会で賛成99、反対52、棄権33の賛成多数で採択された。死刑制度が存続している日本や米国、中国などは反対した。年内に総会本会議で正式に採択される見通し。決議に法的拘束力はないが、死刑廃止国の増加という世界的な潮流を改めて印象づけた形だ。

決議案は死刑制度の継続に「深刻な懸念」を示すとともに、制度が存続している各国に、(1)制度の廃止を視野にした執行の一時停止(モラトリアム)(2)死刑の適用の漸進的削減(3)死刑に直面する人の人権保護の尊重――などを要求。廃止国に対しても制度を再導入しないよう求めている。

同様の決議案はイタリアなどの主導で94年にも提出されたが、この時は小差で否決された。99年には、反対派の修正要求が通ったため、採決を断念した経緯がある。今回も、死刑制度の必要性を訴えるシンガポールやエジプトなどが段落ごとに修正案を出して抵抗したが、2日間の協議の末、原案通りで採択された。

日本の神余隆博次席大使は「日本では、国民の大半が最も悪質な犯罪には死刑を宣告すべきだと信じている。死刑制度の廃止に向かうことは難しい。死刑廃止に国際的な合意はない」と反対の理由を説明した。

この決議の元はこの記事です。
朝日新聞より「死刑執行停止求める決議案提出EUなど72カ国

イタリアなどが1日、死刑の執行停止を求める決議案を国連総会に提出した。人権問題を扱う第3委員会で月内にも採決される見通し。加盟192カ国のうち、提出時点で72カ国が共同提案国に名を連ねており、決議案作成を主導してきた欧州連合(EU)加盟27カ国は賛成多数での採択に自信を見せている。

決議案は死刑制度の継続に「深刻な懸念」を示すとともに、制度が存続している各国に、(1)制度の廃止を視野にした執行の一時停止(モラトリアム)(2)死刑の適用の漸進的削減(3)死刑に直面する人の人権保護の尊重――などを要求。廃止国に対しても制度を再導入しないよう求めている。

同委員会には94年、2000年までの死刑執行停止などを促す決議案が出されたが、小差で否決された。その後も死刑廃止国が増加しており、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、死刑を10年以上執行しないなど事実上廃止している国を含めた死刑廃止国は133カ国。一方、死刑存続国は日米や中国など64カ国・地域だという。

要するに死刑制度を維持している国が少数派になっている、という事です。

アムネスティ・インターナショナルが死刑制度については以前から継続的に報告しています。
アムネスティ・インターナショナル日本・死刑廃止ネットワークセンターの記事「死刑に関する事実と数字」より

4. 死刑判決と執行

2006年中に、25カ国において少なくとも1,591人が処刑され、55カ国において少なくとも3,861人が死刑の判決を受けた。これらは最低限の数字というだけであり、実際の数字は確実にこれを上回る。

2006年においては、判明しているすべての執行の91パーセントが、中国、イラン、パキスタン、イラク、スーダン、米国で行なわれた。

入手した公の報告をもとに、アムネスティ・インターナショナルはこの年に中国で少なくとも1,010人が処刑されたと見積もったが、実際の数字はこれをはるかに上回ると考えられる。信頼できる筋は7,500~8,000人が2006年に処刑されたと示唆する。公式な統計は依然として国家機密であり、そのことが監視と分析を難しくしている。

イランは177人、パキスタンは82人、イラクとスーダンは少なくとも65人を処刑した。米国では12の州で53件の執行があった。

現在死刑を宣告され処刑を待つ人の世界的な数字を入手することは困難である。人権団体、メディアの報道、手に入る限られた公式な数字からの情報をもとに、2006年末時点で見積もられた数は19,185から24,646の間だった。

こんな事なので、死刑制度を維持することは国際的には非常に異端な感じになりつつあるようです。一方で死刑制度復活の意見が出ている国もあるようですが、けっこうデリケートな国際問題になりつつある、という証明でありましょう。

11月 16, 2007 at 09:49 午前 海外の政治・軍事 |

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コメント

国連でしょう、連合国が単純に決めたことです。国には国の価値観がありますよ。

投稿: | 2007/11/16 17:36:33

 最近凶悪事件の共犯者(確かネットで知り合った連中が女性を殺して金品を奪った事件でしたか……)が、死刑になるのが怖くて自首した出来事があったような気がします。この人の心根はちょっと困ったものですが、死刑制度のおかげで事件の解決が早まったという事実には私自身はっとさせられました。
 元来心情的には死刑を支持しながらも、実質的な犯罪抑止効果に漠然とした疑問を持つという無定見な人間でしたから、よもや「捜査の進展に寄与する」という効果があるとは思いもしませんでした。死刑制度の効用については、きちんと検証することも必要かな、と思いました。
 ただ、自分勝手な意見を述べれば、場合によっては他国の人を殺す組織を持ちながら(日本も例外ではありません)自国民は決して殺さないというのは、私にはとても居心地の悪い制度ではあります。死刑のおかげで、国家というのは人の命を、社会の被るリスクとひきかえに、簡単に奪ってしまう存在であることを自覚できるのではないかと、よく考えます。
 逆に考えれば、自国の利益にならないとなれば、死刑制度だって、それこそあっという間に消え失せるのだろうな、とは云えますが。

投稿: miya.h | 2007/11/16 23:26:59

むしろ決議内で死刑制度がsodomyレベルの扱いを受けているほうが気になります。現状、維持派と廃止派の対話には工夫がいるなとしか。

投稿: 臆病者 | 2007/11/17 2:19:41

「死刑に値する罪は無い」としていいのかという点はどうなのか、と思います。

死刑執行数を減らすという点では、「死刑」は制度としてあるが、適用基準を引き上げる=実質的に執行数は減る、という対策でもいいので、死刑廃止までとばなくてもいいのでは、と。

投稿: 北風 | 2007/11/17 13:33:18

>自国民は決して殺さないというのは、

 それはないです。なぜなら、死刑を廃止した国でも、ひとたび内乱が発生すれば軍が出動して、反乱を鎮圧するだろうからです。
 日本でも、自衛隊は都知事の要請で治安出動するのですし。

投稿: Inoue | 2007/11/17 14:40:16

Inoue さん

>死刑を廃止した国でも、ひとたび内乱が発生すれば軍が出動して、反乱を鎮圧するだろうからです。

 全くおっしゃるとおり。この点は失念していました。私としては社会システムに敵対する者と、その枠内での犯罪者という漠然とした区分けをしていたようです。
 まあ戦争行為も含めて「結果的に」人を殺す行為を、当初から人を殺すことを目的に行われるそれと同列に扱うことの乱暴さは、私も自覚してはいます。
 どちらにしろ、私自身は居心地の悪さという感覚からは逃れられないですが。

投稿: miya.h | 2007/11/18 22:49:44

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