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2007.10.12

裁判員裁判では量刑にバラツキ

サンケイ新聞より「裁判員裁判、量刑に開き 同一シナリオでも無期~懲役16年 (1/2ページ)

今年に入って全国35カ所で行われた模擬裁判員裁判で、起訴事実は最高裁が作成した同一シナリオで証拠もほぼ同じであるにもかかわらず、判決が懲役16年から無期懲役まで開きがあることが、最高裁のまとめで分かった。

一般市民が有罪・無罪だけでなく量刑まで決めるのが裁判員制度の特徴。職業裁判官による現在の裁判では量刑のばらつきは少ないとされるが、市民感覚を量刑にも反映させる裁判員制度では、受け止め方で大きな差が出る特徴が浮かび上がった。

今年2~8月、全国35カ所の地裁(支部を含む)で行われた模擬裁判では、最高裁が作成した同じ設定の事件を題材にした。
男性被告が、タクシー運転手の男性をナイフで刺して死亡させ、約8700円を奪ったとして起訴され、被告は事実関係を認めている-というシナリオだ。

起訴罪名は、地裁ごとに強盗殺人罪と強盗致死罪に別れている。しかし、両罪とも法定刑は「死刑または無期懲役」。酌量によって「懲役7年以上30年以下」にまで減刑できる点も同じ。

各地裁で同じ事件を審理したにもかかわらず、最も軽かったのが懲役16年(1地裁)、最も重かったのが無期懲役(8地裁)と、大きな開きが出た。最も多かった量刑は、懲役20年(9地裁)。そのほか、懲役30年(8地裁)、懲役28年(1地裁)、懲役25年(6地裁)、懲役23年(2地裁)だった。

最高裁は、ばらつきについて「被告役、証人役の演技力に差がある」などの点を挙げ、「ある意味当然」としている。

一方で別の見方もある。シナリオは今月1~3日に東京地裁で行われた模擬裁判でも使われたが、熱演した被告役が終了後、裁判員に「演技は判断に影響したか」と質問。裁判員は「あまりなかった」と答えている。

裁判では、事実認定に加え、被告にとって有利な事情と不利な事情を加味して量刑が決められる。職業裁判官にはケースの似た事件を審理した経験などから、量刑は「だいたいこの辺になる」という“相場観”が形成されているという。

東京地裁の模擬裁判の評議では、職業裁判官3人は「無期懲役は重すぎる」と判断。量刑は懲役25年が2人、「20~30年の範囲」が1人だった。一方、裁判員の量刑は無期懲役1人、懲役30年2人、懲役25年3人とばらつきが見られた。結局、判決は裁判員法の規定により懲役25年となった。

ベテラン裁判官は「今までの相場はプロの裁判官が作ったもので、裁判員裁判がこれに影響された量刑でいいのかという問題がある。裁判を重ねることで、新たな相場が形成されるのではないか」と話している。

バラツキがどのような形なのか表にしてみました。

量刑35ヶ所の地裁中
懲役16年(1地裁)3%
懲役20年(9地裁)26%
懲役23年(2地裁)6%
懲役25年(6地裁)17%
懲役28年(1地裁)3%
懲役30年(8地裁)23%
無期懲役(8地裁)23%

東京地裁での模擬裁判では、3人の職業裁判官の判断は、懲役25年が2人、「20~30年の範囲」が1人ですから、裁判員裁判の判決バラツキの中央になって正に平均値です。

そういう視点でこの表を見てみると、量刑を重くする方向と軽くする方向に大きく分かれていて、正にバラツキが大きくなるわけですがこれこそが社会が現在の刑事裁判制度に漠然とした不満を持っていた理由の表れではないでしょうか?

また、裁判員裁判ではその時々の社会の風潮がダイレクトに反映されのではないかと思います。
現在の社会の風潮は、先行きの不透明感などから重罰化を求めているのは明らかで、社会の風潮が重罰化を求めているときに、判決に反映しないのであれば裁判員制度の意味はないとも言えるでしょう。
日本の刑法では、量刑の相場という言葉があるとおり、量刑は機械的に決まりません。
このために、現在の職業裁判官だけが判決する裁判制度においても長期的には相場は変化していますし、そのことで法律改正も進んでいます。

こんなことを考えると、社会のその時々の判断が判決に反映するのは必要なことであると思います。
見方によっては「ボツネタ」氏(岡口裁判官)がおっしゃるように「現実にも,ラッキーな被告人やアンラッキーな被告人がでてきそうですね。」となりますが、これも「何に比べて」「いつに比べて」なのかということになるでしょう。

量刑の相場があるのですから「今どきこんな事件に以前からの相場では」という判断があって量刑の相場が変化してきたことは間違えないでしょう。
その辺かの速度を裁判員裁判は大きく変えることになると思います。それを「行きすぎだ」となるのかどうか、これはやってみないと分からない。

現実の被告にとっては、期待する量刑のどこら辺の判決になるのか分からない、ということあるでしょう。

その面で「ラッキー」と「ガックリ」に分かれるのは容易に予想できますが、これはすぐに「裁判員裁判では判決はこの位の範囲になる」と幅をもった表現に変わると考えます。

スッパリ言えば「裁判員裁判では量刑にバラツキが出る」と考えるのが現実的でしょう。

10月 12, 2007 at 09:42 午前 裁判員裁判 |

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