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2007.10.15

著作権延長についての議論

IT media News より「著作権保護期間の延長、経済学的には「損」 「毒入りのケーキ」が再創造を阻む

大変に長い解説記事なので本文を読んでいただくとして、わたしが注目したのは次のところです。

  • 著作権保護期間を今より20年延長すると「損」なのか「得」なのか――。
  • 長すぎる著作権保護期間が書籍の“死”をむしろ早める
  • 著作者の死後は、売れるものだけが生き残る極端な弱肉強食
  • 絶版書は、以前はただ忘れ去られていくしかなかったが、ネットが状況を変えている。
  • 欧米で著作権保護期間が70年に延長されたのは、ネット時代以前
  • 保護期間の延長によって著作者が得る収入の増加は、1~2%程度
  • 保護期間延長が創作者の意欲を高めて映画制作本数が増加する――という根拠は、まだ得られていない
  • 自由にパロディを作れるまで、さらに20年待たなくてはならなくなる
  • 2次創作が行われる可能性が減り、権利者には「権利が有効活用されない

といった著作権保護期間の延長によるデメリットが数々紹介されて

「経済学的に不合理」な延長、なぜ欧州では行われたのか

これらの研究から「インセンティブが見えないのにデメリットは確実にある」(成蹊大学法務研究科の安念潤司教授)とほぼ証明された著作権保護期間の延長。そもそも欧米ではなぜ、70年に延長したのだろうか。

東京大学大学院 情報学環・学際情報学府の酒井麻千子さんの研究「EUの保護期間延長の事情」によると、EUが保護期間を70年に統一したのは「EC(当時)域内の単一市場形成を達成するための手段だったとしか考えられない」という。

ECは1993年までに域内で単一市場を形成しようと急いでいた。その動きの中で、著作権保護期間の不統一――著作者の死後50年の国と70年の国の混在――が問題になっており、長いほうに合わせることで、どの国の著作者も不満なく統一できるよう図った、というわけだ。

「(50年という短いほうに統一せず、50年から70年に延ばした)EUの政治家は『バカじゃん』と思うかもしれないが、政治家は、政治的影響力の強い文化的エリートの反感を買うわけにはいかなかったのだろう。保護期間延長問題は、経済学的には大差で判定負けだが、政治の世界ではそうはならない」(安念教授)

というわけで「欧米の著作権法に合わせないで根本的に考え直そう」となって

  • 「著作権登録制」の現実味
  • 著作権はどうあるべきか
弁護士でクリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局長の野口祐子さんは「延長で著作者のやる気が高まり、文化が豊かになると主張するなら、過去の作品の延長は不要なはず。
過去の著作物と将来生まれる著作物とはきちんと区別して議論すべき」と指摘する。

野口祐子インタビュー02に著作権法のあり方について幅広い考え方を述べています。
これはお勧めです。

ようやく、著作権がどうあるべきかが記事になったという感じですが、今後どうなるのでしょうか?

10月 15, 2007 at 12:09 午後 セキュリティと法学 |

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コメント

欧米(特に米)の著作権はミッキーのような巨大キャラクター産業と深い関わりがあったようです。特にディズニーは常にゴネているらしく、やたらと著作権が長いのはそのためではないでしょうか?

投稿: なる | 2007/10/16 3:44:12

例えばディズニーなどが著作権の保護期間を延長してきたのは「ミッキーマウス法」と呼ばれることなどで良く理解できるところです。

問題は、そういう主張がなぜ法制化に繋がったのか?であろうというのが、紹介した記事の中にあって「なぜか?」が問題になるのは日本での保護期間延長の主張の中核が「欧米では長いから合わせるべきだ」論だからなのです。

紹介した記事の中にある研究の結果は「保護期間を延ばしてもメリットはない」という見方もあるということで、なにを目的として保護期間を延長するのか?を本質的に議論するべきだ、と投げかけています。

投稿: 酔うぞ | 2007/10/16 22:44:34

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