« 足立区の教育委員会は??その3 | トップページ | 中央教育審議会なのか? »

2007.09.11

スーパーエコシップとはなんぞや?

毎日新聞より「タンカー進水式:電動で環境配慮 佐世保の造船所で建造

国土交通省と独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が建造を後押ししている電気推進船「スーパーエコシップ」のタンカー「なでしこ丸」の進水式が11日、長崎県佐世保市の前畑造船であった。
環境への負荷を軽減した次世代船で国内4隻目。タンカーでは初の建造となる。

白油(精製油)の国内輸送用タンカー(749総トン)で、従来のディーゼルエンジンに代わり、電動モーターでプロペラを回すため、二酸化炭素排出量を約10%軽減し、騒音も抑えることができる。
また、船体が損傷した場合に油の流出を防ぐダブルハル(二重船殻)構造とし、推進効率を向上させる二重反転プロペラも採用している。

同機構が大阪市の海運会社「商運海運」と建造した。同社は同機構などから各種補助を受けて運航する。スーパーエコシップはほかに、フェリー、貨物船、化学薬品輸送船が既に就航している。

このニュースを読んだときに「電気推進にしてエコになるとはどういうことだ?」が最初の印象でした。
電気推進船は珍しくなく、豪華客船ではクイーンメリー2(2004)やクリスタル・ハーモニー(1990)、ダイアモンド・プリンセス(2004)などが知られています。
クイーンメリー2は推進ポッドを採用しポッドを回転させることで舵を不要としました。

当然、発電機を使用してモーターを駆動しているのですから、機械・電気・機械となるエネルギー変換効率が問題だろうから、エコになるというのが理解しがたかったのです。

今回の内航用タンカーは「スーパーエコシップ」(PDF)なのだそうです。
要するに、エンジンなどの配置を自由にすることで船体の効率(荷役を含む)を挙げると言うことなのでしょう。

先に紹介したクイーンメリー2では、ガスタービン発電機を最上部に配置していますね。
客船でもエンジン配置を自由にすることで、使い勝手を良くしたということなのでしょう。

「スーパーエコシップ・フェーズ1規準」(PDF)によると

  1. 総則
    スーパーエコシップ・フェーズ1とは、電気推進システムを採用することにより、環境負荷低減、物流効率化等が図られている船舶をいう。
  2. 設計要件
    船舶の設計が以下の要件を満足すること。

    1. 船舶の推進システムのうち、通常の航行に必要な推力を供給するものが以下のa.の設備のみ又はa.及びb.の設備の組合せにより構成されていること。
      また、当該推進システムを構成する発電用原動機又は推進器駆動用原動機のひとつに異常が生じた場合においても船舶の運航に支障がないこと。

      1. 発電用原動機、発電機、インバーター(又はコンペンセータ)、 推進器駆動用電>動機、推進器等により構成される電気推進ユニット
      2. 推進器駆動用原動機、推進器等により構成される原動機推進ユニット
    2. 以下のいずれかの措置を講じることにより、エネルギー効率の向上が図られていること。

      1. ア バトックフロー船型その他の推進効率の向上に資すると機構が認める技術の採用
      2. イ 電動荷役システムの採用その他のパワーマネージメントの最適化に資すると機構が認める措置

パワーマネージメント、電気式制御による人員の削減や操船の簡易化といったことを総合してエコシップということのようです。
なかなか興味深い内容ですが、新聞の報道はどうにも簡単すぎて説明が伝わっていないと感じましたね。

9月 11, 2007 at 11:54 午後 もの作り |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2299/16419235

この記事へのトラックバック一覧です: スーパーエコシップとはなんぞや?:

コメント

おぉ!前畑造船所ですか~!
実家のすぐ近くです。
佐世保には、かつて世界一のタンカー日章丸(13万重量トン)を作った(進水式を見に行った)、佐世保重工(SSK)という造船所がありますが、それに比べると前畑造船所は小さな造船所で、とてもそんなハイテク船を作れるなんて思いもよりませんでした。
Google Earthで、北緯33度08分57秒東経129度43分33.60秒を指定して検索すると判りますが、船台も2つしかない小さな造船所です。

ちなみに、前畑造船所がある入江の東側から南側にかけての陸地に土塁に囲まれた四角い建物が点在してますが、これは米海軍の弾薬庫(前畑弾薬庫)です。

実家は造船所東側の山を越えた辺りです。

投稿: Yamag | 2007/09/12 14:16:45

鉄道でもかつては全部がトルコン式機械駆動だったのが、最近では機関車についてはディーゼル電気駆動が主流になってます。
電気制御は可変周波数/電圧の3相駆動方式で効率が多いに上がってますから、大トルクになるほど機械的な駆動損をカバー出来るようになったってことではないでしょうか。

重量的及び管理工数的に言えば、機械的変速(船舶だと減速でしょうけど)機構とモーターなら、間違いなく3相電動機の勝利でしょう。

※ハンドル、他でも使ってる奴に変えました

投稿: wader | 2007/09/12 23:29:59

スーパーエコシップ・フェーズ1というのを読むと、どうも内航船用に開発を進めると読めます。
その一方で、客船での利用などだとだいぶ前から、つまりは効率を無視した利用もあったようで、キーワードは省人化なんでしょうね。

いずれは、船は無人化するんじゃないでしょうかね?

投稿: 酔うぞ | 2007/09/12 23:40:50

ディーゼルエレクトリック推進というシステム自体は昔からありました。代表的なところでは通常動力型と呼ばれる潜水艦がそうですね。
海運の解説書には、主として客船、砕氷船に使われると書いてあります。

現在一般的な商船の主機関は長ロングストロークの低速2サイクル過給機付ディーゼルですが、これって振動がムチャクチャ激しい上、細かい速度調整が苦手なので、乗客が振動を嫌う客船や、前進後進を繰り返して氷を砕く砕氷船には電気推進が使われることが多いです。
最近、特に電池やインバーターなどの性能アップで効率が良くなってきているのでしょうが、船なんて20年は使うのが当たり前ですから、その間のメンテナンスの事なども含めて考えると、どちらが本当にエコなのか判定を下すのはまだ早い気がします。

ちなみに今時の船は夜間機関室無人は当たり前、昼間も機関部の当直者が機関室の内外で作業をしているというだけで、常時機関の運転状況を監視している訳ではなく、アラームが鳴ってから確認に行く方が普通です。

投稿: ひさ | 2007/09/14 2:42:16

スーパーエコシップの経済性を可能にしているのはIGBT(insulated gate bipolar transistor)による電力制御が可能になったために推進用モーターの直接出力調整が可能になったことが大きく貢献していると思います。IGBTが開発されたことで新幹線の電力消費効率が増してなお速度が上がりました。実際船舶の航行においてディーゼル機関推進とガスタービンによる発電+電気モーター推進とではどれくらい燃費が違うのかが明らかではないので、評価のしようがないです。それに故障した時に近くのドックで修理してくれるエンジニアがいるかどうかという、インフラとサービスの問題もあります。電気モーターとダイレクトドライブによるスクリュー回転は子供の頃に流行ったマブチの水中モーターを思い出させてくれます。

投稿: springwood | 2009/04/17 13:12:42

コメントを書く