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2007.07.15

白河高校PTAが労働争議で解散・その11

「白河高校PTAが労働争議で解散・その10」の判決文を読んでわたしが注目した点を挙げます。

ある意味で当然ですが、被告のPTAが裁判に応じなかった事は、第3 当裁判所の判断の先頭に次のようにされてしまいました。

  • 訴訟要件につき職権により判断する。
  • 一件記録によれば,被告は,平成19年5月26日開催の臨時総会をもって解散の決議をしたとの事実を一応認めることができる。
  • しかし,被告は一件記録により権利能力なき社団であると認められるものであるから,民法73条の類推適用により,清算の目的の範囲内でなお存続するものとみなすべきである。
  • そして,本件訴訟が係属している以上,清算が完了したとはいえない。
  • また,その代表者については,被告の会則(甲第1号証)等には,解散した場合の清算人に誰が就任するか明文の定めはなく,前記臨時総会により選任されたとの事実も認められないから,民法74条を準用して,解散時の代表者 (会長)であると認められる○○○○が清算人になったというべきである。

実際にPTAは解散し、会費も会員に戻したから今後どうなるのか?とはこのブログでも多くの方が注目している点ですが、被告が解散を選んだ理由を推測すると「解散して、会費も返還してしまえば、実質的に何もかも無くしてしまうことが出来る」という判断であったのでしょう。

しかし「清算が終わっていない=責任はある」と裁判所(裁判官)の職権で決定してしまいました。

PTA総会の解散が有効であるのかについて、裁判所は

なお,本件では,前記一応真正になされたと認められる解散により,本件雇用契約も,その消滅等法的影響を受け得るものと思料されるものの,本案についての争点であり被告の主張がないため,判断しない。

「本件雇用契約も,その消滅等法的影響を受け得るものと思料される」とまで言っているのですから、裁判で争う余地は十分にあったと裁判所が言っているようなものです。
しかし現実は裁判に参加しなかったために、決定してしまった。

判決は

  1. 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する
  2. 被告は,原告に対し,平成19年4月から毎月21日限り,20万0500円を支払え。
  3. 被告は,原告に対し,平成19年6月から毎年6月30日限り16万6415円,及び毎年12月10日限り34万0850円を,それぞれ支払え。
  4. 訴訟費用は被告の負担とする。
  5. この判決は第2項及び第3項について仮に執行することができる。

ですから、4月から給与と賞与の支払が始まっていることになります。
すでに被告は債務が積み上がりつつあるわけです。

さらに「訴訟費用は被告の負担とする」となりましたが、被告のつもりとしては「裁判はやっていない」のでしょうが、費用負担だけは確定してしまったわけで、こんな点からも「なんで裁判に参加しなかったのだ?」こそが大問題ですね。

7月 15, 2007 at 01:51 午後 教育問題各種 |

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コメント

酔うぞ様
こんにちは。
諸々の情報と記録の御整理に感謝します。

既にご存じとは思いますが、念のため、本日16時ごろ時点にネットで読めた報道記事を列挙します。
http://book.jiji.com/kyouin/cgi-bin/edu.cgi?20070710-7
http://www.minyu-net.com/news/news/0711/news11.html
http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20070711/kennai-200707111046590.html
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200707116
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/fukushima/archive/news/2007/07/11/20070711ddlk07040357000c.html
  FJN拝

投稿: FJN | 2007/07/15 17:24:29

裁判から逃げたらこういうオチになるというのは常識だと思っていたのですが、誰も進言しなかったのでしょうか。(という感想をhttp://youzo.cocolog-nifty.com/data/2007/06/post_8467_1.htmlで既に見ているような気もしますが。(^_^;))

解雇四要件など一部を除けば最近の裁判所は労働側にきつめの判決を下しがちな印象がありますが、それも雇用主側が裁判に出てナンボですからね~。こうもあからさまに裁判所の権威を無視されてもなお労働側に不利な判決を出せるような太っ腹な裁判官は、そうはおるまいとか思います。

投稿: BUNTEN | 2007/07/15 18:21:33

BUNTENさん・・・・・・

え~BUNTENさんですよね?(^_^;)

いや~チトお恥ずかしい・・・・。

酔うぞ拝

投稿: 酔うぞ | 2007/07/15 18:33:20

    こうもあからさまに裁判所の権威を無視されてもなお
    労働側に不利な判決を出せるような太っ腹な裁判官は、
    そうはおるまいとか思います。

「裁判所の判断」の1番から3番までの調子が「たたみかける」ような印象を受けました。
言い逃れにしそうなところにパタパタとフタをしてしまった。という感じです。

これ、けっこう裁判所の怒りの表明だと思いますよ。
裁判官の立場から見ると、裁判官自身の気持ちは全くよそに置いて究極の決定を下すのが仕事なのだから「それを無視するとは!」と思うでしょう。

もちろん、借金の夜逃げとか、何度も判決を食らっている刑事被告人とか相手次第で裁判官の印象も違うでしょうが、なんと言っても今回の事件はすぐ隣が行政そのものだったりするのだから、少なくとも夜逃げしちゃった個人企業のような対応では困るよとは裁判所でなくても思うところです。

実際、「白河高校PTAが労働争議で解散・その6」に紹介した時系列で見ると

4月17日 提訴
5月26日 PTA解散
6月 5日 第一回口頭弁論
      普通は、ここで結審するところを、第二回口頭弁論を
      開くことを決定
6月 6日 裁判所が直接呼び出しが、拒否した
6月19日 第二回口頭弁論で結審

ですから、裁判所は異例とも言える丁寧な対応で普通に裁判を成立させようと努力したわけです。
それを拒否したとなると、これでは裁判所でなくても怒るでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2007/07/15 19:31:07

判決は尊重されるべきだとは思うのですが,自分たちは解散したので責任や債務はないという主張はどうなるんでしょうか?県教委は始めっから知らない振りですけど・・・・。解散は向こうといってもお金を勝手に分配しちゃって,無責任な対応に腹が立ちます。ならぬものはならぬが福島の基本だったと  あれは会津だけか???

投稿: adachi | 2007/07/15 21:04:23

    自分たちは解散したので責任や債務はないという主張は
    どうなるんでしょうか?

判決が確定すれば、「清算するまで責任がある」となります。
判決ですから「責任があると判断する」で止まるのではなくて「責任があるから責任者として行動しろ」という意味になります。
「話は聞いた」だけでは済まない。

債務については、原告には判決が確定すると労働債権になりますから、債務もあることになりますね。
支払についてはまた裁判になるかもしれませんが・・・・。
その場合は「(労働債権について)損害賠償請求訴訟」になるのかな?

いずれにしろ、判決確定(7月25日かな?)後には責任は確定だし、債権も積み上がり始めます。

じゃあ、被告は控訴できるのか?ですが、一応出来ますが一審で全部認めているのですから控訴しても主張するところが無いですよね。

現時点で注目するのは「控訴するのか、第一審判決が確定するのか」ですね。

投稿: 酔うぞ | 2007/07/15 21:25:56

>え~BUNTENさんですよね?(^_^;)

なんか妙に気になるリアクションなんですが。(^_^;)
"○×で何々をしていたBUNTEN"とかゆー形でイメージを語っていただければと。m(_@_)m
ひょっとしたら人違いかもしれないし。

投稿: BUNTEN | 2007/07/16 7:13:26

>なんか妙に気になるリアクションなんですが。(^_^;)

ネット界では有名な論客だしぃ~(^_^)

いやね、真面目な話が白河のシンポジウムに伺ったわけです。
さすがにネットの集まりではないところに行くのは久しぶりだったわけで、軽くカルチャーショックとまで言わないけど、忘れていたところを思い出したという感じですね。

実際に色々な方のお話を伺ってみると、ここに書いていらっしゃる皆さんともすごく距離があると感じて「ネットの常識だけで世の中を考えるのは違っているな」と実感したところです。

法的には割と単純な話だと思いますが、社会的には簡単に解決しそうもないし、文化的には法的解決で何とかなるとは直感的には感じられない、なんてところです。

非常に興味深いですよ。

酔うぞ拝

投稿: 酔うぞ | 2007/07/16 9:40:22

一審に出廷していなくても被告側は控訴できるのですか?、控訴しても主張するところがない、というのは主張できないということでしょうか。また一審確定が7月25日?というのは、控訴期限ということですか?

投稿: エンドウ豆 | 2007/07/16 22:14:21

エンドウ豆さん

控訴そのものを制限する理由は無いのですね。
控訴して、上級審が棄却すると言うのは良くあるわけですが、控訴そのものを制限する理由がない。

控訴審は原理的に原審の間違っているところを修正するという性格のもので、一から裁判をやり直すわけではありません。

そうなると、第一審で「すべて認めて敗訴した」側がどいう不満があって上級審に臨むのか、説明のしようがないでしょう。
つまり主張することがない。とわたしは思うのです。

確か判決の確定は2週間のはずなので、7月25日には確実に日が過ぎているだろう、という意味ですね。

投稿: 酔うぞ | 2007/07/16 22:55:10

>「ネットの常識だけで世の中を考えるのは違っているな」

 民事訴訟をシカトしたらどうなるか、ってのは「ネットの常識」ではなくて「日本社会の常識」なのでは。
 白河高校のPTA(のうち意思決定に影響を及ぼした人々)が、「日本社会の常識」を知らなかったという話じゃないんですかね?

投稿: apj | 2007/07/16 22:57:05

外野からの勝手な感想ですが…。

白河高校のPTAに参加されていた方がいまとるべき行動は,(a)PTAの"元"会員として,PTAの"元"会長あるいは執行部に,判決を受けてのマトモな対応を促す。あるいは,(b)原告とある意味で『連帯』して,白河高校も当事者である事を裁判所に認めさせた上で,白河高校にしかるべき対応をとらせる。…のどちらかではないかと思うのです。

このままだと,PTAの"元"会長が,個人として(?)債務を負う,という事態になりかねないんですよね。まあ,正当な手続きを経て団体の責任者となったからには,責任者としての行為にそれ相応の義務が生じるのは当然といえば当然なのですが…。

しかし,経緯はどうあれ,生徒の父母のうち特定の個人に責任を帰着させて話が終わってしまうと,有形無形の遺恨が残るとも思うのですよ。もう遺恨はあるのかもしれませんが。それは,白河高校にいま現在生徒を通わせている父母にとっては,あまり嬉しいことじゃないでしょう。

なので,(a)自分達で問題を解決するか,あるいは,(b)白河高校をちゃんと巻き込んでしかるべき対応をしてもらうか。どちらかを選択すべきだと思います。それができるなら,最初からこんな問題にはなってないんでしょうが,判決が出たことで「待った無し」の状況になってしまいました…。

投稿: skimsr | 2007/07/17 1:36:30

この判決内容で行けば、結局「金で解決」で、当初言われていた「学校職員のような仕事をする人をなぜ親たちがお金を出し合って雇わなければならないのか」とか「県職員としての雇用」とかいう話はどこかへ行ってしまったようですね。

これでもう完璧に県は関係なくなって、あくまで白高内部で解決しなくてはならなくなったわけです。そしてこの問題はあくまで原告個人のケースであってほかは関係なくなることでしょう。他の高校のPではこれを見ながら対策できるわけですから。まあ、いい前例を作ってくれたと「感謝」されるかも知れませんが。

裁判に負けることによって、この問題の本当のところをうやむやに出来て、ほっとしている人は少なからずいるはずです。

親に対しても「いろいろ努力してみたが、結局お金を払わなくてはならなくなりました。裁判所の命令ですから。
子供たちを守るためにも、これ以上、このままにはして置けません。ご協力ください」と言えるわけです。ほとんど思考放棄して解散に賛成した訳ですから、文句は言えないでしょう。

流れです。流れ。P解散だってあらかじめ解散することが決まっていたわけですから、「お金を払う」という流れを作ってしまえばいいだけです。

後はお金を集める範囲の問題だけでしょう。
現在在校する家庭だけで集められるのは抵抗があるとは思いますが・・・・・

わざわざ学校外で学年保護者会を開いてみたり、本当に茶番です。

投稿: ora | 2007/07/17 2:24:53

oraさん。
学校外で学年保護者会を開いてみたり等々、今の白河高校の様子を教えてください。

投稿: エンドウ豆 | 2007/07/17 20:40:19

今日で控訴期限が終了だと思います。果たして被告側は控訴したのでしょうか。一審判決が確定すると、給与支払いなどは誰が負担するのでしょうか。

投稿: エンドウ豆 | 2007/07/24 18:52:14

エンドウ豆さん

どういう結果になったのでしょうか?
何も情報が伝わって来ないところをみると、判決確定なのでしょうか?

ちょうど白河市長選挙であり、参議院も選挙ですから行政手続きを進めにくい時期で、何らかの変化があるのは9月になってからかもしれませんね。

投稿: 酔うぞ | 2007/07/25 18:16:15

本件を、JILPT=(独)労働政策研究・研修機構のメールマガジン#353(2007.7.11発行)が、【判例】コーナーで紹介しました。校長コメントを載せた時事通信の配信記事を引用掲載しています。
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/bn/mm353.htm
   FJN拝

投稿: FJN | 2007/07/25 20:41:50

私はニュースを直接見てはいないのですが、googleで検索したところ11月2日のNHK福島局のニュースのキャッシュにこの記事がありました。ある程度結果が出るまで、この場で取り上げていただけるとありがたいです。

県立白河高校のPTAが事務職員の解雇をめぐる対立から解散した問題で、解雇された元職員が、PTAの元会長らを相手に、未払いの賃金や慰謝料として、あわせて250万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。以下略

投稿: 保護者 | 2007/11/04 19:50:46

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