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2007.07.30

選管のひどい判断ミス

読売新聞より「疑問票の処理に遅れ、比例選確定は未明まで…首都圏選管

非拘束名簿式で行われた参院比例選では、集計作業や疑問票の処理に時間がかかり、確定時刻が30日未明までずれ込む自治体が多かった。

首都圏の1都3県では、30日の明け方近くにようやく比例選の開票結果が確定する自治体が続出。
なかでも東京都葛飾区(有権者数約35万7000人)では、午前7時までずれ込んだ。

同区奥戸の区総合スポーツセンター体育館に設けられた開票所では、29日午後8時45分から開票を開始。
確定予想時刻は選挙区が30日午前1時、比例選は同4時だったが、実際には選挙区が同4時46分、比例選が同7時と、いずれも予想より3時間以上遅れた。

同区によると、開票直後の票の分類作業はこれまで区職員約500人に担当させていたが、今回は人件費削減のため、約300人を派遣社員に切り替えた。

ところが、派遣社員の契約時間の29日午後10時半を過ぎても大量の票が未分類のまま残り、結局、これまでより少ない区職員で分類することになって処理が遅れた。
派遣社員のリハーサルは当日まで行っていなかったという。

ほかにも、小学校の投票所から投票箱を運ぶ際、鍵を一緒に持ってくるのを忘れて解錠が約1時間遅れたりする失敗も重なり、後片づけが終わったのは30日午前7時55分。
区職員からは「もう、頭が回らない」と悲鳴に似た声が漏れた。

また、江戸川区(有権者数約52万人)では、30日午前5時26分に確定。前回参院選とほぼ同じ約800人体制で臨んだが、無効票などの判定に手間取り、予定を約1時間半オーバーした。男性職員(36)は、「帰宅して1時間仮眠を取ったら、建設現場の保守、点検の日常業務を始めます」と赤く充血した目をこすっていた。

わたしは開票立会人を何度も経験していて、参議院比例区もやりましたが「二度とごめんだ」といった感じです。

開票は、報道などで流れる投票箱を開けて票を台の上にバサッと広げるところから始まります。
これを開披と呼び台のことを開披台と呼びます。

横浜市選管の開票のしくみをご紹介します。

  1. 開披分類係
    投票を開披します。有効投票については候補者別に分類し、無効・疑問と思われる票はすべて抜き出し、審査係に渡します
  2. 第一点検係
    候補者別に分類された票を一枚一枚点検し、他の候補者の票の混入または疑問票を抜き出します
  3. 第二点検係
    混入票等の再点検をおこないます
  4. 第一計数係
    混入票がないと確認された票を、候補者別に計数機にかけ、100票ごとの枚数点検をおこないます
  5. 第二計数係
    第一計数係で点検した100票束を、再度点検します
  6. 括束係
    計数機で確認した候補者別の100票束を5束あわせて、500票束とします。この係でも、再度、他の候補者の混入票がないかを点検したうえで開票立会人・開票管理者に回します
  7. 審査係
    無効・疑問と思われる票を、法令の定め、あるいは過去の判例・実例を参考にして有効票と無効票とに分類したうえで開票立会人・開票管理者に回します

これで直感的に分かるのは、当然ながら最初が一番混沌としていて人手が掛かるわけで、わたしがやっていた開票立会人のところに来るとすべての票に目を通しますが、2時間程度で10万票以上を見ます。

横浜市選管の実務では

  1. 区役所職員などで一斉に開披
    この段階では点検係などは開披に従事しているから席に着いていない
  2. 点検などを始めると、おそらくは半分以上の職員は作業終了で帰宅
  3. 計数が終わって、結束・記録付けなどになると20人程度に減らしてしまう。
  4. 最後は事務管理者や開票立会人など10人ぐらいになる

このようにして能率向上を図りますが、個々の段階で作業が遅れるようだと、後の方ほど人手がないですからより一層遅れることになります。
開票立会人は直接票を点検するという事ではないので、疑問票を見つけるのが仕事ですが、自分の担当している選挙の候補者名を見ているわけですから、わたしは自分が立ち会う選挙の候補者名を把握していました。
覚えると書かないところに意味があるのでして、例えば「太田」と「大田」は区別するのか?という問題が出てきます。候補者に「大」とか「太」が他にいない場合には「大田」も「太田」も有効ですが、「太田」候補と「大井」候補がいる場合に「大田」と「太井」をどう判定するのか、という問題なのです。

わたしは候補者名や通称なども把握するようにしましたが、これが参議院比例区だと

11の政党名の正式名称と略称、
159人の候補者名
を覚えないといけない

となります。
こんなこと不可能に近いです。

最初に票を集める開披分類係にはこの能力が要求されているわけですが、新聞記事によるとここに派遣会社からの人を当てはめて、リハーサル無しで作業した。
それで出来るほど、参議院選挙比例区の開票作業は簡単じゃない。

一番簡単なのは、補選でしょうね。一般的には3~4人しか立候補しない。国会議員の小選挙区制や地方議員の中選挙区制だと8~10人程度だからこれも何とかなる。
比例区選挙が飛び抜けて大変なのです。

葛飾区の選挙事務を企画した人間は全く現場を知らなかったとしか言いようがないでしょう。
これでペナルティが無かったらそれこそ問題だというべきですね。
実際に作業に当たった区役所の皆さん、本当にお疲れ様でした。

7月 30, 2007 at 03:32 午後 国内の政治・行政・司法 |

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コメント

>区職員約500人に担当させていたが、今回は人件費削減のため、約300人を派遣社員に切り替え
>後片づけが終わったのは30日午前7時55分

まして、リハーサル無しのぶっつけ本番などムチャクチャですね。経費削減のつもりが増加した結果になっていたら、本当に「葛飾区の選挙事務を企画した人間は全く現場を知らなかったとしか言いようがない」です。ホント!!。

この派遣、指名競争入札で約2498円の単価契約。それも、指名5社のうち、2社辞退、2社同額の入札結果。春の選挙の時は、7社指名、1社欠席、5社辞退。出来レースと思われても仕方のない入札結果です。まあ、入札の裏で何かあったのでしょう。

投稿: 昭ちゃん | 2007/07/31 23:35:01

 辞退したほかの会社は、開票作業の大変さをちゃんと知っていて、そんな値段じゃやってられんわ、と、さっさと逃げ出すことに成功し、天然ボケあるいは何かのしがらみがある2社が逃げられずに受ける羽目になって案の定……とか。

投稿: apj | 2007/08/01 1:52:36

    指名競争入札で約2498円の単価契約。
    それも、指名5社のうち、2社辞退、2社同額の入札結果。
    春の選挙の時は、7社指名、1社欠席、5社辞退。
    出来レースと思われても仕方のない入札結果です。

そんな経緯があったのですか、リハーサル無しでは難しいと思いますよ。

契約時か時間が10時半までということは、多分は7時半からの3時間だったのではないかな?

リハーサルは事前に派遣の人たちだけを対象に実施せざるを得ないから、単価は2倍~3倍になるでしょうね。

わたしは電子投票にも反対で、現在の投開票システムは良くできていますよ。
世界的には自書式投票は珍しいそうですが、費用が掛かるのは人手だけと言って良いし、事後の再検査対策にもなっているわけで、アメリカで話題になったパンチ式で誰に投票したのか分からないとか、電子式で故障した、操作を間違えた、といった問題が起きようがないといったところは優れていると思います。

わたしが参議院比例区の開票をやったときには、作業としては大変だったけど、時間は1時には終わっていたような気がします。
今回の選挙で神奈川県選挙管理委員会発表データは最終確定が28時過ぎになっていますね。

3年前の参議院選挙では比例区は8政党でしたが、今回は11政党ですから1.5倍になった計算です。

候補者は128人です。
前々回は、政党数が15で、候補者は203名ですね。

どうも開票作業そのものが下手になっているのかもしれません。
横浜市の場合は各区で開票しましデータは神奈川県だから各市町村の開票状況の総計ですから、28時すぎというのは一番遅かった開票所の結果です。

投稿: 酔うぞ | 2007/08/01 8:24:54

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