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2007.05.09

ジェットコースター脱線死亡事故その5

「ジェットコースター脱線死亡事故その4」の続きです。

サンケイ新聞より「メンテナンス悪かった エキスポランド幹部、責任認める

エキスポランド社の幹部が事故後、取引先の関係者に「今回の事故はメーカーの製造責任はない。すべて私どものメンテナンスが悪かった」と事故の責任を認める証言をしていたことが9日、分かった。

当初、「解体スペースがなかった」などと説明していたが、実際には新たな倉庫が3月に完成していた。

「風神」は大手遊具メーカー「トーゴ」(会社更生法適用)が製造。
エキスポランドは購入後、平成4年3月から運用を開始し、導入後のメンテナンスは所有者の同社が独自で実施していたという。

関係者によると、エキスポランド社の幹部は事故後、取引先の複数の関係者に「老朽化した部品は製造メーカーの関連会社が提供していたが、当方で事故機の車軸を交換したという実績はなかった」と話した上で、事故について「メーカーの製造責任はなく、すべてメンテナンスが悪かった」と責任を認めたという。

また同社は例年1~2月に車両を解体し、超音波や磁気などで金属内部の亀裂を確認する探傷検査を実施していたが、今年は1月末に目視検査だけを行い、探傷検査は連休後の5月15日に先送りしていた。

当初から出ていた話に段々と近づいている、という感じです。

乗客の話として何分か前から段々と調子が悪くなってきたとの情報があって、常識的にもそれまで全く変形もない部品が突如として破断することはそうそうあることではありません。

そこで問題になるのは分解検査よりも日常点検や運用中の異常を発見する能力がどのようなものだったのか?でありますが、サンケイ新聞の別の記事コースター事故 破断個所は日常点検外 捜査本部、部品を鑑定」によると

事故原因となった2両目の車軸の破断個所は、同社の日常点検の対象外だったことが9日、吹田署捜査本部の調べで分かった。
折損原因は長時間同じ負荷が繰り返しかかったことによる金属疲労との見方が強まっており、捜査本部は点検の在り方に問題があった可能性もあるとみて破断した部品を鑑定し、破断に至ったメカニズムの解明を急ぐ。

調べでは、同社は月1回の定期点検以外に、

コースターの始業点検と
中間点検の1日2回実施している。

事故当日も担当社員2人が無人でコースターを3周走らせる点検や目視による確認などをしたが、異常はないと判断した。
しかし事故原因となった車軸の破断個所は日常点検の対象になっていなかったという。同社は「現時点では日常点検の項目に入っていなかったとしか言いようがない」と説明している。

これまでの調べで、破断したのは6両編成の立ち乗り式コースター「風神雷神II」の2両目の左側車輪の車軸。車軸は長さ約40センチ、直径約5センチのニッケルクロム鋼と呼ばれる合金製。大小5つの車輪で構成されるユニットと車両本体をつなぎ、車軸の先端がナットで固定されている。

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破断個所はナットで覆われ外から見えない部分が軸の方向に対し垂直に折れており、断面は凹凸がなくほぼ平らな状態だった。先端部分がナットの根元から折れた後、点検孔から飛び出し、落下したとみられる。

日常点検が一日2回であるのなら、事故が起きた0時50分ごろというのは点検直後であるかもしれません。
また何回も乗っている乗客は午前中に乗ったときにも「以前とは違う」と感想を述べていて、継続的に試運転をしているのであれば何らかの異変を発見できたのではないかと考えられます。

これらのことから大いに考えられるのは、日常点検も形だけのものであったのではないか?です。

何らかの異常サインを見逃していたのであれば、正にハインリッヒの法則そのもので、何かを見過ごしていないか?を検証することが重要であると思います。

5月 9, 2007 at 09:54 午後 事故と社会 |

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コメント

ほんとに怖い話ですね。車軸を全く交換していなかった、というのは、素人考えでも凄すぎる気がします。むしろよくぞ今までご無事で、ということですよね。少なくともメンテナンス会社には専門家が要るでしょうに、メンテナンス会社の責任は重大でしょう。いままで全く交換されていなかった、ということは今回もし3月に点検が行われていてもはたして事故は防げたのでしょうか?
ジェットコースター嫌いの家人は、今後はますます乗らないでしょう。

投稿: もこもこ | 2007/05/09 23:12:23

原発事故と似ているような・・・

ついに出てきました。読売新聞から、「脱線事故コースター、一昨年秋にも事故起こす」

  2005年9月、乗車中の女性客が安全バーに
  頭や首を強く打ちつけ、通院1年半。
  事故後は数回の点検試験走行で運転再開。
  事故は担当者間で処理され、山田三郎社長には
  報告されていなかった。

ハインリッヒの法則通り、事故の芽は有ったのですね。

一方、「定期的に探傷試験が必要だったことを知らない」ことは異常だ。
定期検査を自社の従業員(或いは社長の出身会社の泉陽?)が行っているらしいので、外からの情報(外部の第三者検査機関)が入ってこなかったのでしょう。自社検査員の技術向上も怠っていたとしか考えられない。

投稿: 昭ちゃん | 2007/05/10 11:36:17

機械工学専攻の学生です。
事故の6日前に遊びに行ってました。2両目にも乗ったので、事故を知ったときは生々しさに気持ち悪くなりました。

エキスポランドにはコースターが3機種あって、私が行った日も、ときどき「20分間の点検を行います」ってアナウンスを流してお客さんの入場を止め、点検走行をさせていました。

で、乗りすぎで気分が悪くなってきたこともあって、近くのベンチに座って風神雷神2の点検走行をみてたんですが、ホントにただ走らせているだけで、計測機器が載せられている様子もなかったので、この走行で一体何を検証できるのかなぁと疑問に思っていたのを事故のニュースを知ったときに思いだしました。

今後は安全管理のために、車両の適切な位置にデータロガーを常置して、毎日の運行データを集められるようにするのが理想的でしょうね。

投稿: nt | 2007/05/11 0:52:25

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