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2007.01.10

通信の秘密は未定義なのか?

昨日の夜は情報ネットワーク法学会の勉強会でした。

内容はミスターITこと高橋郁夫弁護士のプレゼンテーションでタイトルが「通信の秘密の数奇な運命」というものでした。

高橋弁護士とはずいぶん前からの知り合いで、あちこちでお目にかかっている間柄です。
タイトルだけでは内容はさっぱり想像がつかないのですが、高橋弁護士のお話なら面白くないはずもない。ということで出かけました。

実は情報ネットワーク法学会の総会以外の会議に参加したのは今回が初めてです。
ざっと20人ほどの勉強会でしたが、目からうろこと言うかものすごいお話を伺いました。

ネットワーク管理者として何かと考えなくてはならないことも一つに「通信の秘密」があります。
高橋弁護士のプレゼンテーションは、この「通信の秘密」というものが法律的にどういうことなのかを憲法の成立時点にまでさかのぼって解き明かしてみるというものでした。

一般的な理解として通信の秘密は憲法21条によるとされています。
第二十一条
  • 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
  • 検閲は、これをしてはならない。
  • 通信の秘密は、これを侵してはならない。
これを素直に読むと、通信の秘密は表現の自由の中に含まれていると、なってしまいます。
つまりあまりよくわからない。

帝国憲法では現憲法の通信の秘密に相当するのは
第26条
  • 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
となっていて、いわゆる信書の秘密にあたります。

そこで、通信の秘密とは「通信の本文=コンテンツ」と「通信をしていることの情報」のどちらなのか、あるいは両方なのか、が問題だとされます。

通信の秘密を守る側の立場から言うと、通信をしているかしていないか自体を明らかにしないとされますが、DDoS攻撃対策やWinny対策は、通信をしているという事実をもとに、通信を遮断するといったことをプロバイダーが行う、とされています。
ここで通信をしている事実(高橋弁護士によると「トラフィック」)は通信の秘密に当たらないとすることで初めて対策できるとなります。

ネットワーク管理といった実務の観点からいうと、法律の専門家あるいは国がここら辺について明確な説明をしていないことが気になっているわけですが、高橋弁護士のプレゼンテーションによるとなんと憲法制定時にまでさかのぼっても、実は議論がされていなくて「通信の秘密とは何か」は憲法にはないも同然となるそうです。

この憲法で通信の秘密を明確に定義していないことが、刑法や通信に関する法律が、通信の秘密を明確に定義していない、当然通信の秘密を侵すことが何かわからない。というヘンテコな事態を引き起こしています。

確かに通信の秘密というものがはっきりしなかったことはよく承知していますが、なんとこれら憲法にまともに転院されていないし。元をさかのぼっても、まともに議論していなかったらしい。ということが、分かってきました。大変に興味深くも、びっくりするプレゼンテーションでした。

1月 10, 2007 at 09:04 午前 セキュリティと法学 |

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 酔うぞさんのブログ”酔うぞの遠眼鏡”に書かれていました。  憲法21条に規定で 続きを読む

受信: 2007/01/10 17:34:18

コメント

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 憲法21条の条項は、電気通信事業法上の第3条、第4条にあたるみたいですね。ここでも、守秘義務は記載されていますが、本質的な定義は明確化されていないみたいですね。2項で”他人の秘密”に対する守秘義務規定は明確になっていますが、1項目に通信の守秘規定は明確化されてないですね。

追記
 トラックバックが、2回はいっちゃいました。ごめんなさい。m(__)m

投稿: nari | 2007/01/10 18:04:57

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