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2006.12.02

一日中法律

今日(12月2日)は情報ネットワーク法学会の年次総会 & 研究大会で筑波大学に行ってきました。
例によって、岡村先生、町村先生、丸山さん、小倉弁護士、高橋弁護士、鈴木先生、須賀先生といった顔なじみの方々と「どもども」とかやってきました。

つくばエクスプレスで行きましたが、最初はどう乗り替えるのがよいのか良く分からない。
見慣れているのは秋葉原ですが、そもそも秋葉原は田園都市線からは行きやすい場所ではない。
田園都市線は半蔵門線になって押上から東武線になって北千住に行くから、そのつもりだったのだけど乗換案内では大手町で日比谷線に乗り替えろ、と出たからそれに従いました。

まぁつくばエクスプレスの速いこと、あっと言う間につくば駅。
7時に自宅を出て9時にはつくば駅だから、ラッシュは強烈かもしれないが通学可能範囲だね。

情報ネットワーク法学会は5年になるそうで、わたしは最初から入会していますが、今回は事務合理化をしたそうで、かなり立派に安定した運営になりそうです。
ちょっと興味のある方は入会すると面白いですよ。

午前中のセッションはコーディネターがニフティ社の丸橋氏
  1. 「拡大するカラオケ法理とその限界ついての一考察」 神奈川大学 奥邨広司
  2. 「Aninymity Provider の法的責任」 小倉秀夫
  3. 「プロバイダ責任制限法における発信者情報開示における実務的な問題」 壇俊光
でした。 わたしには大変に興味深いテーマで面白かった。
とは言え、現状は色々な方面に発散中でまだまだ混乱は続くといった感じですね。

その後、高橋弁護士、小倉弁護士などと六人でラーメン屋に。
小倉弁護士とネット上には出せないような話をして、司法修習生を煙に巻いてしまった。(^_^)

パネルディスカッションはαブロガーがメディアを語るといったものでしたが、パネラーが以前は新聞社という人ばかりでなかなか面白かったのですが、16時半に中座して霞ヶ関に戻ってきました。

町村先生「つくば」落合弁護士「情報ネットワーク法学会・研究大会(筑波大学)」、といった記事が早くも上がっています。



霞ヶ関まで一時間ちょうどぐらいで着いて「近未来通信に関する被害者説明会」を覗いてきました。

消費者被害問題の集会は何度か見たことがありますから、ある程度集まる人の数とかはザッと予想するのですが、報道にありますが700人越えとかでマスコミもものすごい数がいてビックリでした。

わたしの興味は、この事件のニュースがあまり細かい事情が分からないと思っていて、説明会なのだからもっと細かい情報が出てくるのかな?と思っていましたが基本的には報道の範囲でした。

色々な情報からわたしも確信的な詐欺であると考えています。
弁護団は「詐欺と考えて刑事告訴と破産申し立てをする」と述べていました。

そんなわけで、今日一日でものすごい数の弁護士という人を見たことになります。(^_^)

12月 2, 2006 at 11:50 午後 セキュリティと法学 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.12.01

住基ネット離脱容認・高裁判決

読売新聞より「大阪高裁、住基ネット離脱を容認 情報保護に欠陥
住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)はプライバシー権を侵害し違憲だとして、大阪府箕面(みのお)市など府内5市の住民16人が、住民票コードの削除や損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。

竹中省吾裁判長は「住基ネット制度は、個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があり、プライバシー権を侵害している」と述べ、住民側の請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更、箕面、吹田、守口の3市に、住民4人のコードを削除し、住基ネットからの離脱を認める判決を言い渡した。

住基ネットからの「個人離脱」は昨年5月、金沢地裁が初めて認定。高裁レベルでは初めて。

判決はまず、「住基ネットが、情報漏えいや目的外利用によって、本人が情報の提供や利用の可否を決める自己情報コントロール権(プライバシー権の一つ)を侵害される具体的な危険があれば、憲法13条に反する」との基準を示した。

竹中裁判長は「住基ネットは厳重なセキュリティー対策が講じられ、情報漏えいの危険性はない」と評価。一方で、行政機関が保有する本人確認情報を利用できる国の事務が拡大され、行政機関自ら法律や条例で将来、無制限に拡大できる点を指摘した。

さらに、防衛庁が自衛官の適齢者情報を収集した自治体のうち、3分の1以上が住民基本台帳法で閲覧が認められていない情報を提供していた実例も挙げ、「個人情報が際限なく、目的外利用される危険性が具体的に存在することをうかがわせる」と認定した。

これらの点から、竹中裁判長は「集積された個人情報が、住民票コードによる検索でデータ照合や名寄せが行われ、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保存・利用される危険がある」とした。

そのうえで「目的外利用を監視する第三者機関はなく、住基ネットの運用は、自己情報コントロール権を著しく侵害するものと言わざるを得ない」と結論付けた。
南山大学の町村先生が


とコメントされています。
全く同感で、注目しています。

この判決では「住基ネットの運用は、自己情報コントロール権を著しく侵害するものと言わざるを得ない」となっていますが、自己情報コントロール権に完全な差し止め、つまり他人に自分の自己情報を渡さない権利というのものがあるという観点のように読めます。

個人情報保護法の説明をしていたときに、個人情報とは社会に知られて始めて意味が出てくるのであって、社会と絶縁しているのなら個人情報という概念が元々無い世界になってしまう。と説明していました。

わたしは現実的には個人情報を保護するべき情報と公開して良い情報に分けて考えるべきだろうと思っています。

まず個人を特定するとは社会で他人と自分を分けるというのが基本だから、完全に姿を消すというのはあり得ないと考えます。
その中で、一般的に言えば住基ネットが扱う個人情報の4情報(氏名、生年月日、性別、住所)をことさら保護しなければならないというのはかなり特殊な場合でしょう。
実際問題として、氏名・生年月日・性別・住所を隠したらほとんどの契約が出来ません。だから「住基ネットだけには知らせない」という論理が必要になって、これ自体がかなり無理ですね。

しかし、その逆にわざわざ住基ネットを作っていったいどういう意味があるのか?とは強く思います。

それやこれやで、色々な議論が展開できますが、今回の大阪高裁の判決が住基ネットからの離脱の条件に自己情報コントール権を持ってきているのはどうか?という気もします。

なぜなら、自己情報コントロール権は絶対的なものではない。かなり相対性が強いものだと考えています。
こういう観点からは、自己情報コントール権は認めるが、住基ネットは4情報限定だから、コントール権の範囲外だという展開はありそうです。
むしろ、個別の事情によって離脱できる、とした方が実際的だったのではないだろうか?

それにしても住基ネットの一番の問題は「使い道がない」だと思う。
確か、北陸だったと思うが高齢者ドライバーの免許証返納運動として住基ネットカードと引き替えサービスをやったところ返納が大変に増えた、という記事がありました。
公的身分証明書になるという意味です。
その程度のモノですからねぇ。こんな仕組みを維持することに意味があるのでしょうか?

12月 1, 2006 at 11:02 午前 セキュリティと法学 | | コメント (0) | トラックバック (1)

脅威再生会議は後ろ向き

毎日新聞より「教育再生会議:「ゆとり教育見直す」中間報告素案で明記
政府の教育再生会議(野依良治座長)で学校教育の改革を協議する第1分科会は30日、来年1月にまとめる中間報告の素案を公表した。
「不適格教員を排除するため、あらゆる制度を活用する」との姿勢を打ち出し、保護者や児童・生徒が教員評価に参加する第三者評価を打ち出した。
また、学力向上のため学習指導要領を改め、「ゆとり教育を見直す」と明記した。

素案では、学力向上に向け、国語や英語、算数(数学)、理科の授業時間を重点的に増やす方針を明記。
多様な「生きる力」の育成のため導入された「総合的な学習の時間」の短縮など「ゆとり教育」行政の転換を求める姿勢を鮮明にした。

また来年4月に約40年ぶりに実施する全国学力テストで、各小中学校に平均点などの調査結果を伝える時期を、文部科学省計画の9月から夏休み前の7月に前倒しするよう提案。
成績のよかった学校の取り組みを公表し、他校にも実施を促すことを提言した。

教員への評価では、校長だけでなく保護者や児童・生徒も加わることを提唱。
教員免許更新制も「不適格教員の排除」のため厳格な運用を求め、5、10年研修でも適性を審査することを提案した。「団塊の世代」の大量退職に向け、社会人や理系研究者の教員登用も盛り込んだ。

学校や教育委員会制度では、将来的な検討課題として、独立行政法人などを活用した学校、教委の第三者評価の実施を提案。
教育委員から互選される教育委員長の輪番指名の排除や、学校に「副校長」「主幹」などの管理職を複数配置して学校運営を強化するなど、体制の大幅な見直しを提唱している。

これとは別に、地域や家庭教育のあり方を検討する第2分科会も郷土の風土や歴史を学ぶ「ふるさとの時間」授業の導入や、ボランティア活動の実施、「家族の日」の創設を盛り込んだ素案をまとめている。
教育再生会議のメンバーは学校の現場を知らないのではないか?という意見がネットには多数挙がっているが、中間報告案がこのままではますます批判は強まるだろう。

そもそも「学力とは何か」を定義しているのだろうか?


国語や英語、算数(数学)、理科の授業時間を重点的に増やす

これで学力向上になるのか?

少なくとも、総合学習は減らすと言っているのだから、減らす部分と増やす部分があって、トータルで学力が向上します、という意味でないと困るのだが、肝心のここで言うところの学力ってなんなのでしょう?



教員への評価では、校長だけでなく
保護者や児童・生徒も加わることを提唱。


こんなものやってはいけないことの代表だ。

どんな組織でも利害関係者が直接評価したら混乱するから一般的に禁止されているやり方ではないか。
成績の評価なんできる教師がいなくなってしまう。
教員でいることにそのような多大なリスクを負わせたら先生という職業は崩壊してしまう。

第一、教育をチェックするのが社会の要請であるのは確かだが、目的は社会にとってより有用な教育をすることだろう。
「こんなに悪い教育をしています」とあげつらうようなことをしても、生徒一人一人が社会にとって有用な人材になるわけがないだろう。

製造業界出身の社会人講師で話し合ってみると、これでは

生産過程では何もせずに
製品検査で不良品をより分けているだけだ。

といったイメージが一番分かりやすい。
日本のメーカでは製造の段階ごとにチェックし問題があれば即座に修正してしまう方式で製造している。
トヨタが始めたジャスインタイムは部品として良品しか来ないから成立しているのだ。
この経験で分かったことは、「最後の製品検査で不良品を見つける方が高く付く」です。

教育でも同じ事が起きているのではないか?
先生を評価するのも、授業中に「ちょっとこうした方がが良いだろう」とチェックすれば生徒はより良い授業を受けることが出来るが、生徒が卒業した後で「生徒の成績がこんなに悪いから先生の責任だ」と判定したのなら、それは先生を評価するために生徒に犠牲を強いていることになるではないか。
先生を評価することが目的で、生徒のことはどうでも良い、とでも言うのか?

何が「教育再生会議」だ。あまりに古すぎる議論の展開で呆れ返ってしまう。
そもそも中間報告に出てきているような「対策」はネット上も含めて沢山論じられていることで、わざわざ「会議」を開いて議論するほどの中身のある話ではないだろう。


昨日訪問した高校では、20人以上の社会人講師を動員して10人ずつぐらいの生徒を相手に社会人講師に自分の仕事についての話をさせた。
このような大変な企画を高校の現場は実施している。だからこそ、あっちこっちから社会人が「協力しましょう」と昼間に参加している。
こういう社会のコンセンサスも利用して、進めるべきで現在のところ教育再生会議は「改良した教育」がどのようなものになるのか、ビジョンを示していない。

やっていることは、「ゆとり教育に問題がある」「教員を評価していない」などいかにマイナス点があるかを強調しているだけの後ろ向きの話ばかりだ。
ひどすぎる。

12月 1, 2006 at 10:16 午前 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.11.30

近未来通信・事業の実態無し

朝日新聞より「近未来通信、通信事業の実態なし 総務省調査
IP電話事業への投資を口実に多額の資金を集めていた「近未来通信」(東京都中央区)の問題で、総務省は30日、同社の中継局のうち稼働しているものは7台しかなく、投資家への配当原資となる通信料収入(05年7月期)も、売上高の2%以下の約3億円だったことを明らかにした。
11月27日の立ち入り検査の結果をふまえたもので、通信事業の実態がほとんどなく、虚偽説明で資金集めをしていたことを裏付けた。

総務省によると、近未来通信は当初、国内外に2466台の中継局があると報告していた。
立ち入った際に総務省が聞いたところ、実際に稼働しているのは、11月27日現在では、国内の7台しかないことを認めた。
同社は「技術が進んだため、古い中継局を使う必要が無くなった」などと説明したという。
これまで同社は投資家に対し、「国内外に多数の中継局を置いてIP電話サービスを提供している」と、説明していた。

また、05年7月期(04年8月~05年7月)の売上高は約181億円だった。
これに対し、主力事業の通信料収入はわずか約3億円にとどまっていた。
固定電話の契約者数も、05年7月末で587人しかいなかった。

同社はネット技術を使って通話料を安くするIP電話事業を展開。国内外の中継局の設置費用を投資家に負担してもらう「中継局オーナー」制度を導入し、中継局1台あたり1000万円以上の資金を募っていた。
通信料収入から毎月80万円近くが配当できるとのふれこみだったが、実際は新規投資家の資金を別の投資家の配当にまわす、自転車操業だった。

総務省は06年7月期の売上高などの追加報告を求めているが、30日現在で回答はないという。
プリペイドカードを使ったIP電話の利用者は一定数いるとみられることから、利用者からの問い合わせに応じる体制整備などを、今後行政指導する。
出資詐欺とでも言うのでしょうか?
資金を出資して事業が失敗した場合に、まともな事業であれば投資リスクと言えますが、利用者と出資者の数がおなじ位ではまともに事業が伸展していたとは言えません。
これで、どういう形にしろ配当できない赤字事業であることが明確になっていて、それでも将来のリターンを考えてリスク覚悟で出資したというのならそれも通常の事業ですが、配当することで黒字あるように見せかけていたわけです。
しかもその目的が、新たな出資者の獲得のためと判断できますから、ここで確信的な詐欺行為となるでしょうね。

細かくは、出資の勧誘に使われた目論見書などの記載によるのかもしれませんが、それにしても出資を売上高に参入するのが論外で、本来事業の売上げが2%以下ではどうにもならないでしょう。
どういうことだったのでしょうか?最初から大がかりな詐欺にするつもりだったのかな?

11月 30, 2006 at 09:40 午後 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

パート労働法改正素案の問題

日経新聞社説より「パート社員の適正な処遇を急げ
パートタイム労働法の改正に向けた労働政策審議会の議論が大詰めにさしかかった。 29日に公益委員が示した報告書の素案は、パート社員への労働条件の明示、正社員との均衡待遇の確保、正社員への転換の促進などが柱だ。単なる指針から法令に格上げする規定も目立つ。

雇用者の4人に1人の割にまで膨らんだパートだが、賃金は正社員を100とすると男性52.5、女性69.0と低水準で、正社員への転換も容易でない。
経済的な不安定さや教育訓練の乏しさが、少子化や働き手の質の低下につながる恐れもある。
男女を問わず世帯主パートも目立つ今、働きに見合った形での処遇改善は重要な課題だ。

教育訓練や福利厚生に関する適正な処遇が義務規定なのに対し、賃金を巡る処遇の核心部分が努力義務にとどまった点には、不満も残る。
ただ強引に正社員並みに賃金水準を上げても、パートの門戸が狭まっては逆効果だ。素案の規定はクリアすべき最低ラインといえるが、一層の賃金の改善を目指すには雇用確保とのかねあいも考える必要があろう。

もう一つの焦点である正社員への転換については、転換推進に向けた措置を事業主に義務づけ、国の助成も促した。
ただ、パートも多様化しており、やむをえずパートになる層が増える一方、束縛を嫌う自発的パートもまた多い。正社員化だけを目標にするのでなく、働き手の事情に即したきめ細かい処遇が必要だ。

パート1200万人時代の裏には、不況下でグローバル競争に直面した企業が賃金水準の低さと調整弁的な便利さから雇用の非正社員化を進めた経緯がある。
その時点ではやむを得ない選択でも、景気回復後まで「安価な労働力」に抑え込んだままでは、社会の不安定化は増すばかりだ。
パート法改正は厚生年金の適用拡大などとともに安倍政権の再チャレンジ支援策の柱でもあり、厚労省は年内をめどに報告書をまとめ、来年の通常国会での法案提出を目指す。
格差の固定化を防ぐためにも、実効性のある処遇改善が待たれる。
この日経新聞の社説は割とよく踏み込んでいる方だと思う。
比較対象として京都新聞(共同通信)の記事「正社員へ転換推進義務付けパート労働法改正で素案」は、労働政策審議会の分科会が29日にあきらかになった素案を紹介しています。
パート労働法の見直しを検討している厚生労働相の諮問機関、労働政策審議会の分科会が29日、厚生労働省であり、学者らの公益委員が報告書の素案を示した。パートの正社員への転換推進を企業に義務付けたほか、処遇改善のため能力や経験を考慮して賃金を決めるよう求めた。

パートの処遇改善は、安倍晋三首相の掲げる再チャレンジ支援の柱の1つ。
素案は、既に策定した同法の厚労省指針で定める内容を法制化し、企業への拘束力を強めた。厚労省は素案を基に年内に報告書をまとめ、来年の通常国会で法改正を目指すが、使用者側委員の反発も予想される。

労働者側は「一定の前進」と評価するが、賃金など具体的な処遇改善は努力義務にとどまるため、格差解消への実効性に疑問の声も出ている。

素案はパートについて職場で中核的な役割を担うケースや若年層が増えていると指摘。
「日本経済を支える労働力としての重要性は高まっており、能力を有効に発揮できるようにすることが必要」として、社員と均衡が取れた処遇確保が「事業主の責務」と明記した。

正社員への転換では、企業は「推進に向けた措置を講じなければならない」と指摘。具体的には
  • (1)社員募集の情報伝達
  • (2)社員応募の機会の付与
  • (3)社員への転換制度の導入-の3つを例示した。
社員と仕事内容が同じで、長期間続けて勤務するパートに対しては「差別的な取り扱いを禁止する」と明示し、賃金などで社員と同水準の処遇にするよう義務付けた。

賃金に関しては社員との間に不当な格差がないよう仕事内容や能力、経験、成果などを考慮して決定することを要請。仕事の実態が社員に近いパートは、賃金の決め方を社員と共通にするよう企業は努力しなければならないとした。
このほか企業側に教育訓練、更衣室や給食施設の利用などの福利厚生の実施を求めた。
この社説と記事の元になった情報が「素案」であるのだが、素案が記事が紹介したとおりであるのなら通りいっぺんであり素案とはいえ突っ込みどころ満載と言えるだろう。だからこそ日経新聞社説は踏み込んで書いた。

簡単に言えば「同一労働同一賃金」をきちんと定義することが重要だろう。
パートと正社員を直接比較して「転勤があるパート従業員」とはどういうことなのだ?
転勤は会社の職務命令によるもので、パート従業員が労働形態の多様化としてパートを選択した場合に、それを踏みにじることにもなる。こんなことは法的に禁止して構わないだろう。

同一労働だが正社員には色々な事情があって賃金が違う、というのが使用者側の一般的な主張であるのだが、それならその「色々とは何か」をはっきりさせるべきだろう。
そうしないと「同一労働とは何か」が決まらない。同一労働で賃金格差があるという社会を是とするのであれば、賃金格差は何によって生じるのか説明する義務があるだろう。

労働と賃金といった極めて基本的なところにごまかしをしていると社会はドンドン不安定化する。
「日本経団連会長の発言は」で強く批判したのは、人材という資源を企業が育成しないで他社が育てた人材=資源をつまみ食いする構図を是認していることだ。

今回のパート問題についても、企業にとって賃金抑制だけすればよいのか?となると、将来の購買層を育てないのだから将来の経営者が挙げることが出来る利益をかっぱらっていることになる。

これでは、世代間格差じゃなくて世代間ドロボーだろう。
日経新聞社説が指摘している「景気回復後まで「安価な労働力」に抑え込んだままでは、社会の不安定化は増すばかりだ」は極めて重い。

11月 30, 2006 at 08:19 午前 国内の政治・行政・司法, 経済・経営 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.11.29

教育再生会議はバカの集まりか?

毎日新聞より「いじめ対策:加害側の指導徹底 教育再生会議が29日提言
政府の教育再生会議が29日にまとめる「いじめ問題への緊急提言」が28日明らかになった。提言は8項目。
いじめをした児童・生徒に対する「出席停止」は、「子どもにストレスがかかる」(委員)という懸念などから明記は見送る。

ただし出席停止措置を念頭に「指導、懲戒の基準を明確にする」ことで、学校内の規律確保を目指す。

問題の児童・生徒は、学校教育法に基づき市町村教委が出席停止にできる。
こうした規定の厳格適用でいじめ被害の子どもを守る姿勢を打ち出す。

いじめに加担したり、いじめを放置した教員に懲戒処分を適用することや、いじめを見て見ぬふりをする子どもも「加害者」と明記し、徹底指導を促す。

教員の懲戒は各教委が処分基準を設けている。東京都教委は10月、対象項目に「児童・生徒へのいじめ」を設置、直接のいじめや加担・助長する行為の処分を明確にした。
提言は、東京都にならい「全国の教育委員会で検討し、教員の責任を明確に」と指摘した。

このほか、「いじめは家庭の責任も重大」との考えを盛り込んだ。
いじめを理由に転校できることを子どもや保護者に周知することや、教委にサポートチームを結成して学校を支援することも提唱した。
「教育再生会議の闇」は教育再生会議が現場のことを知らないあるいは意図して無視しているのではないか?という観点で書いたのですが、それが証明されるような記事です。

韓国の人が「日本のいじめ問題で、なぜいじめられた方は反撃しないのか?」と質問していました。
この質問に教育再生会議のメンバーはどう答えるのでしょうかね?

わたしは、いじめの「加害者」側は当初辛いと的にいじめるというのはそうそう無いですよ。
意図的にいじめる例えば脅して金品取り上げるのなら犯罪だし警察だって動きやすい。
これは犯罪であっていじめじゃないでしょう。

いじめとは何か?という定義がきちんとされているのでしょうか?
日本の文化の中にある「村八分」は基本的に農作業で共同作業が不可欠であるからだと言われていて、それにはわたしも納得しています。
つまり日本では集団に個人が合流していることは大切で、これは集団が個人を排除することがある文化なのです。

そうなると、いじめが良くないと言うときに集団が個人を排除するのは仕方ないとするのなら、一体どこからがいじめになるのか?という問題に直面してしまいます。
つまり、現実問題として後でいじめと指摘される行為合っても当初は集団が気がつかないでやっていることが大いにあり得ます。
これを学校のクラスなどの単位に当てはめると、クラス全員が一人を排除するですから排除される方の一人にとっては、全員に反撃するしかないわけで誰が考えても不可能だから反撃しない、になっていると私は考えています。

教育再生会議は、いじめの被害者のためにクラス全員を処罰することが出来るのか?ということについて回答する義務があるでしょう。
どういう頭で考えているのだ? タダのバカな提言だとしか思えない。

11月 29, 2006 at 09:24 午前 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2006.11.28

教育再生会議の闇

毎日新聞より「教育再生会議:高まる「不透明」批判 首相肝いりも非公開
いじめ自殺や高校の履修単位不足など教育問題に国民の注目が集まる中、安倍晋三首相肝いりの「教育再生会議」の初会合から1カ月が過ぎた。
これまでに総会2回と第1分科会(学校再生)、第2分科会(規範意識・家族・地域教育再生)が各1回開催され、27日は第3分科会(教育再生)も東京都内でようやく開かれた。
議論にスピード感があるとはいえず、非公開のまま進められる会議のあり方に「不透明」との批判が高まっている。

  • 非公開が原則

  • 教育再生会議は、運営委員会で議題などを確認した上、分科会で具体的な議論を進めるが、非公開が原則で、運営委は開催日時・場所さえ非公表だ。
    運営委は中間報告(来年1月予定)に反映させる7項目の「基本的な考え方」を決定したが、公式発表はしていない。27日の第3分科会終了後の会見でも、川勝平太委員(国際日本文化研究センター教授)の試案が「完成稿でない」と公表されず、「議論の内容が分からない」など記者団から批判を浴びた。

  • なぜ英米だけ?

  • 同日の分科会では「主要国の教育改革の動向」として、米英の教育改革に関する資料が配布された。しかし、当の委員から「なぜ英国や米国流ばかり参考にするのか」「これから話し合う資料が全く提示されていない。どう考えているのか」と異論が続出した。
    高水準の学力を維持している北欧諸国の例は示されず、議論の方向性に「結論ありき」の雰囲気がにじむ。
    委員は「高い教育水準を持つ日本が英国をまねる必要はない」と内部批判をした。

  • 記者懇で説明?

  • 山谷補佐官は27日の会見で、「(記者団が)丁寧な説明をしてほしいと思っていると感じた。
    記者懇(談会)など、もう少しよい形で理解を深めるような形も検討させていただきたい」と述べ、記者団に議論の過程などを公表することに含みを持たせた。
    しかし、一般市民や教職員への公開には触れなかった。

  • 議事録すぐ公開を

  • NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子室長の話
    会議後の記者会見は伝えたいことだけを伝え、聞かれたことに答えるだけのもので、それで足りるというのはおかしい。
    また、会議後の議事録ではリアルタイムで議論の過程が分からない。
なんですか?これは。
真剣にやる気はないのかねぇ?
英米の資料は日本を基準にしたら以前が全然ひどいのだから全く参考にならないでしょう。
これでは、

教育を行政の視点で改革する。

ですね。
少なくとも、諸外国の情報を広く検討するべきだし、大学全入になってしまっている韓国の例や中国の異常な教育熱などについても検討するべきです。
今の日本が、韓国や中国のようになっていなくても、何がきっかけで中国のようになったり韓国のようになったりするかを検討すると言ったことは国が扱うべき研究でしょう。
そもそも、学校教育だけを論じていてもダメだというのは多くの国民が感じていることで教育再生会議で論じたから特効薬が見つかるなんてことはあり得ない。
この手の会議(委員会)のやるべきことは、問題の広さをチェックすることが重要なことで、それを英米の資料だけとは文科省の中西量がなかった、ということではないのか?

今でも少なからずあるのだけど、留学という名の逃避が大量に起こりかねないしその先には移民だって起こりうる。
そもそも、教育再生会議の作る事や、教育基本法を改正することについて内容はとにかく「何かをしなきゃダメだろう」と言っているのは世論です。
その世論(民間)に情報を公開しないとはどういうことだ?

過程を飛ばしても結果が良ければそれでよい、ということであるのなら、今の教育問題の大きな部分がその「結果の過度な重視」にあると思っています。
つまり、この教育再生会議のやり方自体が、失敗の上にまた失敗した手法で積み上げている。
今必要なのかなり抜本的な改革で、すぐに実現できるものかどうか?というレベルの話になると思いますよ。

ゆとり教育について、寺脇研氏は「内容を適度に選択できる仕組み」と考えたようだが、実際に選択できる教材を提供しなかった。それを現場で作れとやったから出来なかったのだ。


とうしてこんな「誰でも分かりそうな間違えをしたのか?」という議論があって、大学の先生の意見聞いて納得してしまった。
小学校に入ったときに、教科書をドサッと受け取るよね。
あれを全部一日で読んでしまって、楽しかったな。
みんなも同じだよね。
といった友人がいたとのことで、もちろん聞いている側は「トンでもないヤツ」と思っていたそうですが、ようするに全く勉強しないで東大をトップで出るような人がいて、それらが中央お役人とかになっている。
そういう人たちを基準に「ゆとり教育」とか考えているのだろ。


とその先生は言うわけです。
確かに、特別に勉強しないでも良い成績を取れる子供が、ムダに学校で時間を使っているから授業時間を減らそうと言うのは考え方として正しいだろう。
しかし、授業時間が長くても勉強が足りない子どもたちはどうするのだ?
ゆとり教育の部分に選択制で特訓でもするというのならまだ公平だろう。
ここらへんに問題の根本があるのではないだろうか?

こんな事なら、現場(学校)任せにした方がマシではないのか?

11月 28, 2006 at 11:39 午後 教育問題各種 | | コメント (5) | トラックバック (1)

2006.11.27

Wii リモコンは空を飛ぶ♪

Engadget Japanese より「Wiiリモコン・サガ:今度はPDAを撃破

Engadget Japanese はなんか喜んでますが、新型ゲーム機 Wii のリモコンを使って、スポーツゲームをしているとリモコンが手から飛んでしまう。
ゲーム中なので、当然テレビに向かってやっているからリモコンが飛んだ先でテレビぶち当たるというのです。

「Wiiリモコン快進撃:さらにテレビを撃破」
とか
「Wiiリモコンが飛行、テレビを破壊」

なんて記事があります。
これらの記事に共通しているのは、電池入りのリモコンを振り回すのだが飛ばないようにストラップを手首に描けていたのが切れた、というところでした。
「そんなことはあるのか?」と思っていたら今回の紹介画像がすごい。

YouTube の動画を観て欲しい。
これでは、ストラップを強化した繊維を使うしかないだろう。

まぁメーカの研究不足とは言えるかな?

11月 27, 2006 at 01:11 午後 もの作り | | コメント (2) | トラックバック (3)

教育再生会議こそが怪しいのではないか?

読売新聞より「教委の監査機関設置、保護者が教員評価…教育再生会議
安倍首相直属の「教育再生会議」(野依良治座長)が来年1月にまとめる第1次報告素案の概要が26日、明らかになった。

教員の能力を保護者らが評価し、指導力不足と認定した教員に対する研修や配置替えを徹底することや教育委員会の抜本的見直しが主な柱だ。

伊吹文部科学相は26日のNHK番組で「教師を信頼し、任せる代わりに教師の資質がしっかりしている裏付けが必要だ」と強調した。

同会議は教員の質向上に向け、「ダメ教員の追放と優秀な教員の処遇改善」が不可欠だとしている。
素案では、教員の質を精査し、能力に応じた処遇を求める方針を明記する。
具体的には、保護者や生徒による教員評価の仕組みを設けるほか、不適格な教員の排除を視野に、教員免許更新制の実効性ある運用を求める。
指導力不足教員の研修が成果を上げているかどうか検証する案も出ている。

学力向上策の中核は「ゆとり教育」からの脱却だ。
来年4月に実施する全国学力調査の結果を踏まえ、学力水準が著しく低い学校への早急な対策を打ち出す。
全文は記事を読んでいただくとして、これが一つのビジョンとして受け取ることが出来る人がいるのだろうか?
思いつくままに、今教育で問題とされていることを挙げてみると。

  • 学力そのものの問題
  • 常識が無いとされる問題
  • コミュニケショーン能力が不足だとされる問題
  • しつけの範疇に入る問題
  • 道徳や規範の範疇に入る問題
といったところは、生徒個人の問題と言えるでしょう。
  • いじめといじめによる自殺問題
  • 学校内で過度に秩序が壊れている場合など
  • 必修科目の履修偽装など
  • 受験科目の過度な削減
  • 大学進学資格のチェックが必要ではないか?
  • 授業時間数が少なすぎないか
  • 総合学習などであまりに現場任せが多すぎるのではないか
  • 学校のシステムが時代の変化について行ってない
といったところが学校というシステムの問題でしょう。
子どもたちにある程度の強制力を持って勉強を強いるのは社会として当然のことですから、学校システムがうまく機能して生徒個人の問題を最小にするのが全体の目的であると思います。

そうなると、この二つの問題は、まず学校のシステムを改革してその結果として生徒個人の問題を減らすようにする、という順序になります。

ゆとり教育が授業時間の過度な削減と、あまりに多くを現場に負担させたのは事実でしょう。
ゆとり教育からの脱却というのであれば、ここに手を付けないわけにはいかない。

もう一つ以前から言われていることに「子ども人質に取られている」というのがあります。
あるいは「密室化」という言葉ですね。

実に問題は多方面にわたっているのが分かりますが、例えば「教員の能力を保護者らが評価し」なんてことを考えるよりも、日々の教員の能力向上をどうやるか?の方が有効ではないのか?

自動車の生産で、生産中に修正するよりも最終検査で不良品にした方がコストダウンになるという考え方から脱却できないアメリカの生産方式が、日本の生産方式に負けたことを思い出してしまいます。

なんか、日本の指導層は政治も行政も実業界も変にアメリカかぶれになっていないか?
今、重要のはアメリカ以外の将来モデルを目指すことだと思うのだが。

教育についても現場での細かい「カイゼン」が有効だと思う。
もっと現場(学校)の自主性を発揮できるようにして、それを可能にするためにスタッフ(事務職員)の強化、外部の支援の導入などを推進して、さらには各学校ごとに監査する、といった方法なら比較的簡単に実現できると思うのだが、国がやるとなると大げさになってしまう。
教育再生会議が「仕組みの基本は悪くない、運用がまずいだけだ」と考えているのなら、それは怪しいと思う。

11月 27, 2006 at 11:13 午前 教育問題各種 | | コメント (4) | トラックバック (1)

2006.11.26

教育再生は現場無視で進むのか?

朝日新聞より「いじめ加担教師の懲戒厳格化も 教育再生会議緊急提言へ
安倍首相直属の「教育再生会議」(野依良治座長)は今週中にいじめ対策の緊急提言を出す。
  • (1)いじめに加担したか、故意に見過ごした教員への懲戒制度を現在より幅広く適用する
  • (2)いじめた側の子どもの出席停止を積極的に行う
  • (3)問題が起きた学校を支援するチームの派遣の仕組みをつくる――などが柱となる方向だ。
最終的に10項目程度の提言になる予定で、今週、断続的に開かれる教育再生会議の三つの分科会で詰める。
こんな事をなんで教育再生の中で決めなければいけないのか?
学校におけるイジメとは子ども同士の関係を指すのだろう。
教師が荷担すれば、刑法の問題にするだけだろう。
逆に学校を社会から隠して問題がもっと密室化陰湿化する原因になりかねないと思う。
そもそもイジメが発覚したら教師を処罰するというのがいじめ問題の争点なのかな?
防止するのが重要でしょう。

そのためには一番有効なのは密室になりがちな教室に外部からの目が複数あるといったことが一番でしょう。
これには、「少人数教育の提案」で書いた「一クラス複数教師制度」が一番簡単で有効だと思う。

11月 26, 2006 at 10:33 午前 教育問題各種 | | コメント (0) | トラックバック (1)

日産が電池自動車に

日経新聞より「日産、2009年度メドに電気自動車発売
日産自動車は3年後をめどに電気自動車を商品化する方針を固めた。
自社開発のリチウムイオン電池を搭載して軽量化した小型車を発売する。
日産はハイブリッド車についても自社開発車を投入し、トヨタ自動車やホンダに比べて出遅れていた環境対応車で巻き返しを急ぐ。

日産は電気自動車の性能を左右するリチウムイオン電池の性能を向上させた。

電気自動車は走行中、排ガスが全く出ない環境対応車だが、1回の充電で走行できる距離が短い弱点がある。
新技術で200キロメートル程度の走行を目指す。
通勤用など都市での交通手段として電気自動車の需要があるとみている。
3年後をメドにということは、既存の車種の電気自動車版を作るという意味ですね。
これは、スバルと三菱が軽自動車ベースのモノを作っています。
日産にはオリジナルの軽自動車はないから、マーチなどでやるのでしょうか?
それとも、マーチの次モデルで電池自動車も作るのでしょうか?

インフラとして充電システムを整備することが重要ですね。
現状だと盗電の問題などを防ぐことが出来ない。
しかし航続距離200キロはどうかなあ?
バイク以下ですよね。
ちょっと難しいような印象もあります。

11月 26, 2006 at 10:19 午前 もの作り | | コメント (0) | トラックバック (1)