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2006.10.06

湯沢のシンポジウム

「ネットワーク・セキュリティ・ワークショップ in 越後湯沢」の初日だけ日帰りで参加してきました。
プログラムはこれで1日目は
  1. Overview of leading edge privacy issues regarding information security and privacy
  2. Pam Dixon Executive Director, World Privacy Forum
  3. 財務報告に係る内部統制と情報セキュリティの接点
  4. 丸山満彦 監査法人トーマツ パートナー 公認会計士
でした。

99年に白浜シンポジウムに初めて参加したときには、FBIの人間が「FBIの先進的な捜査手法は」といった極めてテクニカルなあるいはオタク心を満足させるような内容でしたが、今回の Pam Dixon 女史の講演ではプライバシーの考え方がアメリカ、OECD、日本では違っているから、というのが主題で言葉の端々に「文化が違う」と出てきました。

99年では、理科系の説明だったものが2006年には文化系の説明になってしまった。

わたしはナイトセッションが終わる21時半まで付き合ってきましたが、ナイトセッションでは
アメリカは2001年の前と後では違ってしまって、今では(9.11があったから)戦争状態だと思っている。
だから(情報の)スキャンがプライバシー侵害であっても仕方ない、考えている。
日本ではそう思っていないのだから、同じ手法は使えない。
という意見も出ました。また、ボット対策について
  • 無数にある個人のPCにボットが住み着いているが、そこにウイルス対策をどう進めるのか?
  • OS(メーカに)対策する方が手間が掛からないだろう。
  • 対策がOSを複雑にすると、単に価格が上がるだけで穴は残るぞ。やるなら、昔の(DOS時代)ように使いにくくすることなる。現実的でない。
という意見が出たりしました。

1日目の二番目のプログラムで丸山氏がSOX法のかなり踏み込んだ説明をしたのですが、ナイトセッションでは「こんなものできるのか?」になってしまい、アメリカでは企業会計の公正を守らないとしてエンロンのようなことなると、懲役20年で殺人罪並みだが日本では罰則がないのだから、SOX法と言っても全くの別物だ。
なんてことにもなってしまい、ここでも文化・社会の違いだ。となってしまいました。

大学の先生と話してみると、学生の親が子どもにPCを与えるときにどういう親かによって学生のPCへの興味や方向性に大きく影響を与えているとのことで、ここらも大問題というのべきでしょう。

問題を理解する基準が、技術的な知識よりも「なぜそんなことをする(しない)のか?」といった、文化・社会・心理といった方向からのアプローチが重要になってきたようです。

10月 6, 2006 at 09:23 午前 白浜シンポジウム | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.10.04

A380大幅納期遅れ

日経新聞より「エアバス超大型機「A380」、納入1年遅れに
欧州航空大手エアバスは3日、総2階建て超大型機「A380」の航空各社への引き渡しが平均1年遅れると発表した。
生産工程の問題が予想以上に深刻なためで、計画の遅延はこれで3度目。

年内就航を目指していたシンガポール航空への1号機の引き渡しも2007年10月にずれ込む。

信頼失墜は避けられず、エアバスは生産体制見直しやコスト削減を急ぐ。
エアバスはA380の生産をいったんほぼ中断し、新たなソフトウエアを各工場に投入して生産方法を改善する。

07年には当初25機の引き渡しを予定していたが、新計画では1号機だけ。
08年は13機、09年は25機と、いずれも当初計画の半分前後となる。
A380は16社から159機を受注している。

航空各社は運航計画に狂いが出るとしてエアバスに遅延補償金支払いを求めており、利益を圧迫する見通し。
A380は初飛行が2005年4月だから、2006年中に就航というのはいくら何でも無理だろうと思っていたのが、現実になってしまった。

報道では客室内の仕様を航空会社ごとに大幅に自由にしたために生産性が悪くなったとされています。
これではキャンセルが出てくるでしょうね。
もっとも、就航して人気が出れば注文が増える可能性はあるわけで、エアバス社としては頑張りどころでしょう。

全面的にボーイングに依存するのはなんかの時に困るから、保険という意味では日本ももっとエアバス機を買うべきではないかとも思うのですが、最近ではさっぱりですね。

10月 4, 2006 at 11:43 午前 国際経済など | | コメント (1) | トラックバック (1)

神栖町のヒ素事件

読売新聞より「神栖の汚染、国が新主張「ヒ素は連合国軍が払い下げ」
茨城県神栖(かみす)市の有機ヒ素による地下水汚染問題で、国が「有機ヒ素は戦後、連合国軍が接収し、農薬や農薬原料として民間に払い下げた可能性が高い」として責任と賠償義務がないとする答弁書を公害等調整委員会(公調委)に提出していることが3日、わかった。

住民34人は7月、井戸水を飲むなどして健康被害を受けたとして、公害紛争処理法に基づき国と県を相手に1人300万円以上の損害賠償を認める責任裁定を下すよう公調委に申請。23日に第1回審問が行われる。
個人的に非常に興味のあるニュースです。
神栖町の周辺の井戸水を利用している人たちにヒ素中毒被害が発生して、原因が不明でした。
それで、旧軍の毒ガスだということなって国が大々的に掘り返したのですが証拠がない。
それが、2005年1月に砂利の採取穴に投棄されたコンクリートの固まりが汚染源であり、1993年製造の空き缶がコンクリートの中から出てきたから、投棄がそれ以後だと確認されてしまった。

これの何が問題か?というとお役所仕事のすごいところを見せているところで、たまたま裁判を応援している中西準子先生が折に触れて報告されています。
  1. 雑感245-2004.2.5「神栖町井戸水ヒ素汚染-汚染源ほぼ確定か?―もしこれが正しいなら、茨城県の責任は大きい-」
  2. 雑感249-2004.3.2「環境省が、神栖町の井戸水砒素汚染、汚染源について発表―あたふたと開かれた住民説明会―」
  3. 雑感291-2005.1.31「有機ヒ素化合物、不法投棄か-神栖町 井戸水ヒ素汚染」
  4. 雑感299-2005.4.12「環境省頑張れ! 神栖井戸水ヒ素汚染」
  5. 雑感340-2006.3.28「まだ解決していないのか?-県と国のどちらが責任?神栖、井戸水ヒ素汚染-」
当初は旧軍の毒ガス以外にないから国の責任だとして、非常に広範囲に科学的な根拠無く調べ回った。
どういう意味なのかというと結局は予算取りの問題ではないか?となるわけです。
そこで大学の先生が疫学的な見解などから、広範囲の汚染ではなくてどこかに汚染源があるのではないか?という観点から調査を始めるのですが、一旦「毒ガスだ」と走り始めたものだから新たな見解は無視されたわけです。
ところがコンクリートの固まりが出てきて話がひっくり返ってしまった。

比較的最近投棄したことが分かっているのだから、調査すればが事情が分かると思うのだけど、それを放り出したまま従来の毒ガス説を引っ込めないで公害等調整委員会に出したというわけです。
一方被害者代表の方も毒ガス説を引っ張っているから「国が作った」と言い張っているわけで、実際に何が起きたかは無視している。
莫大な経費と時間や人材を投入した結果が当初の想定とまるで違っていたのだけど、行政の無繆性を主張するだけのために事実から目をそらさせているというべきではないのか?
その上、責任はありません。ではどうしようもないではないか。

10月 4, 2006 at 09:47 午前 日記・コラム・つぶやき | | コメント (4) | トラックバック (0)

2006.10.03

ソニーのリチウムイオン電池事件・その5

読売新聞より「ソニー電池発火、05年12月に原因特定していた
ソニーが、昨年11月に起きた米デル製パソコンの発火事故の原因が自社製充電池にあることを直後に把握していたのに、デル以外のメーカー向けの充電池やパソコンのシステムなどの十分な調査を怠っていたことが、2日わかった。

デルとソニーによると、デル製ノートパソコンの発火事故は昨年11月、東京都内で発生した。
事故を受けてデルは翌月、同タイプの充電池を搭載したパソコンで充電池を交換するリコールを行った。

ソニーはこの時点で、発火は自社製充電池の製造時に、金属粒子が混入したのが原因と特定していた。

ソニーは事故を起こしたのと同タイプ、同時期に生産されたデル向けの充電池について安全性を調査した。
しかし、他社向けの充電池の調査は事故が起きていないことを理由に見送られた。
電子回路などパソコン側の調査も不十分だった。

ソニーは充電池の製造工程を改善したが、デル以外のメーカーには事故の概要や原因、デルによる回収を連絡しただけだった。
リコールの要請をしなかったことで、他社は昨年12月以降も、在庫の充電池を使って発火の恐れがあるパソコンを出荷していた可能性がある。
「ソニーのリチウムイオン電池事件・その2」根本的な判断力がヘンではないだろうか?と書いたのだが、結局はこの問題についてソニーが今まで発表してきたことがひっくり返ってしまった。

どう考えても電池自体に発火の原因があるのに、パソコンメーカが違えば発火し得ないと断定できるとは思えない。自社の製品の品質について把握していないソニーが他社であるパソコンメーカの設計から製造の実情をまでを把握しているわけがないだろ。

事故が起きるか起きないかは可能性の問題だから、可能性が高い低いといった判断は出来るが、あり得ないといった断定をすること自体を避けるべきだろう。

これでは回収費用どころか、損害賠償請求が起きても不思議ではない。

10月 3, 2006 at 03:22 午後 もの作り | | コメント (8) | トラックバック (1)

2006.10.02

臓器移植法初の違反事件

読売新聞より「生体腎移植で提供者に金品、患者ら2人逮捕…愛媛

このニュースが最初に伝えられたときには、まるで臓器故買事件であるかのように伝わってきて、それも病院が斡旋したのではないか?といった感じだった。
「いくら何でもそれはないだろう?」と直感的に思ったのだが、犯罪容疑が臓器移植法の売買の禁止に違反しているというのだから「やはり故買なのかね?」とも思っていたが、読売新聞の伝えるのが真実であるとすると、これは法律で完全にコントールするのは難しいのではないか?と思う。
昨年9月に行われた生体腎移植手術をめぐり、患者らが臓器提供の見返りに現金30万円と乗用車(150万円相当)を女性ドナー(臓器提供者)に渡したとして、県警は1日、患者で水産会社役員と、内縁の妻の同社社長の両容疑者を臓器移植法違反(売買の禁止)の疑いで逮捕した。

また、同病院など計3か所を捜索、カルテなどを押収した。1997年の同法施行以来、臓器売買での摘発は初めて。

県警は同日、特別捜査本部を宇和島署に設置し、ドナーの女性からも立件を視野に同法違反容疑で事情を聞くとともに、病院側が臓器売買を認識していたかなどを調べる。

調べに対し、男性(患者)の容疑者は金品の提供を認めているが、臓器提供の経緯についてはあいまいな供述を繰り返している。
女性(妻)容疑者は容疑をほぼ認めているという。

調べでは、重い糖尿病だった男性(患者)容疑者は女性(妻)容疑者の仲介で、貸しビル業の女性から提供された左側腎臓の移植手術を昨年9月28日、同病院で受けた。
両容疑者は同11月、女性の口座に30万円を振り込み、今年4月に新車の乗用車を渡した疑い。
手術は成功し、患者は約1か月後に退院した。

女性(妻)容疑者はこの女性と知り合いで、女性から200万円を借りていたが、昨年8月ごろから「ドナーになってくれたら、借りた金に300万円を上乗せして返す。うちの人を助けたい」と再三、頼み込んでいたという。

県警は、今年2月に(腎臓提供者)女性から、「頼まれて手術を受けたが、貸していたお金や約束のお金も渡してくれない」との相談を受け、内偵していた。

男性(患者)容疑者は女性(妻)を妻、ドナーの女性を義妹と、病院に説明していた。
執刀した泌尿器科部長(65)は、読売新聞の取材に「きちんと提供者本人の確認はしていない」と話した。
この記事を読んだときに「話が逆じゃないのか?」と思って何回も読み直してしまいました。

腎臓を買った方が売った方に借金があった、というのです。

臓器売買を禁止するのは、借金のカタに臓器を売るのを禁止するといった意味合いが大きいでしょう。
一方、実際に全く謝礼を禁止して菓子折一つも出していけないとしても、厳守されることは無理でしょう。
そうなると、今回の事件は一体どういう事なのか?
形の上では、言葉巧みに臓器を詐取して口封じに対価を支払うと約束した、といった事が想像できます。
いずれにしろ、臓器移植法が売買の禁止を規定していて今回の事件では、それが破られたと認定することは問題がないと思いますが、そもそもの売買禁止の規定が想定している範囲の事件だったのか?となるとちょっとはずれているのではないか?と思います。

さらには、臓器移植は輸血のように提供者側が再生しないのですから、絶対的な判断が必要でそこに何らかの思惑やいきさつが全くないと考えるのは非現実的でしょう。

「メスよ輝け」というマンガがありました。
1989年から連載された作品で、中核は肝臓移植でした。

現実の脳死臓器移植が1996年の臓器移植法の成立をうけた、1999年のことですからこのマンガは10年先を描いていました。原作者は現役の医師で現場の立場からの議論が延々と出てくる作品で、印象深かったのは「親が子どもに臓器提供することが美談となると、世間が親に臓器提供のプレッシャー書ける可能性がある」というところでした。

これだけでも、実に色々な問題を含んでいることは明らかで、今回のような「借りている側が貸している側に臓器を提供させる」という想像外のことも起きる、ということなのでしょう。
詳細に調べて、例えば倫理委員会が調査して記録を残す、といったことも必要ではないでしょうか?

10月 2, 2006 at 10:53 午前 医療・生命・衛生 | | コメント (2) | トラックバック (1)