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2006.06.17

福井日銀総裁・何が問題か?

福井日銀総裁についての社説を集めてみました。

日経新聞 6/17 「日銀総裁は自身について十分な説明を
朝日新聞 6/16 「日銀総裁 これでは納得できない
読売新聞 6/16 「福井日銀総裁」「大いに反省して説明を尽くせ
毎日新聞 6/17 「福井日銀総裁 運用のすべてを明らかにせよ
産経新聞 6/17 「福井日銀総裁 公正と信頼どう回復する
東京新聞 6/16 「福井日銀総裁 日本の信頼が傷つく
琉球新報 6/17 「日銀総裁の投資・道義的責任は免れない
沖縄タイムス 6/16 「[日銀総裁の投資]透明性高める行動規範を

社説のタイトルだけを見ても、福井総裁の行動を個人レベルの問題として非難しているのが8紙中の5紙で大半です。日銀総裁という立場が信頼されないことの問題にしているのが2紙、組織としての日銀総裁の行動規範を強化するべきとしているのが1紙です。
社説の本文を読むとタイトル通りとは言えず総花的であってほぼ全部の社説が同じ事を書いていると言って良いでしょう。

日経新聞
これまで福井総裁が明らかにした事実だけを聞けば、中央銀行総裁として不適切なことをしたとは断じがたい
とはいえ情報が十分とはいえず、釈然としない向きもあろう。福井総裁は自らについてもっと丁寧に説明をしてほしい。

というのも、日銀総裁は金融政策を通じて株価や債券価格、預金金利、貸出金利などに影響を及ぼせる立場の筆頭にいるからだ。
自らの利殖と政策との関係について、いささかの疑念も持たれてはならない。
資産内容や運用状況を明らかにするのは当然の説明責任である。

朝日新聞
日銀の内規には触れないというが、金融政策の最高責任者なら、ルールがどうであれ、信託するか売るのが筋だ
一私人の判断としては結構なことだが、日銀総裁という公人になった後にまで個別の人物を応援するような投資を続ければ、中立性を問われても仕方ない。
遠からず政府が嫌う利上げに踏み切る時が来る。その際に、ためらいが出ないか。
政府にかばってもらった「借り」があるという印象だけでもマイナスだ。

読売新聞
日銀総裁は、金融政策の責任者であり、行動や発言は、市場に大きな影響を与える。
極めて強い信頼性、中立性を求められる立場だ。
その総裁が、内規に触れなくても、特定の投資家や企業に肩入れしたり、市場で利益を上げようとしたりしていると誤解される行為は、避けなければならない

毎日新聞
福井俊彦総裁は、国会や記者会見で釈明を続けている。
しかし、運用の実態がはっきりしないうえ、ファンド前代表の村上世彰容疑者とどのような関係にあったのかも不明なままだ。
説明責任を十分に果たしているとはいえず、逆に不信感を増幅させる結果となっている。
運用の内容を全面開示したうえで、疑問にも明確に答えることが必要だ
十分な説明責任を果たすことが出来なければ、国民の信頼を回復することはできない。

産経新聞
福井氏が、政策運営と直接関係のない問題で日銀総裁としての信頼を傷つけてしまったのは残念としかいいようがない。
拠出金を総裁就任後も引き揚げなかったのは不注意であり、批判されてしかるべきだ。
福井氏の行為は現時点で見る限り、法令や日銀内のルールに反していない。
問われているのは道義的責任である。
その上で、なお日銀総裁が求められる公正性、中立性への信頼が回復できず、金融市場の混乱が収まらないなどの状況が続くようになれば、そのときは、福井氏自身が進退を決断するに違いない。

東京新聞
福井俊彦日銀総裁の村上ファンド出資問題は異様さを通り越して、どこか醜悪な様相を呈してきた。
このままでは、福井氏や日銀だけでなく、日本経済と金融政策への信頼までもが傷つく
政府がスキャンダルに陥った日銀総裁を懸命にかばい、総裁は首相に感謝の言葉を述べる。
目を覆いたくなるような光景である。
総裁のスキャンダルを擁護してくれた政府に対して、日銀がこれからも独立性を守って、毅然(きぜん)とした態度で政策判断をすると、だれが信じるだろうか。
市場のプロはもちろん、普通の人に「いまや政府と日銀は暗黙の“インサイダー関係”に入った」と受け止められても仕方がない。
最高度の高潔さと公正さ、透明性を求められる日銀総裁として、福井氏は不適格であるとあらためて指摘せざるをえない。

琉球新報
日銀総裁の言動は金融・証券・為替市場に多大な影響力を持つ。
株価も左右しかねない。
中立性、独立性を保つべき中央銀行の総裁が、市場から疑念を抱かれる行為をとるべきではない。
個人の行為だとしても、福井総裁の道義的な責任は免れない

沖縄タイムス
今回の投資行為は、市場関係者らが中央銀行の中立性、独立性に疑念を抱く結果を招きかねない
総裁の道義的責任は免れまい。
今後、日銀総裁、政策策定に関与する官僚・政治家らが、在任中、個人資産運用に直接関与することができないような行動規範をつくり、透明性を高める制度を構築する必要がある。

日銀総裁というの職は国際的にも国内的にも攻める立場であるから敵側に利や名目を与えるように自らの立場を弱めるようなことは避けるのが当然だと思う。
こういう観点からはすでに莫大な失点を積んでしまった。といわざるを得ないだろう。
将来「あの時の福井日銀総裁の行動が・・・」と損失が明らかになったときになんとかするなんてことは出来るわけがない。
つまりは予防的に動くのが当然であって、すでに「どうやって損失を回復するか?」という段階になっている。
確かに「損害が明らかになっていない」のではあるが、明らかに損害が明確になったときにはどうにもならない。
ここで言う損害とは「日本の国民が、政府や中央銀行に対してどれ程厳しく見ているか?」という国民の国際的な信頼度にあることに注目しなければならない。
分かりやすく言えば
「こんな正体不明なことをやっても中央銀行総裁でいることを許す国民」

と諸外国から見られる可能性があるのだが、それでも良いのか?というのが問題の本質だ。

どうも各紙の社説は厳しさに欠けると思う。

6月 17, 2006 at 08:59 午前 国内の政治・行政・司法 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2006.06.16

エレベータ死亡事故・その9

産経新聞より「ドア開いたまま昇降のプログラムミス52台 シンドラー社が発表
シンドラー社の説明によると、平成3年から5年に出荷した52台の制御盤のプログラムにミスがあった。
ドアが閉まりきる前に「開」のボタンを押すと、閉まったと認識した制御盤の指示で昇降が始まるが、ボタンに従いドアが再び開いてしまう誤作動を起こす。

シンドラー社は5年にミスに気が付きプログラムを修正。
出荷済みのものについてもソフトを交換したが、リスト漏れが3台あったほか、古くなったエレベーターについてシンドラー社が改修工事をした際、6台を古いプログラムに戻してしまったといい、東京など1都4県で計9台にプログラムミスが残っていた。
平成3年というと1991年である。
15年も分からなかったというのは「管理していません」ということだろう。

さらにタチの悪いのは「一度なおしたものを、間違えて元に戻してしまった」でこんなのは書類で管理していても書類上は「改修済み」になっているわけだから、今回のような寺家が起こらない限り「書類上は正常」のままだ。

ソフトウェアを売っていた時代には、必ずユーザと同じコピーを保管していて常に同じものをテストできるようにしていたものだが、その後に知り合った連中の中には客先で修正してしまうために修正したものが元に戻ってしまう、なんてひどいことをやっていた奴が居た。
それと同じ事をやっているのではないか?ソフトウェアを商売として扱う資格がないと言っても過言ではあるまい。

ましてシンドラー社はこんなことを言っている。
「港区の事故機はプログラムの種類が違い、関連はない」
しかしドアが開いたまま動いたことに変わりはないわけで、同じ現象に複数の原因が推定されるわけだ。
かえってタチが悪いだろう。
その一方では新品では利いたブレーキが激突を引き押すほど摩耗などしているのにメンテナンス対象から見逃されていたらしい、というメンテナンス体制の問題が見つかっている。
一体これでどうやって安全を確保することが出来るのだろうか?

6月 16, 2006 at 09:51 午後 もの作り, 事故と社会 | | コメント (3) | トラックバック (3)

エレベータ死亡事故・その8

読売新聞より「事故エレベーター、ブレーキ異常が濃厚…新品では正常
警視庁捜査1課が15日、事故機のブレーキを新品に取り換えて再現実験をしたところ、エレベーターは正常に作動した。

このため同課は、ブレーキに何らかの異常があった可能性が高いとみて、事故時のブレーキを分解するなど、詳しく調べる方針。
立証するために実験するのは重要ではありますが、この結論は分かっていたことです。
新品を付けてもブレーキが利かないのでは最初から機能しません。
記事ではもう一つ重要な指摘をしています。
事故は、電源が入った状態で起きていたことから、制御盤にも何らかの異常が発生した可能性があるとみて捜査を進める。
これはカゴが上昇して高校生が挟まれた、という意味で受け取ると話が通じないですね。
事件の構造を結果から逆の順序に書いてみます。
  1. 高校生がドアが開いたまま上昇したエレベータに挟まれて死亡した。
  2. エレベータは定員の半分以下の負荷だと重りのバランスの関係で上昇する。
  3. 上昇(降下もだろう)を止めるのはブレーキである。
  4. ブレーキは電気が通電することで開放(自由)になり、電気が切れる(通電しない)と制動する。
ですから記事の「電源が入った状態で事件が起きた」というの事実であっても技術的には「電気が通電しているときにはブレーキが掛かる」という話にしないと意味が通じません。

ただ「ドアが自動で開く」とか「(ボタンを押した)指定した階に到着する」といった機能は間違えなく電気が通電して制御している状態ですから、この部分で異常があれば「制御盤の異常」でしょうね。

むしろ問題は、一つのブレーキの不調で暴走するエレベータでは安全設計とは言えないだろ。ですね。
これをメンテナンス会社の全面的な責任とすることが出来ることなのでしょうかね?

6月 16, 2006 at 08:12 午前 もの作り, 事故と社会 | | コメント (3) | トラックバック (1)

暴走事故

読売新聞より「危険運転で高校生9人死傷、法定上限の懲役20年求刑
昨年10月、サレジオ学院の男子高校生の列に乗用車が突っ込み、2人が死亡、7人が重軽傷を負った事故で、危険運転致死傷罪に問われた被告(24)の論告求刑が15日、横浜地裁(栗田健一裁判長)であった。

検察側は「道路をサーキットのように走行する傍若無人ぶりは言語道断」として同罪の法定上限の懲役20年を求刑した。

検察側は、被告が100キロ以上を出し、カーブで反対車線にはみ出しながら「アウト・イン・アウト走行」と呼ばれる危険な運転をしていたと指摘

これに対し、弁護側は「65キロしか出していない。対向車線にもはみ出しておらず、危険運転致死傷罪は適用できない」と反論した。

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衛星写真の中央にある逆S字型の道が問題の道で、写真の中央にある白い建物などが道路の下側にあるのが学校です。事故車はこの道路を写真の右上から左下に向かっていて、中央部分で事故になった。

このカーブは上り坂の100Rぐらいなので検察側の主張のように100キロを超える速度で、ということだと危険だし難しいでしょう。
しかし「アウトインアウト」となると右カーブなのでイン側が対向車線になってしまいます、また衛星写真をよく見ると分かると思いますが歩道橋があり見通しはかなり悪いです。
わたしはアウトインアウトはちょっと無いのではないか?と思います。
一方弁護側の主張である「65キロしか出していない」というのは無理がありすぎです。
100Rぐらいなのですから65キロでは歩道に乗り上げたあげくには道路を横切って反対車線の向こう側まで行ってしまうという事故は起こせないですよ。
アウトインアウトで走ったというよりもハーフスピンで反対車線に入り込み、ノーコントロールでアウト側に飛び出して生徒の列にぶつかってさらに反対車線に飛んでいった、という典型的な発散であったような機がします。

6月 16, 2006 at 12:24 午前 事件と裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.15

裁判員制度・ワイドショー

裁判員制度は、
  • 平成16年5月21日法律成立。
  • 公布の日(平成16年5月28日)から5年以内(平成21年5月27日=2009年5月27日まで)に裁判員制度が実施される予定。
今日は平成18年6月15日(ですから、まる3年以内に裁判員裁判が始まります。

連日、ワイドショー(古い表現だな)で秋田の小学生殺害事件について弁護士の会見や警察の発表をジャンジャン流してます。
捜査進行中ですから裁判が始まるのはまだ先ですが、仮に事件が発覚してから3ヶ月後に裁判になると仮定しましょう。
一方実際の裁判員裁判が始まるのが、2009年4月だとすると4月1日が水曜日なので裁判所にとって新年度の裁判の扱いになる事件について4月以前から切り替わっていく可能性があるのかな?という気もします。

そこで2009年1月以降に発覚というか逮捕された該当事件は裁判員裁判になると考えて良いでしょう。
つまり裁判員裁判になる事件までは2年半しかありません。

実質2008年までの世間の情勢によって裁判員になった場合の対処がどうなるか?を考えておく必要があると思います。
2008年は世界的には大事件が予定されている年です。

「近未来の出来事」に並べたとおり2008年の出来事は
  • 2008年 2月 韓国大統領選挙
  • 2008年 8月 北京オリンピック
  • 2008年   ロシア大統領選挙
  • 2008年11月 アメリカ大統領選挙
というわけで、秋田の小学生殺害事件のワイドショーの放送を見ていると裁判員裁判への報道はどうなるのか、非常に気になります。
どうも裁判員制度は司法のお約束も含めて社会のあっちこっちに影響を与えるのは確実のようですが、細かい検討が全く行われていないように思いますね。

例えば裁判員が「テレビで見た様子では真犯人は」なんて話にしたらどうするんでしょうか?
もちろん裁判は法廷に出された証拠によって判断することになっていますが、素人である裁判員は法廷に示されない事柄を無視しするという訓練を受けていないのだから影響されないと考える方が無理です。

さらには裁判員制度そのものが「市民感覚を法廷に持ち込む」を狙っているのですから、テレビの影響を排除することが良いとばかりも言えないわけです。

逆に言えばワイドショーも裁判に参加しているという側面があるわけで、秋田の小学生殺害事件でのワイドショー報道はどうよ?と思う今日この頃です。

6月 15, 2006 at 09:34 午前 裁判員裁判 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.14

シンドラーエレベータ・自治体困惑と言うが

朝日新聞より「シ社、入札「より安く」で浸透 自治体は困惑
シンドラー社は、官公庁の入札で同業他社に比べて安値を提示して実績を伸ばしてきた。
国内シェアは1%程度とされるが、官公庁に限ればその割合を大きく上回る。
「税金を使う以上、より安い方を選ぶのは当然」としてきた自治体は、今回の事故に戸惑いを隠せない。

「発注する役所にすれば、1円でも安くやってくれるところに工事を任せるのは当然だ」。自治体担当者たちはそう主張する。

しかし、安全への信頼を根底から覆す死亡事故と、説明責任を果たさなかった対応で同社への批判は収まりそうもない。
エレベーターを止めての再点検を余儀なくされるなど、自治体への影響は広がりを見せる。
これは容易に想像できる事だと思うんですがねぇ。
そもそも入札制度は、一番安く納品できる業者を探すという意味でありましょう。
ということは買い手である自治体などが品定めできる能力を要求されているという事ですよ。
しかし、今や高度になったシステムなどを自治体などが独力で判定できる能力はないわけですよ。
全国規模で屎尿処理設備の談合事件で、11社が起訴されましたが屎尿処理施設の最新システムを自治体の職員には判断できる知識が無いことは容易に想像できますが、それでは自治体は判断できないから外部のコンサルタント会社にその自治体に適当なシステムの構想を作ってもらうわけです。
ところが、11社が起訴された事件ではその企画を作ったコンサルタント会社を取り込んでいたというのですから、自治体だけが蚊帳の外という事になります。

これでは入札自体が成立しないわけですよ。
値段だけを見れば悪くても安いものを買わざる得ない、内容はさっぱり判らない。
一体どうやって入札を成立させるのでしょうか?基本的に入札制度自体が無理に近いんじゃないでしょうかねぇ?

6月 14, 2006 at 06:31 午後 国内の政治・行政・司法 | | コメント (4) | トラックバック (0)

リストラの反動で強制労働

毎日新聞より「リストラ反動:人手不足で辞められず 組合に相談増える
「辞めたいが辞めさせてもらえない」といった従業員からの問い合わせが労働組合などの相談窓口に増えている。
会社から「代わりを探してから辞めろ」と言われたり、「辞めたら損害賠償を請求する」などと脅された深刻なケースも多い。
「残業割増率の引き上げ」では、単に残業時間を規制するだけでは問題は解決しないだろうという意見を書いたのだが、これは会社が授業員に対価を支払うことなく退職を制限することはない、という考え方をひっくり返すもので労働についていかに多面的な検討が必要かをよく示している。
待遇への不満から昨年12月、2カ月後の退職を申し出ると「辞めるなら10人入居者を増やせ」と言われた。
こんなのは「恥知らず」というしかないが、その恥知らずが大手をふって表通りにいる今の世の中が異常であるというしかないです。

6月 14, 2006 at 04:04 午後 経済・経営 | | コメント (0) | トラックバック (1)

エレベータ死亡事故・その7

読売新聞より「不具合情報は社外秘…エレベーター業界は密室体質
過去のトラブル情報が製造元のシンドラーエレベータ(江東区)から保守管理会社に引き継がれていなかったが、現状では情報引き継ぎを義務付ける法令などはないのが実態だ。

またエレベーターメーカーが系列外の管理会社に情報を出し渋るという業界の「悪弊」も背景にはある。

このため国土交通省は、エレベーターのトラブル情報の引き継ぎや情報開示など、新たなルール作りを進める方針を固めた。

「メーカーは不具合情報を決して、系列以外の管理会社に漏らさない」。
メーカーの系列には属さない、都内の独立系保守管理会社の社長はそう明かす。

国内で60万~70万基が稼働中とされるエレベーター。
新規設置分のうち、三菱電機や日立製作所など大手5社が9割超。
設置後の保守管理も系列会社が受託するのが圧倒的に多い。
独立系18社で組織する「エレベーター保守事業協同組合」(豊島区)によると、国内では現在、独立系が五十数社で、全体の約1割の管理を請け負っている。

だが関係者によると、管理会社が交代すると、元のメーカー系がエレベーターのかごの上部にある動作点検用のスイッチを取り外していったり、閉じこめ時にドアを開ける専用キーを売らないなど、様々な“締め付け”が始まるという。
「管理会社に黙ってメーカーが機械を直していくこともある。機種に欠陥があっても公表されることはない」と、先の独立系の社長は語る。
2002年には国内最大手の三菱電機系の「三菱電機ビルテクノサービス」が、独立系に対する保守部品の納入をわざと遅らせたり、不当な高値で売ろうとしたとして、公正取引委員会から排除勧告を受けている。
これに対し、大手メーカーなどで作る「日本エレベータ協会」は、「情報の引き継ぎなどの問題は、管理会社を変更する際、所有者の責任で対処すべきだ。
メーカー側の問題ではない」と話す。
昨日見た記事を探したのですが見つかりませんでした。
日本全国では1年ちょっとの期間で数百件のエレベータトラブルがあるという記事でした。
1000台のエレベータが1年動く、1件のトラブルがある。というのは直感的には多いではないか?と感じますが、別記事のコメントでも書きましたがエレベータ内で人が飛び跳ねたりすると停止します。これは正常な安全装置の作動ですが停止したから閉じ込められたという場合もあると思いますが、閉じ込められただけを見ると機械的なトラブルと区別が付かないでしょう。つまりは機能は正常で安全に問題がないのか、正常であると確認出来ない、故障あるいはシステムの原因不明の異常の本当の数が分かっているか?という問題に直面します。

ここにメンテナンス情報を引き継がないでは状況が分からないし、分からないのでは有効な対策も基準も作ることが出来ないでしょう。
それにしても、産経新聞の記事「エレベーター圧死、ブレーキ異常が原因 ディスクに多数の傷
エレベーター圧死事故は、ブレーキ異常が直接の原因だったことが13日、警視庁捜査1課の調べで分かった。
鑑定した結果、ブレーキディスクに多数の傷が見つかった。これらの傷で利きが悪くなったとみられる。
モーターへの送電が止まるとブレーキが作動する仕組みで、ドアが開いた状態では制御盤の指示で送電が止まり、重りの重量でかごが上下しないようディスクを押さえつける。

警視庁でブレーキを分解して鑑定を進めたところ、アーム部分やバネには異常がなく、ブレーキパッドの摩耗も許容範囲内だったが、ディスクに新旧の無数の傷があることが新たに判明。これらの傷がブレーキの利きを甘くしたとみられるという。
警視庁では管理会社がこれらの重大な傷を見落とした可能性があるとみて捜査するとともに、事故機などがトラブル続きだったことから、ブレーキ異常につながる構造的欠陥の有無について製造元の「シンドラーエレベータ」側から事情を聴いている。
過去のトラブルについて管理会社間の引き継ぎがなかったことも明らかになっており、委託元の「港区住宅公社」の安全管理に問題がなかったかについても調べている。
これでは、いったい何を点検していたのかですし、メンテナンス会社は何を重点的に点検するべきかが分からないからブレーキディスクを見ていなかったというのは論外ですね。
点検とは一体何をすることだったのか?というところまで踏み込んで調べないとまずいでしょう。
警察は刑事事件の犯人捜しに重点を置くので事故防止のために再発防止のために技術基準を改めるといった方向に影響が少ないのは、航空機から自動車その他の機械類などの事故についても同じ事でここらヘンの仕組みそのものを何とかするべきだと思うのですがね。

6月 14, 2006 at 08:55 午前 もの作り, 事故と社会 | | コメント (6) | トラックバック (3)

2006.06.13

都電が追突!?

産経新聞より「都電荒川線で電車同士が追突、26人負傷
13日午前9時40分ごろ、東京都北区栄町の都電荒川線梶原-栄町駅間で、試運転中で急停車した電車に三ノ輪橋発早稲田行き電車(いずれも1両編成)が追突。
追突車両の乗客約30人のうち、女性(86)が骨折するなど男女25人が重軽傷を負った。試運転車の検査技師1人も軽傷。
通常の営業路線上で試運転で停止しているというのもちょっと理解しがたいのですが、なんとまぁこんなことのようです。

毎日新聞より「都電事故:追突の電車運転士、試運転知らされず
追突した電車の運転士は当時、試運転が行われていることを知らされていなかったことが分かった。
試運転のスケジュールは5日に車両検査部門から運行を統括する荒川電車営業所に文書で通知されていたが、営業所は運転士らに知らせていなかったという。
どういうことなんでしょうね?
だいたい都電で追突するのが避けられない程つまりブレーキを掛けても止まれないほど高速度で走るとは思えないのですが、どうもすぐに止まることができるようです。

朝日新聞より「「ブレーキかけたが間に合わず」運転手が供述 都電事故
事故当時、追突した車両は時速25キロ前後で走行していたとみられる。
都交通局によると、同程度の速度で走っていた場合の制動距離は三十数メートルという。
いくらなんでも、三十メートルに近づくまで止まっている前車に気づかないというのは普通はあり得ないだろう。
つまりかなり漫然と運転したとなるが、それにしても「試験をしていて、前車が試験車で止まっている可能性がある」と運行情報を正しく伝えていれば漫然と運転することも減っただろう。
エレベータ事故といい、都電といい、どうも複数のインシデントの複合でアクシデントになる、というのが目立つように感じます。
日本が弱体化している証拠でしょうか?

6月 13, 2006 at 10:53 午後 事件と裁判 | | コメント (1) | トラックバック (1)

400万人情報漏れ

読売新聞より「KDDIで400万人分情報漏れ、恐喝未遂の2人逮捕
「DION」に加入する顧客情報のうち約400万人分が外部に漏えいし、これを入手して同社から現金を脅し取ろうとしたとして、警視庁捜査1課と麹町署は13日、職業不詳の男2人を恐喝未遂容疑で逮捕した。

2003年12月時点の全顧客情報で、システムルーム内のパソコンからデータが抜き取られた可能性が高い。
このパソコンを使うには専用のパスワードが必要なことなどから、同課は、内部関係者が犯行に関与した疑いが強いとみて、流出ルートの解明を急いでいる。

流出したのは顧客の名前、住所、電話番号など。
クレジットカードや銀行口座の番号などは漏れてはいないという。

これまでに明るみに出た個人情報流出としては、04年2月に発覚したインターネット接続サービス「ヤフーBB」の顧客情報約452万人分の流出に続き、過去2番目の規模となる。

2人は5月30日、KDDI本社に電話を入れ、同社の携帯電話サービス「au」の顧客データ440万~450万件を入手したとして、「KDDIから流出したと思われる」などと通告。その後、同社を計3回にわたって訪れ、データ入りの書き込み可能CD(CD―R)などを持ち込んだ。
要するに脅迫されたから流出が発覚した、ということなんでしょうかね?
確かに、2003年12月ころとなると、個人情報保護法対応で監視カメラを配備するとかというブームの前ですから盗難が記録されていなかったかもしれませんね。
それにしても、これだけの時間が掛かっているとなると、情報としてはすでに出回っている可能性が大きいでしょうね。
KDDIが全く気づかなかったというのはちょっと思えないんですがねぇ。

しかし、この脅迫犯はババ抜きの負けなんじゃないでしょうかね?それにしても、400万人分とは驚いた。Yahoo!BB 事件の時には後になったら結局のところまるでガードしていなかったと分かって「なんだ?これは!!」といったところでしたが、今回はパスワードが掛かっていたとのことですが、また「変更していなかった」じゃないでしょうね。
情報管理という点では2004年後半ぐらいにならないと、証拠保全などといった配慮をしていなかったということですかね。情報待ちですね。

6月 13, 2006 at 10:29 午後 セキュリティと法学 | | コメント (0) | トラックバック (1)

エレベータ死亡事故・その6

テレビのニュースでちょっと流れたのだけど、事故を起こしたエレベータのブレーキ機構を取り外して調べている警視庁はブレーキ機構のボルトが緩んでいた、という情報を出したようです。
しかも問題のボルトが緩むとブレーキの効きが悪くなる。つまりはメンテナンスの問題か?ということになってきたようです。

さらに、メンテナンス会社の元従業員が「メンテナンスが手抜きである」という発言をしていて、メンテナンス会社に取材を申し入れたらメンテナンス会社は取材拒否した。というのですね。

それにしても、ポルトが緩むとブレーキの効きがダメになるというのは設計的におかしく無いですかねぇ?
複合トラブル事故、といったところでしょうか?

6月 13, 2006 at 09:22 午前 もの作り, 事故と社会 | | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.06.11

人口減社会の経済目標

読売新聞社説より「[新成長戦略]「人口減社会だから大事な『人財力』」
少子高齢化が進み、日本の人口が減少し始めた。
経済成長にはマイナスの影響を与えるが、それを跳ね返して、成長力を強化できないだろうか。

こんな問題意識から、経済産業省が「新経済成長戦略」をまとめた。
「やり方次第では、成長は可能だ」として、今後10年間に、実質で年率2・2%成長の青写真を示している。

日本の労働力人口は、今後10年で400万人減少する。
GDP(国内総生産)の規模は、約10年後に中国に、約20年後にインドに抜かれるという。

デフレ不況の「失われた10年」に対して、人口減がまだ緩やかな今後10年は、経済の活力を生む「残された10年」という見方もある。
日本が経済大国であり続けるかどうか、岐路に立っている。
なんか奥歯に物が挟まったような表現で何を言いたいのは良く分からない社説だな。
どうも簡単に「経済大国」とか言うけど、高度成長以来(以前からだと思うが)「全体として成長(拡大)する」というだけでコトを済ませてきた。
しかし、国が豊かになるとは結局は国民一人ひとりが豊かになることに他ならないわけで、国家間の比較よりも国民の比較をするべきだろう。
だからこそ「国民一人あたりのGDP」に意味が出てくる。

客観的に言って日本は世界でもかなり豊かな国であるし、実際に財団法人 国際貿易投資研究所の発表の2004年の各国(60ヶ国)のGDPを並べると、このような順序になります。
数値は60ヶ国のGDPの平均値に対する割合を示しています。平均値は韓国・インド・メキシコ・オーストラリアといった各国です。
この順序は要するに「大国ランキング」であって、人口の多い国という要素があって確かに帝国主義時代の「大国」のイメージには合致しています。1以上であれば大国といったところでしょうか?

1-15番対平均値16-30番対平均値31-45番対平均値46-60番対平均値
アメリカ17.7ロシア0.88アイルランド0.28パキスタン0.14
日本7.04スイス0.54ポルトガル0.25フィリピン0.13
ドイツ4.15ベルギー0.54香港0.25エジプト0.12
イギリス3.21スエーデン0.53イラン0.25ルーマニア0.11
フランス3.09台湾0.49タイ0.24ペルー0.1
イタリア2.53トルコ0.46アルゼンチン0.23ウクライナ0.1
中国2.49オーストリア0.44マレーシア0.18ナイジェリア0.1
スペイン1.57インドネシア0.39イスラエル0.18クエート0.08
カナダ1.5サウジアラビア0.38ベネゼーラ0.16モロッコ0.08
インド1.03ノルウェー0.38チェコ0.16スロバキア0.06
韓国1.03デンマーク0.37シンガポール0.16カザフスタン0.06
メキシコ1.02ポーランド0.36ハンガリー0.15クロアチア0.05
オーストラリア0.96南アフリカ0.32ニュージーランド0.15スロベニア0.05
オランダ0.92ギリシア0.31コロンビア0.15ルクセンブルグ0.05
ブラジル0.91フィンランド0.28チリ0.14チュニジア0.04


「国民一人ひとりのの豊かさ」の比較するために「国民一人あたりのGDP」の順序で見てみると。
60ヶ国のデータであるために、GDPの順位には出てこない国が一人あたりGDPの表には登場することに注目するべきでしょう。
すごいのはルクセンブルグの3.45倍で日本のほとんど倍です。

なによりも人口が少ない国でも国民一人ひとりは豊かであることを表しているわけで、社説のような「経済大国を維持する」ことがどんな意味があるのかを国民的な合意にするべきことを示しています。
確かに、この表では国民の豊かさの表れとは言っても石油資源などで国民の一部に偏っている場合もあり、またどう考えても人口が小さすぎるからランクが上がったという例もあるわけで、日本の人口が1億人を越えていることは規模の上でも十分に「大国」であることは確かなことなので、国際貢献といった面からも著しく内向きになって「国民一人ひとりが豊かになりさえすればよい」というわけにもいきません。

それにしても、今まではあまりに「国民一人ひとりの豊かさとは」を無視して、「会社を大きくする」「国を豊かにする」に片寄り過ぎていたのではないか?と思うのです。
だから、人口社会で目指す経済指標は今までと同じでよいのか?だと思うのですが、社説は大枠の変更については明確な表現をしていないのに、産業構造にだけ言及している。それで良いものでしょうかねぇ?

1-15番対平均値16-30番対平均値31-45番対平均値46-60番対平均値
ルクセンブルグ3.45ドイツ1.65バーレーン0.76ポーランド0.31
ノルウェー2.7オーストラリア1.58韓国0.71ラトビア0.29
スイス2.46カナダ1.54台湾0.71チリ0.29
アイルランド2.25イタリー1.44マルタ0.66モーリシャス0.26
デンマーク2.24シンガポール1.24赤道ギニア0.53ボツワナ0.24
アイスランド2.08ニュージーランド1.22チェコ0.52マレーシア0.23
アメリカ1.97スペイン1.21サウジアラビア0.52セントルシア0.23
スエーデン1.93香港1.18ハンガリー0.49南アフリカ0.22
オランダ1.86マカオ1.12セントキッツ0.4パナマ0.22
日本1.81クエート1.06タイ0.32トルコ0.21
オーストリア1.79ギリシア0.93エストニア0.42ベネゼーラ0.21
イギリス1.78キプロス0.93スロバキア0.38ロシア0.2
フィンランド1.76イスラエル0.88クロアチア0.38アルゼンチン0.2
ベルギー1.71スロベニア0.82リトアニア0.32ベリーズ0.19
フランス1.69ポルトガル0.8メキシコ0.32ウルグアイ0.19

6月 11, 2006 at 10:28 午前 人口問題 | | コメント (0) | トラックバック (0)